[8月25日10:00.天候:晴 宮城県仙台市青葉区某所]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今回の旅行、夜は酷いものだった。
まさか、二晩続けてBOWの急襲を受けるとは……。
私達はスーパータイラントを倒すと、BSAAのヘリに回収され、仙台市内まで連れて行かれた。
そしてそこの大きな病院で、検査や治療を受けることになった。
もっとも、治療など必要無いほど大きなケガはしていない。
私が心配したのは、斉藤さんの方だ。
スーパータイラントに掴まれたのだから、それで大きなケガやウィルスに感染していないか、とても心配だった。
しかしスーパータイラントは本当に斉藤さんを御嬢様扱いしていたのか、斉藤さんに大きなケガは無かった。
リサもまたあれだけの化け物に変身したにも関わらず、元の人間の姿に戻れていた。
やはりリサは『完成品』なのだろう。
ただ、変身すると、とても腹が減るらしい。
とてつもない空腹を訴え、それがどうしようもない場合、私の服に噛みつく癖があるのだが、そうしてきた。
このままでは、本当に私が食われてしまう。
市街地にある吉野家に連れて行ったら、牛丼特盛を何杯も平らげた。
元々通常時であっても大食漢のリサ。
ラーメン二郎に連れて行っても、恐らくはペロリと平らげることだろう。
愛原:「あー、ちょっと領収証もらえないかな?(斉藤さんの親父さんの)会社(か、もしくはBSAAか日本政府)に請求するから」
店員:「か、かしこまりました……」
牛丼の値段など大したこと無いはずなのだが、リサが平らげたその金額は【お察しください】。
まあ、高級フレンチ並みの値段であったとだけ言っておこう。
店員、レジを操作してレシートではなく、ちゃんと名前の書ける領収証を発行する。
店員:「こちら領収証です」
愛原:「ありがとう」
店員:「ありがとうございましたー」
他の客:(あのJC、フードファイターか何かか?)
私とリサは店を出た。
尚、高橋はこの町に旧友がいるということで、会いに行った。
そう言えば前この町に来た時、彼の旧友の車に乗せてもらったんだっけ。
族車ほど派手ではなかったが、イニシャルDに出て来そうな車だったことを思い出した。
いや、ハチロクではなかったがね。
リサ:「愛原先生、ごちそうさま」
愛原:「ああ、いいよ。後でこれは請求しておくから」
リサ:「お財布大丈夫?」
愛原:「後で全部返ってくると思えば、何そのこれしき……」
私は財布をポケットにしまった。
愛原:「それより、腹一杯になったか?」
リサ:「腹8分目って言うから……」
愛原:「あれだけ食って、まだ8分目!?」Σ( ̄ロ ̄lll)
ちょっと奥さん、聞きました?
牛丼特盛を高級フレンチ額分食べて、まだ8分目ですって!
リサは今時の女子中学生の中では、ムッチリとした体付きだ。
恐らく空手の有段者である斉藤絵恋さんが筋肉質だとしたら、尚更そう見える。
リサは太っているというわけではないが、恐らく太る為の余ったエネルギーが変身の時に消費されるのだろう。
愛原:「おっと、電話だ」
私は電話に出た。
相手は高野君だ。
高野君は未だ意識を失っている斉藤さんに付き添っている。
愛原:「はい、もしもし?」
高野:「高野です。斉藤さんの意識が戻りましたよ?」
愛原:「おー、それは良かった。で、容体は?」
高野:「ほとんどケガはありません。点滴を打って、だいぶ元気です」
愛原:「そうか。それは良かったな」
高野:「しかし2夜連続で怖い目に遭ったこともあって、だいぶショックが激しいです。取りあえず、リサちゃんに会いたがっています」
愛原:「斉藤さん、リサに会いたがってるってよ」
私はリサに言った。
リサ:「!」
愛原:「大丈夫なのか?斉藤さんはリサの正体を……」
高野:「昨夜のことは殆ど覚えていないみたいです。よほどショックが大きかったんだと思います。ただ、リサちゃんに助けてもらったという記憶だけは強く残っているみたいで……。それで、早くリサちゃんに会いたいと」
愛原:「そうなのか。分かった。じゃあ、急いでそっちに行くよ」
高野:「お願いします」
私は電話を切った。
リサ:「サイトー、私のこと何か言ってた?」
