前回は飲み慣れないお酒を飲んでのブログ更新だったので中途半端で話しが終わってしまいました。前回の話しを読んでいない方は下記のリンク先の記事をお読み下さってから今日のブログをお読み下さい。
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Alexander Porfir'evich Borodin
このBorodinの弦楽四重奏曲をはじめて聴いた時から、この第3楽章までのロマンティックの強制みたいな曲の感じと第4楽章の少し現代チックな響きは違和感を感じていました。(少なくても学生だった当時は現代チックに聴こえた)何故?この第4楽章を書いたのだろう?ロマンティクのゴリ押しみたいな曲調で最後までいかないのだろうと思っていました。何回聴いても良い曲に聴こえないし・・・・・・。第1楽章や第3楽章などのメロディーはすぐ耳になじむのに。速い第2楽章だってかっこいい。第4楽章の曲調は私の中でしばらく違和感がありました。
あっここで一度書いておきますけど作品分析的な事は書けないし、ここから先は私の想像の世界なので、「お前の想像なんて知りたくもない!」という人は読まない方が懸命です。あしからず。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この曲を演奏するたびに少しずつ考えが変わってきました。山形Qで色々な曲をやってきたおかげかもしれません。
第4楽章
この曲の最初はAndanteで始まります。ヴァイオリン2人とヴィオラ&チェロの掛け合いが2回繰り返された後に速い部分Vivaceに入ってゆきます。まず短い序奏Andante(歩く速度で)の部分は、L.v.Beethovenの第16番終楽章冒頭部分に似ています。この第16番の冒頭部分のテーマは言葉がはまっているそうですが、Borodinの最初も何やら言葉を会話しているようにも聴こえなくもないです。
Vivaceに入るとチェロの伴奏に乗ってまずは、ヴィオラが速いパッセージを弾き、2ndヴァイオリン~1stヴァイオリンと引き継がれます。速いので聴き取りにくいですが、ヴィオラの弾き始めFis・A・G・Fis・E・H・Aはこの楽章の冒頭でヴァイオリン2人が弾いた音形と全く一緒です。この音形は楽章を通して何回も速度や音量を変えて何回も出てきます。
ロシアの弦楽四重奏団、例えばボロディンQやサンクトペテルブルグSQがこのVivaceを遅い速度から初めて各楽器に引き継がれていくたびに速度を上げて演奏します。実は現在出版されている一般的な楽譜にはそんな事は書いていません。Vivaceは最初から速く弾くようにしか書いていません。なぜロシアの団体がそのように演奏するか疑問に思っていましたけど、たぶん想像ですけどヴィオラが入った時の音形をまず強調して(提示する)ためのような気がします。Borodinの活動した国の団体ですから秘密の楽譜があるからかもしれませんし、作曲者から得た解釈のような気もしますし、単なる偉い先生の解釈の伝導かもしれません。謎の部分です。
アメリカのエマーソンQなどは、楽譜どおり最初から弾き飛ばしてます。笑。
曲の中頃にまたAndanteの部分が来ます。調性を変えて、曲の冒頭部分とほとんど同じような感じで各楽器が演奏します。これもまたL.v.Beethovenの第16番とかぶる気がします。Borodinは化学者になる頭もあったので、綿密にBeethovenのこの曲を研究した可能性がある気がします。楽章全体がどうも似ています。パクッたとは言いませんが、参考にしたかもしれません。そしてまたVivece~そしてAndante~またVivaceで最後は大盛り上がりで終わります。
この第4楽章はBorodinの歌心は当然あるのですが、どうも聴衆側ではなく演奏者側に向いている気がします。Beethovenの第9番ラズモフスキーの第4楽章が、聴衆に対する「ショーピース」であるのに対して、Borodinの第4楽章は演奏者への「ショーピース」のような気がします。ころころと変わる速度表示・・・。演奏者のアインザッツ(音楽を合わせるためのきっかけの動き)を頻繁にやらねばならず、それも微妙な速度変化のために更に難しい事に・・・。そんな所も腕の見せ所です。
甘いものを食べ続けたら辛いものが食べたくなった。辛いものを食べ続けたら甘いものを食べたくなった。と同じでロマンティックの強制(この曲はBorodinの妻に対する愛の曲で、少々ロマンティックが鼻につくと感じる事もありますし)は聴衆にとって、いや時に演奏者にとって実は辛いものです。何事も程々が良いような気がします。この第4楽章は本当に演奏していて難しい所だらけで落ち着く所がほとんどありません。かなり綿密に譜面を書いているので演奏者の負担は大きいものです。しかし第3楽章までの糖分(ロマンティック)に飽きた(つきあってあげた)演奏者は、第4楽章の難解さに胸を躍らされます。やっと曲調ではなく自分たちの技術を見せる時がきたのです。その時は「そらいけ~~~!」みたいな気分になります。笑。
この曲を何回か演奏してきて私が思い始めている第4楽章の印象でした。
これからも何回も演奏して行くうちにまたイメージもどんどん変わるでしょう!数年後読み返したら過去の自分に対して「馬鹿ぁ~~!!」と思うかもしれません。でも良いのです。その変化のために演奏し続けているのですから。
