報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「カプセルホテルでひきこもり」

2024-12-16 20:43:09 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月15日08時45分 天候:雨 埼玉県さいたま市大宮区宮町 イージーステイ大宮]

 館内着を着たまま、1階のイートインスペースで朝食を取る。
 リサとパールと一緒に食べたが、パールがやや疲れ気味だ。

 愛原「大丈夫か、パール?」
 パール「ええ、大丈夫です。今、私達の服を洗濯しているところでして、それが終わったら、また少し休みます」
 愛原「ああ、そうするといい。どうせ今日は何もできん」

 外は雨だし、何より善場係長から連絡が来ない。
 連泊の申し込みはできたので、このままここにもう1泊することになりそうだ。
 但し、いつまでもここにいるわけにはいかない。
 もしもこのまま連絡が無くて翌日を迎えたら、その時はここを出て、新橋のデイライト事務所に向かうつもりだ。
 かなり危険かもしれないが。
 まだデイライト東京事務所には電話していないが、後で電話してみたいと思う。
 朝食は朝カレーにした。
 既に電気式の寸胴にカレーが入っており、炊飯器も置かれているので、そこから自由に取って食べて良いことになっている。
 私はオニオンカレーにしてみた。
 玉ねぎタップリのカレーかと思っていたが、そういうわけでもなく、色合い的にリサの食べているビーフカレーとどう違うのかよく分からなかった。
 昨日の夕方から何も食べていない為か、朝から大盛りカレーを食べてしまった。
 他にも食べ放題の物にカップラーメンなどがあり、昼はそれにしようと思う。

 愛原「リサの方はどうだ?」
 リサ「どうって?」
 愛原「秋田の太平山美樹とか、学校の『魔王軍』とか……」
 リサ「ああ、ミキね。連絡したよ。そしたら、従兄弟?と、ひいお爺ちゃんが旅行に行ってたから、それじゃないかって。伊豆半島に、ひいお爺ちゃんの知り合いがいるから、会いに行ったんだって。でも、ひいお爺ちゃんは歳だから、その付き添いで従兄弟も一緒に行ったらしいよ?」
 愛原「そうなのか。その従兄弟君が、リサのことを気にしているようだが?」
 リサ「『わたしには愛原先生がいるから、わたしの事は諦めてって言っといて』ってLINEした」
 愛原「そうか。で、何だって?」
 リサ「『伝えとく』だって。あ、あと、『金棒も新しいの送るから。着払いでヨロシク』だってさ」
 愛原「あ、そう。まあ、いいや」

 鬼の里まで集荷に行く運送会社も大変だ。

 愛原「レイチェルは?」
 リサ「LINEしてもダメだね。どうも、今日は学校休んでるみたいだよ」
 愛原「どうしてだ?」
 リサ「そりゃあ、わたしの捜索でもしてるんでしょうよ。でも、先生の言う通りGPSは切ったし、アプリもアンインストールしたから、探しようが無いね」
 愛原「恐らくヘリを飛ばして上空から捜索しているんだろうが、今日も1日雨だそうだ。梅雨前線に感謝だな」

 さすがに明日は梅雨晴れとなって暑くなるそう。
 梅雨寒となるのは、今日まで。
 それもまた、私達がタイムリミットを明日のチェックアウト時間までとした理由だ。

 愛原「俺はパソコンで少し仕事してるから、2人は適当に寛いでていいぞ。但し、この店からは出ないようにな」
 リサ「はーい。……ねぇ?あそこのスナック菓子とかは買っていい?」
 愛原「いいよ」

 イートインコーナーとは別の場所に、有料商品の販売も行われている。
 アルコール飲料や、それのおつまみ用なのか、スナック菓子がそうだ。

 愛原「さすがにアルコールはダメだからな?」
 リサ「はーいw」

[同日09時30分 天候:雨 イージーステイ大宮・ランドリーコーナー]

 朝食が終わると、私はランドリーコーナーに行って、昨日着ていた服や下着を洗濯した。
 ここにはワーキングスペースもあったので、洗濯機を回している間、ここでパソコン作業をすることにした。
 その間に善場係長に電話をしたが、やはり出なかった。
 もしかすると、どういうわけだか、このスマホだと出ないのかもしれない。
 理由は不明だが。
 その後で、デイライト東京事務所に掛けてみる。
 知らない女性職員が代表電話に出たが、私が名前を名乗り善場係長のことについて聞いてみた。

