[3月28日14:49.天候:晴 神奈川県相模原市緑区 神奈川中央交通西・やまなみ温泉入口バス停→野11系統車内]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
リサ達の卒業旅行で温泉を楽しめなかった私達は、善場主任の計らいで温泉に行くことができた。
温泉にゆっくり浸かった後は昼食を取り、あとは売店でお土産などを購入した。
受け取ってくれるかどうかは不明だが、善場主任の分と、あとボスの分だ。
ボスに関しては宅急便で送ればいいだろう。
バス停で待っていると、しばらくしてバスがやってきた。
往路と同じ中型の路線バスだった。
バスはやまなみ温泉バス停という名の折り返し場からやってきたわけだが、そこからはもっと山奥へ向かうバスが出ているらしい。
そしてそのバスは、地域のコミュニティバスなどでよく使用される小型バスで運行されるとのこと。
〔「藤野駅行きです」〕
引き戸式の中扉が開いて、私達はPasmoを手にバスに乗り込んだ。
車内には地元民と思しき乗客が2~3人、前の方に乗っているだけだった。
乗り込むと、往路と同じように1番後ろの座席に座った。
ここからの乗客は私達だけ。
温泉施設の建物前には広い駐車場があり、多くの来場者は車で来るのだろう。
バスは私達を乗せると、すぐに発車した。
〔ピン♪ポン♪パーン♪ 次は中尾、中尾でございます〕
バスは狭い県道を進んでいる。
相模原市という所は神奈川県でも広い町なのだろう。
そして、緑区という区も。
何故なら、私達が今いる所は緑区である。
私達の家や事務所の最寄り駅は、都営地下鉄新宿線の菊川駅だ。
そしてそこからは、京王相模原線直通の橋本行きが出ていたりする。
その終点の橋本駅も緑区にあるという。
私のイメージからして、この近くに橋本駅があるとは思えない。
もしそうなら、橋本駅からアクセスした方が絶対に便利だからだ。
ネットのルート検索にも全くヒットしないことから、橋本駅はここから全然遠いということになる。
で、当然ながらバス路線も無い。
おとなしく中央本線の藤野駅に行くしかないようだ。
リサ:「サイトーからのライン。サイトーにお土産あげると言ったら喜んでたけど、お菓子系は今食べれないって」
愛原:「そうなのか。どうしてだい?」
高橋:「この若さで糖尿病かぁ。そいつァ辛いなァ」
愛原:「ンなわけねーだろ。虫歯か何かだろ?」
リサ:「ん。だけど今日は日曜日で歯医者さんやってないから、明日まで我慢だって」
愛原:「そりゃそうなるよな。今日の所は市販の鎮痛剤でも飲んで抑えておき、明日ってところか。今、斉藤さん、実家だって」
リサ:「そう。だから、実家近くの歯医者さんに行くことになる」
愛原:「それは大変だ」
だが後に、これが思わぬ情報をもたらすことになるとは、この時は思いも寄らなかった。
[同日15:11.天候:晴 同区内 JR藤野駅]
どうやら途中で事故があったらしい。
狭い県道の反対車線に、パトカーやら救急車やらが止まっていた。
狭い道だから、特に他県ナンバーなんかは事故を起こしやすいかもしれない。
こちらの実害としては、渋滞にはまってバスが遅れたことくらいだ。
道幅が広くなる区間くらいしか信号の無い路線であるが、回復運転できるような区間は無いので、一度遅れ出すとそのままズルズルと引きずるのだろう。
路線バスにはよくあることだ。
〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく終点、藤野駅、藤野駅です。お忘れ物、落とし物の無いよう、ご注意ください」〕
バスはダイヤより10分の遅れで藤野駅に到着した。
前扉からPasmoで支払いしてバスを降りる。
そして、そのまま駅構内に入った。
愛原:「えーと……次の電車は……おっ、ちょうど東京行きがある」
平日と違って特快ではなく、快速ではあったが、中央快速線に乗り入れる電車があった。
だが、今から40分近くある。
恐らくこのバスが定刻通りに着けていたら、あと一本早い電車に乗ることができたのだろう。
もちろん、それは高尾止まりの電車ではあっただろうが。
愛原:「東京まで直通するということは、中央快速線の通勤電車だな。まあ、いい時間調整だろう。東京駅に着くのは夕方くらいになるだろうから、そこで夕食でも食べて帰ろう」
リサ:「おー!」
高橋:「それはいいですね。ちょっと俺、吸い溜めしてきます。駅ん中じゃ、吸えないでしょうから」
高橋はタバコを咥える仕草をして言った。
愛原:「そうだな。俺達は先に駅ん中にいるから、後で来いよ」
高橋:「分かりました」
高橋はそう言って駅の外に、私とリサは駅の中に入った。
リサ:「先生、私のPasmo、そろそろ……」
愛原:「あっ、そうか。残額少なくなったんだっけ。ほら、チャージしといてやるよ」
リサ:「ありがとう」
駅の券売機でリサのPasmoにチャージしてやる。
愛原:「無駄遣いするなよ」
リサ:「分かった」
とはいえ、リサも女の子だ。
生理用品など自分で買っているから、その分も入れてやってるんだけどな。
BOWだからなのか、或いは元々の体質なのか、斉藤さんなど他の女の子と比べると、『そんなに重くない』とのこと。
高橋を待ちがてら、改札外の自販機で飲み物を買って、それを飲んで時間を潰す。
藤野駅には普通列車しか停車しない為、例え時間が空いていても、全く列車が通らないわけではない。
通過する特急列車とか貨物列車がいたりする。
そして、ようやく普通列車がやってくるという形だ。
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の2番線の列車は、15時55分発、快速、東京行きです。この列車は、4つドア、10両です。次は、相模湖に止まります〕
ジュースを飲み終える頃、高橋が戻って来たので、私達はホームで電車を待つことにした。
改札口を通ってホームに行く前、トイレに一度寄る。
3ドアの中距離電車ならトイレは付いているが、4ドアの通勤電車ではトイレが無い。
ましてや、特快ではなく、快速なら尚更時間が掛かるだろうから、今のうちにと思った。
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
リサ達の卒業旅行で温泉を楽しめなかった私達は、善場主任の計らいで温泉に行くことができた。
温泉にゆっくり浸かった後は昼食を取り、あとは売店でお土産などを購入した。
受け取ってくれるかどうかは不明だが、善場主任の分と、あとボスの分だ。
ボスに関しては宅急便で送ればいいだろう。
バス停で待っていると、しばらくしてバスがやってきた。
往路と同じ中型の路線バスだった。
バスはやまなみ温泉バス停という名の折り返し場からやってきたわけだが、そこからはもっと山奥へ向かうバスが出ているらしい。
そしてそのバスは、地域のコミュニティバスなどでよく使用される小型バスで運行されるとのこと。
〔「藤野駅行きです」〕
引き戸式の中扉が開いて、私達はPasmoを手にバスに乗り込んだ。
車内には地元民と思しき乗客が2~3人、前の方に乗っているだけだった。
乗り込むと、往路と同じように1番後ろの座席に座った。
ここからの乗客は私達だけ。
温泉施設の建物前には広い駐車場があり、多くの来場者は車で来るのだろう。
バスは私達を乗せると、すぐに発車した。
〔ピン♪ポン♪パーン♪ 次は中尾、中尾でございます〕
バスは狭い県道を進んでいる。
相模原市という所は神奈川県でも広い町なのだろう。
そして、緑区という区も。
何故なら、私達が今いる所は緑区である。
私達の家や事務所の最寄り駅は、都営地下鉄新宿線の菊川駅だ。
そしてそこからは、京王相模原線直通の橋本行きが出ていたりする。
その終点の橋本駅も緑区にあるという。
私のイメージからして、この近くに橋本駅があるとは思えない。
もしそうなら、橋本駅からアクセスした方が絶対に便利だからだ。
ネットのルート検索にも全くヒットしないことから、橋本駅はここから全然遠いということになる。
で、当然ながらバス路線も無い。
