報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「リサと再会」

2024-10-31 20:34:56 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月9日17時00分 天候:晴 静岡県富士宮市某所 NPO法人デイライト静岡事務所B3階→1階]

 搬入用の大型エレベーターでゆっくりと地下3階に下りる。

 愛原「!?」

 エレベーターを降りると、武装した男2人が私達を出迎えた。
 手にはいずれにもショットガンやマシンガンを持っている。
 BSAAの制服とも違うが、デイライト特有の制服なのだろうか?
 廊下の途中に鉄格子のドアがあり、その先へと入っていく。

 愛原「これは……?」
 坪井「いいですか?他言無用ですよ?」
 愛原「そ、それはもちろん……」

 鉄扉の並んだ区画へとやってくる。
 この鉄扉、鉄格子の扉にすると、独房の入口みたいに見えるのではないだろうか。
 実際その通りで、こちら側からしか開かない小窓から覗いてみると、中が独房のようになっているのが分かった。
 リサのヤツ、こんな所に押し込められていたのか……。
 武装看守が外側から鉄扉を解錠する。
 解錠自体は簡単なようだ。
 そして、重々しい音を立てて鉄扉が開かれた。

 武装看守「JLT2番、出ろ!」
 リサ「…………」

 リサは粗末な囚人服のようなものを着させられており、手足をほぼ拘束されていた。
 ただ、坪井氏によると、いつもこうしていたわけではなく、今日は私と再会することで、興奮して変化することを警戒してこのようにしているだけだという。

 愛原「リサ!迎えに来たぞ!」

 薄暗い独房の奥から、ボウッと赤い光がやってくる。
 リサの瞳の色だ。

 リサ「ア……イ……ハ……ラ……?」

 奥からやってきたリサは第2形態、即ち鬼形態から更に変化した姿になっていた。
 辛うじて人の姿を保っている状態である。
 それが、シュウシュウと音を立てて第1形態の鬼姿に戻る。

 リサ「愛原先生!」

 リサが私に飛び掛かろうとしたが、拘束している鎖がそれを阻止する。
 なるほど。
 坪井氏が言っていた措置は、強ち間違いだとも言えないか。

 愛原「リサ、着替えを持って来たから、これに着替えて。あとは急いでここを出よう」

 私は持って来たキャリーバッグの中からリサの着替えを取り出した。

 坪井「以上で手続きは終了です」

 リサが私が持って来た服に着替え、再び地上に向かうエレベーターに乗り込むと、坪井氏がそう言った。

 坪井「お疲れさまでした」
 愛原「……ありがとうございます」

 エレベーターには坪井氏の他、銃火器で武装した看守もいる。
 リサが完全にここを出て行くまで油断はできないということか。
 地上に出て建物の外に出た時、所長が私にタクシーチケットを渡した。

 所長「タクシーはもう来ていますから、これを渡しておきます」
 愛原「ありがとうございました」

 送ってはくれないが、タクシー代は面倒看てくれるというわけか。
 駐車場には、タクシーが1台止まっていた。
 運転手が荷物を載せる為に、トランクを開けくれた。
 そこにキャリーバッグを載せて、ハッチを閉める。
 リアシートに乗り込んだ。

 愛原「ひばりヶ丘のスーパーホテルまでお願いします」
 運転手「スーパーホテルですね。かしこまりました」

 タクシーが走り出す。
 特に職員達からの見送りは無かったが、2階の事務所からこちらを見ている所長の姿はあったので、私達がちゃんと敷地外に出たどうかの確認はしたらしい。
 リサは疲れた様子で、運転席後ろのリアシートにもたれかかった。
 少し体臭がする。
 あまり、入浴とかもさせてもらえなかったのかもしれない。
 ホテルには温泉があるから、そこでゆっくり浸かってもらおう。
 私は揺れる車内で、善場係長にメールを送った。
 すぐに返信があって、了解したとのことだ。
 リサの健康状態を質問されたが、特に大きな問題は無さそうとの返信をしておいた。
 そして今、タクシーで宿泊先に向かっていることを付け加えておいた。

 善場「かしこまりました。静岡事務所では事務的な対応をされたでしょうが、今回はゆっくりお休みください。但し、少しでも異常を感じましたら、すぐに御連絡をお願いします」

 との返信だった。

[同日17時30分 天候:晴 静岡県富士宮市ひばりが丘 スーパーホテル富士宮]

 タクシーは国道139号線沿いのホテルに到着した。
 支払いはデイライトの所長からもらったタクチケを使わせてもらうことにする。
 トランクを開けてもらって、そこからキャリーバッグを下ろした。

 愛原「疲れたか?もう寝る?」
 リサ「ううん……。お腹空いた。向こうじゃ、ロクに食べさせてもらえなかったから……」
 愛原「マジかよ……」

 いくらリサが人間じゃないからって、随分ヒドい話だな。

 愛原「チェックインしたら、何か食べに行こう。この近く、国道沿いに色々とありそうだ」
 リサ「うん」
 愛原「それと……その前に、先に体洗った方がいいかもな……」
 リサ「やっぱりそう思う?」
 愛原「うん、悪いけど……。このホテル、温泉もあるからさ?」
 リサ「部屋にシャワーとかあるよね?まずはそれにしておく。お腹も空いたし」

 どうやら食欲の方が強いらしい。

 愛原「分かったよ」

 建物の中に入り、チェックインする。
 今は自動チェックイン機があり、それでその手続きをすることができる。
 そして、2枚のチケットが出て来た。
 チケットには、4桁の暗証番号が書かれている。
 このホテルの客室の鍵は、暗証番号式となっているからだ。
 部屋ごとに、そしてその客ごとに番号を変えているのだろう。

 愛原「あ、そうだ。これも渡しておくよ」

 私はキャリーバッグを開けると、その中からリサのスマホとバッグを取り出して渡した。

 愛原「お前の私物だろ?」
 リサ「うん」
 愛原「それと、お前のPasmoにも満額近くまでチャージしておいたから」
 リサ「ありがとう」

 リサは早速、自分のスマホの電源を入れた。
 そして、エレベーターに乗り込み、客室フロアへと向かう。

 愛原「このホテル、WiFiもあるから、それでLINEとかもできるぞ」
 リサ「そうだね」

 客室フロアでエレベーターを降り、客室へ向かう。

 リサ「……先生と一緒の部屋じゃないんだ?」
 愛原「さすがに、それはちょっと……。でも、こうして隣同士だし!」
 リサ「まあ、いいけど。あそこから出れただけでも……」
 愛原「だろ!……先にシャワー浴びるんだったな?終わったらLINEで教えてくれないか?その後、一緒に夕飯食いに行こう!」
 リサ「分かった」

 私は自分の部屋の鍵を開けると、中に入った。
 荷物を置いて、まずはトイレに入る。
 リサのシャワーの時間はだいたい30分くらいだから、18時過ぎには夕食を食べに行けるだろう。

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