報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「月曜から仕事」 2

2023-12-24 15:54:37 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月6日15時30分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所2階]

 リサ「ただいま」

 リサが学校から帰って来た。
 そして、そのまま事務所までやってくる。
 この寒い時期に、コートを着ていない以外は普通の女子高生である。
 但し、首にネックウォーマーは着けているが。

 愛原「お帰り。絵恋さんの件、どうだった?」
 リサ「わたしのブルマ、届いたって。でね、エレベーターの鍵なら持ってるんだってさ」
 愛原「え!?」
 リサ「エレンが自分のブルマと一緒に鍵を送るってさ」
 高橋「鍵以外は要らねーな」
 リサ「うん、それはわたしも断った。そしたら蓮華、半泣きしてたけど」
 愛原「あはは……」

 私はリサにホットコーヒーを入れてあげた。

 リサ「ありがとう。外は寒いねー。沖縄はコート要らないってさ」
 愛原「だろうなぁ。リサなら、ブレザーも要らんだろ」
 リサ「多分そうだね。でね、鍵は言われた通り、速達と書留で送るってさ」
 愛原「おおっ!それは助かる!ということは、一両日中に届きそうだな」

 リサみたいに学校から帰って来て、夕方前に郵便局に出してくれれば、明日か明後日には届くだろう。

 リサ「でも、問題が1つある」
 愛原「何だ?」
 リサ「埼玉の家って、エレンのお父さんの家なんだよ」
 愛原「それは知ってる。……ん?」

 ここで私は嫌な予感がした。
 そうだ。
 あの家の名義は、斉藤元社長になっている。
 しかし、あの家が売りに出されていると聞いたことはない。
 空き家にはなっているが、今でも斉藤元社長の持ち物件であることに変わりはない。
 しかし、絵恋の母親は、そんな元社長とは離婚してしまった。
 つまり、今あの家に自由に出入りできる立場ではないのだ。

 リサ「お母さんが離婚したもんだから、家の鍵が無いんだって」
 愛原「エレベーターの鍵はあるのに、家の鍵は無いのかよ……」

 私は呆れた。
 しかし、それにしても絵恋から送られてくるというその鍵が、本当にエレベーターの鍵なのか、確認しなくてはならない。
 その為には、三菱日立ホームエレベーターが設置されている所で確認しなくてはならない。
 だがあいにくと、都合良くホームエレベーターが設置されている所に知り合いはいない。
 斉藤家だけである。
 何とかして斉藤家に入り、エレベーターが操作できるか確認したいところだ。
 そのまま民宿さのやに持って行って、実は違いましたなんて事になったら、骨折り損のくたびれ儲けである。

 リサ「そこで、運転手さんの出番」
 愛原「運転手?」
 リサ「ほら、エレンのお父さんの運転手さん」
 愛原「ああ、新庄さんか!」

 斉藤元社長のお抱え運転手である。
 元はタクシーの運転手であったが、斉藤元社長にスカウトされて、お抱え運転手となっている。

 リサ「エレンの話だと、またタクシーの運転手さんに戻ったんだって」
 愛原「どこのタクシー会社だ?東京か?」
 リサ「ううん。埼玉の」
 高橋「あっ、そういや……!」

 高橋が何か思い出したようだ。

 愛原「何だ?」
 高橋「パールのヤツ、新しい情報を手に入れたと言ってました」
 愛原「何だって?」
 高橋「他のメイド仲間から聞いたみたいっス」
 愛原「パールは……買い物中か」
 高橋「もうすぐ帰って来ますよ。ちょっと事務所に寄るよう、LINEしておきます」

 高橋は自分のスマホを取り出した。

 高橋「……と、既にLINE来てました。埼玉のタクシー会社で、タクシーの運ちゃんやってるのは間違い無いみたいっス」

 新庄さんは60代になるはずだが、タクシー会社の場合、普通2種免許さえあれば、60代でも働けるからな……。
 元々タクシー運転手をやっていた新庄さんは、免許を持っていたというわけだ。

 愛原「そうか。……で、どうして新庄さんが出て来たんだっけ?」
 リサ「その運転手さんが家の鍵を持ってるんだって。執事さんの役割もやってたから」
 愛原「なるほど!」

 今ではアパートやマンションで言うところの、管理人みたいな立場か。
 それも、管理会社から派遣されるタイプではなく、オーナーに直接雇われるタイプの。
 でも、それに関して給料など出ているのだろうか?

 愛原「でもなぁ……。俺達、新庄さんは知ってるけど、急に行って、『家の鍵開けてくれ』って言っても、対応してくれるかな?」
 リサ「そこでエレンの出番。エレンのお母さんは、『もう離婚してるから』という理由で断るだろうけど、エレンにとっては、やっぱり実家だから。エレンが頼めば、開けてくれるみたいだよ」
 愛原「どうやって?」
 リサ「蓮華が手紙を書くのと、証拠の品を送るんだって。それを見せれば、運転手さんも信じてくれるってよ」
 愛原「ふーん……。まあ、とにかく今はエレンを信じよう」
 高橋「大丈夫っスかねぇ……」

 私は自分のスマホを取り出した。
 それで、善場主任に連絡を取る。

 善場「もしもし。善場です」
 愛原「あっ、善場主任。愛原です。お疲れさまです。今、お電話宜しいでしょうか?……はい、ありがとうございます」

 私は今のやり取りを主任に報告した。

 善場「かしこまりました。個人的には、もっとスピーディーにと思うところではございますが、所長方が一生懸命動いて下さっているのは理解できます。報告の件、承知しました。今後も経過の報告を、よろしくお願い致します」
 愛原「承知致しました」
 善場「あ、そうそう。1点連絡ですが……」
 愛原「はい」
 善場「現金やインゴットなどの貴重品以外は、証拠能力なしと判断されました。また、栗原家も、あれは『カジノを模したゲームセンターの景品である』との一点張りです」
 愛原「現金やインゴットは、証拠能力があるんですね?」
 善場「というか、ゲームセンターの景品で、札束やインゴットなんて明らかに不自然ですよね?何らかの余罪があると見て、追及することになりました。それ以外の宿泊券や旅行券などの物品につきましては、栗原家の主張通りと判断することになった次第です」
 愛原「その景品をゲットする為のゴールドコインを、私達は手に入れたわけですから……」
 善場「所有権は所長方ということになりますね。BSAAから返却され次第、そちらに引き渡しという形に致しますので、もう少々お待ちください」
 愛原「かしこまりました」

 私は電話を切った。

 愛原「もうすぐ金券は手に入るぞ!温泉旅行券とか、JTB旅行券とか!あと、デパートの商品券とかもあったな!」
 リサ「ブルマもだね」
 愛原「う、うん。そうだね。それはリサに上げる」
 リサ「あー……うん。ありがとう」

 旅行券や商品券の類については、まあ、景品と看做して良いだろう。
 しかし、いくら転売すれば高額商品になるとはいえ、ブルマ3色セットまで景品箱の中に入っていた理由については、謎のまま!

 ※作中の日付が1日ずれていたので、修正しました。

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