愛原:「いや、高野君からは何も。ただ、リサに助けてもらったことだけは覚えているらしい。昨夜のことはとても怖かったから、あまり覚えていないらしいんだ」
リサ:「!」
愛原:「だからリサも、あまり言わない方がいいかもしれない」
リサ:「分かった」
愛原:「それじゃ、行こう」
私は手近にいたタクシーを拾った。
愛原:「東北大学医学部病院までお願いします」
運転手:「はい」
タクシーが走り出す。
いつもなら流れる景色を珍しそうに眺めるリサだったが、今はそんな余裕が無いようで、ただ俯いていた。
[同日11:00.天候:晴 仙台市青葉区 仙台市地下鉄北四番丁駅]
〔1番線に、富沢行き電車が到着します。……〕
病院に到着した私とリサを待ち受けていたのは、斉藤さんによる抱擁だった。
いや、もちろん抱きつかれたのはリサだけだ。
斉藤さんの記憶の中には、本当にスーパータイラントに襲われたことと、リサに助けてもらったことしか記憶に無いらしい。
その斉藤さんを助けたリサはあの時、クリーチャー化していたのだが。
今その手を互いに掴んでいる2人のJC。
愛原:「高橋は友達と遊んでるってさ」
高野:「その方がいいでしょう」
私達はやってきた電車に乗り込んだ。
〔1番線から、富沢行き電車が発車します。ドアが閉まります〕
短い発車サイン音が鳴って、電車のドアが閉まる。
ホームドアも閉まってから発車するところは東京の地下鉄と変わらない。
〔次は勾当台公園、勾当台公園です。県庁、市役所、青葉区役所はこちらです〕
〔The next stop is Kotodai-koen station.〕
〔日蓮正宗仏眼寺へは愛宕橋で、冨士大石寺顕正会仙台会館へは終点、富沢でお降りください〕
リサ:「愛原先生、どこまで行くの?」
愛原:「取りあえず、高橋が勧めてくれた所へ向かうよ。あいつが走り屋だった頃、よく遊びに行ってた所らしい」
高野:「このコ達が行っても大丈夫な所だと言ってましたけど、何だか不安ですねぇ……」
愛原:「2夜連続で疲れたから、最後の日くらい体を休める所がいいと言っておいた。一応、あいつを信じることにしよう」
高野:「もしフザけた場所でしたら、私が後でボコしておきますね」
愛原:「よろしく」
電車はそこそこの乗客数を乗せて、市街地へ向かう。
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今回の旅行、夜は酷いものだった。
まさか、二晩続けてBOWの急襲を受けるとは……。
私達はスーパータイラントを倒すと、BSAAのヘリに回収され、仙台市内まで連れて行かれた。
そしてそこの大きな病院で、検査や治療を受けることになった。
もっとも、治療など必要無いほど大きなケガはしていない。
私が心配したのは、斉藤さんの方だ。
スーパータイラントに掴まれたのだから、それで大きなケガやウィルスに感染していないか、とても心配だった。
しかしスーパータイラントは本当に斉藤さんを御嬢様扱いしていたのか、斉藤さんに大きなケガは無かった。
リサもまたあれだけの化け物に変身したにも関わらず、元の人間の姿に戻れていた。
やはりリサは『完成品』なのだろう。
ただ、変身すると、とても腹が減るらしい。
とてつもない空腹を訴え、それがどうしようもない場合、私の服に噛みつく癖があるのだが、そうしてきた。
このままでは、本当に私が食われてしまう。
市街地にある吉野家に連れて行ったら、牛丼特盛を何杯も平らげた。
元々通常時であっても大食漢のリサ。
ラーメン二郎に連れて行っても、恐らくはペロリと平らげることだろう。
愛原:「あー、ちょっと領収証もらえないかな?(斉藤さんの親父さんの)会社(か、もしくはBSAAか日本政府)に請求するから」
店員:「か、かしこまりました……」
牛丼の値段など大したこと無いはずなのだが、リサが平らげたその金額は【お察しください】。
まあ、高級フレンチ並みの値段であったとだけ言っておこう。
店員、レジを操作してレシートではなく、ちゃんと名前の書ける領収証を発行する。
店員:「こちら領収証です」
愛原:「ありがとう」
店員:「ありがとうございましたー」
他の客:(あのJC、フードファイターか何かか?)
私とリサは店を出た。
尚、高橋はこの町に旧友がいるということで、会いに行った。
そう言えば前この町に来た時、彼の旧友の車に乗せてもらったんだっけ。
族車ほど派手ではなかったが、イニシャルDに出て来そうな車だったことを思い出した。
いや、ハチロクではなかったがね。
リサ:「愛原先生、ごちそうさま」
愛原:「ああ、いいよ。後でこれは請求しておくから」
リサ:「お財布大丈夫?」
愛原:「後で全部返ってくると思えば、何そのこれしき……」
私は財布をポケットにしまった。
愛原:「それより、腹一杯になったか?」
リサ:「腹8分目って言うから……」
愛原:「あれだけ食って、まだ8分目!?」Σ( ̄ロ ̄lll)
ちょっと奥さん、聞きました?
牛丼特盛を高級フレンチ額分食べて、まだ8分目ですって!
リサは今時の女子中学生の中では、ムッチリとした体付きだ。
恐らく空手の有段者である斉藤絵恋さんが筋肉質だとしたら、尚更そう見える。
リサは太っているというわけではないが、恐らく太る為の余ったエネルギーが変身の時に消費されるのだろう。
愛原:「おっと、電話だ」
私は電話に出た。
相手は高野君だ。
高野君は未だ意識を失っている斉藤さんに付き添っている。
愛原:「はい、もしもし?」
高野:「高野です。斉藤さんの意識が戻りましたよ?」
愛原:「おー、それは良かった。で、容体は?」
高野:「ほとんどケガはありません。点滴を打って、だいぶ元気です」
愛原:「そうか。それは良かったな」
高野:「しかし2夜連続で怖い目に遭ったこともあって、だいぶショックが激しいです。取りあえず、リサちゃんに会いたがっています」
愛原:「斉藤さん、リサに会いたがってるってよ」
私はリサに言った。
リサ:「!」
愛原:「大丈夫なのか?斉藤さんはリサの正体を……」
高野:「昨夜のことは殆ど覚えていないみたいです。よほどショックが大きかったんだと思います。ただ、リサちゃんに助けてもらったという記憶だけは強く残っているみたいで……。それで、早くリサちゃんに会いたいと」
愛原:「そうなのか。分かった。じゃあ、急いでそっちに行くよ」
高野:「お願いします」
私は電話を切った。
リサ:「サイトー、私のこと何か言ってた?」
愛原:「いや、高野君からは何も。ただ、リサに助けてもらったことだけは覚えているらしい。昨夜のことはとても怖かったから、あまり覚えていないらしいんだ」
リサ:「!」
愛原:「だからリサも、あまり言わない方がいいかもしれない」
リサ:「分かった」
愛原:「それじゃ、行こう」
私は手近にいたタクシーを拾った。
愛原:「東北大学医学部病院までお願いします」
運転手:「はい」
タクシーが走り出す。
いつもなら流れる景色を珍しそうに眺めるリサだったが、今はそんな余裕が無いようで、ただ俯いていた。
[同日11:00.天候:晴 仙台市青葉区 仙台市地下鉄北四番丁駅]
〔1番線に、富沢行き電車が到着します。……〕
病院に到着した私とリサを待ち受けていたのは、斉藤さんによる抱擁だった。
いや、もちろん抱きつかれたのはリサだけだ。
斉藤さんの記憶の中には、本当にスーパータイラントに襲われたことと、リサに助けてもらったことしか記憶に無いらしい。
その斉藤さんを助けたリサはあの時、クリーチャー化していたのだが。
今その手を互いに掴んでいる2人のJC。
愛原:「高橋は友達と遊んでるってさ」
高野:「その方がいいでしょう」
私達はやってきた電車に乗り込んだ。
〔1番線から、富沢行き電車が発車します。ドアが閉まります〕
短い発車サイン音が鳴って、電車のドアが閉まる。
ホームドアも閉まってから発車するところは東京の地下鉄と変わらない。
〔次は勾当台公園、勾当台公園です。県庁、市役所、青葉区役所はこちらです〕
〔The next stop is Kotodai-koen station.〕
〔日蓮正宗仏眼寺へは愛宕橋で、冨士大石寺顕正会仙台会館へは終点、富沢でお降りください〕
リサ:「愛原先生、どこまで行くの?」
愛原:「取りあえず、高橋が勧めてくれた所へ向かうよ。あいつが走り屋だった頃、よく遊びに行ってた所らしい」
高野:「このコ達が行っても大丈夫な所だと言ってましたけど、何だか不安ですねぇ……」
愛原:「2夜連続で疲れたから、最後の日くらい体を休める所がいいと言っておいた。一応、あいつを信じることにしよう」
高野:「もしフザけた場所でしたら、私が後でボコしておきますね」
愛原:「よろしく」
電車はそこそこの乗客数を乗せて、市街地へ向かう。