らびおがゆく Vol.3

山形県を中心とした演奏活動等

ヴィオラ Vol.39

2012年10月20日 23時59分14秒 | ヴィオラ
 今日は少々デリケートな事を書きます。というのもこの問題については、弦楽器の演奏家が100人いたら100通りの感じ方があって、どれも正解であり、どれも間違いの可能性を秘めているからです。

 ということで、私だけのボウイング(弓順)のお話。

 通常、オーケストラの弦楽器パートでは、トップに座る方が楽譜を見て、スコアを見て、他のパートトップの方と協議しながら楽譜へボウイング(弓順・弓の上げ下げ・アップダウン)を練習の初日には決めてきます。時間がない時は、自分のパート譜だけを見て、演奏しやすくそして音楽的なボウイングを考えてきます。演奏したことがある楽譜の場合は、山形響なら40年かかって積み上げてきたボウイングの習慣などが楽譜に書いてあり、指揮者や別の考えが生まれれば書き直したりします。オーケストラの場合は、練習の効率化や多人数で同じパートを演奏する以上、演奏しやすさが優先される場合がほとんどです。

 さて、私の活動してきている山形Qの場合、長く同じメンバーでやっていると各々のボウイングの癖、好みが分かってきます。そして深く付き合えば付き合うほど、メンバーにより色々なタイプがいることが分かってきます。例えば、1stVnの中爺君とVcの茂木君は、自分の個人的な練習も含めて効率的に進める目的もあるのでしょう、新しい曲の練習初期からどのボウイングも決めたがります。そして一番新しいメンバーの今井さんは、他のメンバーとボウイングを合わせる事が好みのようです。

 私は少々へそ曲がりなんでしょうね・・・・・。他のメンバーのようにボウイングを早く決めたがりません。まだ合わせてもいない楽譜にボウイングを書く事(もちろん鉛筆で!)はめったにありません。1回の定期演奏会に対して4人で合わせる練習日は、最低でも10日位ありますから、最低でも本番までには20回以上は各楽章通すわけです。そして、その他に駄目な場所を抜き出して練習します。個人の練習も含めると何回楽譜を演奏するのでしょう?その間に徐々にこのボウイングが音楽的に正しいのでは?という気持ちが高まった時に、やっと楽譜に鉛筆でアップだダウンだと書き始めます。迷って決めかねている箇所に、本番直前のゲネプロでやっとタイムリミットを悟って書き込むときもあります。

 他のメンバーは私より大いに真面目ですから、毎回違うボウイングで演奏する私を変な目で見ることもしばしば・・・・そして耐えきれずに言うのです。「倉田さん、この部分はダウンですか?アップですか??」笑。

 演奏会の本番中に私だけを見ているお客様はいないと思いますが、繰り返しがある時に、同じ場所でも違うボウイングや違うポジションで演奏する事も多々あります。間違えているのではなくてその時の気分というのを私は大切にしたいと思っているからなのです。かっこよさといい加減さの堺のような話ですが。

 そもそも楽譜の音符が並んでいるパッセージをダウンで演奏し始めようと、アップで演奏し始めようと音楽的に間違えないように演奏できるのが理想ですから、私は一人の練習の時は演奏困難な箇所はよく逆弓で練習したりします。そして、この場所はダウンから演奏しなくてはいけないこの場所はアップから演奏するのが当然だ!という理論には、逆らいたくなってしまうタイプです。

 ヴィオラ奏者のへそ曲がりかもしれませんが、そもそもメロディをよく担当している1stVnとボウイングを合わせなくてはいけないという理論には反対派である事を白状しなくてはなりません。ほんの少しユニゾンで同じ動きをするパッセージがあったとしても、その前後が違えばボウイングは合わせる必要もないと思っています。弓の長さもVnやVcとは違いますしねぇ・・・・。無理して合わせた結果、その前後がもの凄く演奏しにくく、非音楽的なものになってしまう方が嫌なのです。むしろフリーボウイングの方が、音楽に集中できて良いくらいです。要するに音楽の歩みさえ同じであれば、ボウイングは合っていなくても良いと私は思っています。

 私が、どうやってボウイングを決めてゆき、本番に臨んでゆくか少しおわかりいてだけましたでしょうか?こういう音楽(音色)が欲しくなってきたから、このボウイングをする可能性が高いで、私には良いのです・・・。他のメンバーは不安でしょうけど・・・。すまない・・・。

 今日、グダグダと書いてきた駄文は、他のメンバーへの批判でも何でもありません。今自分の現状を書き記しておきたかっただけで、数年も経てば過去の自分に対して「アホ!」と叫ぶかもしれませんしね。ただクァルテットのメンバー4人が全員自分のようなタイプだったとしたら、いつまで経っても演奏会が出来なくなってしまいますね。きっと。大笑。

 

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2 コメント

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Unknown (うに・木島由美子)
2012-10-24 08:58:21
デリケートな話題にデリケートな話をします…

>ダウンで演奏し始めようと、
>アップで演奏し始めようと
>音楽的に間違えないように演奏できるのが理想

管楽器の友人に言われたことを思い出しました。
「楽器の都合で音に微妙な変化が出来てしまうのはマズい。この楽器ではこうなんだよと言われても、他の楽器あるいは声楽にとっては知ったこっちゃない。だから結局、音楽的にどうあるべきかを考えるしかないし、そのように練習していくしかないんだよ。」

私もそのように思いますので、らびおさんのご意見に賛成……したいところですが……でも弦楽器ってその点は難しいですよね…最初に決めてあったほうが確かに練習は効率的だし安心だし……。
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>うに・木島由美子さん (らびお)
2012-10-24 22:14:56
こんにちは。
レヴェルが高い(本当はプロである限り当たり前!でも現実はそうでもない)オーケストラプレイヤーやアンサンブル奏者などは、どの楽器がどういう特徴があるか熟知していて、例えばヴィオラでいえばG・C線の開放弦は幾分低くチューニングされる事やヴァイオリンからコントラバスまで楽器が大きくなるに連れて弓が短くなるなど(という事は長い一弓がやりにくくなる)、オーボエは高い音域はダイナミクスの変化は広いけど、低い音域は小さい音が出しにくいなどなど・・・・・。お互いの楽器をよく知った上で音程やボウイングを決めるのが理想です。ただオケは指揮者やコンマスがこの音は絶対ダウンボウが良いと言ったらそれまで。演奏者側からは、その逆の方が求めた音は出ますよ!ということも。名演を繰り返したC.クライバーなどのヴィデオを見るとウィーンフィルの方々さえ、プルトごとの弓順がわざと逆にしています。オケは練習日が最大3日なので効率が目的の所がありますが、自分でやっているアンサンブルは自分の本当の気持ちがわいてくるまで、色んな可能性を試したいのでした。この話題はまたのおりに書きます。VOL2、VOL.3と。
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