報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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“私立探偵 愛原学” 「斉藤秀樹の動向」

2024-12-28 20:51:15 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月17日18時00分 天候:雨 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 食卓に就く。

 

 リサにはポークステーキ。

 

 久しぶりに魚が食べたかった私には、ホッケの開きが出された。

 愛原「いただきまーす!」
 リサ「いただきます!」

 比較的簡単にできる夕食で、時短を図ったらしい。
 だが、美味いのでOKである。
 もちろんおかずはこれだけでなく、冷凍食品ではあるものの、ポテトフライやコロッケもあった。
 サラダもある。

 愛原「そういえば高橋からの手紙が何通が届いていたらしいな?」
 パール「そうなんです。一応、私宛てでした」
 リサ「先生とわたしには?」
 パール「それは……無かったです」
 リサ「なんだw」
 愛原「ふーん……俺宛てには無かったのか」
 パール「こんな大事件を起こしておいて、先生に手紙を出すのは申し訳ないと書いてありました」
 愛原「そんなことないよ!そんなこと気にしなくていいよ!遠慮しないで、ガンガン手紙出してくれていいんだよ!?」
 パール「今度、面会した時にそう伝えておきます」
 リサ「お兄ちゃん、変な所で気を使うよね」
 愛原「全くだ……。手紙には他に何て書いてあったんだ?」
 パール「……『レズガキのパパは、シベリア超特急に乗っている。もうすぐ東海岸に着く』と」
 愛原「レズガキって、斉藤……我那覇絵恋のことだよな?」
 パール「そのパパ……つまり、絵恋お嬢様のお父様とは、御主人様のことです」

 つまり、斉藤元社長だ。

 リサ「シベリア超特急って?」
 愛原「シベリア鉄道を舞台にしたB級映画のタイトルだが、今で言うならロシア号やボストーク号がそれに当たる。2つとも、シベリア鉄道を走る超特急の名前だ」
 リサ「東海岸って?」
 愛原「その2つの列車のうち、海沿いの町に着くのはロシア号の方だな。ボストーク号はロシアのモスクワと中国の北京を結ぶ列車。ロシア号は、モスクワから同じロシアのウラジオストクに向かう列車だ。で、ウラジオストクは日本海に面している。向こうでは『東海岸』とは言わないけど、首都モスクワから見れば、東の海岸に位置する町ではあるから、そういう暗号なんだと思う」
 パール「つまりは……」
 愛原「斉藤元社長は、シベリア鉄道のロシア号に乗って、ウラジオストクに向かっているということだ」
 リサ「どうしてそこへ?」
 愛原「ウラジオストクという町は、日本とも密接的な関係にあるんだ。姉妹都市もいくつかあるしな。変な韓流ブームのせいで、マスコミだけが盛り上がってる韓国のソウルよりも近いんだよ」
 リサ「へえ……」
 愛原「映画のシベリア超特急も、1941年に、陸軍大将の山下泰文大将がロシア視察を終えて、シベリア鉄道でウラジオストクに向かっている最中に殺人事件に巻き込まれたという設定だからな。ウラジオストクからは昔は船が出ていて、それで日本と行き来していたそうだ」
 リサ「ふーん……」
 愛原「今は飛行機が飛んでいるが、果たして、斉藤社長、本当に日本に戻って来るつもりなのか?」
 パール「よく列車に乗っていられますね?映画だと途中の駅から、警察隊が乗り込んで来て、無理やり逮捕なんてありそうですけど……」
 愛原「まず、日本とロシアとでは、犯罪人引渡条約が結ばれていないんだ。だから、斉藤社長がロシア国内で何か犯罪でもやってない限り、向こうの警察はそうしないよ」
 リサ「BSAAは?」
 愛原「分からん。どうしてBSAAが動かないのか。はたまた、動けないのか」
 パール「動けない?」
 愛原「シベリア鉄道は、ロシア政府が所有する、いわばロシア国鉄の一部だ。BSAAが勝手にやってきて、ドンパチするのは困るだろうさ」
 パール「御主人様は、バイオテロに加担した国際指名手配犯とのことですが……」
 愛原「指名手配しているのは、BSAAだけ。実はインターポールなどは指名手配していない。証拠が無いから」
 パール「では、何故BSAAは御主人様を追っているのですか?」
 愛原「BSAA独自では、斉藤社長がアンブレラと繋がっていたという何かを見つけたんだろうさ。BSAAはあくまで、バイオテロの防止、鎮圧、そして事後処理までが仕事だ。BSAAとしては、未だにアンブレラの事件の事後処理は終わっていないとする。何を持って終了とするのかは不明だが、少しでも関与した者は片っ端から捕まえないと気が済まないんだろう」

 その時、テレビに気づいたリサが……。

 リサ「あーっ!エレンのお父さん!」

 テレビの画面を指さした。

 愛原「!」

 私もつられて画面を見ると、確かに彼が映っていた。

〔「……繰り返します。20××年、○×県霧生市で大規模バイオテロ事件を起こした日本アンブレラ製薬。それに資金提供などの形で加担したとされ、国連組織BSAAに国際指名手配されている斉藤秀樹容疑者ですが、現在はロシア国内に潜伏しているされ、シベリア鉄道で移動しているとされています。この事に際し、ロシア政府では、『特に確認していない。確認の義務も無い。もしもBSAAが我が国のインフラを傷つけるようなことがあれば、直ちに常任理事国として、BSAAへの出資を一切取りやめる』と発表しています」〕

 リサ「ロシア強っ!」
 愛原「まあ……ロシアもどちらかというと、生物兵器を使いたい側だろうからな……。あんまり関わり合いになりたくないんじゃないか?」

〔「これに対し、アメリカ政府は、『ロシア政府の態度は、世界中のバイオテロを根絶する正義に反するものだ。強い表現でこれを非難する』との声明を発表しています」〕

 愛原「要はアメリカの思惑か……。あれ?だったら、ロシア号じゃなくて、ボストーク号で中国行った方が安全か?だって、武漢ウィルス、世界中にバラ撒いたくらいだもんな?」
 リサ「あー……」
 パール「御主人様はあまり中国が好きではありませんでしたから、それは無いと思いますよ?」
 愛原「そうかな」

 もしも斉藤元社長が日本に帰って来るようなことがあったら、大変な騒ぎになるだろう。
コメント
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