報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「迫りくるタイラント」

2019-09-19 18:56:32 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月25日03:00.天候:曇 宮城県宮城郡松島町上空 BSAA極東支部日本地区本部ヘリ機内]

 パイロット:「αチームよりHQ!スーパータイラントは未だ沈黙せず!Σチームより強奪したロケットランチャーを使い、地上部隊に対し攻撃を仕掛けているもよう!市街地に多大な被害の発生恐れあり!繰り返す!……」
 HQ:「了解。HQよりαチームにおいては地上に散開し、スーパータイラントの市街地突入を阻止せよ!……αチーム!αチーム!応答せよ!今の件、了解か!?応答せよ!」

[同日同時刻 同町内 松島中央ホテル隣接ビル屋上]

 愛原:「皆、無事か!?」
 高橋:「な、何とか……!」
 高野:「私ら、運だけはいいみたいですねぇ……」

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 ホテルに何か餓鬼とはまた違うトンデモナイ化け物が襲って来たと思われ、しかもそれはリサをも怯えさせる存在のようである。
 私達は取りあえず、この町からの脱出を図るべく、まずはホテル屋上と繋がっている隣のビルの屋上に避難した。
 すると、またもやヘリコプターが墜落した。
 今度は私達のホテルの屋上に墜落しやがった。
 あと一歩避難するのが遅れたら、私達はあの世へ行っていたな。
 しかし、これでもうホテルへは戻れなくなってしまった。
 ヘリの破片が私達のいる隣のビルにまで飛んでくる有り様だ。
 そしてその中に隊員が持っていたと思われる無線機が入っており、それでHQの無線が聞こえたというわけである。
 因みにHQとは作戦司令本部のこと。

 愛原:「HQ、HQ、聞こえますか?こちら松島町内にいるフツーの観光客ですけどー?」
 HQ:「愛原……?いや、ザーーーーーーーーーーーーーーーー」
 愛原:「あ!?」

 名乗ってもいないのに何故かHQが私の名前を言った。
 で、すぐに雑音に変わった。
 今のオジサンの声、どこかで聞いたような気がするんだがなぁ……?

 愛原:「観光客が5人、町内に取り残されてるんで、救助に来て欲しいんですけど?」

 しかし、帰って来るのは雑音だけだ。

 高橋:「先生の要請をスルーするとは、BSAAの連中もナメてますね」
 愛原:「それより今の司令員、俺と知り合いか?一瞬、すぐに俺だと分かったみたいだぞ?」
 高橋:「さすが先生、お顔が広い!」
 愛原:「いや、BSAAに知り合いはいなかったと思うんだが……。ゲホッゲホッ!」

 その時、ホテル屋上に墜落したヘリが炎上し、風向きが変わったのか、その煙が私達のいる方にまで飛んで来た。

 高野:「先生、そんなことより早く避難しましょう!」
 愛原:「それもそうだな!」

 

 隣のビルはホテルではなく、ただのオフィスビルか何からしい。
 ホテルと同じ5階建てのビルだ。
 こちらのビルは幸い、屋上までエレベーターで上がれるらしい。
 階段室に入ると、すぐにエレベーターもあった。
 停電はしていないので、エレベーターも動く。
 1階に止まっていたエレベーターを呼び出した。

 リサ:「! 何か来るよ!?さっきの……さっきヤツ……!」
 愛原:「何だって!?」

 ホテルを襲ったヤツか?
 どうして私達がここにいると分かったのだろう?
 てか、むしろそいつは私達に用があるのか!?
 エレベーターが屋上まで上がって来る。
 私は最初、リサの言っているそいつがエレベーターで上がって来るものと思っていたので、つい手持ちのショットガンを構えてしまった。
 しかし、エレベーターの中はもぬけの殻だ。

 高橋:「先生!階段から何かが来ます!」
 愛原:「構っている場合じゃない!早く乗るぞ!」
 高橋:「はい!」

 何かの呻き声や咆哮のようなものが聞こえたので、人間ではないだろう。
 私は全員が乗ったのを確認して、エレベーターのドアを閉めた。
 思わず閉めるボタンを連打してしまったので、私も慌てていたか。
 ドアが閉まり切る直前、そいつは屋上まで上がって来た。

 リサ:「た……タイラント君……」
 愛原:「なにっ!?」

 それはタイラントなのか!?
 しかし、リサがそう言っているということは……。
 で、さっきの無線、スーパータイラントとは……?
 その時、天井の上から何か大きな音が聞こえた。

 高橋:「先生!どうやらヤツがエレベーターのドアをこじ開けようとしているようです!」
 愛原:「何だって!?1階はまだか!?」
 高野:「まもなくです!」

 1階に到着し、ドアが開く。
 エレベーターを降りると同時に、カゴの天井から大きな音が聞こえて来た。
 エレベーターシャフトを飛び降りて来たのか!

 愛原:「急いで外へ出ろ!」

 ビルの外に出る!

