報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「代替修学旅行2日目の夕方」

2022-03-03 20:16:36 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月24日17:00.天候:晴 福島県会津若松市白虎町 会津若松ワシントンホテル]

 AD:「次のシーン、行きまーす!」
 多摩:「ちょッと待て!」
 雲羽:「何ですか、名誉監督?」
 多摩:「鶴ヶ城のシーンは!?『飯盛山で白虎隊の軌跡を辿るシーン』は!?」
 雲羽:「すいません、取材資料どっかやっちゃって……てへてへ……」
 多摩:「アホーッ!!」
 雲羽:「というわけで、そういった見学を終え、ホテルにチェックインするところから撮影開始ってことでw」
 AD:「それでは本番いきまーす!5、4、3、2……」

 カチン!

 

 バスガイド:「皆様、本日も大変お疲れさまでございました。バスはまもなく本日の宿泊地、会津若松ワシントンホテルへ到着致します」

 昨日は山深いスキー場のホテルに宿泊したが、今度は一転して駅から程近い市街地に泊まる。
 ワシントンホテルは全国的にもチェーン展開しているビジネスホテルだが、その中では比較的高級な部類に入る。
 とはいえ、そこはビジネスホテル。
 佇まいは何となくシティホテルっぽいのだが、そこには大抵存在している車寄せが無く(ホテルモントレみたいに、シティホテルでも車寄せを設けない所もある)、正面入口に面した大通りに停車することになる。

 愛原:「荷物を取ったら、ホテルへ移動してくださーい!」
 高橋:「オメーラ!早いとこ移動すっぞ!」
 不良A:「はい、センパイ!」
 不良B:「よろしくオナシャス!」
 不良C:「下越のヤンキー!」

 高橋のヤツ、いつの間にか手下作りやがった……。

 リサ:「部屋は先生と一緒?」
 愛原:「んなワケねーだろw」
 リサ:「ぶー……」
 絵恋:「リサさん!私がいるじゃない!」
 リサ:「でもまあ、凄いホテル」
 愛原:「この町では1、2を争う高級ホテルなんだろう」

 ロビーも広いのだが、さすがに大型バス3台分の団体が入るには狭い。
 そこで一旦、2階のコンベンションホールに集合することになった。
 ビジネスホテルながら、結婚式も執り行える所である為、コンベンションホールもあるのだ。
 そこでこのホテルでの過ごし方に関して、注意事項が学年主任より通達される。

 学年主任:「本当なら2人1組、ツインの部屋に泊まってもらうことしたいのですが、キャパの都合上、全員は無理なので、半数はシングルの部屋に泊まってもらうことになります!但し、1人部屋だからといって、夜更かししないように!通常の夜の見回りはさせてもらうことになりますので、いいか!?」

 高橋:「先生の時の修学旅行も、こういうホテルに泊まったりしたんスか?」
 愛原:「ああ。中学校の時も、高校の時もビジホに泊まったな。ビジホといっても、ちゃんとレストラン付きのホテルだ。夕食と朝食は、そこで食べる。ワシントンホテルもレストランがあって、そういう所で食事ができるようになっているわけだ」
 高橋:「なるほど……」

 私の両親世代は、全部旅館で雑魚寝だったり、夜行列車でゴロ寝とかだったらしい。
 70歳の父親が正に『夜汽車でゴロ寝』世代で、60代半ばの母は、『電車特急だったが、宿泊先は全部旅館で雑魚寝』だったという。
 それと比べれば、今の修学旅行生は全部ホテルで快適なものになった。
 ……まあ、今回は『夜汽車でゴロ寝』も体験できたわけだが、『電車特急』でもある。

 絵恋:「リサさん、また一緒に寝ましょ」
 リサ:「うん」

 部屋割りの時、随分とモメたなぁ……。
 このホテルの時は、半分くらいが1人部屋になることは、引率者の1人として知っていた。
 試しにリサを1人にしようとしたところ、リサは何とも思わなかったらしいが、絵恋さんが暴走した。
 ついでに、私もたまには気軽にシングルにしようとしたところ、高橋もまた暴走した。
 その為、私とリサは、それぞれツインになったのである。