 職員「担当外ですので、お答えしかねます」
 愛原「昨夜、静岡県警富士宮警察署に白峰主席と共にいらっしゃったそうですが、拘束されていたりとかはありませんか?」
 職員「お答えしかねます。……が、関係者総出で情報収集並びに対応に当たっております。強いてお答えできるのはここまでです」
 愛原「分かりました」

 デイライト東京事務所も、善場係長達の身に起きたことは把握していて、それに関する情報収集や対応を協議しているということか。
 善場係長達が違法・触法行為をされるとは思えないので、恐らく係長方のバックボーンである公安調査庁が、静岡県警本部に何がしかの圧力を掛けるものと思われる。
 取りあえず、ここまでだな。
 私はパソコンの作業を始めた。
 バッテリー内蔵ではあるが、カウンター席にコンセントもある。
 店内にはWiFiも飛んでいるので、これでメールのやり取りは可能だろう。
 この時、ネットニュースで、『斉藤容疑者、モスクワを離脱か?』というニュースを見つけた。
 この斉藤容疑者というのはやはり斉藤元社長のことで、今までロシアに潜伏しており、モスクワ市内にいたということだが、最近になってそこからいなくなったのではというニュースであった。
 ウクライナとの戦争激化の為、ロシアを離れることにしたのではないかとされているが、その方法は不明とされている。

 愛原「ああ、そうか……」

 私は少し納得した。
 先日観た斉藤元社長の画像。
 窓から明かりが差し込んでいたから、外国だと思っていたが、やはりそこはロシアだったか。
 そして……彼が画像を送って来た場所は、潜伏先ではない。
 いや、潜伏しながら移動しているという意味では、潜伏先なのかもしれないが……。
 何が言いたいのかというと、斉藤元社長は、確かにモスクワを脱出した。
 そして彼の言う通り、こちらに向かっている。
 しかし、その交通手段は飛行機ではなく……。

 愛原「シベリア鉄道だ……」

 外国人旅行客にも利用が開放されているとはいえ、まだまだ軍事色の強い鉄道路線。
 BSAAの介入など、ロシア軍が許さないだろう。
 国連の常任理事国、ロシアが『右向け右』と言えば、国連軍の一派であるBSAAも右を向かざるを得ない。
 もちろん、列車内でバイオテロが発生すれば、話は別だが。
 ただ単に、『バイオテロの容疑者がいるかもしれないから』という理由で介入は許されない。
 『それなら、まずは地元警察にお任せください』となるからだ。
 日本は敗戦国だし、今の左傾化した政権では、外国人にペコペコしている状態だから、平気で介入を許しているが。
 恐らくは、偽情報をいくつも流したのは斉藤元社長。
 そして、それに踊らされたのがBSAAや日本の警察機関であったというわけだ。
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“私立探偵 愛原学” 「大宮に泊まる」

2024-12-16 16:44:57 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月14日22時45分 天候:雨 埼玉県さいたま市大宮区宮町 イージーステイ大宮]

 電話を終えた私達は、宿泊先へと向かった。
 外は雨が本降りになってきた上、傘は持っていなかったが、幸い宿泊先はアーケード街の中にあり、濡れたのはその外側にいる時だけだった。
 途中にあるコンビニにリサが寄りたがったので、そこに立ち寄らせてやる。

 愛原「多分、アメニティーとか、食べ物とか、中にあると思うぞ?」
 リサ「ちょっとね……」

 宿泊先は漫画喫茶に併設されていた。
 当然ながら、24時間営業である。

 スタッフ「男性1名様、女性2名様のご利用ですね?」
 愛原「はい」

 初めて利用するということもあって、スタッフが丁寧に館内のことについて説明してくれる。

 愛原「1泊で予約したんだけど、連泊したい場合は、できますかね?」
 スタッフ「はい。部屋が空いていれば可能です。今ですと……まだ、チェックインして頂くお部屋そのままで連泊が可能ですが、お取りしますか?」
 愛原「お願いします」
 リサ「先生?」
 愛原「善場係長の指示が無いことには、俺達も動けんよ。いいか?指示があるまでは、ここから出ないように。分かったな?」
 パール「承知致しました」

 カードキーを受け取る。
 男性専用エリアは2階とのことで、パールやリサとは、ここでお別れとなる。
 但し、イートインコーナーは共有スペースなので、そこで落ち合うことは可能だろう。
 私は荷物を持って2階に上がった。
 エレベーターは無いので、階段で上がることになる。
 新しい施設だからなのか、カプセルは広めである。
 小さな荷物なら、そのままカプセル内に持ち込めるほど。

