[7月13日13:20.天候:曇 東京都大田区羽田空港 東京国際空港第1ターミナル]
バスはほぼダイヤ通りに羽田空港第1ターミナルに到着した。
バスが停車すると、待ち構えていた係員が荷物室のハッチを開けて、乗客の荷物を降ろしている。
運転手:「ご乗車ありがとうございました。羽田空港第1ターミナルに到着です」
アメリカ人乗客:「運転してくれてありがとう!御礼に1ドルやるよ!受け取ってくれ!」(←と、英語で言っている)
運転手:「ああ、お客様、日本ではチップは要りませんよ!大丈夫です!お気遣い、ありがとうございます!」
アメリカ人:「Oh!」
マリア:「Oh……」
勇太:「いや、マリアは知ってるでしょ!?永住者!」
アメリカにおける空港シャトルバスは、その性質によってはチップを払わなければならない。
但し、この日本のエアポートリムジンのように、公共の『路線バス』として運転されている場合はチップは不要である。
アメリカ人:「本当に要らないのかい!?まるで、本当のリムジンのようなサービスをしてくれたのに!」
運転手:「お気をつけて行ってらっしゃいませー」
マリア:「ドライバーと、うちの日本人ガイドがいいって言ってるんだから、いいんだよ。早く降りろ、ゴリラ」(←と、英語で言っている)
マリア、日本語では硬い喋り方なのだが、英語だと辛辣である。
こういう事は、特にハリウッド映画なんかでも見られる。
日本語吹き替え版だと比較的柔らかな表現に訳されているのだが、字幕スーパー版だと【お察しください】(但し、それでもまだ柔らかい表現に和訳されているという)。
“バイオハザードシリーズ”の主人公格であるクレア・レッドフィールドやレオン・S・ケネディ、最近ではイーサン・ウィンターズがこれに当たる(英語だと明らかに『死ねや、クソ野郎!』とか言ってるのに、字幕では『覚えてやがれ!』とかになってる)。
アメリカ人:「Sorry,miss.(悪いな、嬢ちゃん)」
バスを降りて、ターミナルの中に入る。
マリア:「もうお昼を過ぎた。何かランチでも食べよう」
勇太:「そうだね。何がいい?」
マリア:「勇太のオススメ。多分、日本食になるだろうけど」
勇太:「分かった。じゃあ、そうしよう」
2人が向かった先は……。
[同日13:45.天候:曇 同ターミナル・マーケットプレイスB1F てんや]
カウンター席に2人で並んで座る。
マリア:「天ぷらか。なかなかいいのチョイスしたじゃない」
勇太:「きっと魔界じゃ、食べれないと思ってね」
マリア:「探せばこういう店あると思うけど、なかなかな。……あ、でもイブキの家に行けば、食べれるんじゃない?」
勇太:「わざわざ天ぷら食べに行くのも、どうかと思うよ」
てんやと言えば天丼であるが、2人はあえて天丼ではなく、定食を注文した。
マリア:「勇太の家ですき焼き御馳走になって、ここで天ぷら食べて……後は何だ?」
勇太:「寿司でも食べる?」
マリア:「寿司……生魚か。遠慮しておくよ」
勇太:「あと、鰻重か鰻丼もあるよ」
マリア:「それだと予算オーバーにならない?」
勇太:「鰻、高いからなぁ……」
運ばれて来た天ぷら定食の天ぷらをサクサクと頬張る。
勇太:「魔界の安倍首相も日本人なんだから、日本食食べてると思うけどね」
マリア:「たまにだろ?基本的に、ブラッドプール女王の意向に従うはず」
もっとも、吸血鬼出身の女王は、普通の食事をしない。
首相以下、家臣達に美味い物を食べさせているのは、単にその分、美味い血液を提供せよとのことなのだ。
マリア:「羽田空港を経由するというアイディアは、私が提供した。ここからは、勇太のアイディアに任せるよ」
勇太:「ああ、任せてくれ。それはいいんだけど、1つ、懸念材料があるんだよなぁ……」
マリア:「懸念材料?」
[同日14:43.天候:不明 羽田空港第1・第2ターミナル駅→京浜急行電鉄空港線快特電車先頭車内]
昼食を終えた2人はトイレを済ませた後、京急線乗り場に向かった。
勇太:「この辺は地下を走るからいいんだけど、品川までは地上区間もあるから、そこでバレる恐れがあるんだよなぁ……」
