報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「久しぶりの登校」 2

2024-12-25 20:53:50 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月17日15時51分 天候:曇 東京都台東区上野 JR上野駅→山手線1523G電車・1号車内]

 臨時PTA総会が終わり、片付けも終わった後で、リサは愛原やレイチェルと共に帰宅の途に就いた。

〔まもなく、3番線に、東京、品川方面行きが、参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまで、お下がりください。次は、御徒町に、停車します〕

 愛原「2人が設営と撤収をやると早いなぁ……」
 リサ「むふー!力仕事は任せて!」
 レイチェル「体力に自信が無いと、BSAA隊員は務まりまセン」

 山手線の電車がやってくる。

〔うえの~、上野~。ご乗車、ありがとうございます。次は、御徒町に、停車します〕

 電車に乗り込む。
 愛原はドア脇の座席に腰かけた。
 2人の女子高生は、その前は横に立つ。

 愛原「まさか、2時間近く掛かるとはなぁ……」
 リサ「な、何かゴメン……」
 レイチェル「愛原センセイ、お疲れ様です」
 愛原「いや……」

 ホームから発車ベルの音が聞こえてくる。
 山手線や京浜東北線、新幹線ホームはメロディではなく、電子電鈴と呼ばれるベルが鳴る。

〔3番線の、山手線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 電車のドアとホームドアの両方が閉まる。
 車両の規格が統一されている山手線や京浜東北線のホームでは、ホームドアが設置できている。
 電車が動き出した。

〔この電車は、山手線外回り、東京、品川方面行きです。次は、御徒町、御徒町。お出口は、左側です。都営地下鉄大江戸線は、お乗り換えです〕

 愛原「明日は普通に休みなんだよな?」
 リサ「さすがにね。停学でも日曜日は補習ナシ。働き方改革で、先生達も休まないといけないから」
 愛原「それもそうか。レイチェルもか?」
 レイチェル「そう、ですね。訓練生は、実戦に出られないので」
 リサ「う、ウソだぁ……。わたしのこと、ヘリで追い回してなかった?」
 レイチェル「あくまでも、訓練です。わたし自身は、まだヘリコプターを操縦できません」
 愛原「あー、コホン……」
 レイチェル「リサはどこか行くのですか?」
 リサ「遊びに行きたいんだけど、善場さんがダメだって。何か、これから色々と起きるから、巻き込まれないように、学校のある日以外は家でおとなしくしてろだって」
 愛原「そんな指示が来たのか?」
 リサ「うん」

 リサは自分のスマホを見せた。
 確かにメールには、善場からのメッセージが着信されている。

 リサ「先生の所にも送られてるんじゃない?」
 愛原「そうか?俺のスマホには来てないが……」
 リサ「パソコンの方じゃない?」
 愛原「そ、そうか。帰ったら確認してみよう」
 レイチェル「デイライトも、色々と情報を掴んでいるようですね」
 愛原「デイライトもデイライトで、諜報機関だからな。色々掴んでてもおかしくはないさ」

 因みに、パールからのLINEはまだ無かった。
 太平山美樹からゆうパックが届いたら連絡するように頼んでおいたのだが、まだ無い。

[同日16時13分 天候:曇 東京都千代田区神田岩本町 都営地下鉄岩本町駅→都営新宿線1516T電車・最後尾車内]

 秋葉原駅でレイチェルと別れる。
 具体的には、JR秋葉原駅を出て都営地下鉄の岩本町駅に向かう途中まで。
 神田川の手前、和泉橋の袂に、東京メトロ日比谷線の秋葉原駅の入口がある。
 そこで別れた。
 レイチェルは日比谷線で、中目黒まで乗って行く。
 それなら上野駅から乗ればいいのだが、少しでも長く、リサの監視をしていたいらしい。

 リサ「! レイチェルは明日、ヒマなの?」
 レイチェル「ヒマ……というより、待機をしてなければなりませン。訓練生であっても、Aクラスの非常事態では出ないと行けないのです」
 リサ「それさえ無ければ、休み同然?」
 レイチェル「そ、そうです」
 リサ「レイチェル、わたしの監視役でもあるんだから、レイチェルに来てもらえばいいんだ!」
 レイチェル「何がですか?」
 リサ「ヨドバシやコジマと、明日、買い物に出かけるつもり」
 愛原「マジか……」
 リサ「マジです。善場さんは監視役が先生しかいないし、先生は明日、事務所にいないとでしょ?」
 愛原「溜まった事務作業、片付けないといけないしな」
 リサ「だから善場さんは、私に『家にいろ』って言ったんだよ。だけど、レイチェルが一緒にいればいいじゃん」
 愛原「……確かにな。レイチェルはいいのか?」
 レイチェル「HQに確認する必要がありますが、私は大丈夫です」
 愛原「そうか……。あんまり遠くに行くなよ?」
 リサ「アキバに行くだけだよ」
 愛原「……それは近いな」
 リサ「王子、北千住、中目黒、そして菊川から電車1本で行ける場所って行ったらそこでしょ?」
 愛原「……確かにな」
 リサ「もしかしたら、錦糸町に移動するかもね」
 愛原「もっと近くなるな!」
 リサ「それなら問題無いでしょ?」
 愛原「まあ、そうだな……」
 レイチェル「HQの許可が取れれば、私も大丈夫です」
 愛原「悪いな。リサの監視の為という理由、使ってくれていいから」
 レイチェル「むしろ、それ以外に理由が無いデス」

