[8月24日18:00.天候:晴 宮城県宮城郡松島町 松島中央ホテル(架空のホテル)]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
2泊3日の温泉旅行、2日目は日本三景・松島に泊まっている。
板前:「それでは鯛の活造りを御覧頂きます!」
愛原:「よっ、大将!待ってました!……それにしても、直接見るのは初めてだなぁ……」
既にビールで乾杯し、お通しや他の料理で半分できあがっている私は板前に喝采を送った。
板場と客席は隣接している。
普通こういう場合、席はカウンターになっていて、客は1人ずつ板場の方を向いて座り、板前と対面するのがベタな法則だ。
しかしこのホテルの場合、板場に接して4人用のテーブル席が設置されている。
回転寿司のテーブル席みたいなもの。
板前は生簀から鯛を網で掬うと、それをまな板の上に置いた。
ビッビッと生きたまま捌かれる鯛。
因みにこれ、オーストラリアでは法律で禁止されている。
愛原:「日本で良かったな。オーストラリアでは法律で禁止だぞ?」
高橋:「俺ぁ、国家権力なんざ怖くぁ無いですぜ!ヒック!」
愛原:「おい、大丈夫か、高橋!?」
高野:「全く。先生より先に潰れ掛かっちゃって……。捕鯨禁止といい、オーストラリアは日本の食文化が嫌いのようですね」
愛原:「特定アジア以外にも反日国がいたか」
高野:「というよりオーストラリアの場合、『魚よりうちのオージービーフを食え!』『白人以外皆劣等民族!』という考えですから」
愛原:「鯨は魚類じゃないんだがな……」
高野:「生物学上はそうですけど、漢字が既に魚へんという時点で【お察しください】」
愛原:「まあ、それもそうか。白人の中でも更に差別主義者の集まるゲルマン系か……」
因みにこのゲルマン民族、私達から見れば全く見分けのつかない他の白人民族も差別してるからね(スラブ系、イタリア系など)。
高野:「そういう奴らが旧アンブレラにも集まっていたので、アジア系なんかよく人体実験の対象になっていたそうですよ」
愛原:「それ本当か?どうして知ってる?」
高野:「先生。私は霧生市では新聞記者だったんですよ?」
愛原:「それは知ってる」
高野:「前々から旧アンブレラは怪しいと思っていたので、独自に取材を進めていたんです。そしたら、あのバイオハザードですよ」
愛原:「なるほどな」
板前:「お客さん、もし良かったら、鯨の刺身もお造りしましょうか?お安くしておきますよ」
愛原:「あるんかーい。でも鯨は高いだろう?」
板前:「日本政府がついに外国に啖呵を切ってくれて、捕鯨が再開になったので、お安く提供できるようになりますよ」
愛原:「それもそうか。しっかし、よく政府も啖呵を切ったもんだなぁ……」
その裏にはBSAA極東支部日本地区本部の活躍があったことが大きく影響しているという。
シーシェパードみたいにただ騒いでいるだけの連中ではなく、本当に政治的圧力を使って日本に商業捕鯨をさせなかった機関があったらしいのだが、そこがバイオテロの標的になり、幹部連中が軒並み何かしらのウィルスに感染したらしい。
もちろんテロ組織としては、ただ単に日本に対しての利権を横取りする目的であって、別に日本を支援するつもりではなかったらしいが。
テロ組織に攻撃されて力を失い、そのテロ組織もBSAAに潰されて日本に対する圧力が無くなり、こうして商業捕鯨再開に漕ぎつけたというわけだ。
高野:「……というわけです」
愛原:「キミも政府エージェントの一員じゃないだろうな!?」
高野:「いえ、普通に週刊誌に載ってましたよ?先生、週刊誌お読みにならないんですもの」
愛原:「悪かったな」
鯛の活造りの他、鯨の刺身や板前のお任せで鮪やサーモンなんかも載った船盛がテーブルのど真ん中に置かれた。
リサ:「おー!まだ生きてる!」
鯛は体を切り刻まれても、まだピクピクと動いている。
まあ、確かにこれだけなら可哀想と言えなくもない。
しかしこういう食べ方ができるのも、万物の霊長の特権だからな。
オーストラリアの白人達は、少なくとも活造りにされる魚が可哀想以前に、入植の際に虐殺した先住民族アボリジニーを可哀想と思うべきだ。
斉藤:「何だか食べるのが勿体無いねー」
