報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「仕事の終わり」

2022-09-19 12:40:38 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月26日23:40.天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅]

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく終点、東京です。お忘れ物の無いよう、お支度ください。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 上越新幹線の最終列車は、定刻通りに上野駅を出た。
 地下深いトンネルから、地上への坂道を一気に駆け登る。

 愛原:「リサ、起きろ。そろそろ着くぞ」
 リサ:「んー……」

 リサは弁当を食べ終わった後、舟を漕いだりしていたが、ついに寝てしまっていた。
 それを起こしてやる。

 リサ:「でへへへ……せ、先生……そこダメ……ッ……!」
 愛原:「ん!?」

 どうやらエロい夢でも見ていたようだ。
 しかも、私が何かしているらしい。

 高橋:「先生。ここは1つ、マグナム撃ち込んで、目ェ覚ましてやりましょう」
 愛原:「キミのマグナム、弾切れなうじゃなかった?」
 高橋:「うっ……!」
 リサ:「……あれ?」

 そこでリサが目を覚ました。

 愛原:「おはよう。もう東京に着くぞ」
 リサ:「マジで?……夢だったのかぁ……」
 愛原:「残念だったな。高橋のマグナムは明日、デイライトさんで補充してもらえ」
 高橋:「そうします」

〔「……各在来線、最終列車の時間となっております。お乗り換えのお客様は、お乗り遅れの無いよう、ご注意ください。本日もJR東日本、上越新幹線をご利用頂きまして、ありがとうございました」〕

 列車は深夜の東京駅のホームに滑り込んだ。

〔「ご乗車ありがとうございました。東京、東京、終点です。お忘れ物の無いよう、お降りください。21番線の電車は、回送となります。ご乗車になれませんので、ご注意ください」〕

 高橋:「先生、ここからどうします?」
 愛原:「夜も遅いからタクシーにしよう」
 高橋:「分かりました」

 日曜日の夜、人も疎らな東京駅。
 コロナ前なら、それでも終電に急ぐ客とかでごった返していたはずだ。
 しかし、それも今は……。

 リサ:「ふわ……!」

 リサは大きな欠伸を何度もした。
 マスク越しでも、それが分かるほどだ。

 愛原:「家まで頑張れよ」
 リサ:「うん……」

 八重洲中央口のタクシー乗り場に向かう。

 愛原:「墨田区菊川1丁目……までお願いします」
 運転手:「はい、かしこまりました」

 トールワゴンタイプのタクシーのリアシートに3人横並びに座る。

 愛原:「ん?」

 一瞬、私のスマホから『Enemy approaching(接触警戒)』という表示が出た。
 赤い画面に白抜きの文字である。
 しかし、すぐに緑の表示と共に、『No enemy』と変わった。

 愛原:「んん?」

 これはBSAAが開発したアプリの機能である。
 近くにBSAAが認定したウィルス兵器に感染・保有しているクリーチャーやBOWが接近すると、それを知らせてくれるアプリである。
 リサに関しては、暴走の危険がある第3形態以降に反応するように設定している。
 今のリサは……第0形態のはずだが……。
 しかも、最初は注意信号である黄色い画面に、『Enemy approaching(接近注意)』の表示になるはずだが……。
 リサがいる場合は、リサの方が感応してくれるので、あまり使い勝手の良いアプリとは言えない。

 愛原:「まただ……」

 またいきなり赤信号が表示されて、またすぐ緑に変わる。
 アプリの不具合だろうか?
 明日、善場主任に相談してみよう。

[6月27日00:10.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 マンションに着く頃には、アプリが変な動作をすることもなくなった。

 愛原:「チケットで払います」
 運転手:「はい、ありがとうございます」

 私がチケットで料金を払っている間、リサが先に降りた。
 何だか、辺りを警戒しているようだ。

 愛原:「どうした?」

 領収証と控えをもらってタクシーを降り、リサに聞いた。

 リサ:「……何でもない」
 愛原:「そうか?」
 リサ:「早く帰ろ」
 愛原:「う、うん……」

 特にマンションは、何も異常は無かったが……。

 高橋:「先生、明日はパンとかでいいっスか?」
 愛原:「いいよ。夜も遅いし」
 高橋:「あざっス」
 愛原:「リサ、先に風呂入ってすぐに寝なよ。もう日付変わっちゃったし」
 リサ:「分かってるよ。わたしはシャワーだけでいい」

 リサはそう言って、自分の部屋に戻って行った。

 愛原:「それより高橋、さっきのタクシーなんだが……」
 高橋:「日本交通がどうかしたんスか?」
 愛原:「いや、そうじゃなくて、タクシーの中で、俺のアプリだけ変な動作していたのは気づいただろ?」
 高橋:「ええ。俺のは大丈夫でした」
 愛原:「アプリのせいなのか、俺のスマホが悪いのか、どっちなんだろうな?」

 因みに私はAndroidで、高橋はIphoneだ。

 高橋:「明日……っつーか、もう今日っスけど、姉ちゃんに聞いてみるしかないんじゃないスか?」
 愛原:「やっぱりそうなるか」
 高橋:「今は大丈夫なんスよね?」
 愛原:「今はな……」

 結局、その後も私のアプリが不具合を起こすことなかった。

[同日06:30.天候:晴 愛原のマンション]

 リサ:「おはよう……」

 部屋から出て来たリサは、体操服にブルマーだった。
 もはや、これが今はリサの中でのマイブームなのだろう。
 元々は私の【㊙エロ動画】をこっそり観たリサが真似をしたというが……。

 愛原:「おはよう。よく眠れたか?」
 リサ:「良く分かんない……」

 そう言うリサは、そんなに好調とは言えない体調のようだった。

 高橋:「ナプキンは多めに持って行けよ」
 リサ:「分かってるよ……」

 あ、そういうこと!

 高橋:「お待たせしました、先生」
 愛原:「う、うん」

 今朝の朝食はトーストにベーコンエッグ、生野菜サラダ、オニオンコンソメスープ(インスタント)だった。

 愛原:「今日は事務所に行って、昨日の事件の報告書をまとめる。午後はデイライトさんの事務所に行くから」
 高橋:「分かりました」
 愛原:「リサの活躍で、何か御褒美が出るといいな?」
 リサ:「うん、そうだね……」

 朝食を食べ終わって、リサは制服に着替えたが……。

 リサ:「あ、そうだ。サイトーがね、夏休み、こっちに来たいって」
 愛原:「そうなのか」
 高橋:「もちろん、お断りだぜ」

 高橋のドヤ顔を無視して、私は言った。

 愛原:「一応、これも善場主任に言ってみるよ」
 リサ:「分かった」

 こちらから沖縄に行くのはアレだが、向こうから来る分には問題無いと思うが……。
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“私立探偵 愛原学” 「上越新幹線最終列車」

2022-09-17 21:11:21 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月26日20:35.天候:雨 新潟県新潟市中央区 JR白新線676M列車先頭車内→JR新潟駅]

 電車が複線区間に入る頃、雨が降り出して来た。
 ボックスシートに向かい合って座っている私達だったが、さすがに雨が入って来たのでは、換気の為とはいえ、開けていた窓を閉めざるを得ない。
 案外、強い雨だったのだ。

〔まもなく終点、新潟、新潟。お出口は、左側です。新幹線、信越線、越後線はお乗り換えです。今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕
〔「ご乗車お疲れさまでした。まもなく終点、新潟です。到着ホームは1番線、お出口は左側です。新潟からのお乗り換えをご案内致します。上越新幹線上り、“とき”350号、東京行きは13番線から、21時36分の発車です。本日、東京行きの最終列車です。ご利用のお客様は、お乗り遅れの無いよう、ご注意ください。【中略】今日もJR東日本、白新線をご利用頂きまして、ありがとうございました」〕

 乗り換えまで1時間ある。
 1時間もあるなら、その前の列車に乗れないかと思う人もいるだろう。
 だが、上越新幹線は新幹線の中でもローカル線。
 大幹線の東海道新幹線と違って、本数は大幅に少ない。
 コロナ前と比べても、明らかにスッカスカのダイヤになってしまった。
 人口の多い東海道と比べても、乗客は少ないのだ。
 本当に12両編成もいるのだろうか。

 リサ:「お腹空いた……」
 愛原:「新潟駅なら、この時間でも営業している売店はあるだろうから、そこで何か見繕おう」
 高橋:「立ち食いソバとか無いんスか?」
 愛原:「どうも今、新潟駅には無いみたいだな」
 リサ:「えー……」
 愛原:「まあ、駅弁屋とかNEWDAYSなら開いてるだろう」

 電車は在来線ホーム、1番線に到着した。

〔「ご乗車ありがとうございました。終点、新潟、終点、新潟です。お忘れ物の無いよう、お降りください。1番線に到着の電車は、折り返し、20時50分発、普通列車の新発田行きとなります」〕

 私達は電車を降りた。
 新幹線に乗り換えるには、5番線に行って、そこから新幹線ホーム11番線に移り、そこから13番線に移るというルートもあるにはある。
 しかし、私はあえてコンコースを経由した乗り換えルートを選んだ。
 その方が売店を利用できると思ったのだ。
 そして、案の定……。

