[5月14日07:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今日は土曜日であるが、事務作業が少し残っているのと、善場主任が来るので、今日は事務所に行こうと思っている。
ので、今朝は普通の時間に起きた。
夜中にリサが暴走して襲って来ないかと心配になったが、そんなことは無かった。
また、逆に朝になっても起きて来ないのではないかとも思ったが……。
リサ:「おはよう……」
そんなことは無かった。
愛原:「おはよう。大丈夫か?」
リサ:「うん。大丈夫……ふあ……」
リサは欠伸をしながら部屋から出て来た。
第1形態に戻っているということもあり、欠伸をすると、牙が覗いた。
愛原:「今日は善場主任が来る日だから、事務所に行くぞ?」
リサ:「分かった」
朝食として高橋は、昨日の米の余りと味噌汁、焼き魚と玉子焼きを作っていた。
リサ:「いただきまーす」
リサは普通に食べたのだが、やっぱり普通だ。
いや、食べ方は普通ではない。
焼き魚というのは鮭であり、骨があるのだが、リサは骨までもバリボリ食べた。
変なのだが、これがリサにとっては通常運転であり、それを見てホッとする私がいるのも事実だ。
今現在も進行形で、暴走に向かっていることなど、とても信じられないくらいだ。
『1番』と違うのは、そのスピードはかなり遅いということ。
だから、今まで気づかなかったのかもしれない。
いや、油断していたというべきか。
しかし、幸いなのは、まだリサの異変がこうして目に見える形で表れてくれたこと。
もしも目に見えない形だったとしたら……すい臓がん等と同じで、気づいた時にはもう手遅れなんてことも有り得た(すい臓がんは自覚症状が殆ど無く、末期になってそれがようやく現れるという)。
愛原:「お代わりいるか?」
リサ:「うーん……いらない」
愛原:「そうか。要らないか」
リサ:「何だろうね。お腹は空いてるし、お兄ちゃんの料理は美味しいはずなんだけど……何かこう……『何か違う』って感じなの」
リサが本当の人食い鬼へと変化しつつあるのが分かる。
人食い鬼は、味覚がおかしくなり、普通の人間の料理が食べられなくなる。
最後には人間の血肉しか受け付けなくなるのだ。
『1番』は、急激にそうなったという。
愛原:「そうか……」
私は何とも言えなかった。
リサがそういう状態である理由を知っているし、このまま手をこまいねていたらどうなるのかも知っている。
リサ:「わたし、おかしくなっちゃうのかなぁ……」
高橋:「もう既に十分おかしいだろ」
愛原:「おい、高橋!」
高橋:「その自覚があるだけマシってもんだ。ガチの変人や精神異常者は、そんな自覚無ェし、それを他から指摘されても頑として否定しやがる。そういうことだ」
愛原:「いい事言うなぁ!」
高橋:「デヘヘヘ……!そうっスか?」(∀`*ゞ)
愛原:「照れんな!」
『あなたは宗教に洗脳されている』と言われて……。
ガチ勢…「そんなことは無い!」と、頑なに否定する。
エンジョイ勢…「いやあ、そうなんですよ。もう、すっかり洗脳されちゃって……」と、照れながら肯定する。
傍観勢…そもそもそんなことを指摘される機会が無い。
[同日11:30.天候:晴 同地区内 愛原学探偵事務所]
朝食を食べ終わって、9時頃に事務所に行った。
そこで行ったのは、昨夜作成したクライアントに対する報告書を郵送する作業。
クライアントの中にはメールではなく、紙の報告書で欲しいという所もあるので。
それを資料と共に、レターパックプラスに詰めて送るのである。
高橋:「ただいま戻りました」
この場合、ポストまで行って来るのは高橋の仕事。
事務所の向かい側にポストがあるので、そこに入れて来るだけだ。
愛原:「おう、お帰り」
昼前だと、回収は午後になるだろう。
そして、今日の所は東京中央郵便局に集められて、明日以降、クライアントの所に届くはずだ。
レターパックなら土休日でも配達してもらえるが、クライアントによっては、平日でないと受け取れなかったり、或いはその逆の所もある。
