報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「帰宅路の夕食」

2024-12-21 21:55:39 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月16日16時49分 天候:晴 東京都港区新橋 JR新橋駅・横須賀線ホーム→横須賀線1515F電車・11号車内]

 打ち合わせはとても長引いた。
 それはおよそ3時間弱ほどであったが、善場係長の元に所属の省庁から連絡があり、安全の為、BSAAが完全に撤収するまで待機せよとの指示もあった。
 日本政府からの撤収要請にBSAAは応じた形になるが、本来、国連ではBSAAの活動は当該国の政府によって制限されてはいけないというルールがある為、日本政府はそれに反したことになる。
 ただ、日本は、『条件付きで批准しており、全面的な活動を認めているわけではない』と言い訳した。
 政府としてもその機関の職員の出先を『裏切者』呼ばわりされた上、左傾化しつつある政権としては、軍隊同然の国連機関が好き勝手にやるのは迷惑だということだろう。
 そしてようやくゴーサインが出たのが、16時過ぎということである。
 一応、アプリは再イントールして、リサのGPSもONにすることにした。
 そして、今後の事を話した後、ようやく解散となったわけである。
 善場係長はタクシーで帰っても良いと仰ってくれたが、電車で帰ることにした。
 まずは、新橋駅から横須賀線に乗ることにする。

〔本日も、JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の、2番線の電車は、16時49分発、快速、上総一ノ宮行きです。この電車は、15両です。グリーン車が付いております。……〕

 リサ「明日、学校に行っていいって」
 愛原「良かったな」

 結局、東京中央学園上野高校からは爆発物は見つからず、また同学校法人の他の学校でもそれらしき物は見つからなかったことから、愉快犯による犯行ということになった。

〔まもなく、2番線に、快速、上総一ノ宮行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまで、お下がりください。この電車は、15両です。グリーン車が付いております。……〕

 品川方向のトンネルから、轟音と共に強い風が吹いてくる。
 15両編成の電車が入って来るのだから当然か。
 ここは先頭車が止まる位置だからそんなに風の影響は受けないはずだが、リサの髪や黒いスカートが揺れている。
 やってきたのは、新型車両の方。
 何だかんだ言って、旧型車両の方は台数を減らしているらしい。

〔しんばし~、新橋~。ご乗車、ありがとうございます。次は、東京に、停車します〕

 

 夕方のラッシュが始まる直前ということもあり、電車にはそこそこの乗客が乗っていた。
 さすがに着席はできなかったが、それでもドアの所に立つことはできた。
 すぐに発車メロディが鳴る。

〔2番線の、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 ドアチャイムが鳴り、ドアが閉まる。
 新橋駅の横須賀線ホームにはホームドアが無い為、車両のドアが閉まり切るとすぐに発車する。

〔次は東京、東京。お出口は、左側です。新幹線、中央線、山手線、京浜東北線、上野東京ライン、京葉線と、地下鉄丸ノ内線はお乗り換えです〕

 愛原「明日は俺も一緒に学校に行くよ」
 リサ「ホント!?」
 愛原「臨時のPTA総会があるからな。学校の方も色々あったみたいだし……」
 リサ「う、うん。そうだねぇ……」

 リサの暴走に始まり、極めつけは今日の爆発物脅迫騒ぎか。
 明日は土曜日で、授業は午前中に終わり、午後にPTAの臨時総会が行われるとのことだった。
 だが、私は会長として、先生達と先に色々と話をしなければならないと思い、リサと一緒に登校することにした次第。

 愛原「交通費の精算とか、しないとな……」
 パール「私がやっておきますよ」
 愛原「そうか?」
 パール「精算書を作成すれば宜しいのですね?」
 愛原「そう!」
 パール「かしこまりました。私が作成しますので、後ほど確認だけお願い致します」
 愛原「分かった。悪いね」

[同日17時03分 天候:晴 東京都墨田区江東橋 JR錦糸町駅→テルミナ3]

 東京駅で大勢の乗客が降り、席が空いたので、そこに腰かける。
 といっても普通車では、通勤電車同様のロングシートなので、大したことではない。
 ただ、旧型車両と比べれば1人分の幅はやや広められており、クッションも柔らかくなっている。
 新橋発車時よりも多くの乗客を乗せた電車は、再び地下トンネルを走行する。
 そして、ようやく地上に出た頃に、下車駅の錦糸町駅に到着した。

 

〔きんしちょう、錦糸町。ご乗車、ありがとうございます。次は、新小岩に、停車します〕

 ここもまた、乗降客の多い駅である。
 ここで電車を降り、南口の改札口に向かった。

 愛原「約束通り、夕食は焼肉食べ放題にしよう」
 リサ「わぁー!」
 愛原「その前に、パールの一服タイムだがな」
 パール「申し訳ございません……」

 南口の広場には、喫煙所もあるので。
 これから夕食を取りに行く店は完全禁煙だし、建物にも喫煙所は無い為。

 愛原「同じ墨田区だからか、ここまで来ると帰って来た気になるねぇ……」
 リサ「ホントだねぇ……」

 あまり都心に出たくなくて、大きな買い物や食事をしたい場合は錦糸町駅前が便利なので。
 こうやって駅ビルもあるし、ヨドバシカメラもある。
 パールの一服を待ってから、店に向かった。

 客引き「居酒屋どうっスか?」
 愛原「いや、結構」

 繁華街だからか、居酒屋などの客引きもたまにいる。
 今は条例が厳しいので、興味の無い者に、客引きもしつこく食い下がってはこない。
 そして、ようやくテルミナ3に到着した。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする