[4月4日17:00~17:35.天候:雨 秋田県大館市 JR大館駅]
大館駅のNEWDAYSに行くには、駅舎の構造上、一旦駅舎の外に出なくてはならない。
外から見ると、確かに先ほど車で来た時には気づかなかった『お土産』の文字が見える。
助手席の後ろに座っていた高橋が気づきやすかったのだ。
店の中に入り、そこでまずお土産を物色する。
駅のコンビニということもあって、そんなに数は多くなかったが、挨拶代わりの物としては十分だ。
高橋:「ボスに買って行くんですか?」
愛原:「今回の件はボスからの紹介じゃないからいいだろう。むしろ、斉藤社長に買って行くべきだ」
高橋:「なるほど」
するとリサ、目ざとく駅弁を見つける。
リサ:「! おー!」
地元の駅弁業者“花善”が卸している『鶏めし弁当』である。
名前の通り、鶏肉を使ったものだろう。
愛原:「ん?それにするのか?確かに美味そうだな。俺もこれにするか」
リサ:「他にも買っていい!?」
愛原:「お菓子か?まあ、いいよ」
駅構内には他に売店は無いみたいだし、ここで調達するしか無さそうだ。
高橋:「先生。ちょっと吸い溜めしてきます」
愛原:「ああ、分かった」
先に買い物を済ませ、店の外の喫煙所に行く高橋。
愛原:「列車に乗ったら、もう帰ることしかできないからな」
リサ:「そうなの?」
愛原:「ここから乗る列車は盛岡行き。そして、盛岡駅では本当にすぐ新幹線に乗り換えることになる」
リサ:「新幹線に乗ったら、あっという間だね」
愛原:「そうだとも」
私は斉藤社長へのお土産の他、駅弁とお茶を買った。
この他にもビールやおつまみも欲しいところだが、嵩張ってしまう。
できれば花輪線では夕食、晩酌は乗り換え先の新幹線でやりたい。
盛岡駅で調達できればいいのだが……。
店員:「ありがとうございましたー」
買い物を済ませて店の外に出る。
喫煙所では高橋がタバコを咥えていた。
愛原:「列車内にもトイレはあるが、駅のトイレの方が広いだろう。ということで行ってくる」
リサ:「行ってらっしゃい」
私はその後、トイレを済ませた。
そして、急いで駅の中に戻る。
というのは、ついに雨が降ってきたからだ。
NEWDAYSも改札外トイレも、駅舎の構造上、建物の外側からしか出入りできない。
〔まもなく3番線に、列車が入ります。危ないですから、黄色い線までお下がりください〕
駅の中に戻ると、改札口の向こう側から接近放送が聞こえた。
しばらくすると、ディーゼルエンジンのアイドリング音を立てて、2両編成の気動車が入線したのが分かった。
愛原:「列車が来たようだ。発車の時間はまだ少しあるが、どうする?改札の中に入ったら、もうトイレと自販機くらいしか利用できなくなるぞ?やり残したことがあるなら、今のうちにな」
高橋:「俺は無いです」
リサ:「私も」
愛原:「そうか?じゃあ、もうホームに行くぞ」
高橋:「はい」
私達はキップを取り出した。
愛原:「リサ、ここでは乗車券だけを通すんだ」
リサ:「分かった」
見た目は首都圏の駅にある物と変わらないのだが、Suicaを読み取る部分が無い。
本当に乗車券の投入口しか無い。
恐らくここで定期券を買おうとすると、従来通りの磁気定期券になるのだろう。
その為か、この駅でもNEWDAYSや自販機ではSuicaが使えるのだが、実際に他の客が使用しているのを見ることは無かった。
NEWDAYSで買い物した時には、Suicaを使ったのだが。
駅員:「ありがとうございます」
愛原:「盛岡行きはあの列車ですか?」
駅員:「そうです。17時35分の発車です」
愛原:「どうも」
改札機にキップを通し、私達は中に入った。
地方駅の特徴として、改札口を通ったらすぐに1番線がある(つまり改札内コンコースが無い)。
目当ての列車は隣のホームの3番線から出るので、跨線橋を渡る必要がある。
本数が少ないから、バリアフリーの観点から構内踏切でもいいんじゃないかと思うだろうが、それはあくまでも旅客列車の本数だけを見ての意見。
実際は貨物列車の本数も多いので、やはりそこは跨線橋の方がいいのである。
実際私達が跨線橋の階段を登っていると、中線を貨物列車が通過していったし。
日曜日は貨物列車の本数が激減する傾向があるのだが、それでも本線系統では運転されているのである。
〔「3番線に停車中の列車は17時35分発、“十和田八幡平四季彩ライン”花輪線普通列車、盛岡行きです。発車までご乗車になり、お待ちください。終点の盛岡まで、各駅に停車致します」〕
2番線と3番線の島式ホームに着くと、2両編成の気動車が停車していた。
平日だと夕方のラッシュでそこそこの利用があるのだろうが、日曜日の今はガラガラである。
それとも、コロナ禍も影響があるのだろうか。