 愛原:「あった!駅弁!」
 リサ:「おー!」

 やっぱりコンコース内で駅弁を売っていた。

 リサ:「肉!肉系統の、ある!?」
 愛原:「……あるな」

 リサは駅弁屋のショーケースを物色する。

 高橋:「ゾンビじゃねぇんだから、もっと落ち着いて探せ」
 リサ:「だーってぇ……。これにする。いい?」
 愛原:「いいよ」

 リサは“村上牛しぐれ弁当”を選んだ。

 高橋:「先生は何にするんスか?」
 愛原:「“新潟コシヒカリ弁当”だろう」

 要は幕の内弁当の1つだ。

 愛原:「オマエは何にするんだ?何でもいいぞ」
 高橋:「“たれかつ重”でオナシャス」
 愛原:「あいよ」

 私達は駅弁を購入した。
 飲み物は後で自販機で購入することにする。

 愛原:「あとは何か欲しいものはあるか?」
 リサ:「それじゃあ、ちょっとおやつを……」

 リサはまだ営業中のNEWDAYSを指さした。

 愛原:「分かったよ。リサも頑張って戦ったからな」
 リサ:「わぁい」

 今度はNEWDAYSに立ち寄る。

 高橋:「そういえば先生、酒とかはいいんスか?」
 愛原:「帰るまでが仕事だからな。取りあえず、今日はお茶でいい」
 高橋:「そうっスか」

 リサが買ったのは甘い物だけではなかった。

 リサ:「夕食までの小腹満たし」

 と、称して、ビーフジャーキーを所望した。
 しかも、ハードタイプのものだ。

 リサ:「お腹空いた……」

 リサはマスクをズラして、牙を覗かせた。

 リサ:「先生の血肉、食べたくなっちゃうかも……」
 愛原:「分かった分かった!買ってやるから!」
 リサ;「わぁい」
 愛原:「リサのおねだりの上手いこと上手いことw」
 高橋:「先生が甘いだけです!」

[同日20:21.天候:雨 JR新潟駅新幹線ホーム→上越新幹線350C列車1号車内]

〔ピン♪ポン♪パン♪ポン♪ 13番線に、21時36分発、“とき”350号、東京行きが12両編成で参ります。この電車は、燕三条、長岡、浦佐、越後湯沢、上毛高原、高崎、大宮、上野、終点東京の順に止まります。グランクラスは12号車、グリーン車は11号車、自由席は1号車から6号車です。尚、全車両禁煙です。……〕

 先頭車の来る1号車で列車を待つ。
 高橋はこの時も、喫煙所にタバコを吸いに行っていた。
 蒸し暑い中、列車を待っていて、15分前に接近放送が鳴った。

〔「13番線、ご注意ください。21時36分当駅始発、“とき”350号、東京行きが参ります。黄色い点字ブロックの内側まで、お下がりください。本日、東京行きの最終列車です。お乗り遅れの無いよう、ご注意ください」〕

 新潟駅の更に下り方向から、回送列車がやってきた。
 つまり、下り列車の折り返しではなく、車両基地で既に整備を受けた列車がやってきたわけである。

〔お待たせ致しました。13番線に到着の電車は、21時36分発、“とき”350号、東京行きです。この電車は……〕

 高橋:「お待たせしましたー!」

 高橋が戻って来た。

 愛原:「おっ、もういいのか?」
 高橋:「大丈夫っス」

〔「13番線、ドアが開きます。乗車口まで、お進みください。……」〕

 ドアが開いて、私達は車内に入った。

 愛原:「おー、涼しい!」

 雨が降っていても、外は蒸し暑い。
 もう夏だな。
 私達は3人席に横並びに座った。

 愛原:「飲み物買ってこよう」
 高橋:「あ、俺、ダッシュで行ってきます。何にしますか?」
 愛原:「俺は冷たいお茶で」
 リサ:「私はジュース」
 高橋:「行ってきます!」

 高橋はまた列車を降りると、ホームの自販機に急いだ。
 まだ、発車まで時間があるのに、せわしないヤツだ。

〔「ご案内致します。この列車は21時36分発、上越新幹線“とき”350号、東京行きです。停車駅は高崎までの各駅と、大宮、上野、終点東京の順に止まります。本庄早稲田、熊谷には停車しませんので、ご注意ください。……」〕

 愛原:「っと、俺も電話だ」
 リサ:「誰から?」
 愛原:「善場主任」

 私はそう言って、スマホ片手にデッキに向かった。

 愛原:「はい、愛原です」
 善場:「愛原所長、お疲れさまです。警察からは釈放されましたか?」
 愛原:「お、おかげさまで……。今、新潟駅です。どうにか最終の新幹線に間に合いまして、これから帰京するところです」
 善場:「リサは明日学校ですからね。サボるわけにはいきませんので」
 愛原:「お、仰る通りです」
 善場:「今回の件に関して詳しい話を伺いたいので、明日、事務所まで来て頂いてもよろしいですか?」
 愛原:「もちろんです。お伺いさせて頂きます」

 報告書の作成もあるので、明日の午後イチに報告に行くことになった。
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“私立探偵 愛原学” 「異形との戦い」 2