入線してきた電車は、都営地下鉄の車両だった。
それも、旧型車両である。
現時点でそれは予備車として1編成残っているだけのはずだが、それが動員される何かがあったようだ。
始発駅なので、着席は容易だ。
取りあえず、ドア横の座席に隣り合って座る。
〔「ご案内致します。この電車は14時43分発、都営地下鉄浅草線、京成押上線直通、快特、京成高砂行きです。これから先、羽田空港第3ターミナル、蒲田、品川、泉岳寺の順に止まります。泉岳寺から先、都営浅草線内と京成押上線内は各駅に止まります。まもなく、発車致します」〕
マリアは魔道士のローブを羽織り、フードを深く被っている。
残念だが、これでは逆に目立つような気がして仕方が無い。
本当なら目立たないシャツとジーンズ、後はキャップでも被れば良いのではと思う。
だが、“魔の者”は魔道士の魔力を感じ取って、追い回すのだそうで、それを隠すにはローブの方が良いのだとマリアは言う。
しかし、視覚的には明らかに目立っている。
発車の時刻になり、ホームから発車ベルが鳴り響いた。
そして、ドアチャイムが鳴ってドアが閉まる。
当駅にはホームドアが無い為、ドアが閉まると、運転室から発車合図のブザーが聞こえて来た。
その後、ガチャッとハンドルを操作する音。
それから電車は走り出した。
尚、地下線内にいる為、運転室と客室との境の窓にはブラインドが下ろされている。
マリアが座っているドア横の席も、戸袋窓が無い為、外からは見えにくい席のはずである。
〔「ご乗車ありがとうございます。この電車は都営浅草線、京成押上線直通、快特、京成高砂行きです。次は羽田空港第3ターミナル、羽田空港第3ターミナルです」〕
旧型車両の為か、自動放送は搭載されていないようで、車掌の肉声放送が流れた。
勇太:「まず、最初の地下区間は天空橋駅まで」
天空橋駅の手前で電車は地上に出る。
しかし、次の大鳥居駅の手前でまた地下に潜り、大鳥居駅を出るとまた地上に出る。
後は品川駅まで地上区間となるので、この間、“魔の者”の目を誤魔化せれば良いのだが……。
バスはほぼダイヤ通りに羽田空港第1ターミナルに到着した。
バスが停車すると、待ち構えていた係員が荷物室のハッチを開けて、乗客の荷物を降ろしている。
運転手:「ご乗車ありがとうございました。羽田空港第1ターミナルに到着です」
アメリカ人乗客:「運転してくれてありがとう!御礼に1ドルやるよ!受け取ってくれ!」(←と、英語で言っている)
運転手:「ああ、お客様、日本ではチップは要りませんよ!大丈夫です!お気遣い、ありがとうございます!」
アメリカ人:「Oh!」
マリア:「Oh……」
勇太:「いや、マリアは知ってるでしょ!?永住者!」
アメリカにおける空港シャトルバスは、その性質によってはチップを払わなければならない。
但し、この日本のエアポートリムジンのように、公共の『路線バス』として運転されている場合はチップは不要である。
アメリカ人:「本当に要らないのかい!?まるで、本当のリムジンのようなサービスをしてくれたのに!」
運転手:「お気をつけて行ってらっしゃいませー」
マリア:「ドライバーと、うちの日本人ガイドがいいって言ってるんだから、いいんだよ。早く降りろ、ゴリラ」(←と、英語で言っている)
マリア、日本語では硬い喋り方なのだが、英語だと辛辣である。
こういう事は、特にハリウッド映画なんかでも見られる。
日本語吹き替え版だと比較的柔らかな表現に訳されているのだが、字幕スーパー版だと【お察しください】(但し、それでもまだ柔らかい表現に和訳されているという)。
“バイオハザードシリーズ”の主人公格であるクレア・レッドフィールドやレオン・S・ケネディ、最近ではイーサン・ウィンターズがこれに当たる(英語だと明らかに『死ねや、クソ野郎!』とか言ってるのに、字幕では『覚えてやがれ!』とかになってる)。
アメリカ人:「Sorry,miss.(悪いな、嬢ちゃん)」
バスを降りて、ターミナルの中に入る。
マリア:「もうお昼を過ぎた。何かランチでも食べよう」