 愛原「ふう……」

 このまま眠りたいところだが、さすがに緊張で変な汗とかかいてしまったし、シャワーくらいは浴びないとな。
 アメニティーの中には館内着もあるので、これに着替えて館内を過ごすことができる。
 スマホを見たが、善場係長からの着信は無かった。
 まさか本当に逮捕されてしまったのだろうか?
 本当に、今何が起きているのか分からない状態である。
 私はカプセルの中で館内着に着替えた。
 急な泊まりの為、換えの下着も1着は持って来ているようにしている。
 今回はそれで正解だったようだ。
 ただ、もう1泊するとなると、選択が必要だ。
 幸いここにはコインランドリーがあるようなので、そこで洗濯は可能だ。
 リサ達にも、グループLINEでそれを伝えておいた。
 まあ、疲れたので、洗濯は明日しよう。
 明日、何か動きがあるかもしれないし。
 財布などの貴重品は、カプセル内の金庫に入れ、アメニティの袋に入っていたタオルなどを持って、シャワー室に向かう。
 移動の際もカードキーが必要とのことで、それは忘れずに持って行く。
 因みにカプセルの出入口はカーテンなので、鍵は無い。

[同日23時30分 天候:雨 同地区内 イージーステイ大宮]

 シャワー室は広く、16ものブースがあった。
 ボディソープやシャンプーなども備え付けられていて、それで体を洗うことができた。
 あとは歯磨きをして、取りあえず寝るとしよう。
 リサには、BSAAのGPSを切るように言ってある。
 これはBSAAに対する反逆行為と取られかねないが、そもそも偽情報で私達を捕まえようとしているBSAAに居場所を教えるわけにはいかない。
 当然、アプリもアンインストールだ。
 部屋に戻る前に、自販機コーナーで水のペットボトルを買っておいた。
 カプセルホテルとネットカフェは空間が別々になっていて、そこを行き来するのには、専用のカードキーを使わないといけない。
 ではカプセルホテル利用者は、一切マンガが読めないのかというと、そうでもない。
 カプセルが並んでいるエリアにも、そこかしこにマンガが入った棚が置かれており、また、自販機コーナーも、自販機の数より、マンガの本棚の方が主張が強いくらいだ。
 それでも足りない場合は、ネットカフェエリアのマンガも読んで良いとのこと。
 私は明日、持ち込んだノートPCで仕事をするつもりだが、リサ達にはマンガの読破で時間を潰してもらうしかない。
 あとはWiFiも飛んでるから、手持ちのスマホで過ごしてもらうか。
 コンセントはカプセル内にもあるし、テレビもある。

 リサ「先生、明日は何時に起きればいい?」

 部屋に戻ってスマホを確認すると、リサからLINEが来ていた。
 私は、『何時でもいい。善場係長から連絡が来るまで、明日もここで過ごすことになる。マンガ読むか、スマホやるか、テレビ観るか、好きに過ごしてくれ』と、答えておいた。
 するとリサは、イートインスペースのカレーをもう食べたのか、それが美味かったと回答してきた。
 宿泊者は、イートインスペースにある食べ物は基本的に無料で食べ放題とのことだ。
 早めに夕食を食べてしまったので、やや小腹が空いている感があったが、それ以上に疲れていたので、今夜はもう寝ることにした。
 最後に善場係長には、『いつでも連絡お待ち申し上げております』と、メールを送っておいた。

[同日08時10分 天候:雨 イージーステイ大宮2階・カプセルホテル]

 愛原「んん……」

 緊張の為か、夜中に2~3回ほど起きた。
 次に目が覚めた時には、8時を回っていた。
 どうやら、周囲の宿泊客がチェックアウトの為にワサワサしており、それで目が覚めたらしい。
 個室ではないので、どうしてもそうなる。
 気になる場合は、耳栓とかが必要になるのだろう。
 まあ、そこそこ眠れたので良しとしよう。
 枕元に置いたスマホを見ると、メール着信があった。
 だが、メールは仕事関係の物と、通販サイトからのダイレクトメール、そして上野利恵からの物が1通あるだけで、善場係長からのメールや着信は無かった。
 利恵のメールを見ると、『秋田の太平山家の方より、リサさんの個人情報を教えろと来たのですが、どうされますか?』とのことだった。
 どうやら、リサに関心を寄せている鬼の男だろう。
 太平山美樹の親戚筋と思われる。
 なので私は、『太平山美樹というコが、リサと知り合いのようなので、そのコに聞いてくれと伝えて』と返信しておいた。
 あとはリサからのLINE。
 リサも起きたようで、『一緒に朝ご飯食べよう!』と誘って来た。
 私は顔を洗ってから、そうすると返信しておいた。
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