[4月11日18時00分 天候:雨 東京都港区新橋 NPO法人デイライト東京事務所]
夕方になり、雨が降り出してきた頃、打ち合わせは終わった。
いくらリサに旅客機への搭乗許可がBSAAから出たとはいえ、監視強化の縛りは解かれれていないらしい。
本来、修学旅行といったら、生徒達が一塊に席に座るものだが、リサだけ少し違うということが善場係長の口から発表された。
具体的には、飛行機の窓側3人席の窓側にリサを座らせる。
その隣には私が座り、後ろにはレイチェルが座るというものだ。
暴走した際にコクピットをリサに占領されないよう、なるべく席は後ろの方に座る。
リサの隣をレイチェルにしても良いのではないかという案もあったようだが、私が座った方がより暴走防止になるのではということになった。
確かにいざ暴走した時には、レイチェルが隣にいた方がいいだろう。
だが、暴走防止の観点からすれば、私が隣にいた方が良いと。
万が一の時、後ろから狙撃できるように、レイチェルがすぐ後ろに座ることになった。
BSAAの同行はレイチェルのみとする。
但し、沖縄県内においては、米軍基地に出向しているBSAA北米支部の小隊がレイチェルのバックアップに務める手筈になっている。
愛原「養成員なのに、指導教官は付かないんだね?」
レイチェル「もちろん訓練中は、教官が付きます。ただ、今回はあくまで留学に関することなので。トラブルが起きた時は、沖縄の部隊に報告することになります」
愛原「沖縄の米軍基地、BSAAの基地にもなってるのか」
レイチェル「あくまでも、スペースをレンタルしているだけのようですが……」
愛原「装備とかも借りてるんだろ?」
レイチェル「ヘリコプターやジープは自由に使っていいらしいです」
愛原「大盤振る舞いだな。オスプレイとかも飛ばさせるんじゃないのか?」
レイチェル「そこまでは分かりまセン」
基地反対派の左翼、涙目だなw
そういう話があった後、次なる議題は白井伝三郎のことになった。
かつて東京中央学園に通い、白井の同級生でもあった斉藤早苗。
イジメを苦に旧校舎(現・教育資料館)の女子トイレで首を吊って自殺した。
その遺骨は墓地に埋葬されていたが、白井がそれを強奪。
農学者であった伯父の愛原公一が発明した化学肥料『枯死した苗でもたちどころに蘇生させる薬』と、自身の発明した秘薬を調合し、遺骨から肉体を復元させることに成功する。
そして、2011年、日本が東日本大震災で苦しんでいる中、北海の孤島で起きたバイオハザード。
そこで行われたアレックス・ウェスカーの『自分の肉体と他人の肉体を交換する』方法を用いて、現在は斉藤早苗の肉体を使用していると見られている。
卒業アルバムには自殺して退学した彼女の写真は掲載されなかった為、現在の顔写真が分からないでいる。
善場「そこでリサにお願いしたいことがあります」
リサ「なに?」
善場「沖縄中央学園にいる我那覇絵恋と連絡を取り、『斉藤早苗』という名の女子生徒がいないかどうか確認して欲しいのです」
リサ「分かった。もしいたら?」
善場「そのコの顔写真を送って欲しいのと、東京にいたことがあるかどうか聞いてください」
リサ「分かった」
そこへ、善場の部下が入って来る。
部下「失礼します。係長、タクシーが到着しましたが……」
善場「分かったわ。少し待たせておいて」
部下「はっ」
愛原「タクシー?」
善場「今日は御足労頂きましたし、雨も降って参りましたので、タクシーを呼んでおきました。支払いについても、こちらで持たせて頂きます。レイチェルもですよ」
レイチェル「T-Thank you...」
善場「門限に間に合うかどうか分からないけど、一応こちらから世田谷の地区本部隊に連絡しておきましたので」
レイチェル「了解しました」
善場「なるべく早く帰すように言われたので、あなたにもタクシーで帰ってもらいます。もちろん、費用はこちらで持ちますので」
レイチェル「ありがとうございます」
リサ「善場さん、エレンへの連絡は後でもいい?」
善場「構いませんよ。何かありますか?」
リサ「エレンのヤツ、3年生になってから塾に通うようになったみたい」
