報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「3日目は平和であれ」

2019-09-20 19:13:10 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月25日10:00.天候:晴 宮城県仙台市青葉区某所]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今回の旅行、夜は酷いものだった。
 まさか、二晩続けてBOWの急襲を受けるとは……。
 私達はスーパータイラントを倒すと、BSAAのヘリに回収され、仙台市内まで連れて行かれた。
 そしてそこの大きな病院で、検査や治療を受けることになった。
 もっとも、治療など必要無いほど大きなケガはしていない。
 私が心配したのは、斉藤さんの方だ。
 スーパータイラントに掴まれたのだから、それで大きなケガやウィルスに感染していないか、とても心配だった。
 しかしスーパータイラントは本当に斉藤さんを御嬢様扱いしていたのか、斉藤さんに大きなケガは無かった。
 リサもまたあれだけの化け物に変身したにも関わらず、元の人間の姿に戻れていた。
 やはりリサは『完成品』なのだろう。
 ただ、変身すると、とても腹が減るらしい。
 とてつもない空腹を訴え、それがどうしようもない場合、私の服に噛みつく癖があるのだが、そうしてきた。
 このままでは、本当に私が食われてしまう。
 市街地にある吉野家に連れて行ったら、牛丼特盛を何杯も平らげた。
 元々通常時であっても大食漢のリサ。
 ラーメン二郎に連れて行っても、恐らくはペロリと平らげることだろう。

 愛原:「あー、ちょっと領収証もらえないかな?(斉藤さんの親父さんの)会社(か、もしくはBSAAか日本政府)に請求するから」
 店員:「か、かしこまりました……」

 牛丼の値段など大したこと無いはずなのだが、リサが平らげたその金額は【お察しください】。
 まあ、高級フレンチ並みの値段であったとだけ言っておこう。
 店員、レジを操作してレシートではなく、ちゃんと名前の書ける領収証を発行する。

 店員:「こちら領収証です」
 愛原:「ありがとう」
 店員:「ありがとうございましたー」
 他の客:(あのJC、フードファイターか何かか?)

 私とリサは店を出た。
 尚、高橋はこの町に旧友がいるということで、会いに行った。
 そう言えば前この町に来た時、彼の旧友の車に乗せてもらったんだっけ。
 族車ほど派手ではなかったが、イニシャルDに出て来そうな車だったことを思い出した。
 いや、ハチロクではなかったがね。

 リサ:「愛原先生、ごちそうさま」
 愛原:「ああ、いいよ。後でこれは請求しておくから」
 リサ:「お財布大丈夫?」
 愛原:「後で全部返ってくると思えば、何そのこれしき……」

 私は財布をポケットにしまった。

 愛原:「それより、腹一杯になったか?」
 リサ:「腹8分目って言うから……」
 愛原:「あれだけ食って、まだ8分目!?」Σ( ̄ロ ̄lll)

 ちょっと奥さん、聞きました?
 牛丼特盛を高級フレンチ額分食べて、まだ8分目ですって!
 リサは今時の女子中学生の中では、ムッチリとした体付きだ。
 恐らく空手の有段者である斉藤絵恋さんが筋肉質だとしたら、尚更そう見える。
 リサは太っているというわけではないが、恐らく太る為の余ったエネルギーが変身の時に消費されるのだろう。

 愛原:「おっと、電話だ」

 私は電話に出た。
 相手は高野君だ。
 高野君は未だ意識を失っている斉藤さんに付き添っている。

 愛原:「はい、もしもし?」
 高野:「高野です。斉藤さんの意識が戻りましたよ?」
 愛原:「おー、それは良かった。で、容体は?」
 高野:「ほとんどケガはありません。点滴を打って、だいぶ元気です」
 愛原:「そうか。それは良かったな」
 高野:「しかし2夜連続で怖い目に遭ったこともあって、だいぶショックが激しいです。取りあえず、リサちゃんに会いたがっています」
 愛原:「斉藤さん、リサに会いたがってるってよ」

 私はリサに言った。

 リサ:「!」
 愛原:「大丈夫なのか?斉藤さんはリサの正体を……」
 高野:「昨夜のことは殆ど覚えていないみたいです。よほどショックが大きかったんだと思います。ただ、リサちゃんに助けてもらったという記憶だけは強く残っているみたいで……。それで、早くリサちゃんに会いたいと」
 愛原:「そうなのか。分かった。じゃあ、急いでそっちに行くよ」
 高野:「お願いします」

 私は電話を切った。

 リサ:「サイトー、私のこと何か言ってた?」
 愛原:「いや、高野君からは何も。ただ、リサに助けてもらったことだけは覚えているらしい。昨夜のことはとても怖かったから、あまり覚えていないらしいんだ」
 リサ:「!」
 愛原:「だからリサも、あまり言わない方がいいかもしれない」
 リサ:「分かった」
 愛原:「それじゃ、行こう」