いずれにせよ、レターパックプラスなら、必ず郵便配達員が配達先のハンコかサインをもらうことになっているので、こちらもちゃんと届いたかどうかを確認することができる。
リサ:「先生、お昼はどうするの?」
リサは制服ではなく、私服を着ていた。
もっとも、部屋着のようなラフな格好ではなく、一応、下は黒いプリーツスカート、上はグレーのパーカーを羽織っている。
愛原:「それが、善場主任に任せろということだ」
リサ:「んん?」
そして、11時50分くらいになった時、事務所に電話が掛かって来た。
モニタを見ると、善場主任のスマホの番号だった。
愛原:「はい、もしもし。愛原です」
善場:「愛原所長、お疲れさまです。善場です」
愛原:「善場主任、お疲れさまです」
善場:「それではこれから昼食会場に御案内致しますので、下に降りて来て頂けませんか?新大橋通り側へお願いします」
愛原:「は、はい。分かりました」
私は電話を切った。
愛原:「善場主任が下でお待ちだ。行くぞ」
高橋:「うっス!あ、でも、リサがトイレっス」
愛原:「マジか!」
だが、リサはすぐ戻って来た。
リサ:「どうしたの?」
愛原:「善場主任が下まで来たそうだから、すぐ行くぞ」
リサ:「分かった」
私達は事務所を閉めると、エレベーターに乗った。
〔下へ参ります〕
〔ドアが閉まります〕
高橋:「こんな昼ギリギリってことは、近場っスかね?」
愛原:「いや、車で行くが、昼時は混むから、それを少し外すくらいのタイミングで着ける感じで行くんじゃないか?」
リサ:「食べれるかどうか分かんないけど、取りあえずお腹は空いた……」
〔1階でございます〕
エレベーターが1階に着く。
言われた通りエレベーターを降りると、駐車場側ではなく、新大橋通り側の出口から出た。
善場:「お疲れさまです。皆さん」
愛原:「善場主任」
善場:「それでは、昼食会場へご案内します。こちらへどうぞ」
愛原:「徒歩で行くんですか?」
善場:「そうです」
ということは、この近くなのか。
この近くに、リサが食べれそうな肉を提供する店があっただろうか?
あるとしたなら、灯台下暗しという諺通りだが……。
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今日は土曜日であるが、事務作業が少し残っているのと、善場主任が来るので、今日は事務所に行こうと思っている。
ので、今朝は普通の時間に起きた。
夜中にリサが暴走して襲って来ないかと心配になったが、そんなことは無かった。
また、逆に朝になっても起きて来ないのではないかとも思ったが……。
リサ:「おはよう……」
そんなことは無かった。
愛原:「おはよう。大丈夫か?」
リサ:「うん。大丈夫……ふあ……」
リサは欠伸をしながら部屋から出て来た。
第1形態に戻っているということもあり、欠伸をすると、牙が覗いた。
愛原:「今日は善場主任が来る日だから、事務所に行くぞ?」
リサ:「分かった」
朝食として高橋は、昨日の米の余りと味噌汁、焼き魚と玉子焼きを作っていた。
リサ:「いただきまーす」
リサは普通に食べたのだが、やっぱり普通だ。
いや、食べ方は普通ではない。
焼き魚というのは鮭であり、骨があるのだが、リサは骨までもバリボリ食べた。
変なのだが、これがリサにとっては通常運転であり、それを見てホッとする私がいるのも事実だ。
今現在も進行形で、暴走に向かっていることなど、とても信じられないくらいだ。
『1番』と違うのは、そのスピードはかなり遅いということ。
だから、今まで気づかなかったのかもしれない。
いや、油断していたというべきか。
しかし、幸いなのは、まだリサの異変がこうして目に見える形で表れてくれたこと。
もしも目に見えない形だったとしたら……すい臓がん等と同じで、気づいた時にはもう手遅れなんてことも有り得た(すい臓がんは自覚症状が殆ど無く、末期になってそれがようやく現れるという)。
愛原:「お代わりいるか?」
リサ:「うーん……いらない」
愛原:「そうか。要らないか」
リサ:「何だろうね。お腹は空いてるし、お兄ちゃんの料理は美味しいはずなんだけど……何かこう……『何か違う』って感じなの」
