2024.3.9の放送で「ブラタモリ」は最終回だったそうです。わかっていたけれど、最後の土地が指宿で、何だかうれしかった。ファンの人たちには申し訳ないけど、スタッフたちがうるさすぎるし、タモリさんのことばの一つ一つに大騒ぎしているようでは、タモリさんも疲れてしまったでしょう。もっと静かに地元の方の話を聞きたいのに、あんなに寄ってたかって「サスガです」を連発されたんじゃ、普通の人なら「やってられないよ」となったことでしょう。
指宿は、人のいない、みんなが黙々と作業をしている、大騒ぎしない人たちがいたみたいだけど、いや、本当はどうだったかわからないですけど、バカ騒ぎはしてなかったんじゃないかな。うるさいのはスタッフだけだった。
指宿はたしかに、火口がたくさんあったんだろうなというのはわかっていました。山川の港は、初めて見た時は感動的でした。指宿枕崎線の電車でも、クルマでも、今まで平野を走っていたのに、山っぽくなったなと思ったら、突然開けてまあるい海が見えて、しかも何だか深そうで、人々の暮らしと自然がごっちゃになった場所でした。
山川湾から西北西に火口のあとが四つもあったなんて、そして、そのラインと平行して断層がいくつもあったなんて! そもそも四つの火口は断層のラインに沿って生まれたものだったなんて!
西郷さんが明治政府を出て故郷に帰ってから、しばらく滞在したという鰻池とか、そこらあたりも火山風景が楽しめたはずですけど、そちらには行く余裕はなかったんですね。
指宿市内から池田湖に抜ける道の向こうに崖のように見えた山々は、ズバリ断層崖だったんですね。日本的ではなくて、昔の「キングコング」映画のような、南の島みたいな感じだったけれど、カゴシマにはよくある崖でしたか。あまりにありふれていて、名前もついていなかったし、地元の人は「あそこの下まで行ってみよう」とか、「あの崖の上から眺めてみよう」とか、まるで考えてなくて、ただ遠くから眺めるだけでした。
宝の持ち腐れというのか、せっかくの自然遺産だけれど、放置されていました。滝でもあればいいけど、それはなかったかな。
砂蒸しの後、開聞岳に行く途中に、リオのコルコバードの丘みたいな「竹山」がありますけど、そこの下の浜で噴き出る水蒸気、滝を見ていました。竹山神社にも行ってほしかったけれど、さっぱりした神社で、地質学的にも、歴史的にも取り上げるまでもなかったかな。
特攻隊の人々が最後に見下ろしていった場所でした。右手に開聞岳、足もとに竹山、胸が締め付けられる風景でした。だから、取り上げられなくてもいいのかもしれない。それはまた別の番組で取り上げればいいわけです。誰が作るかは知らないけれど。
開聞岳は、どんな時間帯でも、各地の富士山と同じように、私たちを見下ろしていろいろと話しかけてくれているお山でした。このお山も、いつか登りたいのに、私はまだそれさえ行えていない。
これは南の開聞岳を眺める千貫平(せんがんびら)という高台から、いくつもの断層の山々を隔ててニュッと出ている開聞岳の姿でした。2008年の正月にはあちらこちらに雪も残っていました。
「ブラタモリ」は休止しました。スタッフを入れ替え、もっと少人数で、ゲリラ的に限定されたところを、コーディネーターなしにぶっつけで旅ができるまで、番組はずっとお休みですね。それはそれでいい冷却期間だと思う。
また、NHKは懇願するだろうけど、そんなのに乗らないで、タモリさんは好きなところを歩いていかれるでしょう。私も私の歩きたいところを歩かなきゃ!