 私は手近にいたタクシーを拾った。

 愛原:「東北大学医学部病院までお願いします」
 運転手:「はい」

 タクシーが走り出す。
 いつもなら流れる景色を珍しそうに眺めるリサだったが、今はそんな余裕が無いようで、ただ俯いていた。

[同日11:00.天候:晴 仙台市青葉区 仙台市地下鉄北四番丁駅]

〔1番線に、富沢行き電車が到着します。……〕

 病院に到着した私とリサを待ち受けていたのは、斉藤さんによる抱擁だった。
 いや、もちろん抱きつかれたのはリサだけだ。
 斉藤さんの記憶の中には、本当にスーパータイラントに襲われたことと、リサに助けてもらったことしか記憶に無いらしい。
 その斉藤さんを助けたリサはあの時、クリーチャー化していたのだが。
 今その手を互いに掴んでいる2人のJC。

 愛原:「高橋は友達と遊んでるってさ」
 高野:「その方がいいでしょう」

 私達はやってきた電車に乗り込んだ。

〔1番線から、富沢行き電車が発車します。ドアが閉まります〕

 短い発車サイン音が鳴って、電車のドアが閉まる。
 ホームドアも閉まってから発車するところは東京の地下鉄と変わらない。

〔次は勾当台公園、勾当台公園です。県庁、市役所、青葉区役所はこちらです〕
〔The next stop is Kotodai-koen station.〕
〔日蓮正宗仏眼寺へは愛宕橋で、冨士大石寺顕正会仙台会館へは終点、富沢でお降りください〕

 リサ:「愛原先生、どこまで行くの?」
 愛原:「取りあえず、高橋が勧めてくれた所へ向かうよ。あいつが走り屋だった頃、よく遊びに行ってた所らしい」
 高野:「このコ達が行っても大丈夫な所だと言ってましたけど、何だか不安ですねぇ……」
 愛原:「2夜連続で疲れたから、最後の日くらい体を休める所がいいと言っておいた。一応、あいつを信じることにしよう」
 高野:「もしフザけた場所でしたら、私が後でボコしておきますね」
 愛原:「よろしく」

 電車はそこそこの乗客数を乗せて、市街地へ向かう。
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“私立探偵 愛原学” 「スーパータイラントの最期」

2019-09-20 15:32:28 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月25日04:00.天候:曇 宮城県宮城郡松島町 国道45号線上]

 私達を追うスーパータイラントが投げ放ったタンクローリーのタンク。
 ガソリン満載のタンクが直撃する前に、BSAAの隊員が放ったガトリング砲のおかげでそれが大爆発した。
 その直前に私達を乗せた装甲車がトンネルの中に入ったので、爆発に巻き込まれることはなかったが、スーパータイラントは巻き込まれたはずだ。
 それで倒せたのならいいのだが……。

 愛原:「なにぃっ!?」

 スーパータイラントは生きていた!
 全身が火だるま状態でありながら、全力ダッシュで私達を追い掛ける。

 隊員B:「不死身かあいつは!?」

 しかも装甲車が急停車!

 隊員C:「おい、どうして止まる!?」
 隊員A:「最悪だ!」

 トンネルの出口には事故った車が数台横転して、道路を塞いでいた。
 避難車両で渋滞していた中、トラックでも追突したのだろう。

 隊員B:「しょうがない!ここで倒すしかない!愛原さん達、俺達がここで食い止める!幸い、あのバスの中から外に出られる。それで逃げてくれ」
 愛原:「分かった。ありがとう。皆、行くぞ!」

 私達は乗り捨てられている観光バスに乗り込んだ。
 そして、後ろの非常口に向かうと、そこからトンネルの外に出られた。
 前後と側面に車が衝突している状態で、乗降口の部分と非常口の部分だけが空いていたのだ。

 高橋:「先生、急いで広い場所へ!」
 愛原:「何だ、どうした!?」
 高橋:「BSAAの奴ら、全滅しました!」
 愛原:「早っ!」

 こ、今度という今度は、私達も年貢の納め時か?
 スーパータイラントは、事故車両で塞がれたトンネルの出口を無理やり開けた。
 それで爆発・炎上した車もいたが、スーパータイラントはそんなこと意にも介さない。

 リサ:「た、タイラント……」
 スーパータイラント:「御嬢様……」
 愛原:「くそっ!」

 私はショットガンをスーパータイラントに向けた。
 高橋はマグナムを、高野君はライフルを構える。

 高橋:「俺は地獄まで先生にお供します!」
 高野:「乗り掛かった舟だからね、私もお付き合いしますよ?」
 愛原:「ありがとう、皆!だけど、死ぬのは俺達だけだ。斉藤さんは助けないと!」
 高野:「それもそうですね。斉藤さん、ここは私達に任せて斉藤さんは逃げなさい。大丈夫。あいつの優先順位はリサちゃん、その次に私達で、斉藤さんは1番後回し……」

