報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「停学明け」

2024-12-23 20:24:20 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月17日06時30分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 リサ「おはよう……」

 リサが起きて来た。

 

 愛原「おはよう。今日から学校なんだから、早いとこ目ェ覚ましとけよ」
 リサ「久しぶりの早起きだからねぇ……」
 パール「朝食を食べれば、目が覚めますよ」
 リサ「おー」

 

 今日はベーコンエッグだった。
 リサだけベーコンマシマシ。
 玉子よりベーコン派なので、リサは。
 私は玉子2個にしてもらった分、ベーコンはハーフサイズで2~3枚といったところだ。

 リサ「今日は先生も一緒に学校に行くんだよね?」
 愛原「そうだよ。リサが御迷惑お掛けしたこと、俺も保護者として一緒に謝りに行かないとなぁ……」
 リサ「サーセン!」
 愛原「まあ、俺がオマエに心配を掛けたというのも原因だからしょうがない」

 私はパールが持って来た厚切りトーストに齧りついた。

 愛原「午後はPTA総会があるから、多分1日事務所を空けることになると思う。土曜日だから、あんまり顧客からの電話とかは無いと思うが、留守番の方、よろしくな?」
 パール「かしこまりました。今回の出張の経費を全て計算して、精算書を作成すれば宜しいのですね?」
 愛原「そうだ。領収証が発行されている分だけで構わないから」

 コンビニで買った物とか、ただのレシートではダメだということだ。
 善場係長は、掛かった経費全て請求して構わないと仰ってくれたが。
 取りあえず、レンタカー代を含む交通費や大宮での宿泊費などは請求して構わないだろう。
 あとはコインロッカーの費用も、である。
 食費に関しては領収証が無いので、これは請求しないことにする。
 こちらが、事務所の経費として計上すれば良いだろう。

 パール「かしこまりました」
 リサ「あと、もしかしたら、ミキから金棒が届くかもしれないから!」
 パール「さようですか」
 愛原「それに関しては、午後届くんじゃないかな?」
 リサ「どうして?」
 愛原「伝票の控えを見せてもらったが、お届け希望日も、時間指定もしていなかった。で、美樹は郵便局が閉まるギリギリに出したって言ってただろ?」
 リサ「うん」
 愛原「ゆうパックで何も期日・時間指定してない場合、秋田県から東京都まで1日で届く。ただ、午後に出した場合は、午後に届くらしい。郵便局が閉まるギリギリの時間だったってことは、それこそ夕方とか夜に届くかもしれんな……」
 リサ「ふーん……」
 パール「でも、早めに届く可能性もあります。その時は私が受け取りますよ」
 愛原「頼むな」
 パール「おいくらでしょう?着払いでしたよね?」
 愛原「あの伝票の画像に値段が書いてあっただろう?後で精算するから、立て替えといてくれないか?」
 パール「かしこまりました」
 愛原「多分、受け取る時に領収証とかもらえると思うんだな」
 パール「そうですね」

[同日07時30分 天候:晴 同地区内 都営地下鉄菊川駅→都営新宿線725T電車・先頭車内]

 朝食を食べ終わった後は、学校に行く準備をする。

 リサ「久しぶりだなぁ、この制服」
 愛原「そうか?」
 リサ「何か暑苦しい」
 愛原「そうか!?半袖のブラウスだぞ!?」
 リサ「ポロシャツは無いの?」
 愛原「ポロシャツは盛夏服だから、7月~9月までだろう?」
 リサ「ちぇっ……」

 尚、ポロシャツが解禁されても、ブラウスやワイシャツも着て良いことになっている。

 愛原「今日は体育があるんだろ?ブルマは穿き替えたのか?」
 リサ「大丈夫!ちゃんと緑のに穿き替えた!」

 そう言ってリサは、スカートを捲って見せようとした。

 愛原「見せなくていいから!」

 というやり取りをしながら駅に向かう。
 土曜日なので平日よりは空いているはずだが、それでも駅はそれなりに賑わっている。

 リサ「通学定期を使うのも久しぶりだなぁ……」
 愛原「そのPasmo自体は、普段使いだろうが」

 そういう私は、Suicaで乗る。

〔まもなく、1番線に、各駅停車、笹塚行きが、10両編成で、到着します。ドアから離れて、お待ちください〕

 ホームに行くと、ホームに接近放送が響き渡る。
 そして、強風が吹いて来た。
 何故だか知らないが、菊川駅は地下鉄特有の強風にしても、特に風が強いような気がする。
 風の影響を受けにくい先頭車が来る位置にいるが、それでも同じことだった。
 やってきたのは、東京都交通局の電車。
 確かに平日ほどの混雑は無いにせよ、座席は埋まっていて、立ち客もそこそこいる状態だった。