2022-09-16 20:10:57 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月26日16:00.天候:曇 新潟県新潟市北区 ドライブイン“はんごろし”]

 ドライブインの上空に、BSAAのヘリが到着する。

 ヘリパイロット:「デルタチームからHQ!ハートエリアに現着!次の指示を願う!」
 HQ:「了解!デルタチーム、現場の状況を報告せよ!」
 ヘリパイロット:「了解。現場は凄惨なもよう!現在、2人の男がBOWと交戦している!尚、BOWは2体!うち1体はリサ・トレヴァー『2番』と思われる」
 HQ:「了解!『2番』は暴走中か?」
 ヘリパイロット:「2人の男側に付いているようなので、暴走はしていないもよう」
 HQ:「了解!降下準備を開始せよ!」
 ヘリパイロット:「了解!」

 愛原:「今頃、BSAA来たよ!」
 高橋:「遅ェんだ、あいつら!」

 リサの活躍により、化け物はいくつかの形態に変化した。
 今現在の形態は……とても恐ろしい。
 2足歩行なのだが、何だか“マタンゴ”に似ているような……?
 頭には傘の開いていない松茸のような物を何本も生やしているが、顔はのっぺらぼうである。
 因みに松茸のようなものは、ドレッドヘアをもっと太くしたような生え方である。
 そして、注目すべきは下半身。
 BOWは全裸である。
 基本的に、ボスとして立ちはだかるBOWは裸だと見てよい。
 初期形態はまだ人間だった頃の名残で服を着ている場合もあるが、最終形態は全裸である。
 しかも、ただ全裸というわけではなかった。

 リサ:「大きい……!」

 どうやらBOWは人間の男を改造したものらしく、奴のナニはもういきり立っていてしょうがない。
 善場主任の情報によると、BOW名としてはペニーワイズというらしい。
 正に、【お察しください】な名前だ。
 しかも、だ。
 このペニーワイズ、日本アンブレラで独自に開発されたBOWなのだという。
 ということは、この近くに研究所でもあるのだろうか?

 ペニーワイズ:「マグ……ワウ……!ハァ……ハァ……!」

 ペニーワイズは私達を見た。
 奴の狙いは、恐らくリサだろう。
 リサを犯すつもりだ。

 リサ:「私の貞操は先生のものだ!テメェになんかやるか!」

 第1形態から第2形態まで変化しているリサは、気も強くなり、口も悪くなる。
 ペニーワイズに向かって右手の中指を立てる。

 ペニーワイズ:「キクノ……ハナビラ……!ハァ、ハァ……」

 ん?菊の花びら???

 ペニーワイズ:「イケメン……ハァ……ハァ……」
 愛原:「え?」

 ペニーワイズの視線の先には高橋がいた。
 その隣のリサではない。

 ペニーワイズ:「ウシロノバージン……!」

 そして、高橋に突進してくる。

 愛原:「どうやら、オマエのケツの穴が目的らしいぞ?」
 高橋:「ざっけんな!クソ化け物が!!」

 高橋、マグナムを撃ち込む。
 1発は化け物に命中して怯んだ。
 だが、それ以上は発射されない。

 高橋:「しまった!弾切れっス!」
 愛原:「なにいっ!?」
 ペニーワイズ:「キクノ……ハナビラ……!」

 ペニーワイズは中途半端なダメージを食らっただけでは、すぐに回復してしまう。
 そこはリサと同じだ。
 弱点を一気に叩くしかない。
 だが……。

 愛原:「ん?」

 私の足元に、何かが転がって来た。
 どうやら、上空のヘリコプターから落ちて来たもののようだった。
 拾い上げてみると、それは電撃グレネードだった。
 爆発させると、相手を感電させるというものだ。
 ペニーワイズは電気に弱いのだろうか?
 私はグレネードのスイッチを入れて、ペニーワイズに投げつけた。
 大きな光が発生して、ペニーワイズは感電し、動きを止める。

 高橋:「先生、逃げましょう!」

 高橋はヘリを指さして私の手を掴んだ。
 私もヘリを見ると、そこから乗り出してロケットランチャーを構えている兵士の姿があった。
 な、なるほど!
 ロケランを当てる為に、私達に奴の動きを止める手伝いをさせたのか!

