[2月26日11:42.天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区 JR大宮駅]
〔まもなく大宮、大宮。お出口は、右側です。新幹線、高崎線、埼京線、川越線、東武アーバンパークラインとニューシャトルはお乗り換えです。電車とホームの間が広く開いている所がありますので、足元にご注意ください〕
東京駅から30分以上電車に揺られて、大宮駅に到着する。
ホームに入る前に減速するのは、ポイントを通過する為だ。
上野方面からの宇都宮線は、基本的には下り副線ホームに入る為。
高崎線は本線ホームに入る為、ポイントによる減速は無い。
これは高崎線の方が先に開通し、宇都宮線の方が後から開通した名残である。
〔「今度の高崎線下り、特別快速、高崎行きは11番線から51分の発車です。普通列車の高崎行きは、8番線から56分の発車です。この電車は宇都宮線の普通列車、宇都宮行きです。終点の宇都宮まで、各駅に停車致します」〕
そして電車がホームに停車し、ドアが開く。
高崎線よりも停止位置が前の方にある為、先頭車両に乗ると、コンコースに上がるエスカレーターまで多少距離がある。
だからこそ、空いているのだが。
愛原:「リサ、トイレとか大丈夫か?」
リサ:「うん、大丈夫。サイトーの家のトイレ、使わせてもらう」
愛原:「そうか」
埼玉県一のターミナル駅は、多くの人が行き交っている。
電車が到着していなければ、コンコースもそこまで人が多いわけではないのだが、到着すると【お察しください】。
仙台駅よりも賑わっているのは、在来線でも発着本数が多く、またその編成両数も多いからだろう。
改札口を出て、西口に向かう。
ところでリサのヤツ、私のマネをしてホーム上の駅名看板を撮影していた。
私がそうする理由は、善場主任に経過報告をする為の一環である。
リサがそうするのは……。
リサ:「サイトーにLINEを送る為。『東京駅なう』とか『大宮駅なう』みたいに」
愛原:「なるほど。それはいいかもな。……ネットの画像から、北海道辺りの無人駅の写真を送ったら?『新十津川警部駅なう』なんて」
リサ:「おー!面白い!……けど、やめておく」
愛原:「なんで?」
リサ:「サイトーなら血鬼術でも使って、本当に瞬間移動しかねない」
愛原:「た、確かに……」
例えウクライナのドネツク州にいても、絵恋さんならロシア軍の戦車を蹴散らして追い掛けて来そうだ。
[同日12:00.天候:晴 同区内 大宮駅西口バス停→丸建つばさ交通けんちゃんバス車内]
西口からペデストリアンデッキに出る。
そこからバス停に向かうのだが、西武バスや東武バスが発着するバスプールではない。
かといって、そごうの前から出ている高速バスの乗り場でもない。
一方通行の狭い道の所にポツンとバス停が立っていて、そこに1台の小型バスが発着している。
そのバスに乗り込む。
コミュニティバスなどでよく見られる車種(日野自動車・ポンチョ)だが、自治体主導のコミュニティバスではない。
後ろのドアから乗り込むと、優先席や前方の席にお年寄りが乗っているだけだった。
1番後ろの席に座ろうとするが、私はここでふとあることを思い付いた。
このバスはICカードが使えない。
かつてはコミュニティバスでは、そういうことは往々にしてあった。
それもまた、このバスがさいたま市辺りが運営するコミュニティバスだと誤解される一因でもある。
使用できるのは現金と回数券のみ。
そして、最近の若いコは現金でバスに乗ったことなど無いだろう。
リサもその1人だ。
愛原:「リサ」
リサ:「なに?先生」
愛原:「このバスはICカードが使えない。現金で乗るしかないんだが、小銭が無くてね。1000円札があるから、これで両替して来てくれ」
リサ:「うん、分かった」
リサは私が渡した1000円札を手に、運転席に向かった。
リサ:「これで両替お願いします」
あ、運転手に直接言うのね!最近の若いコは!