 沼沢:「愛原、しっかり斉藤のリードを放すなよ?」
 リサ:「分かりました」
 高橋:「ったく、この狂犬女が!ワンと言え!ワンと!」
 絵恋:「ツー!」
 高橋:「そのワンじゃねぇ!」
 絵恋:「スリー!」
 愛原:「オマエも大概だろうが。たまには、気軽にさせてくれよ」
 高橋:「先生!?俺と先生は一蓮托生ですよ!?」
 愛原:「意味分かって言ってんのか?」
 高橋:「当たり前です!」
 沼沢:「愛原さんも大変ですね」
 愛原:「いやあ、ハハハ……」

 で、次なる問題は夕食会場であった。
 このホテルには2つのレストランと、1つのカフェがある。
 カフェではそもそもディナーをやっていないので論外だが、それぞれのレストラン、1つだけでは到底キャパが足りない。
 そこで、2つに分けることになった。
 1つは洋食レストランだが、もう1つは和食である。
 やはり10代のコ達だからだろうが、洋食に票が集中したらしい。
 そこで、抽選を行うことになったそうな。
 私は元々和食が良かったのだが、それを知ったリサが和食に票を入れた結果、その取り巻き達もズルズルと芋づる式に和食コースになったという。

 愛原:「それじゃ、俺達も一旦部屋に入ろうか」
 高橋:「うス」

 まずは荷物を置いてこよう。
 鍵を受け取り、客室フロアへ向かった。

 高橋:「先生、夕食は何時からですか?」
 愛原:「18時からだよ。俺達は和食の方な」
 リサ:「和食でも肉はある?」
 愛原:「あるだろうな。……って、いつの間に?!」
 リサ:「エヘヘ……。フロアまで一緒」
 愛原:「オマエなぁ……。ああ、そうそう。夜、善場主任が来るから、あんまりハメを外さないように」
 リサ:「ええっ、どうして!?」
 愛原:「途中経過を聞きに来るんだよ。あと、他にBOWの情報とかな」
 リサ:「あの銀髪女以外にもいるの?」
 愛原:「それは分からん。ただ、直接リサが話すことはないから、オマエが部屋から出てくることはないよ」
 リサ:「なんだ」

 リサはホッとした。
 リサにとって、善場主任も怖い存在らしい。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“私立探偵 愛原学” 「道の駅『喜多の郷』」

2022-03-03 15:30:39 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月24日12:30.天候:晴 福島県喜多方市 道の駅『喜多の郷』]

 国道121号線を北上していくと、会津若松市に入る。
 バスは一旦そこを素通りし、隣の喜多方市に向かった。
 国道も都市部に入ると高規格道路があるもので、会津縦貫北道路なる自動車専用道路がある。
 雪の積もった田園地帯を更に進むと、次の目的地である道の駅に到着した。

 バスガイド:「こちらで昼食休憩となります」

 レストラン貸し切りの団体メニューだったが、やはり喜多方と言えば喜多方ラーメンであるので……。

 愛原:「喜多方ラーメンが出てくると」
 高橋:「懐かしいですね」
 愛原:「懐かしい?だいぶ昔に食べたのか?」
 高橋:「まだ10代で新潟に住んでた頃、西若松のラーメン屋で食べましたね」
 愛原:「ほお……」
 高橋:「食ってる最中、おまわりに追い付かれたんで、店の裏口から逃げたんで、ゆっくり食えなかったっス」
 愛原:「逃走中に暢気にラーメン食ってんじゃねぇ!」
 不良男子生徒A:「センパイ!おまわりから逃げるとこ、kwsk!」
 不良男子生徒B:「何のバイク乗ってたんスか!?」
 不良男子生徒C:「兄貴から、『下越のヤンキー高橋』の話を聞いて、是非サインください!カンベツショからネンショーまで全コンプしたって伝説、ガチバナっスか!?」
 高橋:「クソガキども!見せモンじゃねーぞ!散れ散れ!!」

 何か、高橋ってどこ行っても人気者じゃない?