 愛原:「急げ!建物の反対側へ!」

 私達は建物の反対側に回り込んだ。
 と、同時に発射されるロケラン。
 大きな爆発が起きて、建物が大きく揺れる。
 爆風でガラスの割れる音も大きく響いた。

 高橋:「ひえー……!相変わらず奴ら、容赦無いっスね!」
 愛原:「……だな」

 と、とにかく、これで戦いは終わった。
 建物の表側に回ったわけだが、この時、いつの間にか警察がやってきていて、規制線を張っていた。

[同日20:00.天候:晴 同区内 新潟北警察署→JR豊栄駅]

 あの後、私達は警察とBSAA両方から事情聴取を受けることとなった。
 この場合、BSAAの方が権限が強いので、BSAAが優先ということになる。
 一応、何がしかのウィルスに感染したりしていないかの検査を受けて陰性だと判明してから事情聴取を受けた。
 BSAAの聴取は意外と簡単だっだが、警察の方はしつこかった。
 何しろ広域暴走族同士の抗争から始まり、しかも新潟連合の元総長が関わっていたとあらば、警察は特に高橋を追及するのは当たり前だった。
 それでも何とか、善場主任が仲裁してくれたおかげで、何とか夜には解放された。
 まあ、国家機関の圧力を警察に掛けたのかもしれない。
 件の警察署は豊栄駅から離れていた為、タクシーを呼んで、駅に向かった。

 高橋:「ったく、まさか見覚えのある刑事が北署に異動していたとは……」

 高橋は助手席の後ろに座り、憮然としていた。

 愛原:「何か言われた?」
 高橋:「『またオマエか!せっかく更生して上京したと思ってたのに……!そんなに総長の座が恋しいか!!』なんて言われましたよ」
 愛原:「それ、仲間内からも言われてなかった?」
 高橋:「俺は恋しくなんかないっスよ。超一流の名探偵である先生の弟子ができれば、それでいいんです」
 愛原:「ま、あの刑事さんに信じてもらう前に、善場主任が介入してきたことで、判定負けになったかな?」
 高橋:「判定勝ちです!」
 愛原:「あははははは!」

 善場主任という国家公務員が庇ってきたことが、何よりの証拠じゃないかと私は証言した。
 そんなことを話しているうちに、タクシーは豊栄駅に到着した。

 愛原:「すいません、領収証ください」
 運転手:「はい」

 タクシーを降りて、駅構内に入る。

 リサ:「お腹空いた……」
 愛原:「新潟駅で駅弁……買えるかなぁ……?」

 仙台駅なら何とか買えるが、新潟駅はどうだろう?

 豊栄駅にはヤマザキショップがあるが、残念ながら閉店してしまっていた。

 愛原:「取りあえず、帰りのキップを渡しておくよ」

 乗車券は『新潟市内』になっている。
 つまり、新潟市内である豊栄駅からでも乗れるということ。
 実際、自動改札機にキップを入れたらちゃんと通れた。

 高橋:「あの、ペニーワイズって化け物、どこから来たんスかね?」
 愛原:「分からん。極東戦線の連中なら知ってるだろうが、あの場にいた全員が死んだりゾンビ化しているから、誰も知らない」

 金田支部長は、『騙された』と言っていた。
 一体、彼らを『騙した』のは誰だったのだろう?
 白井伝三郎のような気もするが、しかし彼はもう……。
 それとも、今さら白井伝三郎みたいな存在が急浮上するというのだろうか?
 因みに斉藤元社長は、とっくにロシアだから、時系列が合わない。

 愛原:「ほら、リサ。取りあえず、ジュースで腹を誤魔化しとけ」
 リサ:「えー……」

 私は改札内コンコースにある自販機に立ち寄ると、それでリサにジュースを買ってあげた。
 もちろん、リサの腹はそんなものでは収まらない。
 しかし、新潟駅に着くまでの間、何とか誤魔化せれば良いのだ。

 高橋:「先生。次の電車は20時15分、1番線です」
 愛原:「ああ、分かった」

 私達は1番線に向かうと、予定の電車に乗った。
 E129系の4両編成であった。
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“私立探偵 愛原学” 「異形との戦い」

2022-09-16 16:07:33 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月26日15:00.天候:曇 新潟県新潟市北区 ドライブイン“はんごろし”]

 外では怒声や罵声、そして何かがぶつかる音など、大騒ぎであることが分かる。

 マスター:「さ、こっちです」

 マスターに案内された私達は、『ヤリ部屋』に向かった。
 要は、越後羅洲のメンバーが引っ掛けた女を連れ込んで【あらあら】【うふふ】する部屋のようだ。
 意外にもそこは畳部屋だった。
 しかし、汚い布団が敷かれたままになっており、ゴミも散らかっていた。

 愛原:「なるほど。ここなら見つからないってわけだ」
 マスター:「あ、いや、ここじゃないっス」
 愛原:「えっ?」
 マスター:「まあ、ここでもいいんスけど、極東の奴ら、鋭いんで、もっと見つからない場所に行った方がいいかもっスね」
 愛原:「どういうことだ?」

 マスターが押し入れを開けると、そこには何と仏壇があった。
 厨子を開けると、小さな仏像が入っている。
 マスターがそれを退かすと、仏像の下から鍵を取り出した。
 そして、布団を引き剥がす。
 布団の下には、跳ね上げ扉が付いていた。
 マスターはその鍵穴に鍵を差し込んで回した。
 そして、跳ね上げ扉を開けると、地下へ続く梯子があった。