運転手:「それじゃ、ここに1000円札を入れて」
年配の運転手は、両替機を指さした。
リサ:「はい」
リサ、1000円札を入れる。
ジャラジャラと100円玉が受け皿に出てくる。
リサ:「誤魔化して無いよね?」
両替機:(;゚Д゚)
リサ、100円玉を手に席に戻って来た。
窓側に座らせる。
リサ:「はい、両替してきたよ」
愛原:「ご苦労さん。とまあ、現金で乗る場合で、小銭が無い場合は、ああやって1000円札を両替してくるんだ」
リサ:「1000円札が無い場合は?」
愛原:「まあ、どこかで崩してくるしか無いな」
運賃が4ケタになることが珍しくない高速バスなら、高額紙幣にも対応しているのだが(JRバスの東名ライナーなど)。
尚、外国ではバス車内に両替機が設置されている事はとても珍しいらしい。
日本では基本的に、どこのどんな路線バスでも、両替機が設置されている(例外、東京23区内の前乗り先払いタイプの路線バスなど)。
愛原:「200円渡しておくから、これは降りる時に運賃箱にな」
リサ:「分かった」
そして時間になり、バスは後ろ扉を閉めて発車した。
〔ピンポーン♪ お待たせ致しました。毎度ご乗車ありがとうございます。このバスは与野本町先回り、大宮西口循環線でございます。【中略】次はあおぞら保育園、あおぞら保育園でございます〕
バスが最初の丁字路交差点を曲がる時、左角には、いきなりステーキがある。
リサ:「おおっ!ステーキ!……ごくっ」
そういえばもうお昼時で、リサは空腹であるはずだ。
リサ:「……あの赤いお肉、美味しそう……」
愛原:「そ、そうだな。いずれ、ステーキ食べさせてやるから」
リサ:「おー!」
で、左折してスクランブル交差点を通過し、ペデストリアンデッキ下の交差点に差し掛かる。
リサ:「おおっ!焼き肉!」
今度は焼肉ライクに反応した!
リサを進行方向左側に座らせたのが間違いだった。
リサ:「お腹空いた……」
愛原:「そ、そうだ!絵恋さんに、今日の昼食会の料理は何か聞いてみたら!?」
リサ:「……なるほど」
取りあえずスマホを弄らせて、気を紛らわせさせよう。
リサ:「ローストビーフだって!」
愛原:「そうか。それは良かったな。おとなしく乗っていれば、それに有りつけるぞ」
リサ:「わ、分かった。早く着いて」
私は、このバスが無事に下車停留所に着くのを祈る他無かった。
もし途中で事故になんか遭ったら、リサは暴走するだろう。
食べ物の恨みは恐ろしい。
それはBOWも同じなのである。
〔まもなく大宮、大宮。お出口は、右側です。新幹線、高崎線、埼京線、川越線、東武アーバンパークラインとニューシャトルはお乗り換えです。電車とホームの間が広く開いている所がありますので、足元にご注意ください〕
東京駅から30分以上電車に揺られて、大宮駅に到着する。
ホームに入る前に減速するのは、ポイントを通過する為だ。
上野方面からの宇都宮線は、基本的には下り副線ホームに入る為。
高崎線は本線ホームに入る為、ポイントによる減速は無い。
これは高崎線の方が先に開通し、宇都宮線の方が後から開通した名残である。
〔「今度の高崎線下り、特別快速、高崎行きは11番線から51分の発車です。普通列車の高崎行きは、8番線から56分の発車です。この電車は宇都宮線の普通列車、宇都宮行きです。終点の宇都宮まで、各駅に停車致します」〕
そして電車がホームに停車し、ドアが開く。
高崎線よりも停止位置が前の方にある為、先頭車両に乗ると、コンコースに上がるエスカレーターまで多少距離がある。
だからこそ、空いているのだが。
愛原:「リサ、トイレとか大丈夫か?」
リサ:「うん、大丈夫。サイトーの家のトイレ、使わせてもらう」
愛原:「そうか」
埼玉県一のターミナル駅は、多くの人が行き交っている。
電車が到着していなければ、コンコースもそこまで人が多いわけではないのだが、到着すると【お察しください】。
仙台駅よりも賑わっているのは、在来線でも発着本数が多く、またその編成両数も多いからだろう。
改札口を出て、西口に向かう。
ところでリサのヤツ、私のマネをしてホーム上の駅名看板を撮影していた。
私がそうする理由は、善場主任に経過報告をする為の一環である。
リサがそうするのは……。
リサ:「サイトーにLINEを送る為。『東京駅なう』とか『大宮駅なう』みたいに」
