[5月13日16:30.天候:曇 東京都中央区日本橋某 某診療所]
医師:「今回の診断結果についての診断書は、後ほど作成してデイライトさんに送付致します。いいですか?くれぐれも落胆なさらぬよう……」
そんな話で締めくくられて、リサに対する検診に終わった。
検診というか、健診のようなものだったが。
今回の件に関する費用は、全てデイライトさん持ちということもあり、私達はそのまま帰って良かった。
高橋:「先生、サーセン、遅くなっちゃって……。駐車場探してたら、昔世話ンなったオマワリ……いや、刑事に見つかっちゃって……」
高橋は私とリサの帰り際、ようやく合流してきた。
愛原:「何だ?また捕まったのか?」
高橋:「いやいや!もしそうなら、ここに来れないっスよ!ただの世間話っス!少年課の刑事なんで、俺の後輩の後輩で悪いことやっているヤツがいて、そいつを知らないかとか、あとは俺が今何やってんのかとか、そんな所っス」
愛原:「ふーん……まあいいや」
ピーンポーン♪(エレベーターが到着するチャイム)
診療所を出た後、私達はエレベーターに乗り込んだ。
リサが先に乗り込んで、1階のボタンを押す。
エレベーターには他に誰も乗っておらず、エレベーターは下に降りて行った。
愛原:「それで車は?」
高橋:「幸い刑事と駄弁ってる間に、ちょうどビルの前の通りのパーキングメーターが空いたんで、そこに止めました」
愛原:「そうか。領収書は?」
高橋:「あ、もちろん、ここに」
愛原:「よし。後で経費で払うよ」
高橋:「あざっス!」
ピーンポーン♪
エレベーターが1階に着いて、私達は広いエントランスホールを歩く。
リサ:「先生、喉乾いた。何か、飲み物買っていい?」
愛原:「ああ、いいよ。確か、ビルの外に自販機があったな。そこで買えばいい」
ビルの外に出ると、確かに大通りの上にあるパーキングメーターの前に、車が止まっていた。
愛原:「なるほど。いい所に止まったな」
高橋:「でしょー?」
私はリサに小銭入れを渡して、飲み物を買いに行かせた。
愛原:「なあ、高橋」
高橋:「何スか?」
愛原:「今夜の晩飯なんだけど……」
高橋:「何がいいっスか?」
愛原:「肉系がいいんだけど、なるべくサッパリしたもので頼む」
高橋:「肉系でサッパリっスか?……了解っス」
愛原:「頼むぞ」
リサはすぐにペットポドルのジュースを買って戻って来た。
ゾンビやクリーチャーなら、壊して中身を取ろうとするが、リサはまだ暴走していない。
いや、暴走したら多分言葉も話せなくなる。
[同日17:00.天候:雨 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]
車に乗って移動中に、雨が降り出して来た。
愛原:「俺は事務作業があるから、事務所に行くけど、リサはどうする?」
リサ:「私も事務所に行く」
愛原:「家に帰って、休んでた方がいいんじゃないか?」
リサ:「ううん。わたしも、事務所にいたい」
リサが強く希望したので、叶えてやることにした。
高橋は事務所のビルの前で車を止めた。
高橋:「それじゃ先生、俺は先に帰ってますんで」
愛原:「ああ。多分、事務作業があるから、19時くらいになると思う」
高橋:「了解っス」
雨が降っていたので、私とリサは急いでビルの中に入った。
そして、先ほどのビルのよりも明らかに小さなエレベーターに乗って、事務所のあるフロアに向かう。
愛原:「リサはどうするんだ?」
事務所に入ってから、私は改めて聞いた。
リサ:「……少し休んでるね。そこの応接室で」
愛原:「オマエなぁ……」
だったら帰れば良かったのにと思ったのだが……。
まあ、いいや。
リサは応接室に入って行った。
応接室の3人用ソファはカウチタイプになっており、もしも事務所に泊まり込むようなことがあれば、あれをベッドにすることができる。
リサもそうして休むつもりだろう。
17時と言えば、もう役所は窓口を閉める時間である。
なので私も、形式的には17時以降の報告は緊急時以外メールでするようにしている。
医師の診断書も当日中にはできないだろうから、来週以降になるはずだ。
その辺も含めて報告書に記載し、メールでデイライト東京事務所の善場主任のPCに送るのである。
紙での報告書が良ければ、後ほど印刷して持って行けば良い。
しかし、マズいことになった。
やはり、リサも他人事ではなかったのだ。
リサもまた、他の日本版リサ・トレヴァー達と同じ末路に晒されていたのである。