高野:「そこを食べてあげるのが、お魚さんに対する感謝と贖罪の気持ちだからね?」
斉藤:「はーい」
リサ:「いただきまーす」
少なくともうちの女性陣達は、平気でパクパク食べれるようである。
愛原:「ほら、高橋。刺身が来たぞ。こういうのは滅多に食べれないんだから、お前も堪能しろ」
高橋:「はーい……」
高橋、ガチで酔っ払ってるのか、鯛のまだ生きている頭を食べようとしやがった。
愛原:「ばかやろ!身の方を食うんだよ!」
高橋:「生身の先生を食べていいんですか?」
愛原:「オマエはゾンビか!」
リサ:「愛原先生、食べちゃダメだよ、お兄ちゃん」
高橋:「あぁ……?」
リサ:「先生を食べるのは私!」
斉藤:「ええーっ!?ダメよ、リサさん!食べるなら、私を食べて
」
リサ:「サイトーはダメ。食べるの勿体無い」
斉藤:「勿体無くないからぁ!」
リサ:「愛原先生はメインディッシュ。サイトーはデザート」
斉藤:「私がメインじゃなきゃイヤ〜!」
愛原:「リサ、本当に食べたらBSAAと青いアンブレラがやってくるから勘弁な?」
斉藤:「うん、分かった。魚で我慢する」
愛原:「よし、いいコだ」
高野:(私とマサは捕食対象ではないみたいだね……)
高野君は安心したかのように、ビールをクイッと口に運んだ。
愛原:「取りあえず、夕飯までは何とか無事に過ごせるだろう。問題はその後だな。鳴子の時も、深夜に襲撃されたんだから」
高野:「未だにBSAAがこの辺りに展開しているみたいですね」
愛原:「自衛隊よりも豪華な軍備で来られても落ち着かないんだがな」
松島町の隣町、東松島市に航空自衛隊の基地があり、どうやらBSAAはそこを拠点に活動しているらしい。
国連の取り決めで、BSAAが展開する時、国連加盟国の軍隊の基地や設備を借りても良いことになっているとのこと。
あくまでも国連軍の一派であるBSAAだけであり、民間軍事会社の青いアンブレラは対象外である。
高野:「あの餓鬼やハンターみたいなのが来たところで、BSAAの手に掛かればザコ同然だと思いますけどね」
愛原:「そうであって欲しいものだ」
私は鯛の活造りを口に頬張ると、ビールを口に運んだ。
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
2泊3日の温泉旅行、2日目は日本三景・松島に泊まっている。
板前:「それでは鯛の活造りを御覧頂きます!」
愛原:「よっ、大将!待ってました!……それにしても、直接見るのは初めてだなぁ……」
既にビールで乾杯し、お通しや他の料理で半分できあがっている私は板前に喝采を送った。
板場と客席は隣接している。
普通こういう場合、席はカウンターになっていて、客は1人ずつ板場の方を向いて座り、板前と対面するのがベタな法則だ。
しかしこのホテルの場合、板場に接して4人用のテーブル席が設置されている。
回転寿司のテーブル席みたいなもの。
板前は生簀から鯛を網で掬うと、それをまな板の上に置いた。
ビッビッと生きたまま捌かれる鯛。
因みにこれ、オーストラリアでは法律で禁止されている。
愛原:「日本で良かったな。オーストラリアでは法律で禁止だぞ?」
高橋:「俺ぁ、国家権力なんざ怖くぁ無いですぜ!ヒック!」
愛原:「おい、大丈夫か、高橋!?」
高野:「全く。先生より先に潰れ掛かっちゃって……。捕鯨禁止といい、オーストラリアは日本の食文化が嫌いのようですね」
愛原:「特定アジア以外にも反日国がいたか」
高野:「というよりオーストラリアの場合、『魚よりうちのオージービーフを食え!』『白人以外皆劣等民族!』という考えですから」
愛原:「鯨は魚類じゃないんだがな……」
高野:「生物学上はそうですけど、漢字が既に魚へんという時点で【お察しください】」
愛原:「まあ、それもそうか。白人の中でも更に差別主義者の集まるゲルマン系か……」
因みにこのゲルマン民族、私達から見れば全く見分けのつかない他の白人民族も差別してるからね(スラブ系、イタリア系など)。
高野:「そういう奴らが旧アンブレラにも集まっていたので、アジア系なんかよく人体実験の対象になっていたそうですよ」
愛原:「それ本当か?どうして知ってる?」
高野:「先生。私は霧生市では新聞記者だったんですよ?」