 などと話していたものだから、乗り換える電車を1本だか2本だか遅らせる形となった。

〔まもなく、4番線に、各駅停車、本八幡行きが、10両編成で参ります。ドアから離れて、お待ちください〕

 今度は最後尾の車両が来る位置で電車を待つ。
 入線する電車が巻き起こす轟音と強風で、リサの髪が大きく揺れて、スカートも少し捲れた。

〔4番線は、各駅停車、本八幡行きです。いわもとちょう、岩本町。秋葉原〕

 やってきたのは、往路と同じ東京都交通局の車両。
 但し、外観内装が違う。
 こちらは全体的に車内が暗めで、座席も硬い。

〔4番線、ドアが閉まります〕

 副線ホームのある駅だが、この電車は特に急行電車の通過待ちはしないもよう。
 本線ホームに停車し、短い発車メロディを鳴らした後、すぐにドアを閉めて発車した。

〔次は馬喰横山、馬喰横山。都営浅草線、JR総武快速線はお乗り換えです。お出口は、左側です〕

 私は硬めの座席に腰かけると、スマホを取り出し、事務所にいるパールに連絡した。
 パールからの返信はすぐにあって、私が頼んでいた書類の作成は既に終わっているらしい。
 私たちの帰宅後、すぐに夕食の買い出しと準備に行くと返信してきた。
 尚、ゆうパックが届いたという話は無かった。
 伝票番号による追跡をしてみると、既に都内の郵便局に到着しており、『持出中』となっていることから、今日中に配達されるのは間違いないようだ。
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“愛原リサの日常” 「久しぶりの登校」

2024-12-25 15:11:43 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月17日08時00分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]

 愛原「さあ、着いた」
 リサ「むふー!」
 愛原「俺は職員室に行って来るから、オマエは教室に向かえ」
 リサ「了解」

 リサと愛原が学校の敷地内に入った時だった。

 レイチェル「Hey,frieze!!」

 背後からレイチェルの鋭い声が聞こえた。
 振り向くと、制服姿のレイチェルがリサと愛原に向けて、ハンドガンを構えていた。
 アメリカ陸軍でも使用されているM17だろう。
 9口径のオートマチック拳銃だが、それでリサを殺せるだろうか?

 リサ「……政府から、BSAAは撤退しろと言われたはずだけど?」
 愛原「おい、レイチェル!ここでそういう騒ぎは……」

 するとレイチェルは銃を下ろした。

 レイチェル「フェイク(偽情報)に踊らされた、こちらの負けですよ」
 愛原「俺達が悪魔に魂を売ったなんて、ガッツリ偽情報だからな?BSAAに拘束される謂れは無いぞ?」
 レイチェル「ええ、分かっています」
 愛原「その誤解は解けたようだが、本来は戦闘訓練を受けに行くはずのキミがそれを休んで学校に来るということは、今日は何かあるということだな?」
 レイチェル「軍機です」
 愛原「キミはまだ訓練兵だ。その訓練兵は参加できない作戦が、近いうちに決行されるということだな?」

 愛原の質問に、レイチェルは青い瞳を見開いたが、すぐに元に戻した。

 レイチェル「軍機です」
 愛原「……分かった。それだけで十分だ。それじゃリサ、俺は職員室に行ってくるから」
 リサ「う、うん」
 レイチェル「さすがは、バイオハザードをいくつも潜り抜けたモサです。BSAAの隊員になれるかもしれませんね?」
 リサ「モサ?……ああ、猛者ね!……それは、わたしもそう思う。だけど、先生は探偵の仕事が好きだから、BSAAには入らないと思うよ?」
 レイチェル「BSAAにもスパイの仕事はありますが、ザンネンです」

 リサはレイチェルと一緒に、昇降口に向かった。

 リサ「校舎の修理は進んでるみたいだね」
 レイチェル「夏休み前には終わるみたいですよ。BOW(生物兵器)は破壊が好きですね」
 リサ「いやあ……ハハ……」(←壊した本人)