不幸中の幸いなのは、その末路へ向かうスピードが遅いこと。
だが、油断はできない。
何かしらのきっかけで、いきなりスピードアップするかもしれないのだ。
愛原:「ん?」
メールを送ってから5分としないうちに、事務所の固定電話が掛かって来た。
モニタを見ると、デイライトからだった。
恐らく、善場主任だろう。
愛原:「はい、もしもし」
善場:「愛原所長、お疲れさまです。善場です」
案の定、善場主任だった。
愛原:「善場主任、お疲れさまです」
善場:「ざっとですが、メールの方、拝見しました。リサは今、どちらに?」
愛原:「事務所です。今、応接室で休んでいます」
善場:「今は特に具合が悪いというわけではないのですね?」
愛原:「そうですね。今のところは……」
善場:「分かりました。所長、日本版リサ・トレヴァーの暴走を防止する為には、食欲を満たせさせなければなりません」
愛原:「分かっています。しかし、『1番』が急激にそうなったように、『2番』のリサも徐々にですが、普通の食事を受け付けなくなりつつあります」
善場:「食べれない食肉は無いのですか?」
愛原:「今のところ牛肉と豚肉がダメになったようです。鶏肉はまだサッパリしているのか、それはまだ食べれるようです」
善場:「分かりました。要は脂分の少ない肉なら、受け付けるということですね」
愛原:「恐らく……今のところは」
善場:「今夜のメニューは何ですか?」
愛原:「高橋に聞かないと分かりませんが、一応、肉系を中心にしたサッパリした料理を作るように言ってあります」
善場:「分かりました。まずは、それで試してみてください。もしそのような料理も受け付けなくなったというのでしたら、また御連絡ください。夜間でも構いませんので」
愛原:「分かりました」
善場:「あと、私に考えがあります。所長、明日は時間がありますか?」
愛原:「ええ、まあ……」
善場:「明日、また改めて御連絡致します」
電話連絡は終わった。
まだ、他のクライアントに対する報告書の作成ができていなかったので、それをしてから帰ることにした。
それも含めて、1時間ぐらいは残業しないといけないという計算だ。
因みに私は経営者なので、残業代が出ることはない(高橋が残業したら、残業代を出す立場である)。
医師:「今回の診断結果についての診断書は、後ほど作成してデイライトさんに送付致します。いいですか?くれぐれも落胆なさらぬよう……」
そんな話で締めくくられて、リサに対する検診に終わった。
検診というか、健診のようなものだったが。
今回の件に関する費用は、全てデイライトさん持ちということもあり、私達はそのまま帰って良かった。
高橋:「先生、サーセン、遅くなっちゃって……。駐車場探してたら、昔世話ンなったオマワリ……いや、刑事に見つかっちゃって……」
高橋は私とリサの帰り際、ようやく合流してきた。
愛原:「何だ?また捕まったのか?」
高橋:「いやいや!もしそうなら、ここに来れないっスよ!ただの世間話っス!少年課の刑事なんで、俺の後輩の後輩で悪いことやっているヤツがいて、そいつを知らないかとか、あとは俺が今何やってんのかとか、そんな所っス」
愛原:「ふーん……まあいいや」
ピーンポーン♪(エレベーターが到着するチャイム)
診療所を出た後、私達はエレベーターに乗り込んだ。
リサが先に乗り込んで、1階のボタンを押す。
エレベーターには他に誰も乗っておらず、エレベーターは下に降りて行った。
愛原:「それで車は?」
高橋:「幸い刑事と駄弁ってる間に、ちょうどビルの前の通りのパーキングメーターが空いたんで、そこに止めました」
愛原:「そうか。領収書は?」
高橋:「あ、もちろん、ここに」
愛原:「よし。後で経費で払うよ」
高橋:「あざっス!」
ピーンポーン♪
エレベーターが1階に着いて、私達は広いエントランスホールを歩く。
リサ:「先生、喉乾いた。何か、飲み物買っていい?」
愛原:「ああ、いいよ。確か、ビルの外に自販機があったな。そこで買えばいい」
ビルの外に出ると、確かに大通りの上にあるパーキングメーターの前に、車が止まっていた。
愛原:「なるほど。いい所に止まったな」
高橋:「でしょー?」
私はリサに小銭入れを渡して、飲み物を買いに行かせた。
愛原:「なあ、高橋」
高橋:「何スか?」
愛原:「今夜の晩飯なんだけど……」
高橋:「何がいいっスか?」
愛原:「肉系がいいんだけど、なるべくサッパリしたもので頼む」
高橋:「肉系でサッパリっスか?……了解っス」
