[2月27日09:00.天候:曇 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]
高橋:「先生、おはようございます」
愛原:「ああ、おはよう」
私は変な夢を見て、目が覚めた。
修学旅行の引率補助から今の今までちゃんと休めていなかったから、疲労で変な夢を見てしまったのだろうか。
高橋:「どうかしたんスか?」
愛原:「いや……。ちょっと顔洗ってくる」
私は洗面台に行って、洗顔してきた。
リサ:「わたしも事務所行っていい?」
私がダイニングに戻ると、リサが既に座っていた。
愛原:「リサを1人にするわけにはいかないからな。ちゃんと事務所まで来てもらうぞ」
リサ:「おー!」
愛原:「但し、高橋の手伝いが終わってからな?」
高橋:「今日は家の掃除の日だ。しっかり掃除してからだぞ」
リサ:「そう、だった」
高橋:「先生が安心して探偵業務に邁進できるよう、助手の俺達は全力でサポートだ」
リサ:「おー!」
愛原:「な、何だか大袈裟だが、とにかく、ありがとう。俺は先に事務所に行ってるから」
〔「昨日午後3時半頃、東京都大田区の都道で、暴走車が全国指名手配犯の乗った車と正面衝突し、この事故で2人が死亡しました」〕
リサ:「あっ!兄ちゃんの事故だ!」
高橋:「くっ……!」
愛原:「高橋、俺の飯、頼む」
高橋:「は、はい」
高橋は台所に向かった。
テレビは現地取材のリポーターに画面が変わった。
〔「事故があったのはここ、羽田空港近くの都道です。この道路を走っていた車が、向こうから逆走してきた車と正面衝突し、この事故で衝突された車が大破、炎上しました。この車には元・日本アンブレラ製薬の幹部社員で、全国指名手配中の白井伝三郎容疑者が乗っていたと思われ、病院に搬送されましたが、死亡しました。また、運転していた男性はTウィルスに感染していたと見られ、事故後に発症しました。……」〕
高橋の事は全く出て来ない。
報道規制でも掛けられているのだろうか。
霧生市という地方都市を壊滅させ、今なお復興できずにいる状態を作り出した日本アンブレラの事は全国ニュースでも大きく騒がれた。
尚、元社長と元副社長の五十嵐親子は、未だに裁判で係争中である。
恐らく最高裁まで争い、しかし高裁に差し戻されて、からの……泥沼になると思われ、結審するまであと何年も掛かると予想されている。
これで現場社員(研究職)のトップであった白井伝三郎が逮捕されれば、大きく展開すると思われていたのだが……。
高橋:「先生、どうぞ」
愛原:「ありがとう」
昨夜、駅前のコンビニで買った食パンのトーストに、同じくそこで買ったマーガリンを塗りたくる。
また、同じくそこで買った卵2個とベーコンで作ったベーコンエッグが出て来た。
付け合わせは冷蔵庫にあったウィンナーとミニトマト、そしてコンビニで買った生野菜である。
他にもコーンスープが出て来たが、これも買い置きしていた粉末スープだろう。
リサは既に半分以上平らげていた。
リサ:「先生、変な夢見たの?」
愛原:「ああ。まあ、ちょっと疲れてるんだろう」
リサ:「……それでも事務所に行くの?」
愛原:「一応な。もっとも、善場主任の連絡とかを待つだけだから、事務所では何もできないだろうな。ちょっとした事務作業とか、あとは掃除とか……」
リサ:「分かった。わたし、事務所の掃除も手伝うね」
愛原:「ありがとう」
リサ:「でも、お掃除って体力使うからなぁ……。体力使うと、お腹減っちゃうしなぁ……」
愛原:「昼間は駅前のマックでも奢るよ」
リサ:「おー!」
最後は食後のコーヒーで締める。
高橋:「でも先生、変な夢って何スか?パチンコ台からマリンちゃんが出てくる夢っスか?それとも、競馬場で本当にウマ娘が走ってる夢?」
愛原:「その方がずっと良かったよ。子供の頃の夢さ」
高橋:「先生の御家庭はとても幸せそうですから、俺やこいつよりはずっとお幸せだったのでは?」
愛原:「おかげさまでね。でも、そういうことじゃないんだ。公一伯父さんは覚えてるな?」
高橋:「当たり前じゃないスか。まさか、アンブレラと繋がってたとは……」
