報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「BOWは人肉と人血を好む」

2022-07-07 20:05:11 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月14日18:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 愛原:「ほお……。今日は中華か」
 高橋:「最近、食ってないなと思いまして」
 愛原:「そりゃ確かに」

 中華はリサが食べれなくなった豚肉を多く使うので、御法度ではないかと思われるが……。
 御飯はチャーハン。
 メインはホットプレートを出して来て、餃子パーティーといった感じだった。
 どうも今日はスーパーで、冷凍餃子とかの特売をやっていたらしい。
 しかしまあ、チャーハンといい、ギョーザといい、春巻といい……。
 全部、冷凍食品で売っている品目なんだよな。
 いや、キッチンから聞こえてくる音や高橋の動きからして、冷凍食品はギョーザだけで、チャーハンや春巻はちゃんとフライパンを使っていたのは分かるが(春巻は予め生の状態で出来上がっていて、あとは家で揚げるだけの状態の、パック入りのヤツだろう)。

 高橋:「じゃあ、焼きます」
 愛原:「よろ!」
 リサ:「よろ!」

 食欲自体は戻ったリサ。
 馬肉なら沢山食べても大丈夫だということで、それが彼女に対する自信にも繋がったのだろう。
 しかし、さっき言っていたのは、『血も吸いたい』ということだった。
 仕方ないので、風呂上がりのマッサージで、老廃物除去の名目で少し吸わせてあげよう。
 触手を足のツボに突き刺して、溜まっている老廃物を吸い取るのだが、どうしてもついでに血液も吸い取る形になるので。
 “ベタな吸血鬼の法則”のように、鋭い牙で噛み付くわけではない。

 高橋:「先生、ビールをどうぞ」
 愛原:「ありがとう」

 私は高橋から缶ビールを受け取った。
 リサは2リットルのペットボトル入りの麦茶をコップに注いでいる。
 私がビールを飲むので、同じ麦繋がりで麦茶を飲むのだそうだ。

 リサ:「あと2年で大人かぁ……」
 愛原:「ん?」
 リサ:「ん?」
 愛原:「オマエ、まだ16だろ?」
 リサ:「だから、あと2年」
 愛原:「いや、酒とタバコは相変わらず20歳からだよ」
 リサ:「ええーっ!?」
 愛原:「残念だったな」

 こういうことも学校で襲わるはずなのだが、知らないフリしていたのか?

 愛原:「食べ終わったら、口が臭くならないように、歯磨きしような」
 高橋:「うっス」
 リサ:「うっス」

[同日21:00.天候:晴 愛原のマンション]

 そういえばギョーザにも多少の豚肉くらいは入っていたと思うが、それくらいなら平気なのか、リサは体調を悪くすることはなかった。
 いつもなら風呂上がりに、またビールを一缶空けるのだが、今回はリサの麦茶一杯にしておいた。
 またビールを飲んだことで、リサが酔い潰れたりしたら大変だからだ。

 リサ:「『日本版リサ・トレヴァーの足つぼマッサージ屋さん』へようこそ!」
 高橋:「『日本版リサ・トレヴァーのいかがわしいJKリフレ』の間違いだろ?」

 私が風呂から上がると、リサは体操服に緑色のブルマーに着替えていた。

 愛原:「ま、まあ、とにかく頼むよ」

 いつもの通り、リサの部屋で行うことになった。
 尚、リサの机の上には、中等部代替修学旅行で撮った写真が飾られている。
 同行のカメラマンが撮影したものを購入した他、自分で撮影した画像をプリントアウトした物を飾っている。
 後者の中には、同室の同級生達で着た体操服とブルマ姿の写真があった。
 リサ以外の3人は、恥ずかしそうにブルマを上の体操服で隠そうとしている。

 リサ:「こっちに来て。わたしのベッドに座って」
 愛原:「あいよ」
 リサ:「どこがお疲れですか?」
 愛原:「えーと、肩と腰……」
 リサ:「先生は足と股関節が疲れてますね。分かりました」
 愛原:「だから、オマエが決めるんかいw」

 ん?股関節?

 リサ:「それでは、うつ伏せに寝てください」
 愛原:「はーい」

 私はリサの枕を抱えるようにして、うつ伏せに寝た。

 リサ:「それでは頂き……始めます」

 今、『頂きます』って言おうとしなかったか?

 愛原:「食うなよ?」
 リサ:「吸うだけでーす」

 最初はクリームを塗って、肌を痛めないように保護する所から始まる。
 で、最初は普通のマッサージ。
 足のどこに老廃物が溜まっているか、施術者は見た目だけでは分からない為、まずは軽く揉んだり摩ったりして、その場所を確認する。
 だいたいが硬くなっていたり、ゴリゴリとしたりするので、そこは分かりやすい。

 リサ:「やっぱり右足の肝臓の反射区辺りがお疲れですね。お酒の飲み過ぎです」
 愛原:「な、何かスイマセン」

 リサにグリグリされているのだが、右足の裏にだけあるという肝臓の反射区は全く痛みを感じない。
 健康な肝臓だと痛気持ちいい反応になり、何らかの異常を抱えている場合は何の痛みも感じなかったり、逆に痛みしか感じなかったりするのだそうだ。

 リサ:「老廃物が溜まっている証拠です。でも、安心してください。わたしが吸い出してあげます」
 愛原:「ううっ……」

 ふと顔を上げると、リサの机の上には鏡が置いてあり、私の後ろで足を揉んでいるリサの姿が見えた。
 リサは既に第1形態に戻っていた。
 長く尖った爪が引っ掛かったりしないかと心配になるが、上手いこと当たらないようにしていた。

 リサ:「今、吸い取ってますよ。本当に先生のドロドロとした血液、美味しい……です……」

 リサは恍惚とした顔になって言った。

 愛原:「ドロドロしてるって、それは本当はマズいんだよな」
 リサ:「大丈夫。わたしが老廃物を吸い出して、サラサラの血液にしてあげる」

 そこで私は、こんなことを考えた。
 吸血鬼って、ドロドロの血液とサラサラの血液、どちらが好きなのだろうと。
 リサはどうやら、ドロドロの方が好きみたいだが……。

 リサ:「先生、ここもゴリゴリしてる」
 愛原:「いや、ハハハ……」
 リサ:「ここも。……ここも」

 あー、何か気持ちいい。
 このまま寝ちゃいそうだ……。

 リサ:「先生、寝ちゃダメ!これからがいいトコロ!」
 愛原:「いででででっ!?えっ、ダメなの!?」

 このセラピストは、厳しいのだった。

 リサ:「フフ……。先生の老廃物と血液を吸い取ったおかげで、また体質が変わりそう……」
 愛原:「大丈夫なのかよ?」
 リサ:「大丈夫。きっと先生好みのBOWに変わるよ」
 愛原:「いや、俺は今のままでいいんだがな!」
 リサ:「冗談だよ」
コメント
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