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Alexander Porfir'evich Borodin
このBorodinの弦楽四重奏曲をはじめて聴いた時から、この第3楽章までのロマンティックの強制みたいな曲の感じと第4楽章の少し現代チックな響きは違和感を感じていました。(少なくても学生だった当時は現代チックに聴こえた)何故?この第4楽章を書いたのだろう?ロマンティクのゴリ押しみたいな曲調で最後までいかないのだろうと思っていました。何回聴いても良い曲に聴こえないし・・・・・・。第1楽章や第3楽章などのメロディーはすぐ耳になじむのに。速い第2楽章だってかっこいい。第4楽章の曲調は私の中でしばらく違和感がありました。
あっここで一度書いておきますけど作品分析的な事は書けないし、ここから先は私の想像の世界なので、「お前の想像なんて知りたくもない!」という人は読まない方が懸命です。あしからず。
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この曲を演奏するたびに少しずつ考えが変わってきました。山形Qで色々な曲をやってきたおかげかもしれません。
第4楽章
この曲の最初はAndanteで始まります。ヴァイオリン2人とヴィオラ&チェロの掛け合いが2回繰り返された後に速い部分Vivaceに入ってゆきます。まず短い序奏Andante(歩く速度で)の部分は、L.v.Beethovenの第16番終楽章冒頭部分に似ています。この第16番の冒頭部分のテーマは言葉がはまっているそうですが、Borodinの最初も何やら言葉を会話しているようにも聴こえなくもないです。
Vivaceに入るとチェロの伴奏に乗ってまずは、ヴィオラが速いパッセージを弾き、2ndヴァイオリン~1stヴァイオリンと引き継がれます。速いので聴き取りにくいですが、ヴィオラの弾き始めFis・A・G・Fis・E・H・Aはこの楽章の冒頭でヴァイオリン2人が弾いた音形と全く一緒です。この音形は楽章を通して何回も速度や音量を変えて何回も出てきます。
ロシアの弦楽四重奏団、例えばボロディンQやサンクトペテルブルグSQがこのVivaceを遅い速度から初めて各楽器に引き継がれていくたびに速度を上げて演奏します。実は現在出版されている一般的な楽譜にはそんな事は書いていません。Vivaceは最初から速く弾くようにしか書いていません。なぜロシアの団体がそのように演奏するか疑問に思っていましたけど、たぶん想像ですけどヴィオラが入った時の音形をまず強調して(提示する)ためのような気がします。Borodinの活動した国の団体ですから秘密の楽譜があるからかもしれませんし、作曲者から得た解釈のような気もしますし、単なる偉い先生の解釈の伝導かもしれません。謎の部分です。
アメリカのエマーソンQなどは、楽譜どおり最初から弾き飛ばしてます。笑。
曲の中頃にまたAndanteの部分が来ます。調性を変えて、曲の冒頭部分とほとんど同じような感じで各楽器が演奏します。これもまたL.v.Beethovenの第16番とかぶる気がします。Borodinは化学者になる頭もあったので、綿密にBeethovenのこの曲を研究した可能性がある気がします。楽章全体がどうも似ています。パクッたとは言いませんが、参考にしたかもしれません。そしてまたVivece~そしてAndante~またVivaceで最後は大盛り上がりで終わります。
この第4楽章はBorodinの歌心は当然あるのですが、どうも聴衆側ではなく演奏者側に向いている気がします。Beethovenの第9番ラズモフスキーの第4楽章が、聴衆に対する「ショーピース」であるのに対して、Borodinの第4楽章は演奏者への「ショーピース」のような気がします。ころころと変わる速度表示・・・。演奏者のアインザッツ(音楽を合わせるためのきっかけの動き)を頻繁にやらねばならず、それも微妙な速度変化のために更に難しい事に・・・。そんな所も腕の見せ所です。
甘いものを食べ続けたら辛いものが食べたくなった。辛いものを食べ続けたら甘いものを食べたくなった。と同じでロマンティックの強制(この曲はBorodinの妻に対する愛の曲で、少々ロマンティックが鼻につくと感じる事もありますし)は聴衆にとって、いや時に演奏者にとって実は辛いものです。何事も程々が良いような気がします。この第4楽章は本当に演奏していて難しい所だらけで落ち着く所がほとんどありません。かなり綿密に譜面を書いているので演奏者の負担は大きいものです。しかし第3楽章までの糖分(ロマンティック)に飽きた(つきあってあげた)演奏者は、第4楽章の難解さに胸を躍らされます。やっと曲調ではなく自分たちの技術を見せる時がきたのです。その時は「そらいけ~~~!」みたいな気分になります。笑。
この曲を何回か演奏してきて私が思い始めている第4楽章の印象でした。
これからも何回も演奏して行くうちにまたイメージもどんどん変わるでしょう!数年後読み返したら過去の自分に対して「馬鹿ぁ~~!!」と思うかもしれません。でも良いのです。その変化のために演奏し続けているのですから。