2両編成なので、どちらの車両に乗ってもBSAAとの取り決め違反にはならない。
愛原:「もっとも、途中の駅で進行方向が変わるんだけどな」
高橋:「そうなんですか?」
愛原:「そうなんだよ」
花輪線の十和田南駅。
ここがスイッチバックの駅である。
なので今は後ろの車両に乗り込んだが、十和田南駅からはこれが先頭車になるわけである。
4人用ボックスシートにリサが進行方向窓側、私がその向かい、高橋がリサの隣に座るが、足の長い彼は、私の隣の空いている席の下に足を伸ばした方が楽だろう。
別に、満席になるほど混むわけではなさそうだし。
ドアは本来、半自動ドアで運用していたのだろうが、コロナ対策としてか、自動ドアでホーム側全てのドアが開いていた。
窓が開くのであれば、窓は開けた上でドアは半自動ということもできるだろうが、あいにくとキハ110系は窓が乗務員室扉の物以外は開かない構造になっている。
なので、ドアの方を全開して換気せざるを得ないわけだ。
愛原:「おいおい。リサ、もう食べるのか?」
リサは座席に座ると、ビニール袋の中から駅弁を取り出した。
リサ:「お腹空いたもん」
愛原:「呆れたな」
リサ:「先生は食べないの?」
愛原:「まだ17時台じゃな。どうせ盛岡に着くまで3時間掛かるから、ゆっくり食べるよ」
しばらくして、発車の時間になる。
〔「お待たせ致しました。17時35分発、“十和田八幡平四季彩ライン”花輪線、普通列車の盛岡行き、まもなく発車致します。ご乗車になりまして、お待ちください」〕
ホームに発車メロディが流れる。
曲名は“きりたんぽ物語”。
〔まもなく3番線から、列車が発車致します。お見送りのお客様は、黄色い線までお下がりください〕
2両編成のローカル列車ながら、花輪線ではワンマン運転は行っていないという。
その為、車掌の笛の音がホームに響き渡った。
それからドアが閉まる。
これが電車ならそのまま発車するところだが、気動車では何故か車掌がブザーを鳴らしてから発車する。
アイドリング音を上げて、列車はゆっくりと発車した。
愛原:「ここから3時間掛かるから」
高橋:「速さで言うなら飛行機なんスね」
愛原:「まあ、そうだな」
大館能代空港から出る最終便が運休しなければ、それを選択したのだが……。
まあ、このルートでも今日中には帰京できるんだから良しとしよう。
斉藤社長には後日、報告書を出す時に説明すれば良い。
大館駅のNEWDAYSに行くには、駅舎の構造上、一旦駅舎の外に出なくてはならない。
外から見ると、確かに先ほど車で来た時には気づかなかった『お土産』の文字が見える。
助手席の後ろに座っていた高橋が気づきやすかったのだ。
店の中に入り、そこでまずお土産を物色する。
駅のコンビニということもあって、そんなに数は多くなかったが、挨拶代わりの物としては十分だ。
高橋:「ボスに買って行くんですか?」
愛原:「今回の件はボスからの紹介じゃないからいいだろう。むしろ、斉藤社長に買って行くべきだ」
高橋:「なるほど」
するとリサ、目ざとく駅弁を見つける。
リサ:「! おー!」
地元の駅弁業者“花善”が卸している『鶏めし弁当』である。
名前の通り、鶏肉を使ったものだろう。
愛原:「ん?それにするのか?確かに美味そうだな。俺もこれにするか」
リサ:「他にも買っていい!?」
愛原:「お菓子か?まあ、いいよ」
駅構内には他に売店は無いみたいだし、ここで調達するしか無さそうだ。
高橋:「先生。ちょっと吸い溜めしてきます」
愛原:「ああ、分かった」
先に買い物を済ませ、店の外の喫煙所に行く高橋。
愛原:「列車に乗ったら、もう帰ることしかできないからな」
リサ:「そうなの?」
愛原:「ここから乗る列車は盛岡行き。そして、盛岡駅では本当にすぐ新幹線に乗り換えることになる」
リサ:「新幹線に乗ったら、あっという間だね」
愛原:「そうだとも」
私は斉藤社長へのお土産の他、駅弁とお茶を買った。
この他にもビールやおつまみも欲しいところだが、嵩張ってしまう。
できれば花輪線では夕食、晩酌は乗り換え先の新幹線でやりたい。
盛岡駅で調達できればいいのだが……。
店員:「ありがとうございましたー」
買い物を済ませて店の外に出る。
喫煙所では高橋がタバコを咥えていた。
愛原:「列車内にもトイレはあるが、駅のトイレの方が広いだろう。ということで行ってくる」
リサ:「行ってらっしゃい」
私はその後、トイレを済ませた。
そして、急いで駅の中に戻る。
というのは、ついに雨が降ってきたからだ。
NEWDAYSも改札外トイレも、駅舎の構造上、建物の外側からしか出入りできない。
〔まもなく3番線に、列車が入ります。危ないですから、黄色い線までお下がりください〕
駅の中に戻ると、改札口の向こう側から接近放送が聞こえた。
しばらくすると、ディーゼルエンジンのアイドリング音を立てて、2両編成の気動車が入線したのが分かった。
愛原:「列車が来たようだ。発車の時間はまだ少しあるが、どうする?改札の中に入ったら、もうトイレと自販機くらいしか利用できなくなるぞ?やり残したことがあるなら、今のうちにな」
高橋:「俺は無いです」
リサ:「私も」
愛原:「そうか?じゃあ、もうホームに行くぞ」
高橋:「はい」
私達はキップを取り出した。
愛原:「リサ、ここでは乗車券だけを通すんだ」
リサ:「分かった」
見た目は首都圏の駅にある物と変わらないのだが、Suicaを読み取る部分が無い。
本当に乗車券の投入口しか無い。
恐らくここで定期券を買おうとすると、従来通りの磁気定期券になるのだろう。
その為か、この駅でもNEWDAYSや自販機ではSuicaが使えるのだが、実際に他の客が使用しているのを見ることは無かった。
NEWDAYSで買い物した時には、Suicaを使ったのだが。
駅員:「ありがとうございます」
愛原:「盛岡行きはあの列車ですか?」
駅員:「そうです。17時35分の発車です」
愛原:「どうも」
改札機にキップを通し、私達は中に入った。
地方駅の特徴として、改札口を通ったらすぐに1番線がある(つまり改札内コンコースが無い)。
目当ての列車は隣のホームの3番線から出るので、跨線橋を渡る必要がある。
本数が少ないから、バリアフリーの観点から構内踏切でもいいんじゃないかと思うだろうが、それはあくまでも旅客列車の本数だけを見ての意見。
実際は貨物列車の本数も多いので、やはりそこは跨線橋の方がいいのである。
実際私達が跨線橋の階段を登っていると、中線を貨物列車が通過していったし。
日曜日は貨物列車の本数が激減する傾向があるのだが、それでも本線系統では運転されているのである。
〔「3番線に停車中の列車は17時35分発、“十和田八幡平四季彩ライン”花輪線普通列車、盛岡行きです。発車までご乗車になり、お待ちください。終点の盛岡まで、各駅に停車致します」〕
2番線と3番線の島式ホームに着くと、2両編成の気動車が停車していた。
平日だと夕方のラッシュでそこそこの利用があるのだろうが、日曜日の今はガラガラである。
それとも、コロナ禍も影響があるのだろうか。
2両編成なので、どちらの車両に乗ってもBSAAとの取り決め違反にはならない。
愛原:「もっとも、途中の駅で進行方向が変わるんだけどな」
高橋:「そうなんですか?」
愛原:「そうなんだよ」
花輪線の十和田南駅。
ここがスイッチバックの駅である。
なので今は後ろの車両に乗り込んだが、十和田南駅からはこれが先頭車になるわけである。
4人用ボックスシートにリサが進行方向窓側、私がその向かい、高橋がリサの隣に座るが、足の長い彼は、私の隣の空いている席の下に足を伸ばした方が楽だろう。
別に、満席になるほど混むわけではなさそうだし。
ドアは本来、半自動ドアで運用していたのだろうが、コロナ対策としてか、自動ドアでホーム側全てのドアが開いていた。
窓が開くのであれば、窓は開けた上でドアは半自動ということもできるだろうが、あいにくとキハ110系は窓が乗務員室扉の物以外は開かない構造になっている。
なので、ドアの方を全開して換気せざるを得ないわけだ。
愛原:「おいおい。リサ、もう食べるのか?」
リサは座席に座ると、ビニール袋の中から駅弁を取り出した。
リサ:「お腹空いたもん」
愛原:「呆れたな」
リサ:「先生は食べないの?」
愛原:「まだ17時台じゃな。どうせ盛岡に着くまで3時間掛かるから、ゆっくり食べるよ」
しばらくして、発車の時間になる。
〔「お待たせ致しました。17時35分発、“十和田八幡平四季彩ライン”花輪線、普通列車の盛岡行き、まもなく発車致します。ご乗車になりまして、お待ちください」〕
ホームに発車メロディが流れる。
曲名は“きりたんぽ物語”。
〔まもなく3番線から、列車が発車致します。お見送りのお客様は、黄色い線までお下がりください〕
2両編成のローカル列車ながら、花輪線ではワンマン運転は行っていないという。
その為、車掌の笛の音がホームに響き渡った。
それからドアが閉まる。
これが電車ならそのまま発車するところだが、気動車では何故か車掌がブザーを鳴らしてから発車する。
アイドリング音を上げて、列車はゆっくりと発車した。
愛原:「ここから3時間掛かるから」
高橋:「速さで言うなら飛行機なんスね」
愛原:「まあ、そうだな」
大館能代空港から出る最終便が運休しなければ、それを選択したのだが……。
まあ、このルートでも今日中には帰京できるんだから良しとしよう。
斉藤社長には後日、報告書を出す時に説明すれば良い。