〔1番線の電車は、各駅停車、笹塚行きです。きくかわ~、菊川~〕

 それでも下車客も、ある程度はいるもよう。
 たまたま空いた席に2人腰かけておく。
 すぐに、発車メロディが鳴った。

〔1番線、ドアが閉まります〕

 電車のドアと、ホームドアが同時に閉まる。
 車両のドアチャイムを聞くと、JRの通勤電車を思い出す。
 昨日乗った上野東京ラインや横須賀線と、同じ音である。
 ドアが閉まり切ると、運転室の中から発車合図のブザーが聞こえてきた。
 そして、ガチャッとハンドルを操作する音がすると、エアブレーキが解除される音が響き、電車が動き出した。

〔次は森下、森下。都営大江戸線は、お乗り換えです。お出口は、右側です〕

 リサは自分の鞄を膝の上には置かず、床に置いて足で挟むようにしている。
 スマホを操作しているもようは、普通の女子高生のよう。
 もちろん、今は人間形態に擬態している。
 本当これが正体になるようにしてやるのが、我々の最終目的だ。
 スカートは短く、白い太ももが視線を落とすとよく見える。

 リサ「ん?」
 愛原「どうした?」
 リサ「いや、今日は土曜日だから、レイチェルは来ないはずなんだけど……」

 毎週土曜日はBSAAも駐留している米軍基地に赴き、戦闘訓練を行うことになっている。
 その為、土曜日は学校を休んでいる。
 だがリサの話によると、今日はレイチェルが登校するのだそうだ。

 リサ「緊急出動を何回もしたから、これが戦闘訓練の代わりになるんだって。その代わり、留学先の学校を休んでいる形だから、今日は戦闘訓練を中止にして、登校しろって指示が出たらしいよ」
 愛原「そうなのか……」
 リサ「わたし、撃たれる?」
 愛原「いや、それは無いだろう。もうBSAAも、政府からの抗議に撤収したわけだし」

 と言いつつ、私も少し不安になってきた。
 一緒に学校に行って正解かな?
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“私立探偵 愛原学” 「帰宅の夜」

2024-12-23 12:20:30 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月16日19時15分 天候:晴 東京都墨田区江東橋 テルミナ3 牛角錦糸町テルミナ店]

 『食べ放題 鬼は笑ひて 店は泣き』
 普通は、どんなに食べても元が取れない仕組みになっている店の食べ放題メニューだが、リサを連れて行くと、だいたい元が取れるという。
 しかし、リサ1人で、店がピリつく騒ぎだで?
 これが何人もだったら、店が潰れるな。
 霧生市ではバイオハザード発生時、まず普通の食べ物が無くなった。
 ゾンビ達が食べ尽くしたのと、リサのようなBOWが食い散らかしたからだろう。

 愛原「すいません、カードでお願いします」
 店員「か、かしこまりました」

 支払いはカードで。
 しかしこれ、食べ放題じゃなかったら、1万円強じゃ済まなかったな……。
 しかもリサのヤツ、後半は殆ど焼かずに食べていた。
 人間なら食中毒ものだが、体内に有しているGウィルスや他のウィルス、寄生虫は『血の滴る』うちに食べるのが好きなのだろう。

 パール「先生、御馳走様です」
 リサ「ごちそーさまー!」
 愛原「いいよ。その代わり、明日の飯は頼む」
 パール「お任せください」
 愛原「リサもこれだけ肉を食べたんだから、人食い衝動は抑えるように」
 リサ「頑張る!」

 会計を済ませて店が出た後、トイレを済ませる。
 帰りはバスに乗る予定だが、あまり本数が少ない為、時間を調整して行く形となる。
 やはり、警察もBSAAもおとなしくなったのだろうか、現時点では彼らの姿を見ることは無い。
 もちろん、制服警官の姿なら駅構内で見ることはあるが。

[同日19時52分 天候:晴 同区内 錦糸町駅前バス停→都営バス錦11系統車内]

 パールの一服も終わってバス停に行く。
 駅前は帰宅ラッシュで賑わっていた。

 リサ「そういえば、“いきなりステーキ”もバス停の所にあったんだっけ」
 愛原「あー、ダメダメ!さすがは今日はもう行かないぞ!」
 リサ「今日『は』!?今日『は』!?」
 愛原「う、うん。また、別の機会にね!」

 バスがやってくるが、亀戸駅前始発なので、既に何人かの乗客が乗っている。
 バスに乗り込み、リサと私は2人席に座った。
 リサが体を密着させてくる。

〔発車致します。お掴まり下さい〕

 乗客を全員乗せると、バスは前扉を閉めて発車した。
 だいたい座席が全部埋まり、立ち客が数名いる感じ。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。このバスは浜町中の橋、八丁堀二丁目経由、築地駅前行きでございます。次は錦糸堀、錦糸堀でございます。警備会社の全日警、東京中央支社へおいでのお客様は、菊川一丁目でお降りになると便利です。次は、錦糸堀でございます〕