 高橋:「先生!これからどうします!?」
 愛原:「電車はさすがにムリだろう!車があれば、それに乗せてもらって……!」

 と、その時だった。
 私達の前に1台の装甲車が止まった。
 もちろんそれはBSAAの車だった。

 隊員A:「愛原さんですか!?」
 愛原:「そ、そうですが……?」
 隊員A:「HQからの命令で救助に来ました!早く乗ってください!」
 愛原:「えっ!?じゃあの無線、やっぱ通じてたの!?」
 高橋:「先生、早く乗りましょう!」
 愛原:「そ、そうだな!」

 私達は早速装甲車に乗せてもらった。

 隊員A:「しっかり掴まっててください!」
 愛原:「ああ!」

 装甲車が走り出すと同時に、ビルから1体のクリーチャーが飛び出してきた。

 リサ:「タイラント君!タイラント君が!」
 隊員B:「ΘチームからHQ!スペードエリアにてA以下5名を保護!尚、その中に『リサ・トレヴァー』も含まれている!」
 リサ:「タイラント君が追って来るよ!」
 HQ:「了解!スーパータイラントの目的は、『リサ・トレヴァーの奪取』である公算が大きい!Θチームにあっては、何としてでも『リサ・トレヴァー』の強奪を阻止すること!」
 隊員B:「Θチーム、了解」
 隊員C:「発射!」

 タイラントの足は速い。
 車に追いつけられるほどだ。
 隊員Cが装甲車に装備されたガトリング砲でタイラントを撃っているが、殆ど効いていない。

 高橋:「もっと早く走れ!」
 隊員A:「これ以上は無理だ!道路が狭い上、乗り捨てられた車が邪魔だ!」

 タイラントはそんな路駐の車を薙ぎ払うようにして追い掛けてくる。

 隊員A:「うおっと!?」

 その時、対向車線から大型トレーラータイプのタンクローリーがやってきた。

 隊員A:「おい!規制線は張ってなかったのか!?」
 隊員B:「地元警察なにやってんだよ!」

 タンクローリーは対向車線を走っているタイラントに向かってクラクションを鳴らしたが、タイラントは退けず、むしろ!

 愛原:「無茶苦茶だ!あのバカ!!」

 ヘッドに体当たりして横転させると、後ろのタンクを引きちぎった。
 ヘッドは炎上したが、タンクは燃えていない。

 愛原:「お、お、おい!まさか!?」

 タイラントはデカいタンクを持ち上げると、それを私達に向かって投げつけた。

 隊員C:「しゃらくせぇ!」

 ガソリンをタダ漏れさせながら装甲車に飛んで来るタンク。
 隊員Cがそれに向かってガトリング砲を放った。
 と、同時に車がトンネルの中に入る。
 トンネルの外で、タンクが大爆発を起こした。

 隊員A:「C、やり過ぎだぞ!」
 隊員C:「あのままじゃ、俺達がタンクぶつけられてたぞ!?」
 隊員B:「まあ、あの分ならスーパータイラントも追って来れないだろう」
 愛原:「あれ、スーパータイラントだったの!?」
 隊員A:「そうですよ。だから困ってるんです」
 隊員B:「むしろその『リサ・トレヴァー』に制御してもらえませんか?」
 愛原:「いや、無理だって!」
 高野:「ちょっと!後ろ!」

 高野君が何かに気づいた。
 それで私達は後ろを振り向いたのだが、正に大きな絶望が私達に迫ろうとしていた。
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“私立探偵 愛原学” 「戒厳令」

2019-09-19 15:16:11 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月25日02:00.天候:曇 宮城県宮城郡松島町 松島中央ホテル]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 24日は何も起こらず、私達は就寝した。
 が、日付が変わった真夜中に目が覚めた。

 愛原:「ん……?」

 何だか花火のような音がする。
 何だ?花火大会でもあるのか……?

 愛原:「高橋……?」

 見ると隣の布団に寝ていたはずの高橋がおらず、窓の前にいた。
 カーテンを少しだけ開け、しかも手には昨日使用したマグナムを手にしている。

 高橋:「先生、どうやら始まったみたいですよ?」
 愛原:「花火大会か?」

 私の珍回答に高橋は一瞬変な顔をしたが、すぐに真顔になって頷いた。

 高橋:「ええ。BSAA主催の盛大な花火大会です。会場周辺は立入禁止の超デンジャラスな花火大会ですよ。ポップコーンとビールはありますか?」
 愛原:「ポップコーンは知らんが、ビールならあそこの冷蔵庫に入ってる。ボッタクリ価格でな」
 高橋:「それでも新宿のボッタクリバーよりはマシな値段です」
 愛原:「それで、打ち上げ先はどこだ?」
 高橋:「BSAA主催の花火大会ですよ?BOWに決まってるじゃないですか」
 愛原:「ここから見えるのか?」
 高橋:「いえ、あいにくと会場は海辺のようです。街側ではありません」
 愛原:「そうか。観客も動員した(ゾンビウィルスがばら撒かれた状態の)花火大会ではなさそうだな」
 高橋:「そういうことです」