愛原:「それは知ってる」
高野:「前々から旧アンブレラは怪しいと思っていたので、独自に取材を進めていたんです。そしたら、あのバイオハザードですよ」
愛原:「なるほどな」
板前:「お客さん、もし良かったら、鯨の刺身もお造りしましょうか?お安くしておきますよ」
愛原:「あるんかーい。でも鯨は高いだろう?」
板前:「日本政府がついに外国に啖呵を切ってくれて、捕鯨が再開になったので、お安く提供できるようになりますよ」
愛原:「それもそうか。しっかし、よく政府も啖呵を切ったもんだなぁ……」
その裏にはBSAA極東支部日本地区本部の活躍があったことが大きく影響しているという。
シーシェパードみたいにただ騒いでいるだけの連中ではなく、本当に政治的圧力を使って日本に商業捕鯨をさせなかった機関があったらしいのだが、そこがバイオテロの標的になり、幹部連中が軒並み何かしらのウィルスに感染したらしい。
もちろんテロ組織としては、ただ単に日本に対しての利権を横取りする目的であって、別に日本を支援するつもりではなかったらしいが。
テロ組織に攻撃されて力を失い、そのテロ組織もBSAAに潰されて日本に対する圧力が無くなり、こうして商業捕鯨再開に漕ぎつけたというわけだ。
高野:「……というわけです」
愛原:「キミも政府エージェントの一員じゃないだろうな!?」
高野:「いえ、普通に週刊誌に載ってましたよ?先生、週刊誌お読みにならないんですもの」
愛原:「悪かったな」
鯛の活造りの他、鯨の刺身や板前のお任せで鮪やサーモンなんかも載った船盛がテーブルのど真ん中に置かれた。
リサ:「おー!まだ生きてる!」
鯛は体を切り刻まれても、まだピクピクと動いている。
まあ、確かにこれだけなら可哀想と言えなくもない。
しかしこういう食べ方ができるのも、万物の霊長の特権だからな。
オーストラリアの白人達は、少なくとも活造りにされる魚が可哀想以前に、入植の際に虐殺した先住民族アボリジニーを可哀想と思うべきだ。
斉藤:「何だか食べるのが勿体無いねー」
高野:「そこを食べてあげるのが、お魚さんに対する感謝と贖罪の気持ちだからね?」
斉藤:「はーい」
リサ:「いただきまーす」
少なくともうちの女性陣達は、平気でパクパク食べれるようである。
愛原:「ほら、高橋。刺身が来たぞ。こういうのは滅多に食べれないんだから、お前も堪能しろ」
高橋:「はーい……」
高橋、ガチで酔っ払ってるのか、鯛のまだ生きている頭を食べようとしやがった。
愛原:「ばかやろ!身の方を食うんだよ!」
高橋:「生身の先生を食べていいんですか?」
愛原:「オマエはゾンビか!」
リサ:「愛原先生、食べちゃダメだよ、お兄ちゃん」
高橋:「あぁ……?」
リサ:「先生を食べるのは私!」
斉藤:「ええーっ!?ダメよ、リサさん!食べるなら、私を食べて

リサ:「サイトーはダメ。食べるの勿体無い」
斉藤:「勿体無くないからぁ!」
リサ:「愛原先生はメインディッシュ。サイトーはデザート」
斉藤:「私がメインじゃなきゃイヤ〜!」
愛原:「リサ、本当に食べたらBSAAと青いアンブレラがやってくるから勘弁な?」
斉藤:「うん、分かった。魚で我慢する」
愛原:「よし、いいコだ」
高野:(私とマサは捕食対象ではないみたいだね……)
高野君は安心したかのように、ビールをクイッと口に運んだ。
愛原:「取りあえず、夕飯までは何とか無事に過ごせるだろう。問題はその後だな。鳴子の時も、深夜に襲撃されたんだから」
高野:「未だにBSAAがこの辺りに展開しているみたいですね」
愛原:「自衛隊よりも豪華な軍備で来られても落ち着かないんだがな」
松島町の隣町、東松島市に航空自衛隊の基地があり、どうやらBSAAはそこを拠点に活動しているらしい。
国連の取り決めで、BSAAが展開する時、国連加盟国の軍隊の基地や設備を借りても良いことになっているとのこと。
あくまでも国連軍の一派であるBSAAだけであり、民間軍事会社の青いアンブレラは対象外である。
高野:「あの餓鬼やハンターみたいなのが来たところで、BSAAの手に掛かればザコ同然だと思いますけどね」
愛原:「そうであって欲しいものだ」
私は鯛の活造りを口に頬張ると、ビールを口に運んだ。