 リサのスマホが震える。
 どうやら、LINEの着信があったようだ。
 リサが面倒臭そうにスマホを確認する。
 せっかく私に密着できたと思ったのに、水を差されたと思ったのだろうか。
 あと、今の都営バスにはWiFiが無いから、パケットを気にしているのかもしれない。

 愛原「何だって?」
 リサ「ミキから。わたしに新しい金棒送ったから受け取ってだって」
 愛原「もう送ったのか。早いな」
 リサ「今時、金棒使う鬼もあんまいないから、余ってるんだってよ」
 愛原「時代の流れか」
 リサ「どうせ余り物だから、タダでいいって。その代わり、着払いで送るから、受取の代金だけヨロシクだって」
 愛原「あいよ。てか、宅配便で送れるレベルなのか」
 リサ「大きさ的には、野球の金属バットとあんま変わんないでしょ」
 愛原「それもそうか」

 実際、リサが使っていた金棒は、野球部から譲ってもらった金属バットを改造したものだ。
 もっとも、野球のバットだとアルミ製で、そんなに実は耐久性が無いのかもしれないが。

 愛原「……鬼の里で使うものだから、結構本格的な物なんだろうな?」
 リサ「そうかもね。でも、普通にで送れるレベルだよ」
 愛原「俺的には、鬼が棲むような山奥まで集荷できるのが凄いよ」
 リサ「わざわざ山を下りて、出しに行ったんじゃない?だってミキ、学校は寮だけど、たまに帰るらしいから」
 愛原「そうか……。どこの運送会社に頼んだか、聞いてみてくれるか?ヤマト?佐川?」
 リサ「ちょっと待ってね……。ついでに、どんな金棒送ってくれたかも聞いてみる」
 愛原「そうしてくれ」

[同日20時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 菊川駅前バス停→ファミリーマート菊川駅前店]

 バスは無事に菊川駅前のバス停に到着した。
 中扉からバスを降りる。
 まだ、太平山美樹から返信は来ないようだ。

 パール「先生。明日の朝食の材料を買って行っても宜しいでしょうか?」
 愛原「おっ、そうだな。いいぞいいぞ」
 パール「ありがとうございます」

 駅前のコンビニに立ち寄る。

 愛原「明日は土曜日だから、パン食かな?」
 パール「そうですね」
 リサ「わたしもついでに何か買っていい?」
 愛原「いいよ」

 食パンとか卵とか、ハムとかベーコンとか……。

 愛原「リサにはコレな」

 私はパック入りの『鬼ころし』を手に取った。
 もちろん酒なので、未成年たるリサには買えない。
 だが、何故かこれが、リサの暴走を抑える薬として絶大な効果がある為、デイライトからは、特別に少量飲むことを許されている。
 もちろん、購入は私名義で。

 パール「ついでにタバコ買っていいですか?」
 愛原「いいよ。ポイントはパールで貯めていいから」
 パール「ありがとうございます」
 リサ「先生、わたしのポイントは?」
 愛原「オマエのポイントカードは、ナナコとポンタだけだろうが」
 リサ「ぐえー……」

 パールは近所のスーパーでも同じポイントを貯めて、これをバイクの燃料代とかに充てているようである。

 愛原「それより美樹から返信は?」
 リサ「あー、今来た。今北産業」
 愛原「2ちゃんかw で、何だって?」
 リサ「これが金棒のサンプル写真だって」

 

 愛原「うーむ……。頑丈そうだが、大きさが今いち分からん」
 リサ「これが伝票だって」

 

 愛原「ゆうパックか。本当に着払いだ」

 しかし郵便局なら、田舎の……それも山奥にでも田んぼのど真ん中にでもありそうなイメージだ。

 リサ「郵便局が閉まるギリギリに出せたらしいけど、それでも明日には届くんだねー」
 愛原「マジか!?」

 郵便局のある場所だから、最低限の交通手段は確保されているとはいえ、北東北から東京まで何の時間指定をしなくても明日には届くとは……。

 リサ「でもまあ、前使ってたヤツより重そうだね」
 愛原「女の鬼よりは、筋骨隆々の男の鬼が持っているイメージだもんなぁ……」
 リサ「……ちっ、ヤなこと思い出しちゃった」
 愛原「あ、ゴメン」
 リサ「あの鬼の男が、わたしに近づかないように、ミキから言っといてもらおう」

 そう言って、リサは再びスマホでLINEを送るのだった。
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