 校舎の中に入り、教室へと入る。

 淀橋「おー、魔王様のお出まし~!」
 小島「おはよう、リサとレイチェル。リサ、大丈夫?レイチェルに蜂の巣にされてない?」
 リサ「美味しい蜂蜜は取れないからムリ」
 淀橋「魔王様はバズーカでも死なないから」
 リサ「ロケットランチャー食らったら、さすがにマズいけどね」
 レイチェル「訓練生の立場では、非常時以外、ロケットランチャーの使用は認められていません」
 リサ「うん。……いや、それ、そのハンドガンもでしょ!?」
 淀橋「使う前提で話すから、思わず騙されるね」
 レイチェル「Oh,sorry!」

[同日08時35分 天候:晴 同学校1階・3年3組]

 坂上「……というわけで、愛原リサさんが、1ヶ月の停学を終えて今日から復帰致します。皆さん、仲良くしてあげてください」
 リサ「へへ、どうも……。この度は、とんだお騒がせを……」
 男子生徒A「先生!それじゃ転校生の紹介っスよ!」

 さしものリサも、さすがに同級生達には詫びを入れた。

 リサ「今後は2度とああいうことの無いようにしますんで……ドモドモ……」
 男子生徒B「魔王様入場のテーマ、ON!」(自分のスマホから音楽を流す)

 https://www.youtube.com/watch?v=BayW7aXI0zI

 リサ「……尚、下校チャイム後の女子トイレの使用に関しては、安全の保障はしないので、ご承知おきを」

 リサ、両目の瞳を赤くボウッと光らせる。

 坂上「いや、下校のチャイム鳴ったら帰れよ?」
 リサ「さ、サーセン」
 坂上「お前もフザけるな!」
 男子生徒B「サーセンw」
 坂上「まあ、いい。愛原は今後、気をつけるように」
 リサ「はい」
 坂上「これ以上停学になったら、留年必至だからな?」
 リサ「はーい」

 リサは席に戻った。

 坂上「続いて、今日の予定をお知らせします。昨日は爆弾騒ぎで授業が中止になりましたが、この埋め合わせは今日はしないで、来週の土曜日に行われるかもしれません」
 淀橋「えー?来週休みだったのに……」
 坂上「今日しないのは、急な事になって皆さんの準備が大変なのと、午後からは臨時のPTA総会が行われるからです。なので、今日は特に授業が終わったらすぐに帰るように。……ああ、生徒会並びに、設営ボランティア志願の人は、残って会場設営の協力をお願いします」
 リサ「多分、それわたしだ」
 レイチェル「私も手伝いますよ」
 リサ「悪いねー」

[同日13時00分 天候:晴 同地区 ウェンディーズ・ファーストキッチン上野浅草口店]

 授業は予定通り、昼までで終わった。
 臨時PTA総会の会場設営の手伝いをしたリサとレイチェルは、それが終わるまで昼食を取りに行った。
 参加者の案内などは教職員や生徒会がやるので、リサ達は一旦御役御免となった。
 総会が終わったら、今度は片付けを手伝うことになる。
 それまで休憩だ。
 土曜日は学食が開いていないので、一旦学校の外に出て昼食である。

 リサ「体育の後で設営って、これは絶対お腹空くよ!」
 レイチェル「それはそうですね」
 リサ「体力自慢のわたし達でないとできないね」
 レイチェル「そう……ですかね」

 カウンター席に2人並んで、ハンバーガーを頬張る。
 結局、何だかんだ言って仲の良い2人である。

 リサ「今日は何があるの?」
 レイチェル「ですから、機密です」
 リサ「ちぇっ、ケチ……」
 レイチェル「仮に何かあるにしても、この日本ではないので安心してください」
 リサ「外国で何かあるんだ?」

 レイチェルはそれ以上答えなかった。
 しかし、レイチェルが片耳に着けているインカムからは、こういう音声が流れていた。
 日本語に訳すると、こう。

 『ヒデキ・サイトウはロシア国内を移動中!尚、移動にはシベリア鉄道を使用していると思われる!列車を捕捉したいところだが、ロシア政府からの妨害を受けている!』
 『プーチン大統領に抗議せよ!……クソッ、日本政府はヒヨって好き勝手にさせてくれるのに!!』
 『さすがの日本政府も、先日の我々の行動には文句言ってきたがなw』
 『ロシアのエージェントは!?エージェントを使え!一般乗客を装って、列車に乗せるんだ!』
 『ダメです!ロシア政府に、軒並みスパイ容疑で拘束されてます!!』
 『なにいっ!?プーチン大統領、何を考えている!?国連の決め事を破る気か!?』
 『一応、ロシアは常任理事国のはずなんですがねぇ……』

 レイチェル「色々とあるんですよ。色々とネ……」
 リサ「ふーん……?」
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