 愛原:「こんなもの……」
 マスター:「サツや敵対組織に踏み込まれた時の脱出用です。この下は倉庫になってんですが、奥に進むと、また上に上がる梯子があります。そこを上ると、反対側に出られますから」
 愛原:「ま、マジか……」
 マスター:「マサには俺から言っときますから、どうか御無事で」
 愛原:「あ、ありがとう」

 私は礼を言って、地下に降りた。

 マスター:「電気のスイッチが、降りた所にありますんで」
 愛原:「分かった!」

 その間、マスターが懐中電灯で上から私達を照らしてくれる。

 リサ:「あった!スイッチ!」

 リサがスイッチを入れると、素掘りの空間が広がっていた。
 照明は坑道にあるような簡易的なもの。
 確かに、奥まで続いていそうだ。

 愛原:「どうもありがとう!」

 私が上に向かって手を振ると、マスターは跳ね上げ扉を閉め……る、直前!

 マスター:「うわっ!?」
 愛原:「!?」

 窓ガラスの割れる音がして、マスターが仰け反る。
 その拍子に、跳ね上げ扉がバタンと閉まった。

 愛原:「な、何だ!?」

 ①上に戻る。
 ②奥に進む。
 ③高橋に連絡する。
 ④リサに意見を聞く。

 愛原:「リサ、どう思う?」
 リサ:「実はBOWの気配がしたの。もしかしたら、兄ちゃん達が戦ってるのって……」
 愛原:「な、何だって!?」

 私はスマホを取り出した。
 しかし、地下のせいて圏外になってしまっている。
 取りあえず、地上に上がらなくては。

 愛原:「取りあえず、地上に戻ろう!」
 リサ:「先に上がるね!」

 リサは梯子を昇った。
 私も後に続く。
 リサのスカートの中が見えるが、互いに気にする様子は無い。
 今日はピンク色のショーツを穿いているようだ。

 リサ:「あ、開かない!」
 愛原:「なに!?」

 どうやら、オートロックになっているらしく、地上側からでないと開かないようである。
 しかし、そこはBOWのリサ。

 リサ:「ウゥ……!」

 第1形態に戻ると、鬼の力で扉をこじ開けた。

 ゾンビ:「アァア……!」
 リサ:「やっぱり……!」

 地上に戻ると、マスターは食い殺されており、そこにはどちらのメンバーだか分からないが、ゾンビが1匹いた。
 リサの姿を見ると、呻き声を上げながら近づいて来る。

 リサ:「はっ!」

 リサは鋭く長い爪でゾンビを引き裂いた。

 ゾンビ:「ギャアアアアッ!」

 リサに何度も爪で引き裂かれたゾンビは、血しぶきを上げながらその場に倒れた。
 残念ながら、マスターは既に息が無い。

 愛原:「こりゃマズい!急いで善場主任に電話しないと……!」

 しかも、外から銃声も聞こえる。
 音からしてマグナム、つまり高橋が発砲しているようだ。
 私はスマホを取り出して、善場主任に連絡した。

 愛原:「もしもし!愛原ですが……」
 リサ:「でやっ!はっ!」

 私が電話している間、外から新たなゾンビが侵入しようとしている。
 リサが防いでくれている。

 愛原:「……そうです!場所は新潟市北区……のドライブイン“はんごろし”です!」
 善場:「分かりました。詳しい場所は、所長のスマホのGPSで検索しますので、何とか持ち堪えてくたさい」

 因みに、抗争場所は店の裏手の駐車場。
 県道側に、違法改造車など駐車するわけがない。
 なので、車は裏手の駐車場に止めてあるのだ。
 従って、表側に止めてある車やバイクは、後から乗り込んで来た極東戦線の物だろう。

 愛原:「高橋、大丈夫か!?」

 私も自分の荷物から組み立て式のショットガンを準備すると、窓の外に飛び出した。

 高橋:「先生、御無事でしたか!?」
 愛原:「ああ!だが、マスターが食い殺された」
 高橋:「マジっスか……」
 愛原:「それより、状況は!?」
 高橋:「最初は普通にケンカしてただけなんスけど、そしたら、極東の奴ら、急にゾンビ化しやがったんです!ニッシー(西川)やサトエ(佐藤)も食い殺されて……」
 西川ゾンビ:「アァア……!」
 佐藤ゾンビ:「ウゥウ……!」
 高橋:「あのザマです……!」
 愛原:「一思いに楽にしてやれ」

 高橋以外の殆どがゾンビ化した極東に食い殺されたか、感染してゾンビになったかしたらしい。

 マスターゾンビ:「ウゥ……」
 愛原:「あっ、マスター!」

 そうだ!
 ゾンビに食い殺されたということは、マスターも感染したということだ。
 私達の気配に気づいたマスターが、店の中から出て来てヨロヨロと呻き声を上げながら近づいて来る。

 高橋:「センパイ、サーセン、許してください」
 マスターゾンビ:「許してくれ……」
 高橋:「えっ!?」

 高橋が一瞬、銃を引っ込めた。
 だが!

