甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

桃の香り、桃のかけら

2021年07月29日 04時33分32秒 | 父母のこと、あれこれ

 友人から桃をいただきました。早速、夜に彼女に電話して、まあ、元気そうで、ありがたかった。妻は大事な友だちだから、久しぶりの女同士の会話をして、旧交を温め合うことができました。でも、こんなにもらい物ばかりしてはいけないから、何かお返ししなくてはいけないです。

 三重県で誇れるもの、あまりないんですよ……。その日に食べるお餅とか、柿とミカンはいいんだけどな。海産物は何だかな……。

 桃は、香りがふんわりしていて、あたり一面にやんわりとした雰囲気にさせてくれます。走ってる人も思わず足を止めてしまうような香りがします。でも、三重県の桃はまだ味が洗練されていません。

 ミカンはもうチャカチャカした感じ。香りはそんなにない感じ。花の時はこれまた独特なんだけど、果実そのものの香りはそれほどでもありません。リンゴは? 梨は? あれこれ思い出すけれど、香りがあたりにフワフワ漂うのは桃ならではのような気がします。

 うちの近辺だと和歌山が産地です。山梨も私は昔住み込みでバイトをしたことがあるくらいに桃の産地でした。岡山もそうです。福島もそうでした。あちらこちらで果物は土地に合わせて作られているのだと思われます。

 そして、闘病中の父は、桃を食べることが楽しみだったようです。夏のしんどい体にチュルリと滑り込ませられる数少ない食べ物でした。父が自分の口で食べ物が食べられるなんて、水が飲めるなんて、ほんの少しだけそんな安息日のような時もありましたね。しんどい時は、すべてを点滴で補うということもありましたっけ。そんなふうにしてでも、父は私たちを見守ってくれていました。

 実家から離れて暮らしている私は、父に何かしてあげられることはないかと、二週間に一回くらいは和歌山の桃を送ったでしょうか。三重県の桃はそんなに産地ではなくて、あかぬけてなくて、硬くて、甘さも足らず、いいものが作れていない気がします。その点、和歌山の桃は、甘さ・香り・ジューシーさなど、しっかりクリアしていました。

 一度、山梨に泊りがけでいく仕事があって、そこからもわざわざ遠回りして、桃の産直に行き、実家に送ったことがありました。宿泊代はケチってもいいから(一泊は富士山のふもとの道の駅で車中泊しました)、桃を送ることは絶対にしなくちゃと思ったんでした。

 残念ながら、くだものには旬というのがあるから、そんなに永遠に食べ続けられることはできなくて、ほんの夏限りなんだけど、しんどい体の父に、ほんの少しだけ、かけらほど、親孝行したのかなと思うんですけど、やはり当てにならない私だったですね。

 まあ、親としたら、子どもが自分の仕事をしっかりやってくれていたら、それでいいわけだから、納得はしてもらえたでしょうか。

 でも、体がしんどい時には、そばに家族がいてもらえると、体がよくなるわけではないけど、ほんの少し心強いかなとも思います。その点で私はダメでした。あまり役に立っていなかった。

1 桃の香や父の話す姿が見える

2 桃の香や母の無駄口に癒され

3 桃の香や八年の月日が過ぎて

4 桃の香やコロナ禍のニッポンとやら



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