愛原:「頼むぞ」
リサはすぐにペットポドルのジュースを買って戻って来た。
ゾンビやクリーチャーなら、壊して中身を取ろうとするが、リサはまだ暴走していない。
いや、暴走したら多分言葉も話せなくなる。
[同日17:00.天候:雨 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]
車に乗って移動中に、雨が降り出して来た。
愛原:「俺は事務作業があるから、事務所に行くけど、リサはどうする?」
リサ:「私も事務所に行く」
愛原:「家に帰って、休んでた方がいいんじゃないか?」
リサ:「ううん。わたしも、事務所にいたい」
リサが強く希望したので、叶えてやることにした。
高橋は事務所のビルの前で車を止めた。
高橋:「それじゃ先生、俺は先に帰ってますんで」
愛原:「ああ。多分、事務作業があるから、19時くらいになると思う」
高橋:「了解っス」
雨が降っていたので、私とリサは急いでビルの中に入った。
そして、先ほどのビルのよりも明らかに小さなエレベーターに乗って、事務所のあるフロアに向かう。
愛原:「リサはどうするんだ?」
事務所に入ってから、私は改めて聞いた。
リサ:「……少し休んでるね。そこの応接室で」
愛原:「オマエなぁ……」
だったら帰れば良かったのにと思ったのだが……。
まあ、いいや。
リサは応接室に入って行った。
応接室の3人用ソファはカウチタイプになっており、もしも事務所に泊まり込むようなことがあれば、あれをベッドにすることができる。
リサもそうして休むつもりだろう。
17時と言えば、もう役所は窓口を閉める時間である。
なので私も、形式的には17時以降の報告は緊急時以外メールでするようにしている。
医師の診断書も当日中にはできないだろうから、来週以降になるはずだ。
その辺も含めて報告書に記載し、メールでデイライト東京事務所の善場主任のPCに送るのである。
紙での報告書が良ければ、後ほど印刷して持って行けば良い。
しかし、マズいことになった。
やはり、リサも他人事ではなかったのだ。
リサもまた、他の日本版リサ・トレヴァー達と同じ末路に晒されていたのである。
不幸中の幸いなのは、その末路へ向かうスピードが遅いこと。
だが、油断はできない。
何かしらのきっかけで、いきなりスピードアップするかもしれないのだ。
愛原:「ん?」
メールを送ってから5分としないうちに、事務所の固定電話が掛かって来た。
モニタを見ると、デイライトからだった。
恐らく、善場主任だろう。
愛原:「はい、もしもし」
善場:「愛原所長、お疲れさまです。善場です」
案の定、善場主任だった。
愛原:「善場主任、お疲れさまです」
善場:「ざっとですが、メールの方、拝見しました。リサは今、どちらに?」
愛原:「事務所です。今、応接室で休んでいます」
善場:「今は特に具合が悪いというわけではないのですね?」
愛原:「そうですね。今のところは……」
善場:「分かりました。所長、日本版リサ・トレヴァーの暴走を防止する為には、食欲を満たせさせなければなりません」
愛原:「分かっています。しかし、『1番』が急激にそうなったように、『2番』のリサも徐々にですが、普通の食事を受け付けなくなりつつあります」
善場:「食べれない食肉は無いのですか?」
愛原:「今のところ牛肉と豚肉がダメになったようです。鶏肉はまだサッパリしているのか、それはまだ食べれるようです」
善場:「分かりました。要は脂分の少ない肉なら、受け付けるということですね」
愛原:「恐らく……今のところは」
善場:「今夜のメニューは何ですか?」
愛原:「高橋に聞かないと分かりませんが、一応、肉系を中心にしたサッパリした料理を作るように言ってあります」
善場:「分かりました。まずは、それで試してみてください。もしそのような料理も受け付けなくなったというのでしたら、また御連絡ください。夜間でも構いませんので」
愛原:「分かりました」
善場:「あと、私に考えがあります。所長、明日は時間がありますか?」
愛原:「ええ、まあ……」
善場:「明日、また改めて御連絡致します」
電話連絡は終わった。
まだ、他のクライアントに対する報告書の作成ができていなかったので、それをしてから帰ることにした。
それも含めて、1時間ぐらいは残業しないといけないという計算だ。
因みに私は経営者なので、残業代が出ることはない(高橋が残業したら、残業代を出す立場である)。