リサが本当の人食い鬼へと変化しつつあるのが分かる。
人食い鬼は、味覚がおかしくなり、普通の人間の料理が食べられなくなる。
最後には人間の血肉しか受け付けなくなるのだ。
『1番』は、急激にそうなったという。
愛原:「そうか……」
私は何とも言えなかった。
リサがそういう状態である理由を知っているし、このまま手をこまいねていたらどうなるのかも知っている。
リサ:「わたし、おかしくなっちゃうのかなぁ……」
高橋:「もう既に十分おかしいだろ」
愛原:「おい、高橋!」
高橋:「その自覚があるだけマシってもんだ。ガチの変人や精神異常者は、そんな自覚無ェし、それを他から指摘されても頑として否定しやがる。そういうことだ」
愛原:「いい事言うなぁ!」
高橋:「デヘヘヘ……!そうっスか?」(∀`*ゞ)
愛原:「照れんな!」
『あなたは宗教に洗脳されている』と言われて……。
ガチ勢…「そんなことは無い!」と、頑なに否定する。
エンジョイ勢…「いやあ、そうなんですよ。もう、すっかり洗脳されちゃって……」と、照れながら肯定する。
傍観勢…そもそもそんなことを指摘される機会が無い。
[同日11:30.天候:晴 同地区内 愛原学探偵事務所]
朝食を食べ終わって、9時頃に事務所に行った。
そこで行ったのは、昨夜作成したクライアントに対する報告書を郵送する作業。
クライアントの中にはメールではなく、紙の報告書で欲しいという所もあるので。
それを資料と共に、レターパックプラスに詰めて送るのである。
高橋:「ただいま戻りました」
この場合、ポストまで行って来るのは高橋の仕事。
事務所の向かい側にポストがあるので、そこに入れて来るだけだ。
愛原:「おう、お帰り」
昼前だと、回収は午後になるだろう。
そして、今日の所は東京中央郵便局に集められて、明日以降、クライアントの所に届くはずだ。
レターパックなら土休日でも配達してもらえるが、クライアントによっては、平日でないと受け取れなかったり、或いはその逆の所もある。
いずれにせよ、レターパックプラスなら、必ず郵便配達員が配達先のハンコかサインをもらうことになっているので、こちらもちゃんと届いたかどうかを確認することができる。
リサ:「先生、お昼はどうするの?」
リサは制服ではなく、私服を着ていた。
もっとも、部屋着のようなラフな格好ではなく、一応、下は黒いプリーツスカート、上はグレーのパーカーを羽織っている。
愛原:「それが、善場主任に任せろということだ」
リサ:「んん?」
そして、11時50分くらいになった時、事務所に電話が掛かって来た。
モニタを見ると、善場主任のスマホの番号だった。
愛原:「はい、もしもし。愛原です」
善場:「愛原所長、お疲れさまです。善場です」
愛原:「善場主任、お疲れさまです」
善場:「それではこれから昼食会場に御案内致しますので、下に降りて来て頂けませんか?新大橋通り側へお願いします」
愛原:「は、はい。分かりました」
私は電話を切った。
愛原:「善場主任が下でお待ちだ。行くぞ」
高橋:「うっス!あ、でも、リサがトイレっス」
愛原:「マジか!」
だが、リサはすぐ戻って来た。
リサ:「どうしたの?」
愛原:「善場主任が下まで来たそうだから、すぐ行くぞ」
リサ:「分かった」
私達は事務所を閉めると、エレベーターに乗った。
〔下へ参ります〕
〔ドアが閉まります〕
高橋:「こんな昼ギリギリってことは、近場っスかね?」
愛原:「いや、車で行くが、昼時は混むから、それを少し外すくらいのタイミングで着ける感じで行くんじゃないか?」
リサ:「食べれるかどうか分かんないけど、取りあえずお腹は空いた……」
〔1階でございます〕
エレベーターが1階に着く。
言われた通りエレベーターを降りると、駐車場側ではなく、新大橋通り側の出口から出た。
善場:「お疲れさまです。皆さん」
愛原:「善場主任」
善場:「それでは、昼食会場へご案内します。こちらへどうぞ」
愛原:「徒歩で行くんですか?」
善場:「そうです」
ということは、この近くなのか。
この近くに、リサが食べれそうな肉を提供する店があっただろうか?
あるとしたなら、灯台下暗しという諺通りだが……。