[7月10日17:34.天候:曇 埼玉県川口市 蕨駅東口バス停→国際興業バスSC01系統車内]
夕方になり、稲生親子とマリアはイオンモールへ行く為、最寄りのバス停に向かった。
早速そこから“魔の者”の監視が始まっているのか、さっきまで晴れていたのに、急に曇ってきた。
だが、雨が降りそうな感じは無い。
夏の厚い日差しを遮る程度の雲だ。
マリア:「ここのレストラン、廃業したんですね」
稲生佳子:「そうなのよ」
以前、イリーナとも一緒に食事会をやった料亭の建物が取り壊されている。
どうやら、経営破綻ではなく、店舗移転によるものだそうだ。
バスに乗り込み、空いている座席に座る。
佳子は1人席に座り、勇太とマリアは後ろの2人席に座った。
日曜日のイオンモール行きということもあってか、客層は家族連れが多い。
〔「イオンモール川口前川行き、発車致します」〕
発車の時間になり、バスのエンジンが掛かる。
頭上のクーラー吹き出し口から、強い冷房の風が吹いてきた。
そして、中扉が閉まって、バスが走り出す。
目の前の交差点の信号機が、鉄道の出発信号機のようなものだ。
〔♪♪♪♪。毎度、国際興業バスをご利用頂きまして、ありがとうございます。このバスは、イオンモール川口前川行きです。途中お降りの方は、お近くのブザーを押してお知らせ願います。次は猫橋、猫橋でございます。……〕
勇太:「また晴れて来た」
バスが交差点を左折し、進路を東に変えると、バス車内に夕日が差し込んで来た。
晴れて来たという証拠だ。
どうやら、“魔の者”が勇太達が上京するわけではないと気付いて、警戒を解いたのだろう。
マリア:「忙しいヤツというか暇なヤツというか……」
マリアも呆れている。
とにかく、これで今日は雨の心配は無さそうである。
勇太:「そもそも、こういう一般の路線バスが都内まで行くわけないのにね」
マリア:「勇太みたいにバスに詳しいわけでもないんだから、そこはしょうがないんじゃない?」
勇太:「それもそうか」
しかし川口駅まで行けば、荒川を渡って、東京・赤羽方面に向かう路線バスが出ている。
勇太:「マリアの言うルートで誤魔化せるだろうけど、雨くらいは覚悟した方がいいかもね」
マリア:「そうだな」
[同日17:45.天候:晴 同市前川1丁目 イオンモール川口前川]
バス車内はそんなに混んでいなかったのだが、この路線のボトルネックは産業道路との交差点。
県道同士の交差点であるが、バス路線の111号線より、主要地方道である35号線が優先道路となる為、青信号が短く、赤信号が長い。
要はまあ、タイミングが悪ければ遅延必至というわけである。
これは国道同士でも言えることであり、番号の若い方が優先道路となる事が多い。
先述したと思うが、さいたま市内では片側1車線の地方県道たる産業道路は、川口市内では片側2車線のちょっとした国道並みの規格である為、初見だとこれが国道122号線と間違えられることもあるのだとか。
〔♪♪♪♪。イオンモール川口前川、イオンモール川口前川、終点でございます。お忘れ物の無いよう、ご注意願います。ご乗車ありがとうございました〕
バスはバスとタクシー専用の入口から構内に入り、専用のバス停に停車する。
構内バス停は1バースしかないが、その後ろにもう1台バスが着けられるようになっている。
その後ろはタクシー乗り場。
但し、他のイオンモールのようにタクシープールは無い為、タクシー利用者はその都度、最寄りのエントランスに設置されているタクシー会社へのホットラインを利用するか、自分で予約するしかない。
勇太:「お世話さまでした」
マリア:「Thanks.」
2人は手持ちのICカードで運賃を払う。
勇太:「あ、そろそろチャージしとかないとなぁ……」
佳子:「駅に行くか、セブン銀行ね」
勇太:「うん」