 マスターゾンビ:「アァァァァッ!!」

 高橋に飛び掛かって来た。

 リサ:「うりゃっ!!」

 リサが長い爪で、マスターの頭を貫いた。

 リサ:「時々、いるんだよ。一瞬だけ正気に戻るゾンビが……」
 愛原:「そ、そうだ!だから、映画版のゾンビは喋るんだった!」
 リサ:「そういうこと」

 これで戦いは終わりではなかった。
 極東戦線が乗って来たと思われる、古い年式のプレジデント。
 そこのトランクが中からこじ開けられた。
 そこにいたのは……。

 愛原:「な、何だあいつは!?」

 それはタイラントともネメシスとも取れる異形であった。

 リサ:「これが私が感じた気配の正体!」
 愛原:「何だって!?」

 そいつはリサ以上に長く鋭い爪を持ち、リサよりも長く鋭い牙を持っていた。

 金田ゾンビ:「アァア……だま……された……ウゥウ……!」

 車の下から、極東戦線の支部長である金田が這い出て来た。
 そして、ヨロヨロと立ち上がると、呻きながら、うわ言を呟いた……。
 騙された、と。
 誰に?
 分からない。

 愛原:「おい、喋れるのか!?それなら……」

 ベタ過ぎる展開。
 金田ゾンビは、異形の物に首を狩られた。

 愛原:「気をつけろ!ハンターみたいな、首狩り即死攻撃を仕掛けてくるぞ!」
 高橋:「はい!」

 ここでボス戦開始!
 一体、どうなる!?
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“私立探偵 愛原学” 「抗争の始まり」

2022-09-15 20:49:17 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月26日14:00.天候:晴 新潟県新潟市北区 ドライブイン“はんごろし”]

 マスター:「マサ、極東の連中はどうしてる?」
 高橋:「東京じゃ、おとなしくしてるっスね。まあ、俺が一応足を洗ったことにはなってるし、極東本部も俺どころじゃないんだと思います」

 昼食を食べ終わると、愛煙家達はもくもくと火力発電を行っている。
 マスターも一服しながら、高橋達と話していた。
 リサはトイレに行っている。

 愛原:「その、『極東』ってのは何だい?」
 高橋:「あ、サーセン。勝手に内輪話やっちゃって……」
 愛原:「いいよ。ここでは俺の方がアウェイなんだから」
 高橋:「『極東』ってのは、『極東戦線』のことです。それは俺達、『越後羅洲』と敵対している上、『新潟連合』にも加盟したがらない連中なんです」
 愛原:「よくある話だな。どんな連中なんだ?」

 まあ、高橋達と大して変わらないだろうが……。

 高橋:「新潟を含めてその近県にいくつか支部を持つ、広域VIPカー愚連隊です。その支部は4つ。その支部長達で四天王を組んでいるイタい連中ですよ」
 愛原:「まあ、確かにイタいな」

 高橋はブーメランを投げていることに気づかない。
 VIPカー愚連隊とは、型落ちした中古の高級乗用車を暴走族仕様に改造し、走り回る暴走族のことである。
 因みに私が乗せられたチェイサーも3ナンバーのセダンだが、これはVIPカーには入らない(作者の友人である元・走り屋談)。
 それこそ現役時代は、上級国民が乗るような車種のセダンがこれに当たる。
 チェイサーは中級国民が乗る車だったので、該当しないわけだ。

 愛原:「四天王って、どんな奴らなんだ?」
 高橋:「簡単に言えば在日ですよ。この辺りを仕切ってるのが、新潟支部の金田正孝ってヤツです」
 愛原:「本名はキム・ジョンなんとか……かな?漢字だと、金正孝」
 高橋:「……と、思います。あとは木下哲彦」
 愛原:「本名、パク・チョルオン(朴哲彦)かな」
 高橋:「よく分かりますね。3人目が黄海治夫です」
 愛原:「多分、名字は黄(ホン)だな。下の名前は知らんが、こいつも在日だ。黄海という名字は、『海を渡ってきた黄』さんからなんだ。ただ、こいつは朝鮮というよりは中国系かもな」
 高橋:「先生、凄いですね。最後は渡辺雄二です」
 愛原:「朝鮮人のピョンなんとかだな。全員、生粋の日本人じゃねーじゃん」
 高橋:「さすが先生です」
 愛原:「通名使って日本人に成り済ましやがって、この野郎!徹底的にやるか!」
 高橋:「やりますか!」
 佐藤:()
 西川:()

