[2月27日10:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]
私の名前愛原学。
都内で小さな探偵事務所を営んでいる。
日曜日は本来、事務所は休みなのだが、今日は臨時に開けている。
もっとも、仕事の依頼などは無いだろうがな。
白井の動向を調査している善場主任から何か連絡があるかもしれないと思い、それだけで待機しているのだ。
事務所のテレビで情報番組を観ていると、ロシアのウクライナ侵攻の他、国内では日本アンブレラの白井伝三郎が事故死したことも取り上げられていた。
で、やはり車をぶつけた高橋とパールのことについては、全く取り上げられていない。
ワイドナショーなら取り上げられるかもと思っていたのだが、あくまで『暴走車を運転していた20代男性』とか、『暴走車に乗っていた20代男女』といった感じで、実名が挙げられることはなかった。
逮捕されなかったらそうかもしれないが、実際に逮捕されているわけだし、少年法で守られている少年でもないのだから、実名を挙げられてもおかしくない。
にも関わらず、伏せられているということは……。
こういう所からも、日本の政治の闇を見られるのである。
もっとも、今回はその闇に助けられた側であるが……。
愛原:「ん?」
その時、事務所の外からエレベーターがやってきた音が聞こえた。
エレベーターはチャイムやアナウンスが付いているので、案外聞こえるものだ。
そして、ドアの外からインターホンが押された。
高橋やリサなら、開けてそのまま入って来る。
また、善場主任なら、来る前にいつも一報入れて来る。
ということは、クライアントか何かだろうか?
私がインターホンの画面を見ると、そこにいたのは、栗原蓮華さんだった。
愛原:「はい、どうぞ?」
私が出迎えると、日曜日であるにも関わらず、制服姿の蓮華さんがいた。
栗原蓮華:「失礼します」
愛原:「どうしたの?こんな日曜日に……」
蓮華:「先生の御宅に電話したら、事務所にいらっしゃるということでしたので、こちらにお邪魔しました。まず、リサの修学旅行の時の祖父の態度について、一言謝罪をと……」
愛原:「ああ!そんなこともあったね!いいよいいよ、気にしなくて。リサにとっても、油断してはならないと、いい勉強になっただろう」
蓮華:「一族にとっては、例え人食いをしていなくても、鬼は鬼ですので、調伏の対象になります。ただ、政府からの命令となると、従わざるを得ません」
愛原:「さすがの鬼斬り一族も、お上には逆らえないか」
蓮華:「ええ。江戸時代は幕府、それ以前は朝廷からの依頼で鬼斬りをしていましたので、一族としてはそういうことになっているのです」
明治政府以降は、お払い箱になったようだな。
現代においても、今は政府が諜報機関を作って直々にやっている。
民間に余計な武力を持たせることは、国乱れるきっかけになると政府は思っているようだ。
蓮華:「もっとも、あいつが人喰いをした場合はこの限りではありませんが」
愛原:「政府からも、鬼斬りからも追われることになる。リサには、改めて警告しておくよ」
蓮華:「はい。それと、私がここに来たのはもう1つあります」
愛原:「もう1つ?」
すると、蓮華さんは深々と頭を下げた。
蓮華:「霧生市の家族の仇、討って頂いてありがとうございました」
愛原:「ええっ!?」
蓮華:「霧生市のバイオハザードの事件の大元は、白井伝三郎にあるそうですね?」
愛原:「白井が霧生開発センターのセンター長だったらしいから、立場上の責任は十分にあるね」
もっとも、直接所内で暴れてバイオハザードを引き起こしたのは、『2番』のリサを含む日本版リサ・トレヴァー達だ。
ただ、『2番』のリサがどれだけ暴れたのかは不明で、しかも他のリサ・トレヴァーみたいに町に繰り出して暴れたわけではない。
蓮華さんにとって、直接の仇は『1番』のリサ・トレヴァーである。
『2番』のリサだけが所内に居残り、タイラントを従えて私達と対峙している。