あと一応、バス車内でもチャージはできるが、1000円だけである。
マリア:「師匠のカードを現金化して、チャージすればいい」
勇太:「違法じゃないんだけど、何だか言い方が黒いな」
マリア:「何だよ?」
勇太:「いや、別に……」
佳子:「要は、銀行のATMでキャッシングするだけの話でしょう?」
勇太:「まあね」
佳子:「銀行なんて近所にいくつもあるんだから、後で行けばいいのよ」
勇太:「それもそうか」
佳子:「まだ、お父さん来てないみたいね。もう少し待ちましょう」
サウスコートと呼ばれる吹き抜けのホールで待つことにした。
週末などは、ここでイベントが行われることも多い(が、コロナ禍では自粛されていた)。
宗一郎:「やあ、お待たせ」
それから宗一郎が来たのは、凡そ15分経ってからのことだった。
勇太:「父さん、お疲れ」
宗一郎:「おーう。マリアさん、いらっしゃい」
マリア:「また、お世話になります」
宗一郎:「それじゃ行こうか」
レストランモール・イーストへと向かう。
勇太:「父さん、ゴルフバッグは?」
宗一郎:「宅急便で送ったよ。さすがに持ち運びは大変だからね」
勇太:「車で送り迎えされてるのに?」
役員車を使ったはずだが、ここまで送ってもらった後、帰したようだ。
宗一郎:「だからだよ。会社の経費を私的に使うわけにはいかないだろう?」
ゴルフに関しては、『接待』という立派な『業務』であるという。
マリア:「宅急便で送られて、家に届くのはいつですか?」
宗一郎:「明後日らしいな。平日になるから、適当に受け取っておいて」
佳子:「あれ重いから、運ぶの大変なのよ」
勇太:「今回は僕がやるから、大丈夫だよ」
宗一郎:「そういえば勇太達は、何日間いるんだ?」
勇太:「3日間。だから、明後日なら家にいると思うよ」
宗一郎:「そうなのか。一応、午前中指定にはしてあるから」
勇太:「午前中指定ね。分かった」
宗一郎も合流して4人となった勇太達は、モール内のレストランへと入って行った。
夕方になり、稲生親子とマリアはイオンモールへ行く為、最寄りのバス停に向かった。
早速そこから“魔の者”の監視が始まっているのか、さっきまで晴れていたのに、急に曇ってきた。
だが、雨が降りそうな感じは無い。
夏の厚い日差しを遮る程度の雲だ。
マリア:「ここのレストラン、廃業したんですね」
稲生佳子:「そうなのよ」
以前、イリーナとも一緒に食事会をやった料亭の建物が取り壊されている。
どうやら、経営破綻ではなく、店舗移転によるものだそうだ。
バスに乗り込み、空いている座席に座る。
佳子は1人席に座り、勇太とマリアは後ろの2人席に座った。
日曜日のイオンモール行きということもあってか、客層は家族連れが多い。
〔「イオンモール川口前川行き、発車致します」〕
発車の時間になり、バスのエンジンが掛かる。
頭上のクーラー吹き出し口から、強い冷房の風が吹いてきた。
そして、中扉が閉まって、バスが走り出す。
目の前の交差点の信号機が、鉄道の出発信号機のようなものだ。
〔♪♪♪♪。毎度、国際興業バスをご利用頂きまして、ありがとうございます。このバスは、イオンモール川口前川行きです。途中お降りの方は、お近くのブザーを押してお知らせ願います。次は猫橋、猫橋でございます。……〕
勇太:「また晴れて来た」
バスが交差点を左折し、進路を東に変えると、バス車内に夕日が差し込んで来た。
晴れて来たという証拠だ。
どうやら、“魔の者”が勇太達が上京するわけではないと気付いて、警戒を解いたのだろう。
マリア:「忙しいヤツというか暇なヤツというか……」
マリアも呆れている。
とにかく、これで今日は雨の心配は無さそうである。
勇太:「そもそも、こういう一般の路線バスが都内まで行くわけないのにね」
マリア:「勇太みたいにバスに詳しいわけでもないんだから、そこはしょうがないんじゃない?」