 と、そこへリサが戻って来た。

 リサ:「もー、ちゃんとトイレットペーパー補充してよね!」
 マスター:「あ、サーセン。忘れてました」
 リサ:「おまけに使用済みのゴム落ちてるし!」
 マスター:「それは知らないな……って、おい!誰だ!?便所でセックスしやがったヤツ!?」
 西川:「た、確かにこの前、クロのヤツが女連れて来てましたよね?それじゃないっスか」
 佐藤:「確かにあいつ、ちょっとの間、行方不明になってたな!」
 マスター:「集会バックレて女とヤッてたのかよ……。しかも俺の店の便所で……」
 西川:「ヤリ部屋ならサーさんとこの民泊使いやいいのによォ、あのバカ」
 愛原:「色々いるなぁ、高橋のチーム……」

 私はマスターに食後のコーヒーを入れてもらいながら言った。

 愛原:「いくら?」
 マスター:「あ、これは奢りなんでいいっス」
 愛原:「ありがとう」
 マスター:「それより、あの中g……もとい、女子高生とヤるんでしたら、色々とグッズありますんで、いつでも言ってください」

 マスターはそう言って、ピンクローターとかローションとか取り出した。

 愛原:「ローション以外は間に合ってるからいいや」
 マスター:「さすがっスねぇ……!さすがは、マサに首輪付けられた御方っス」
 愛原:「いや、別に大したことじゃない。それより、御宅のトイレでエッチしたというメンバーいるのかい?」
 マスター:「クロっスか?……あ、黒田っていうんスけどね。うちのチームじゃ、マサに次いで女誑し込むのが上手いヤツなんですよ」

 マスターは店内を見渡した。

 マスター:「おい、ニッシー!クロは今日来てるのか?」
 西川:「クロっすか?……いや、今日はいてないみたいっスね」
 マスター:「ちょっとLINEしてここに呼べや。マサのセンセーが御指名だぞ」
 西川:「うっス。もしかしたら、また女とヤッてる最中かもしれないっスよ?」
 マスター:「いいからさっさとLINEしろ!マサのセンセーだぞ!」
 西川:「うっス」

 西川がスマホを取り出した時だった。

 リサ:「! な、なに、この感じ……?」

 リサも出されたオレンジジュースを飲みながら、スマホをイジって寛いでいたのだが、突然顔を上げた。
 そして、鼻をヒクつかせ、耳を澄ましたり、瞳の色を金色に光らせたりしている。

 愛原:「何か……来るのか?」
 西川:「ダメだ!既読すら付きゃしねぇ!あのバカ!」
 高橋:「もう直接電話しろや」
 西川:「はい……」

 西川は直接黒田というメンバーに電話した。

 西川:「あ、もっしー。俺だけど、オマエ今何して……あ?オメ、誰だ!?」

 どうやら電話に出たのは黒田メンバー以外の人物らしい。
 そして、西川の顔が青ざめて行く。

 西川:「ま、マジか……!」
 高橋:「どうした?まさかクロのヤツ、おまわりにパクられたとか?」
 マスター:「何度目だよ、あいつ……」
 西川:「ち、違うっス!ヤバいっス!!」
 愛原:「警察じゃなくて、ヤクザさんに捕まったの?」
 西川:「い、いや、まだヤーさんの方がマシっつーか……」
 高橋:「はっきり言えよ!クロのヤツどうしたんだ!?」
 西川:「極東の連中に捕まってボコされてます!!」
 高橋:「はああっ!?」
 マスター:「な、なにいっ!?」
 西川:「しかも極東の連中、クロにここの場所吐かせて、こっちに向かってます!」
 高橋:「おう、オメーラ!戦争の準備だ!早くしろ!!……先生は危険ですので、裏から逃げてください」
 マスター:「いや、ダメだ。ヘタに逃げると捕まる。奥に隠れてた方がいい」
 高橋:「そ、そうっスね。先生、取りあえず奥のヤリ部屋へ隠れてください……」
 愛原:「ヤリ部屋あるんかーい!……てか、リサも一緒に行こう」
 高橋:「こいつは逆に戦力になりそうなんで、むしろこっち側にいてもらいたいんスけど……」
 愛原:「アホか!こいつに無双させたら、『流血の惨を見る事、必至であります』!」
 高橋:「まあ、リサがいなくても俺達で何とかします!リサは先生の護衛を頼む!」
 リサ:「承知!」
 マスター:「あ、あのコ、強いのか?」
 高橋:「昨夜、ロシアから来た船のバイオハザード事件で、ゾンビ無双していたヤツですよ」
 マスター:「ええーっ!?」
 リサ:「お兄ちゃん、気をつけてね」
 高橋:「分かってる!」

 リサはまだ何か言いたそうにしていたが、私達は取りあえず店の奥へ隠れた。
 と、同時に店の外から改造車や改造バイクの爆音が幾重にも鳴り響いて来た。
コメント (1)
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