愛原「そうなのか。大学受験対策かな?」
リサ「だろうね。『男の先生は嫌だ』とか言ってた」
愛原「個別教室とかかな?」
善場「リサ。そしたらついでに、その塾の方にも『斉藤早苗』という名前のコがいないか聞いてみてください」
リサ「分かった。ちょっとトイレ貸して」
善場「どうぞ」
私達はトイレを済ませた後、事務所の外に出た。
事務所の前の通りにはタクシーが2台止まっていて、どちらも法人。
1台はクラウンセダンで、もう1台はジャパンタクシーだった。
愛原「私達はこっちに乗ろう。リサ、先に乗って」
リサ「うん」
私とリサはセダンの方に乗った。
リサ「それじゃレイチェル、また明日」
レイチェル「はい。さようなら。また明日」
愛原「墨田区菊川2丁目○-×まで、お願いします」
運転手「はい」
私が行き先の住所を言うと、運転手が住所をナビに入力する。
今や、カーナビはタクシーの標準装備だ。
運転手「御希望のルートはありますか?」
愛原「いや、ナビの通りでお願いします」
運転手「かしこまりました」
タクシーは雨の中、デイライトの事務所前を出発した。
雷鳴も聞こえていて、結構強い雨だ。
どうやら、ゲリラ豪雨だろうな。
高橋達に頼んで、ガレージのシャッターを開けといてもらおう。
タクシーにはそこの真ん前に止まってもらって、降りてすぐそこに飛び込めば、そんなに濡れずに済むだろう。
フロントガラスの上を、ワイパーが規則正しく動いている。
私はスーツのポケットから、リサはブレザーのポケットからスマホを取り出して、私は高橋に、リサは我那覇絵恋にそれぞれLINEを送った。
私の方はすぐに、了解の旨のメッセージが高橋から来た。
しかし、リサの方は既読すら付かないという。
リサ「今、塾の方が忙しいのかもね」
愛原「もうこんな時間なのに、大変だな」
いくら受験対策は、遅くても1年前からとはいうが、我那覇絵恋はもう本格的に始めているようだ。
愛原「お前も進路希望先によっては、塾とかに行く必要が出て来るかもな?」
リサ「そうだねぇ……」
蓮華の件があり、進路希望が宙に浮いてしまったリサにとっては、そこはまだ上の空だった。
夕方になり、雨が降り出してきた頃、打ち合わせは終わった。
いくらリサに旅客機への搭乗許可がBSAAから出たとはいえ、監視強化の縛りは解かれれていないらしい。
本来、修学旅行といったら、生徒達が一塊に席に座るものだが、リサだけ少し違うということが善場係長の口から発表された。
具体的には、飛行機の窓側3人席の窓側にリサを座らせる。
その隣には私が座り、後ろにはレイチェルが座るというものだ。
暴走した際にコクピットをリサに占領されないよう、なるべく席は後ろの方に座る。
リサの隣をレイチェルにしても良いのではないかという案もあったようだが、私が座った方がより暴走防止になるのではということになった。
確かにいざ暴走した時には、レイチェルが隣にいた方がいいだろう。
だが、暴走防止の観点からすれば、私が隣にいた方が良いと。
万が一の時、後ろから狙撃できるように、レイチェルがすぐ後ろに座ることになった。
BSAAの同行はレイチェルのみとする。
但し、沖縄県内においては、米軍基地に出向しているBSAA北米支部の小隊がレイチェルのバックアップに務める手筈になっている。
愛原「養成員なのに、指導教官は付かないんだね?」
レイチェル「もちろん訓練中は、教官が付きます。ただ、今回はあくまで留学に関することなので。トラブルが起きた時は、沖縄の部隊に報告することになります」
愛原「沖縄の米軍基地、BSAAの基地にもなってるのか」
レイチェル「あくまでも、スペースをレンタルしているだけのようですが……」
愛原「装備とかも借りてるんだろ?」
レイチェル「ヘリコプターやジープは自由に使っていいらしいです」
愛原「大盤振る舞いだな。オスプレイとかも飛ばさせるんじゃないのか?」
レイチェル「そこまでは分かりまセン」
基地反対派の左翼、涙目だなw
そういう話があった後、次なる議題は白井伝三郎のことになった。
かつて東京中央学園に通い、白井の同級生でもあった斉藤早苗。
イジメを苦に旧校舎(現・教育資料館)の女子トイレで首を吊って自殺した。
