報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「事務所に到着」

2025-02-08 22:16:41 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月2日13時30分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所]

 東京駅八重洲中央口のタクシー乗り場よりタクシーに乗り換え、そしてようやく事務所に到着した。

 愛原「ただいまァ」
 パール「先生、お帰りなさい」
 リサ「ただいまー」
 パール「リサさんもお帰りなさい」
 愛原「ほら、土産。高崎駅で買って来た、群馬の酒だ。高橋のことで色々と大変だろうが、ストレス解消にな」
 パール「ありがとうございます。これは冷蔵庫で冷やしておきますね」
 愛原「ちょっとこれから色々と事務作業があるから、事務所にいる。何かあったら、事務所にな?」
 パール「かしこまりました」

 私は、まずは荷物の片付けをした。
 リサもリサで、すぐには事務所に入らず、私服に着替えに自分の部屋に向かった。
 私の荷物といっても、使用済みの服やお泊りセットの片付けくらいなんだがな。
 なもんで、事務所に入るのは私が先となる。
 もっとも、パールが既に事務所に入っていて、室内の冷房稼働や、私達の為にコーヒーを淹れてくれていた。

 パール「アイスコーヒーで宜しいですか?」
 愛原「おっ、悪いな」

 パールは冷蔵庫で冷やしてあったアイスコーヒーを淹れてくれた。
 来客用なのであるが、来客が無い日は私達が飲んでいる。

 パール「何か必要な物はありますか?」
 愛原「封筒と切手が欲しいな。普通郵便の」
 パール「マサに手紙を書かれるんですか?」
 愛原「いや、違う。別の人だ。……まあ、この機会に高橋に書いてもいいかな。因みに、どこの警察署に連れて行かれたんだ?」
 パール「墨田警察署です」
 愛原「前と同じ所か……。いや、いい。手紙は高橋と面会に行った時にやろう」
 パール「そうですか」
 愛原「どのみち、今は取り調べが忙しくて面会もままならない状態だろうな」
 パール「この辺りも、弁護士の先生と相談した方が良いですかね」
 愛原「そうだな。その方がいいだろう」

 弁護士なら、いつでも被疑者との面会が許されている。
 こういう時、先に弁護士さんに面会してもらい、状況を確認してもらった上で、今度は私達が行くというのが良いだろう。
 私は自分のPCを立ち上げ、それで沖野献氏に対する手紙を作成した。

 愛原「『前略 突然のお手紙、大変失礼致します。……』」
 リサ「『天高く馬肥ゆる梅雨、いかがお過ごしでしょうか?』」
 愛原「『天高く馬肥ゆる梅雨、いかがお過ごしでしょうか?』」
 リサ「『私はそろそろ人間の血肉を食らいたくなる今日この頃です』」
 愛原「『私は今日、人間の……』って、をい!」
 リサ「にゃははは」

 すると私のPCの前には、私服に着替えたリサがいた。
 ノースリーブの白いTシャツに、赤いバイオハザードのマークが入っている。
 下はデニムのショートパンツを穿いていた。

 愛原「今、仕事してるんだから、邪魔しないの!」
 リサ「ゴメンチャイ!」
 パール「リサさんも、アイスコーヒー淹れましたよ?」
 リサ「どうも~!」

 リサは自分の席(?)に座ると、教科書とノートを開いた。

 リサ「宿題、即行で片付けるもんね!」
 愛原「適当にやるなよ。学生の仕事なんだから」
 リサ「はーい」

 再び私はPCのモニターを見ながら、キーボードを叩いた。

[同日14時30分 天候:曇 同事務所]

 ようやく手紙を書き終わる。
 校閲をパールにしてもらい、特に誤字・脱字や表現におかしい所が無い所を確認してもらうと、それを畳んで封筒の中に入れる。
 そして千葉刑務所の郵便番号と住所を書いた。
 宛先はもちろん、『千葉刑務所 受刑者 沖野献様』とした。
 沖野貢氏の手紙が先に到着していることを前提とし、貢氏の紹介で手紙を出させて頂いたこと、是非とも話を聞きたいので面会させて頂きたい旨を書いておいた。

 愛原「よし、リサ。出してきてくれや」
 リサ「りょーかい!」
 パール「リサさん、菊川一丁目のバス停の近くにあるローソンストア100は知ってますか?」
 リサ「知ってるよ。前のマンションの向かいくらいだったじゃん」
 パール「店内のポストなら、回収時間は15時です」
 リサ「じゃあ、今出せば明日には着くね!」
 愛原「いや、今の普通郵便は遅くなったから、千葉じゃ、今日中に回収されても明後日だろうな」

 もちろん、そんなことは織り込み済みだ。
 沖野献氏を混乱させない為にも、速達で投函した沖野貢氏の手紙より先に着いてはならない。

 リサ「ついでに買い物できるね」
 パール「というわけで、買い物をお願いします」
 リサ「えっ?」
 パール「今日の夕食の材料は既に用意してありますが、明日の朝食分がまだです。ここにメモがありますから、これをお願いします」
 リサ「はーい」
 愛原「ついでにオマエの欲しい物も買っていいから」
 リサ「行ってきまーす!」
 愛原「こら待て!まだ切手を貼っていない!」

 私はリサを捕まえると封筒を奪い返し、封筒に切手を貼った。

 愛原「ほい!それじゃ、よろしく!」
 リサ「はーい!」

 リサは事務所を出ると、1階に下りる階段をバタバタと下りて行った。

 パール「でも先生、宜しいのですか?」
 愛原「何が?」
 パール「リサさんは単独行動が認められていないのでは?」
 愛原「通学の時は例外的にオッケーなんだが、どうせ単独行動できんよ」
 パール「ええっ?」

 すると事務所の前に、BSAAのジープが停車した。

 レイチェル「リサ!脱走は許しませンよ!」
 リサ「脱走じゃないし!」
 パール「あれは?」
 愛原「帰りのタクシーの中でぼんやり聞いたんだが、どうやらレイチェルのヤツ、リサと一緒に宿題やる約束をしたそうなんだ。どのタイミングで来るか不明だったが、今来たようだ」
 リサ「何でこのタイミング!?」
 レイチェル「日本では『今北産業』というそうですネ?」
 リサ「言わないし!それよりジープに乗せてよ、コンビニまで!」

 運転しているのはレイチェルではなく、BSAAの米国人だろうが、リサは臆せず、ジープのリアシートに乗り込んだ。

 リサ「愛原先生からお使い頼まれてるの!」
 レイチェル「最上級BOWをお使いに使うとは、さすがは愛原先生です」
 リサ「でしょ!」
 レイチェル「そういうことなら……。スミス伍長、お願いします!」
 スミス「ま、マジかよ……。BOWのお使いのお手伝いだって?!HQにどう報告するんだ!?」
 リサ「そこはジャパニーズ・ジョークで!」
 レイチェル「Year!Japanese joke!」
 スミス「ど、どうなっても知らんぞ……」

 ようやくジープが走り去って行った。
 まあ、車で行けば、ものの5分と掛からずに着くだろう。

 愛原「後でレイチェルのコーヒーも用意してあげて」
 パール「かしこまりました」

 静かなうちに、私は急いで報告書を作成することにした。

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