直接アンブレラと繋がっていたわけではないのだが、伯父さんが開発した化学肥料に日本アンブレラは目をつけ、伯父さんはそれを譲ってしまったのだ。
最初は断ったと言っていたのだが、日本の捜査機関にしっかりバレてしまった。
『あの時はアンブレラの悪事を知らなかったのじゃ!』とウソを付いていたが、後の捜査で、アンブレラの悪事を知っていて譲渡したことが判明し、善場主任の機関からは、共犯者として告発された。
愛原:「その公一伯父さん、昔から小牛田(こごた)に住んでいたわけじゃなかったんだ。小牛田に住み始めたのは、今から凡そ20年くらい前だ。その前は、仙台市内に住んでいたんだよ」
高橋:「そうなんですか」
愛原:「昭和時代に造成されたニュータウンに家を買ってね。だけど、住むのに飽きたからって、小牛田に移り住んだんだよ」
高橋:「その時から凄い人だったんですね」
愛原:「ああ」
高橋:「その夢の、どこが変な夢なんですか?」
愛原:「その家にも仏間があったんだが、その仏壇を置くスペースの下の空間が隠し部屋だったって夢だ」
高橋:「あれ?それって、小牛田の家のことじゃ?」
愛原:「多分、その記憶とごっちゃになったんだろう。仙台の家でも、そういう隠し部屋があったって夢だ」
高橋:「実際、どうだったんスか?」
愛原:「あくまで子供の頃の記憶だが、色んな物が入っていたけど、普通の押入れって感じだったよ」
高橋:「なんだ、そうっスか」
リサ:「その隠し部屋に入った先生は、どうなったの?」
高橋:「ゾンビに捕まって、食い殺される夢だよ。だから、嫌な夢だったんだ」
高橋:「先生を襲うとはいい度胸ッスね、そのゾンビ!」
高橋、ジャキッとマグナムを取り出した。
高橋:「これで頭フッ飛ばしてやりましょう!」
リサも第1形態に変化し、長くて鋭く尖った爪を立てた。
リサ:「私がこの爪で引き裂いて殺してやるから、先生安心して」
愛原:「だから夢の話だって言ってんだろ!」
私はさっさとコーヒーを飲むと、席を立った。
愛原:「とにかく、俺は先に事務所に行くから、後片付けと掃除よろしく」
高橋:「はい」
リサ:「分かった」
高橋:「先生、おはようございます」
愛原:「ああ、おはよう」
私は変な夢を見て、目が覚めた。
修学旅行の引率補助から今の今までちゃんと休めていなかったから、疲労で変な夢を見てしまったのだろうか。
高橋:「どうかしたんスか?」
愛原:「いや……。ちょっと顔洗ってくる」
私は洗面台に行って、洗顔してきた。
リサ:「わたしも事務所行っていい?」
私がダイニングに戻ると、リサが既に座っていた。
愛原:「リサを1人にするわけにはいかないからな。ちゃんと事務所まで来てもらうぞ」
リサ:「おー!」
愛原:「但し、高橋の手伝いが終わってからな?」
高橋:「今日は家の掃除の日だ。しっかり掃除してからだぞ」
リサ:「そう、だった」
高橋:「先生が安心して探偵業務に邁進できるよう、助手の俺達は全力でサポートだ」
リサ:「おー!」
愛原:「な、何だか大袈裟だが、とにかく、ありがとう。俺は先に事務所に行ってるから」
〔「昨日午後3時半頃、東京都大田区の都道で、暴走車が全国指名手配犯の乗った車と正面衝突し、この事故で2人が死亡しました」〕
リサ:「あっ!兄ちゃんの事故だ!」
高橋:「くっ……!」
愛原:「高橋、俺の飯、頼む」
高橋:「は、はい」
高橋は台所に向かった。
テレビは現地取材のリポーターに画面が変わった。
〔「事故があったのはここ、羽田空港近くの都道です。この道路を走っていた車が、向こうから逆走してきた車と正面衝突し、この事故で衝突された車が大破、炎上しました。この車には元・日本アンブレラ製薬の幹部社員で、全国指名手配中の白井伝三郎容疑者が乗っていたと思われ、病院に搬送されましたが、死亡しました。また、運転していた男性はTウィルスに感染していたと見られ、事故後に発症しました。……」〕
高橋の事は全く出て来ない。
報道規制でも掛けられているのだろうか。
霧生市という地方都市を壊滅させ、今なお復興できずにいる状態を作り出した日本アンブレラの事は全国ニュースでも大きく騒がれた。