白井にとって、リサ達もまた単なる実験動物の1つに過ぎなかっただろうが、しかし管理責任は所長として追う義務があるだろう。
管理不行き届きでリサ達を暴走させ、研究所から脱走させ、うち『1番』が蓮華さんの家族を食い殺した責任はやはりある。
蓮華:「愛原先生の追跡のおかげです。これで、家族に報告できます」
愛原:「俺は何もしていないよ。白井に直接手を下したのは、うちの高橋だ。もしどうしても礼を言いたいのなら、高橋に言いなよ」
蓮華:「先生は責任者ですので……」
愛原:「まあ、な」
蓮華:「どうして白井は、羽田空港の近くに?」
愛原:「それは今、調査中だよ。なーに、政府機関が直々に調査しているんだ。そのうち分かるよ」
蓮華:「これで、霧生市に戻れるようになりそうですか?」
愛原:「いや、分からんね。俺の立場からは、まだ何とも言えない」
蓮華:「そうですか」
しばらく話していると、家の掃除を終えた高橋とリサがやってきた。
蓮華さんは改めて、高橋にも礼を言った。
尚、リサは蓮華さんがいることに眉を潜めた。
だが、学校では先輩な上、鬼の首を斬れる刀を持っている蓮華さんを怒らせるわけにはいかず、リサは黙っていた。
高橋:「お、俺のギャンブル運が当たっただけだ!大したことねーよ!は、は、は……」
リサ:「先生、それより事務所の掃除するから」
愛原:「おっ、そうだったな」
蓮華:「掃除されるんですか?私にも手伝わせてください」
愛原:「いや、部外者に手伝わせるわけには……」
蓮華:「いいんです!掃除は家でよくやっていますから!」
リサ:「制服じゃ、やりにくいよ?センパイ」
蓮華:「こんなこともあろうかと、ジャージを持って来てる。ちょっと、着替えてきますので」
愛原:「あ、ああ」
リサ:「ブルマに穿き替えないとダメだよ?」
蓮華:「ブルマ?何で?私、陸上部じゃないから持ってないよ?剣道部だし」
リサ:「知ってる。先生がそういう趣……」
愛原:「リサぁっ!ちょっと黙ってろ!!蓮華さん、何でもない。何でもないんだ。そこの応接室で着替えておいで」
蓮華:「分かりました」
蓮華さんは応接室に向かった。
向かう時、左足の義足からカチャカチャと金属音が聞こえて来た。
蓮華さんも『1番』に左足を食い千切られた。
他の家族と同様、食い殺されるところだったが、すんでの所でBSAAの介入があり、救助されている。
そして、『1番』と他のアンブレラ関係者への復讐の為、義足をわざと隠さず見せて歩いている。
今はもう、その必要は無くなったはずだが……。
私の名前愛原学。
都内で小さな探偵事務所を営んでいる。
日曜日は本来、事務所は休みなのだが、今日は臨時に開けている。
もっとも、仕事の依頼などは無いだろうがな。
白井の動向を調査している善場主任から何か連絡があるかもしれないと思い、それだけで待機しているのだ。
事務所のテレビで情報番組を観ていると、ロシアのウクライナ侵攻の他、国内では日本アンブレラの白井伝三郎が事故死したことも取り上げられていた。
で、やはり車をぶつけた高橋とパールのことについては、全く取り上げられていない。
ワイドナショーなら取り上げられるかもと思っていたのだが、あくまで『暴走車を運転していた20代男性』とか、『暴走車に乗っていた20代男女』といった感じで、実名が挙げられることはなかった。
逮捕されなかったらそうかもしれないが、実際に逮捕されているわけだし、少年法で守られている少年でもないのだから、実名を挙げられてもおかしくない。
にも関わらず、伏せられているということは……。
こういう所からも、日本の政治の闇を見られるのである。
もっとも、今回はその闇に助けられた側であるが……。
愛原:「ん?」
その時、事務所の外からエレベーターがやってきた音が聞こえた。
エレベーターはチャイムやアナウンスが付いているので、案外聞こえるものだ。
そして、ドアの外からインターホンが押された。
高橋やリサなら、開けてそのまま入って来る。
また、善場主任なら、来る前にいつも一報入れて来る。
ということは、クライアントか何かだろうか?