おとなしく中央本線の藤野駅に行くしかないようだ。
リサ:「サイトーからのライン。サイトーにお土産あげると言ったら喜んでたけど、お菓子系は今食べれないって」
愛原:「そうなのか。どうしてだい?」
高橋:「この若さで糖尿病かぁ。そいつァ辛いなァ」
愛原:「ンなわけねーだろ。虫歯か何かだろ?」
リサ:「ん。だけど今日は日曜日で歯医者さんやってないから、明日まで我慢だって」
愛原:「そりゃそうなるよな。今日の所は市販の鎮痛剤でも飲んで抑えておき、明日ってところか。今、斉藤さん、実家だって」
リサ:「そう。だから、実家近くの歯医者さんに行くことになる」
愛原:「それは大変だ」
だが後に、これが思わぬ情報をもたらすことになるとは、この時は思いも寄らなかった。
[同日15:11.天候:晴 同区内 JR藤野駅]
どうやら途中で事故があったらしい。
狭い県道の反対車線に、パトカーやら救急車やらが止まっていた。
狭い道だから、特に他県ナンバーなんかは事故を起こしやすいかもしれない。
こちらの実害としては、渋滞にはまってバスが遅れたことくらいだ。
道幅が広くなる区間くらいしか信号の無い路線であるが、回復運転できるような区間は無いので、一度遅れ出すとそのままズルズルと引きずるのだろう。
路線バスにはよくあることだ。
〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく終点、藤野駅、藤野駅です。お忘れ物、落とし物の無いよう、ご注意ください」〕
バスはダイヤより10分の遅れで藤野駅に到着した。
前扉からPasmoで支払いしてバスを降りる。
そして、そのまま駅構内に入った。
愛原:「えーと……次の電車は……おっ、ちょうど東京行きがある」
平日と違って特快ではなく、快速ではあったが、中央快速線に乗り入れる電車があった。
だが、今から40分近くある。
恐らくこのバスが定刻通りに着けていたら、あと一本早い電車に乗ることができたのだろう。
もちろん、それは高尾止まりの電車ではあっただろうが。
愛原:「東京まで直通するということは、中央快速線の通勤電車だな。まあ、いい時間調整だろう。東京駅に着くのは夕方くらいになるだろうから、そこで夕食でも食べて帰ろう」
リサ:「おー!」
高橋:「それはいいですね。ちょっと俺、吸い溜めしてきます。駅ん中じゃ、吸えないでしょうから」
高橋はタバコを咥える仕草をして言った。
愛原:「そうだな。俺達は先に駅ん中にいるから、後で来いよ」
高橋:「分かりました」
高橋はそう言って駅の外に、私とリサは駅の中に入った。
リサ:「先生、私のPasmo、そろそろ……」
愛原:「あっ、そうか。残額少なくなったんだっけ。ほら、チャージしといてやるよ」
リサ:「ありがとう」
駅の券売機でリサのPasmoにチャージしてやる。
愛原:「無駄遣いするなよ」
リサ:「分かった」
とはいえ、リサも女の子だ。
生理用品など自分で買っているから、その分も入れてやってるんだけどな。
BOWだからなのか、或いは元々の体質なのか、斉藤さんなど他の女の子と比べると、『そんなに重くない』とのこと。
高橋を待ちがてら、改札外の自販機で飲み物を買って、それを飲んで時間を潰す。
藤野駅には普通列車しか停車しない為、例え時間が空いていても、全く列車が通らないわけではない。
通過する特急列車とか貨物列車がいたりする。
そして、ようやく普通列車がやってくるという形だ。
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の2番線の列車は、15時55分発、快速、東京行きです。この列車は、4つドア、10両です。次は、相模湖に止まります〕
ジュースを飲み終える頃、高橋が戻って来たので、私達はホームで電車を待つことにした。
改札口を通ってホームに行く前、トイレに一度寄る。
3ドアの中距離電車ならトイレは付いているが、4ドアの通勤電車ではトイレが無い。
ましてや、特快ではなく、快速なら尚更時間が掛かるだろうから、今のうちにと思った。