 その時、私達の横をスーパータイラントが駆け抜けていった。

 斉藤:「ぎゃっ……!」
 スーパータイラント:「御嬢様……ヤット見ツケタ……」
 愛原:「は!?」
 高橋:「あっ!?」
 高野:「えっ!?」
 リサ:「!?」

 何と、スーパータイラントはリサをスルーし、何故か斉藤さんを捕まえた。

 スーパータイラント:「御嬢様……連レテ行ク……」
 愛原:「お、おい、こら!そこのタイラント!お前が捜している御嬢様はこっちだろ!?」

 私はリサを指さした。
 斉藤さんは恐怖の余り、意識を失ってしまった。
 リサも唖然としていたが、それが却ってスーパータイラントに対する恐怖を薄れさせたらしい。

 リサ:「タイラント!いい加減にしろ!!」
 スーパータイラント:「リサ嬢……邪魔スルナラ、リサ嬢モ殺ス……」
 愛原:「リサ嬢って……!」

 何だ、あのスーパータイラント、トチ狂って斉藤さんを浚ったんじゃないのか?
 リサはリサで、ちゃんと御嬢様扱いしている?
 ということは……。

 愛原:「スーパータイラント!お前は誰の命令でこんなことをしてるんだ!?」
 スーパータイラント:「答エル必要無イ……」

 ドゴン!

 高橋:「先生の質問をスルーするとは、いい度胸だな、ああ?」

 高橋がスーパータイラントにマグナムを放った。
 これが普通のタイラントなら、マグナムでも十分にダメージが与えられるはずなのだが、スーパータイラントには効いていない。

 スーパータイラント:「邪魔スルノナラ、オ前達モ殺ス……!」

 私は辺りを見回した。

 愛原:「リサ、正体を曝け出していい!斉藤さんは気を失っているし、周りに人はいない!」

 私はリサの肩をポンと叩いた。

 リサ:「言われなくても……!」

 リサはミシミシと今の人間の姿を変えていった。
 まずは鬼の姿になり、それから背中から触手を何本も生やす。
 両手もまた長く深く伸び、両足も……って、大丈夫か?ちゃんと人間の姿に戻れるんだろうな?

 スーパータイラント:「邪魔スルノナラ、リサ嬢モ殺ス!」
 リサ:「サイトーに危害ヲ加エル奴ハ、タイラントも殺ス!」

 リサの言葉が片言になった。
 やはり化け物になると、人語も操りにくくなるらしい。

 愛原:「おおっ!?」

 あっという間だった。
 リサの体から生えた触手は鋭い槍のようになり、それでタイラントの体をいくつも貫通させた。

 スーパータイラント:「グオオオオオオオ!」

 さすがに痛かったか、スーパータイラント、思わず斉藤さんを振り放ってしまう。

 リサ:「サイトー!」

 リサは触手を一本伸ばし、投げ飛ばされた斉藤さんをキャッチした。

 斉藤:「リサさん……?」

 しまった!
 今ので斉藤さん、意識が戻ってしまった!
 今のリサを見たら卒倒してしまうぞ!?

 リサ:「愛原先生、サイトーを……」
 愛原:「リサ!お前、どうするんだ!?」
 リサ:「サイトーに正体ヲ見ラレタ。ソレニ、スーパータイラントは、マダ生キテイル……」
 スーパータイラント:「ウウウ……」
 愛原:「うわっ、本当だ!」

 体にいくつも穴が開けれられたというのに、スーパータイラントはまだ生きていた。
 何てヤツだ。

 リサ:「死ナバ諸共……」
 愛原:「おい、ちょっと待て!」

 リサは自爆しようとしている!
 と、その時だった。
 上空にヘリコプターが飛んで来た。
 またもやBSAAのヘリだ。

〔「こちらBSAA、Ζ(ゼータ)チームだ。今からスーパータイラントにロケットランチャーを撃ち込む。直ちに避難してくれ!」〕

 愛原:「マジか!?」
 高橋:「先生、早く!」
 愛原:「リサ、形勢逆転だ!お前が無理する必要は無い!お前も来い!」

 私はリサの触手を引っ張った。

 狙撃手:「何か、クリーチャーがもう一体いるんですが、撃っちゃってもいいんでしょうか?」
 パイロット:「あれは『リサ・トレヴァー』だろ?愛原氏が引っ張って行ってるということは、まだ制御できている状態だ。取りあえず、スーパータイラントだけにしとけ」
 狙撃手:「了解。発射!」

 ズドーン!

 愛原:「うわっ!」

 思いっ切り離れたつもりだが、爆風が飛んで来た。
 ほとんど、見切り発車だな。
 いや、見切り発射か。

 高橋:「BSAAの奴ら、無茶しやがる!」
 愛原:「リサ、もう元の姿に戻っていいぞ!」
 リサ:「はーい……」
 高野:「斉藤さん、大丈夫?」
 斉藤:「…………」

 今の爆発でまた気を失った斉藤さんだった。
 これは上手く誤魔化せるかもしれない。

 HQ:「HQよりΖチーム、スーパータイラントの沈黙を確認」
 パイロット:「了解。ΖチームよりHQ。これより降下し、生存者並びに『リサ・トレヴァー』の確保に入る」
 HQ:「了解」

 ヘリコプターが私達の前に降下する。
 2日目の戦いはもっとハードだったが、またどうやら生き残れたようだ。
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