愛原:「なるほど。それはいいかもな。……ネットの画像から、北海道辺りの無人駅の写真を送ったら?『新十津川警部駅なう』なんて」
リサ:「おー!面白い!……けど、やめておく」
愛原:「なんで?」
リサ:「サイトーなら血鬼術でも使って、本当に瞬間移動しかねない」
愛原:「た、確かに……」
例えウクライナのドネツク州にいても、絵恋さんならロシア軍の戦車を蹴散らして追い掛けて来そうだ。
[同日12:00.天候:晴 同区内 大宮駅西口バス停→丸建つばさ交通けんちゃんバス車内]
西口からペデストリアンデッキに出る。
そこからバス停に向かうのだが、西武バスや東武バスが発着するバスプールではない。
かといって、そごうの前から出ている高速バスの乗り場でもない。
一方通行の狭い道の所にポツンとバス停が立っていて、そこに1台の小型バスが発着している。
そのバスに乗り込む。
コミュニティバスなどでよく見られる車種(日野自動車・ポンチョ)だが、自治体主導のコミュニティバスではない。
後ろのドアから乗り込むと、優先席や前方の席にお年寄りが乗っているだけだった。
1番後ろの席に座ろうとするが、私はここでふとあることを思い付いた。
このバスはICカードが使えない。
かつてはコミュニティバスでは、そういうことは往々にしてあった。
それもまた、このバスがさいたま市辺りが運営するコミュニティバスだと誤解される一因でもある。
使用できるのは現金と回数券のみ。
そして、最近の若いコは現金でバスに乗ったことなど無いだろう。
リサもその1人だ。
愛原:「リサ」
リサ:「なに?先生」
愛原:「このバスはICカードが使えない。現金で乗るしかないんだが、小銭が無くてね。1000円札があるから、これで両替して来てくれ」
リサ:「うん、分かった」
リサは私が渡した1000円札を手に、運転席に向かった。
リサ:「これで両替お願いします」
あ、運転手に直接言うのね!最近の若いコは!
運転手:「それじゃ、ここに1000円札を入れて」
年配の運転手は、両替機を指さした。
リサ:「はい」
リサ、1000円札を入れる。
ジャラジャラと100円玉が受け皿に出てくる。
リサ:「誤魔化して無いよね?」
両替機:(;゚Д゚)
リサ、100円玉を手に席に戻って来た。
窓側に座らせる。
リサ:「はい、両替してきたよ」
愛原:「ご苦労さん。とまあ、現金で乗る場合で、小銭が無い場合は、ああやって1000円札を両替してくるんだ」
リサ:「1000円札が無い場合は?」
愛原:「まあ、どこかで崩してくるしか無いな」
運賃が4ケタになることが珍しくない高速バスなら、高額紙幣にも対応しているのだが(JRバスの東名ライナーなど)。
尚、外国ではバス車内に両替機が設置されている事はとても珍しいらしい。
日本では基本的に、どこのどんな路線バスでも、両替機が設置されている(例外、東京23区内の前乗り先払いタイプの路線バスなど)。
愛原:「200円渡しておくから、これは降りる時に運賃箱にな」
リサ:「分かった」
そして時間になり、バスは後ろ扉を閉めて発車した。
〔ピンポーン♪ お待たせ致しました。毎度ご乗車ありがとうございます。このバスは与野本町先回り、大宮西口循環線でございます。【中略】次はあおぞら保育園、あおぞら保育園でございます〕
バスが最初の丁字路交差点を曲がる時、左角には、いきなりステーキがある。
リサ:「おおっ!ステーキ!……ごくっ」
そういえばもうお昼時で、リサは空腹であるはずだ。
リサ:「……あの赤いお肉、美味しそう……」
愛原:「そ、そうだな。いずれ、ステーキ食べさせてやるから」
リサ:「おー!」
で、左折してスクランブル交差点を通過し、ペデストリアンデッキ下の交差点に差し掛かる。
リサ:「おおっ!焼き肉!」
今度は焼肉ライクに反応した!
リサを進行方向左側に座らせたのが間違いだった。
リサ:「お腹空いた……」
愛原:「そ、そうだ!絵恋さんに、今日の昼食会の料理は何か聞いてみたら!?」
リサ:「……なるほど」
取りあえずスマホを弄らせて、気を紛らわせさせよう。
リサ:「ローストビーフだって!」
愛原:「そうか。それは良かったな。おとなしく乗っていれば、それに有りつけるぞ」
リサ:「わ、分かった。早く着いて」
私は、このバスが無事に下車停留所に着くのを祈る他無かった。
もし途中で事故になんか遭ったら、リサは暴走するだろう。
食べ物の恨みは恐ろしい。
それはBOWも同じなのである。