勇太:「そうだね。何がいい?」
マリア:「勇太のオススメ。多分、日本食になるだろうけど」
勇太:「分かった。じゃあ、そうしよう」
2人が向かった先は……。
[同日13:45.天候:曇 同ターミナル・マーケットプレイスB1F てんや]
カウンター席に2人で並んで座る。
マリア:「天ぷらか。なかなかいいのチョイスしたじゃない」
勇太:「きっと魔界じゃ、食べれないと思ってね」
マリア:「探せばこういう店あると思うけど、なかなかな。……あ、でもイブキの家に行けば、食べれるんじゃない?」
勇太:「わざわざ天ぷら食べに行くのも、どうかと思うよ」
てんやと言えば天丼であるが、2人はあえて天丼ではなく、定食を注文した。
マリア:「勇太の家ですき焼き御馳走になって、ここで天ぷら食べて……後は何だ?」
勇太:「寿司でも食べる?」
マリア:「寿司……生魚か。遠慮しておくよ」
勇太:「あと、鰻重か鰻丼もあるよ」
マリア:「それだと予算オーバーにならない?」
勇太:「鰻、高いからなぁ……」
運ばれて来た天ぷら定食の天ぷらをサクサクと頬張る。
勇太:「魔界の安倍首相も日本人なんだから、日本食食べてると思うけどね」
マリア:「たまにだろ?基本的に、ブラッドプール女王の意向に従うはず」
もっとも、吸血鬼出身の女王は、普通の食事をしない。
首相以下、家臣達に美味い物を食べさせているのは、単にその分、美味い血液を提供せよとのことなのだ。
マリア:「羽田空港を経由するというアイディアは、私が提供した。ここからは、勇太のアイディアに任せるよ」
勇太:「ああ、任せてくれ。それはいいんだけど、1つ、懸念材料があるんだよなぁ……」
マリア:「懸念材料?」
[同日14:43.天候:不明 羽田空港第1・第2ターミナル駅→京浜急行電鉄空港線快特電車先頭車内]
昼食を終えた2人はトイレを済ませた後、京急線乗り場に向かった。
勇太:「この辺は地下を走るからいいんだけど、品川までは地上区間もあるから、そこでバレる恐れがあるんだよなぁ……」
入線してきた電車は、都営地下鉄の車両だった。
それも、旧型車両である。
現時点でそれは予備車として1編成残っているだけのはずだが、それが動員される何かがあったようだ。
始発駅なので、着席は容易だ。
取りあえず、ドア横の座席に隣り合って座る。
〔「ご案内致します。この電車は14時43分発、都営地下鉄浅草線、京成押上線直通、快特、京成高砂行きです。これから先、羽田空港第3ターミナル、蒲田、品川、泉岳寺の順に止まります。泉岳寺から先、都営浅草線内と京成押上線内は各駅に止まります。まもなく、発車致します」〕
マリアは魔道士のローブを羽織り、フードを深く被っている。
残念だが、これでは逆に目立つような気がして仕方が無い。
本当なら目立たないシャツとジーンズ、後はキャップでも被れば良いのではと思う。
だが、“魔の者”は魔道士の魔力を感じ取って、追い回すのだそうで、それを隠すにはローブの方が良いのだとマリアは言う。
しかし、視覚的には明らかに目立っている。
発車の時刻になり、ホームから発車ベルが鳴り響いた。
そして、ドアチャイムが鳴ってドアが閉まる。
当駅にはホームドアが無い為、ドアが閉まると、運転室から発車合図のブザーが聞こえて来た。
その後、ガチャッとハンドルを操作する音。
それから電車は走り出した。
尚、地下線内にいる為、運転室と客室との境の窓にはブラインドが下ろされている。
マリアが座っているドア横の席も、戸袋窓が無い為、外からは見えにくい席のはずである。
〔「ご乗車ありがとうございます。この電車は都営浅草線、京成押上線直通、快特、京成高砂行きです。次は羽田空港第3ターミナル、羽田空港第3ターミナルです」〕
旧型車両の為か、自動放送は搭載されていないようで、車掌の肉声放送が流れた。
勇太:「まず、最初の地下区間は天空橋駅まで」
天空橋駅の手前で電車は地上に出る。
しかし、次の大鳥居駅の手前でまた地下に潜り、大鳥居駅を出るとまた地上に出る。
後は品川駅まで地上区間となるので、この間、“魔の者”の目を誤魔化せれば良いのだが……。