その遺骨は墓地に埋葬されていたが、白井がそれを強奪。
農学者であった伯父の愛原公一が発明した化学肥料『枯死した苗でもたちどころに蘇生させる薬』と、自身の発明した秘薬を調合し、遺骨から肉体を復元させることに成功する。
そして、2011年、日本が東日本大震災で苦しんでいる中、北海の孤島で起きたバイオハザード。
そこで行われたアレックス・ウェスカーの『自分の肉体と他人の肉体を交換する』方法を用いて、現在は斉藤早苗の肉体を使用していると見られている。
卒業アルバムには自殺して退学した彼女の写真は掲載されなかった為、現在の顔写真が分からないでいる。
善場「そこでリサにお願いしたいことがあります」
リサ「なに?」
善場「沖縄中央学園にいる我那覇絵恋と連絡を取り、『斉藤早苗』という名の女子生徒がいないかどうか確認して欲しいのです」
リサ「分かった。もしいたら?」
善場「そのコの顔写真を送って欲しいのと、東京にいたことがあるかどうか聞いてください」
リサ「分かった」
そこへ、善場の部下が入って来る。
部下「失礼します。係長、タクシーが到着しましたが……」
善場「分かったわ。少し待たせておいて」
部下「はっ」
愛原「タクシー?」
善場「今日は御足労頂きましたし、雨も降って参りましたので、タクシーを呼んでおきました。支払いについても、こちらで持たせて頂きます。レイチェルもですよ」
レイチェル「T-Thank you...」
善場「門限に間に合うかどうか分からないけど、一応こちらから世田谷の地区本部隊に連絡しておきましたので」
レイチェル「了解しました」
善場「なるべく早く帰すように言われたので、あなたにもタクシーで帰ってもらいます。もちろん、費用はこちらで持ちますので」
レイチェル「ありがとうございます」
リサ「善場さん、エレンへの連絡は後でもいい?」
善場「構いませんよ。何かありますか?」
リサ「エレンのヤツ、3年生になってから塾に通うようになったみたい」
愛原「そうなのか。大学受験対策かな?」
リサ「だろうね。『男の先生は嫌だ』とか言ってた」
愛原「個別教室とかかな?」
善場「リサ。そしたらついでに、その塾の方にも『斉藤早苗』という名前のコがいないか聞いてみてください」
リサ「分かった。ちょっとトイレ貸して」
善場「どうぞ」
私達はトイレを済ませた後、事務所の外に出た。
事務所の前の通りにはタクシーが2台止まっていて、どちらも法人。
1台はクラウンセダンで、もう1台はジャパンタクシーだった。
愛原「私達はこっちに乗ろう。リサ、先に乗って」
リサ「うん」
私とリサはセダンの方に乗った。
リサ「それじゃレイチェル、また明日」
レイチェル「はい。さようなら。また明日」
愛原「墨田区菊川2丁目○-×まで、お願いします」
運転手「はい」
私が行き先の住所を言うと、運転手が住所をナビに入力する。
今や、カーナビはタクシーの標準装備だ。
運転手「御希望のルートはありますか?」
愛原「いや、ナビの通りでお願いします」
運転手「かしこまりました」
タクシーは雨の中、デイライトの事務所前を出発した。
雷鳴も聞こえていて、結構強い雨だ。
どうやら、ゲリラ豪雨だろうな。
高橋達に頼んで、ガレージのシャッターを開けといてもらおう。
タクシーにはそこの真ん前に止まってもらって、降りてすぐそこに飛び込めば、そんなに濡れずに済むだろう。
フロントガラスの上を、ワイパーが規則正しく動いている。
私はスーツのポケットから、リサはブレザーのポケットからスマホを取り出して、私は高橋に、リサは我那覇絵恋にそれぞれLINEを送った。
私の方はすぐに、了解の旨のメッセージが高橋から来た。
しかし、リサの方は既読すら付かないという。
リサ「今、塾の方が忙しいのかもね」
愛原「もうこんな時間なのに、大変だな」
いくら受験対策は、遅くても1年前からとはいうが、我那覇絵恋はもう本格的に始めているようだ。
愛原「お前も進路希望先によっては、塾とかに行く必要が出て来るかもな?」
リサ「そうだねぇ……」
蓮華の件があり、進路希望が宙に浮いてしまったリサにとっては、そこはまだ上の空だった。