勇太:「それもそうか」
しかし川口駅まで行けば、荒川を渡って、東京・赤羽方面に向かう路線バスが出ている。
勇太:「マリアの言うルートで誤魔化せるだろうけど、雨くらいは覚悟した方がいいかもね」
マリア:「そうだな」
[同日17:45.天候:晴 同市前川1丁目 イオンモール川口前川]
バス車内はそんなに混んでいなかったのだが、この路線のボトルネックは産業道路との交差点。
県道同士の交差点であるが、バス路線の111号線より、主要地方道である35号線が優先道路となる為、青信号が短く、赤信号が長い。
要はまあ、タイミングが悪ければ遅延必至というわけである。
これは国道同士でも言えることであり、番号の若い方が優先道路となる事が多い。
先述したと思うが、さいたま市内では片側1車線の地方県道たる産業道路は、川口市内では片側2車線のちょっとした国道並みの規格である為、初見だとこれが国道122号線と間違えられることもあるのだとか。
〔♪♪♪♪。イオンモール川口前川、イオンモール川口前川、終点でございます。お忘れ物の無いよう、ご注意願います。ご乗車ありがとうございました〕
バスはバスとタクシー専用の入口から構内に入り、専用のバス停に停車する。
構内バス停は1バースしかないが、その後ろにもう1台バスが着けられるようになっている。
その後ろはタクシー乗り場。
但し、他のイオンモールのようにタクシープールは無い為、タクシー利用者はその都度、最寄りのエントランスに設置されているタクシー会社へのホットラインを利用するか、自分で予約するしかない。
勇太:「お世話さまでした」
マリア:「Thanks.」
2人は手持ちのICカードで運賃を払う。
勇太:「あ、そろそろチャージしとかないとなぁ……」
佳子:「駅に行くか、セブン銀行ね」
勇太:「うん」
あと一応、バス車内でもチャージはできるが、1000円だけである。
マリア:「師匠のカードを現金化して、チャージすればいい」
勇太:「違法じゃないんだけど、何だか言い方が黒いな」
マリア:「何だよ?」
勇太:「いや、別に……」
佳子:「要は、銀行のATMでキャッシングするだけの話でしょう?」
勇太:「まあね」
佳子:「銀行なんて近所にいくつもあるんだから、後で行けばいいのよ」
勇太:「それもそうか」
佳子:「まだ、お父さん来てないみたいね。もう少し待ちましょう」
サウスコートと呼ばれる吹き抜けのホールで待つことにした。
週末などは、ここでイベントが行われることも多い(が、コロナ禍では自粛されていた)。
宗一郎:「やあ、お待たせ」
それから宗一郎が来たのは、凡そ15分経ってからのことだった。
勇太:「父さん、お疲れ」
宗一郎:「おーう。マリアさん、いらっしゃい」
マリア:「また、お世話になります」
宗一郎:「それじゃ行こうか」
レストランモール・イーストへと向かう。
勇太:「父さん、ゴルフバッグは?」
宗一郎:「宅急便で送ったよ。さすがに持ち運びは大変だからね」
勇太:「車で送り迎えされてるのに?」
役員車を使ったはずだが、ここまで送ってもらった後、帰したようだ。
宗一郎:「だからだよ。会社の経費を私的に使うわけにはいかないだろう?」
ゴルフに関しては、『接待』という立派な『業務』であるという。
マリア:「宅急便で送られて、家に届くのはいつですか?」
宗一郎:「明後日らしいな。平日になるから、適当に受け取っておいて」
佳子:「あれ重いから、運ぶの大変なのよ」
勇太:「今回は僕がやるから、大丈夫だよ」
宗一郎:「そういえば勇太達は、何日間いるんだ?」
勇太:「3日間。だから、明後日なら家にいると思うよ」
宗一郎:「そうなのか。一応、午前中指定にはしてあるから」
勇太:「午前中指定ね。分かった」
宗一郎も合流して4人となった勇太達は、モール内のレストランへと入って行った。