私がインターホンの画面を見ると、そこにいたのは、栗原蓮華さんだった。
愛原:「はい、どうぞ?」
私が出迎えると、日曜日であるにも関わらず、制服姿の蓮華さんがいた。
栗原蓮華:「失礼します」
愛原:「どうしたの?こんな日曜日に……」
蓮華:「先生の御宅に電話したら、事務所にいらっしゃるということでしたので、こちらにお邪魔しました。まず、リサの修学旅行の時の祖父の態度について、一言謝罪をと……」
愛原:「ああ!そんなこともあったね!いいよいいよ、気にしなくて。リサにとっても、油断してはならないと、いい勉強になっただろう」
蓮華:「一族にとっては、例え人食いをしていなくても、鬼は鬼ですので、調伏の対象になります。ただ、政府からの命令となると、従わざるを得ません」
愛原:「さすがの鬼斬り一族も、お上には逆らえないか」
蓮華:「ええ。江戸時代は幕府、それ以前は朝廷からの依頼で鬼斬りをしていましたので、一族としてはそういうことになっているのです」
明治政府以降は、お払い箱になったようだな。
現代においても、今は政府が諜報機関を作って直々にやっている。
民間に余計な武力を持たせることは、国乱れるきっかけになると政府は思っているようだ。
蓮華:「もっとも、あいつが人喰いをした場合はこの限りではありませんが」
愛原:「政府からも、鬼斬りからも追われることになる。リサには、改めて警告しておくよ」
蓮華:「はい。それと、私がここに来たのはもう1つあります」
愛原:「もう1つ?」
すると、蓮華さんは深々と頭を下げた。
蓮華:「霧生市の家族の仇、討って頂いてありがとうございました」
愛原:「ええっ!?」
蓮華:「霧生市のバイオハザードの事件の大元は、白井伝三郎にあるそうですね?」
愛原:「白井が霧生開発センターのセンター長だったらしいから、立場上の責任は十分にあるね」
もっとも、直接所内で暴れてバイオハザードを引き起こしたのは、『2番』のリサを含む日本版リサ・トレヴァー達だ。
ただ、『2番』のリサがどれだけ暴れたのかは不明で、しかも他のリサ・トレヴァーみたいに町に繰り出して暴れたわけではない。
蓮華さんにとって、直接の仇は『1番』のリサ・トレヴァーである。
『2番』のリサだけが所内に居残り、タイラントを従えて私達と対峙している。
白井にとって、リサ達もまた単なる実験動物の1つに過ぎなかっただろうが、しかし管理責任は所長として追う義務があるだろう。
管理不行き届きでリサ達を暴走させ、研究所から脱走させ、うち『1番』が蓮華さんの家族を食い殺した責任はやはりある。
蓮華:「愛原先生の追跡のおかげです。これで、家族に報告できます」
愛原:「俺は何もしていないよ。白井に直接手を下したのは、うちの高橋だ。もしどうしても礼を言いたいのなら、高橋に言いなよ」
蓮華:「先生は責任者ですので……」
愛原:「まあ、な」
蓮華:「どうして白井は、羽田空港の近くに?」
愛原:「それは今、調査中だよ。なーに、政府機関が直々に調査しているんだ。そのうち分かるよ」
蓮華:「これで、霧生市に戻れるようになりそうですか?」
愛原:「いや、分からんね。俺の立場からは、まだ何とも言えない」
蓮華:「そうですか」
しばらく話していると、家の掃除を終えた高橋とリサがやってきた。
蓮華さんは改めて、高橋にも礼を言った。
尚、リサは蓮華さんがいることに眉を潜めた。
だが、学校では先輩な上、鬼の首を斬れる刀を持っている蓮華さんを怒らせるわけにはいかず、リサは黙っていた。
高橋:「お、俺のギャンブル運が当たっただけだ!大したことねーよ!は、は、は……」
リサ:「先生、それより事務所の掃除するから」
愛原:「おっ、そうだったな」
蓮華:「掃除されるんですか?私にも手伝わせてください」
愛原:「いや、部外者に手伝わせるわけには……」
蓮華:「いいんです!掃除は家でよくやっていますから!」
リサ:「制服じゃ、やりにくいよ?センパイ」
蓮華:「こんなこともあろうかと、ジャージを持って来てる。ちょっと、着替えてきますので」
愛原:「あ、ああ」
リサ:「ブルマに穿き替えないとダメだよ?」
蓮華:「ブルマ?何で?私、陸上部じゃないから持ってないよ?剣道部だし」
リサ:「知ってる。先生がそういう趣……」
愛原:「リサぁっ!ちょっと黙ってろ!!蓮華さん、何でもない。何でもないんだ。そこの応接室で着替えておいで」
蓮華:「分かりました」
蓮華さんは応接室に向かった。
向かう時、左足の義足からカチャカチャと金属音が聞こえて来た。
蓮華さんも『1番』に左足を食い千切られた。
他の家族と同様、食い殺されるところだったが、すんでの所でBSAAの介入があり、救助されている。
そして、『1番』と他のアンブレラ関係者への復讐の為、義足をわざと隠さず見せて歩いている。
今はもう、その必要は無くなったはずだが……。