尚、元社長と元副社長の五十嵐親子は、未だに裁判で係争中である。
恐らく最高裁まで争い、しかし高裁に差し戻されて、からの……泥沼になると思われ、結審するまであと何年も掛かると予想されている。
これで現場社員(研究職)のトップであった白井伝三郎が逮捕されれば、大きく展開すると思われていたのだが……。
高橋:「先生、どうぞ」
愛原:「ありがとう」
昨夜、駅前のコンビニで買った食パンのトーストに、同じくそこで買ったマーガリンを塗りたくる。
また、同じくそこで買った卵2個とベーコンで作ったベーコンエッグが出て来た。
付け合わせは冷蔵庫にあったウィンナーとミニトマト、そしてコンビニで買った生野菜である。
他にもコーンスープが出て来たが、これも買い置きしていた粉末スープだろう。
リサは既に半分以上平らげていた。
リサ:「先生、変な夢見たの?」
愛原:「ああ。まあ、ちょっと疲れてるんだろう」
リサ:「……それでも事務所に行くの?」
愛原:「一応な。もっとも、善場主任の連絡とかを待つだけだから、事務所では何もできないだろうな。ちょっとした事務作業とか、あとは掃除とか……」
リサ:「分かった。わたし、事務所の掃除も手伝うね」
愛原:「ありがとう」
リサ:「でも、お掃除って体力使うからなぁ……。体力使うと、お腹減っちゃうしなぁ……」
愛原:「昼間は駅前のマックでも奢るよ」
リサ:「おー!」
最後は食後のコーヒーで締める。
高橋:「でも先生、変な夢って何スか?パチンコ台からマリンちゃんが出てくる夢っスか?それとも、競馬場で本当にウマ娘が走ってる夢?」
愛原:「その方がずっと良かったよ。子供の頃の夢さ」
高橋:「先生の御家庭はとても幸せそうですから、俺やこいつよりはずっとお幸せだったのでは?」
愛原:「おかげさまでね。でも、そういうことじゃないんだ。公一伯父さんは覚えてるな?」
高橋:「当たり前じゃないスか。まさか、アンブレラと繋がってたとは……」
直接アンブレラと繋がっていたわけではないのだが、伯父さんが開発した化学肥料に日本アンブレラは目をつけ、伯父さんはそれを譲ってしまったのだ。
最初は断ったと言っていたのだが、日本の捜査機関にしっかりバレてしまった。
『あの時はアンブレラの悪事を知らなかったのじゃ!』とウソを付いていたが、後の捜査で、アンブレラの悪事を知っていて譲渡したことが判明し、善場主任の機関からは、共犯者として告発された。
愛原:「その公一伯父さん、昔から小牛田(こごた)に住んでいたわけじゃなかったんだ。小牛田に住み始めたのは、今から凡そ20年くらい前だ。その前は、仙台市内に住んでいたんだよ」
高橋:「そうなんですか」
愛原:「昭和時代に造成されたニュータウンに家を買ってね。だけど、住むのに飽きたからって、小牛田に移り住んだんだよ」
高橋:「その時から凄い人だったんですね」
愛原:「ああ」
高橋:「その夢の、どこが変な夢なんですか?」
愛原:「その家にも仏間があったんだが、その仏壇を置くスペースの下の空間が隠し部屋だったって夢だ」
高橋:「あれ?それって、小牛田の家のことじゃ?」
愛原:「多分、その記憶とごっちゃになったんだろう。仙台の家でも、そういう隠し部屋があったって夢だ」
高橋:「実際、どうだったんスか?」
愛原:「あくまで子供の頃の記憶だが、色んな物が入っていたけど、普通の押入れって感じだったよ」
高橋:「なんだ、そうっスか」
リサ:「その隠し部屋に入った先生は、どうなったの?」
高橋:「ゾンビに捕まって、食い殺される夢だよ。だから、嫌な夢だったんだ」
高橋:「先生を襲うとはいい度胸ッスね、そのゾンビ!」
高橋、ジャキッとマグナムを取り出した。
高橋:「これで頭フッ飛ばしてやりましょう!」
リサも第1形態に変化し、長くて鋭く尖った爪を立てた。
リサ:「私がこの爪で引き裂いて殺してやるから、先生安心して」
愛原:「だから夢の話だって言ってんだろ!」
私はさっさとコーヒーを飲むと、席を立った。
愛原:「とにかく、俺は先に事務所に行くから、後片付けと掃除よろしく」
高橋:「はい」
リサ:「分かった」