 窓の下を走る公道ではパトカーやBSAAの装甲車などが引っ切り無しに往来し、住民や観光客に戒厳令を敷いていた。
 今の日本の法律に戒厳令は無いのだが、それに代わる警告はある。
 その代表例がJアラートだが、今のところは鳴っていな……。

 愛原:「ぅおっと!?」

 私や高橋のスマホから、緊急地震速報とは違うアラームが聞こえて来た。
 緊急地震速報なら一時期嫌というほど聞かされたもので、慣れてしまった部分もあるが、今回のは違った。

 愛原:「地域がやっぱりこの町内と、両隣の市になっている」

 パトカーが呼び掛けているのと同様、この地域にいる者は外出しないようにとのことだった。

 高橋:「先生、どうします?」
 愛原:「もちろん、警告には従うさ。今はプロ集団が出張ってるわけだからな、俺達は今回は一般市民としてここに閉じこもっていよう」
 高橋:「分かりました」
 愛原:「一応、いつでも出れるようにはした方がいいな」

 私は浴衣から私服に着替えた。
 既に高橋はそうしていた。

 愛原:「あとは高野君達と合流しておこう」
 高橋:「はい」

 私は高野君の部屋に内線電話を掛けた。

 愛原:「おう、高野君か。夜中に悪いが、もう外の様子には気付いているだろう?……そう、盛大な花火大会だ。万が一のことを考えて、一緒に固まっておこうと思うんだが……」
 高野:「1階のロビーにでもいましょう。いざという時、その方が脱出できるかもしれません」
 愛原:「脱出の必要あるかな?」
 高野:「恐らくこれから出て来ると思います」
 愛原:「! そっか。そっちの部屋は海側だから、状況がもっと分かるのか。ちょっと待ってくれ。今、そっちの部屋に向か……」

 ドカーン!

 愛原:「っと!何だァ!?」
 高野:「先生!BSAAのヘリが向かい側の建物に墜落しました!!」
 愛原:「なにぃっ!?」

 これだからカプコン製のヘリはァ!

 愛原:「高野君!キミが言ってたのはこれか!?」
 高野:「そうです。どうやら、BSAAの敵の中にロケットランチャーを持ったのがいるみたいで、そいつが次々とヘリやら装甲車やらを破壊してるんです!」
 愛原:「ネメシスでもいるのか!?」
 高野:「だからむしろ脱出した方がいいと思います」
 愛原:「分かった!すぐに準備する!」

 私と高橋は部屋を出た。
 すぐに高野君達とも合流する。

 リサ:「愛原先生、強いのが……!強いのが来る……!」

 あのリサが怯えていた。

 愛原:「心配するな。リサは何も心配しなくていい」

 私はリサの頭を撫でて言った。

 愛原:「1階へ行くぞ!多分、閉鎖されているだろうがな」
 高橋:「はい!」

 私達はエレベーターに乗ると、それで1階に下りた。
 案の定、ロビーには他の宿泊客が身を寄せ合っており、正面エントランスは閉鎖されていた。

 ホテルマン:「警察から、『連絡があるまでは誰も外に出すな』と言われておりまして……」
 宿泊客A:「どういうことだよ!?ただの行方不明者の捜索じゃなかったのか!?」
 宿泊客B:「戦争でも始まったのか!?」

 BSAAがバイオハザード以外のことで動くわけが無いだろう。
 と言っても、私もここまでハードボイルドな展開になるとは思わなかったがな。

 リサ:「来る……!来る……!来ないで……!」
 斉藤:「リサさん、しっかりして!」

 リサはガタガタと震えていた。
 このままだと正体が露見してしまう。

 愛原:「しょうがない。一旦部屋に戻ろう」
 高橋:「先生?」
 愛原:「このままここにいても、外に出られないんじゃ意味が無い。BSAAがドンパチしてるってことは、政府も動いてるってことだろう。善場さんに聞いて、ちょっとどうしたらいいか確認するさ」
 高橋:「は、はい」

 私達は再びエレベーターに乗り込んだ。
 そして、5階のボタンを押してドアを閉めた時だった。
 エントランスのガラスがブチ破られる音がした。

 リサ:「来た!来た!来ちゃったーッ!!」
 斉藤:「リサさんっ!」

 リサと斉藤さんは抱き合った。

 愛原:「おい、あのタイラントを従えるリサがこんなにも怯える相手って誰だ?」
 高橋:「わ、分かりません!」

 エレベーターが上昇したので分からないが、恐らくロビーは流血の惨が起きたことだろう。
 銃を持っている私達が守れないのは申し訳無いが、こっちだって素人なのだ。
 あくまでもこれは、私達自身やクライアントを守る為。
 そのクライアント本人はここにはいないが、その娘がここにいる。
 この娘を守るのが今の私達の使命だ。

 愛原:「確かこのホテル、屋上で隣の建物に繋がってなかったか?」
 高野:「確かそうですよ!」

 ホテルの案内図で、『屋上にも避難経路があります』と書かれていた。
 このエレベーターでは行けないようだ。
 恐らく、非常階段から行くようになっているのだろう。
 私達は5階で降りると、まずは自分達の部屋に向かった。
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