 女子生徒A:「高橋さん、一緒にインスタ上がってもらっていいですか?」
 女子生徒B:「Twitterに、『イケメンと旅行なう』って上げたいんですけどォ……」
 高橋:「俺はインスタ映えか!勝手にTwitterに上げんな!」
 愛原:「何か、惨めになってくる……」

 私が溜め息をついていると、私の右腕をポンと叩く者がいた。

 リサ:「先生、わたしがいるじゃない」
 愛原:「うぅ……。『娘』よ!」
 リサ:「いや、『嫁』って言って!」
 絵恋:「うぅう……。リサさん、私はぁ……?」
 リサ:「ペット」
 絵恋:「やった!」
 愛原:「いいんかーい!」

[同日13:00.天候:晴 同市内 蔵の湯]

 昼食を食べ終えた私達は、同じ道の駅の敷地内にある日帰り温泉施設へ向かった。

 愛原:「少し時間があるから、一っ風呂浴びて行くか」
 高橋:「お供します!」
 リサ:「お供します!」
 絵恋:「お供します!」
 淀橋:「お供します!」
 小島:「お供します!」
 愛原:「……何か、多くね?」
 高橋:「ガキども!俺と先生の裸の付き合いの邪魔すんな!」
 絵恋:「私はリサさんと裸の付き合いをするだけよ!?」
 リサ:「いや、わたしは先生と裸の付き合いがしたい」
 絵恋:「り、リサさん!?」(;゚Д゚)
 高橋:「ダメだ!ここでは裸の付き合いは俺の権利だ!悔しかったら、男に変化してみやがれ!」
 リサ:「く……!」
 絵恋:「り、リサさん!挑発に乗っちゃダメよ!?男になんか変化しないで!」
 リサ:「いや、できないから心配ない」
 愛原:「とにかく、リサ達は女湯だ。分かったな?」
 絵恋・淀橋・小島:「元から女湯です!」

[同日14:00.天候:晴 道の駅・喜多の郷→会津バス車内]

 バスガイド:「それでは皆様、出発致します」

 バスは再び国道121号線に出た。

 バスガイド:「これより再び国道121号線を上り、会津若松市へと向かいます。会津若松市内では、鶴ヶ城を見学したいと思います。皆様、歴史の授業でお聞きになったかと思いますが、鶴ヶ城は戊辰戦争の舞台となった場所であり……」

 愛原:「若いってのはいいなぁ……」
 高橋:「クソガキ共に振り回されつつ、上手く立ち回る先生には感銘します。せっかくゆっくり温泉に入るところでしたのに……」
 愛原:「いや、まあ、これが修学旅行ってもんだよ。リサを上手く道の駅の本館から引き離したことで、そちら側は静かになったはずだ」
 高橋:「さすが先生です」

 最前列席で私と高橋がそんな話をしている間、すぐ後ろの席では……。

 リサ:「愛原先生と裸の付き合いしたかったなぁ……」
 絵恋:「り、リサさん、まさかお家で愛原先生と……?」
 リサ:「シたいんだけど、なかなかシしてくれない。第2形態くらいまで変化しないとヤってくれない?」
 絵恋:「そういう問題じゃないと思います。……それよりリサさん、スカートの下、あのブルマなのね?」
 リサ:「先生といる間、しばらく穿いてておく。きっと先生、これ好きだから」
 絵恋:「学校指定の体操服販売店の販売網、うちに調べさせたと思ったら、こういうこと」
 リサ:「校則を調べてみたら、正式に廃止になっていなかった。中等部がそうだから、高等部もそうだろうと思った。だから、どこかではまだあるんじゃないかって思った」
 絵恋:「執念深いリサさん、ステキ……
 リサ:「執念深く獲物を追う。ボスを張るなら、当たり前」

 “ベタなバイオハザード”の法則の1つに、『大ボスまたはラスボスを張る者の中には、比較的早くから主人公に目をつけ、執拗に追い回す者がいる』というのかある。
 “バイオハザードRE:3”では、序盤からラスボスが主人公を追いかけ回す。
 最初のうちは如何に猛者の主人公でも非力の為、逃げ回るしかない。

 リサ:「フム……。愛原先生を追い掛け回し、最後はロケランで殺されれば本望かな」
 絵恋:「それはダメ!私もブルマ穿くから、早まらないで!」
 リサ:「いや、ここで穿くなよ」
 バスガイド:「吐く?乗り物酔いしましたか?」
 絵恋:「ち、ちちち、違いますぅ!」
 リサ:「字が違う……」
 愛原:「後ろの席、賑やかだねぇ……」
 高橋:「御命令下されば、俺が黙らせます」

 高橋、マグナムを取り出そうする。

 愛原:「いや、いいよ!せっかくの修学旅行なんだし!」

 もしかして私の周りって、猛者と生物兵器しかいない?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする