報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「仙台での聞き込み調査」 3

2023-04-11 20:16:18 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月6日10時53分 天候:晴 宮城県仙台市青葉区愛子中央 JR愛子駅→ローソン]

〔まもなく終点、愛子、愛子。お出口は、左側です。仙山線、作並、山寺方面はお乗り換えです。今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕
〔「今度の作並、山寺方面、快速の山形行きは、3番線から11時47分の発車です。進行方向後ろ寄りの構内踏切をご利用ください。……」〕

 私達を乗せた電車は、ダイヤ通りに仙台市の郊外に到着しようとしていた。
 以前は国道を走るバスで通過しただけだったが、愛子副都心構想が持ち上がるほどなので、けして寂しい場所ではない。
 単線の仙山線も、仙台~愛子間は最も本数が多い。
 その分、利用者も多い。
 なので私とリサが座った4人用ボックスシートも貸し切りにはならず、相席となってしまった。

 愛原「さあ、着いたぞ」

 低い音程でゆっくり鳴る警報機が特徴の構内踏切を通過すると、電車はすぐにホームに入った。
 今や珍しい構内踏切だが、バリアフリーの観点からすれば、この方が良いのかもしれない。
 もっとも、安全性については跨線橋または地下道の方に軍配が上がるが。
 私達が乗った電車は、1番線に到着した。
 つまり、駅舎側のホームなので、構内踏切を渡る必要は無い。

〔「ご乗車ありがとうございました。愛子、愛子、終点です。車内にお忘れ物の無いよう、ご注意ください。1番線に到着の電車は、折り返し、11時20分発、普通列車の仙台行きとなります」〕

 愛子駅の改札口もSuica対応の自動改札機となっていて、そこを通過する。

 愛原「小松先生の家に行く前に、コンビニに寄るぞ」
 リサ「お土産買って行くんだね?」
 愛原「そうだ」

 駅の外に出ると……。

 愛原「……案外何も無いな」

 駅前ロータリーにはバス停とタクシー乗り場がある。
 しかし、そのロータリーの周りにはコンビニらしきものは無い。
 一応、場所だけは確認してある。
 愛子駅前大通りを南下し、少し進むと国道457号線との交差点に出る。
 作並街道と言い、旧国道48号線であり、私達が以前作並温泉から乗った市営バスもここを通った。
 現在の国道48号線はここより南にできた愛子バイパスがそれであり、旧国道は指定を外されてしまった。
 そこで、重複していた国道457号線がクローズアップされたのである。
 ……ん?前にも似たようなことを述べたような……?
 その作並街道を左折し、少し進むとローソンがある。
 というか、この近くに既に小松家がある。
 古くからの国道ということもあってか、既に周りは住宅街になっている。
 バイパスができても、未だに交通量は衰えることはない。

 愛原「あった、ここだ」

 ローソンに入り、そこで菓子折りを選んでいると、リサがまた買い食いを始めた。
 新しく引っ越す時は、なるべくコンビニから離れた所の方がいいかな……。

 愛原「全く。オマエは油断も隙も無い」
 リサ「エヘヘ……」

 リサはフライドチキンを注文して食べていた。
 私は菓子折りを購入すると、店を出た。
 それから、小松家に向かった。

[同日11時15分 天候:晴 同地区 小松家]

 愛原「着いた」
 リサ「大きい。先生の家みたい」
 愛原「さすがは校長先生まで勤め上げた人の家だ」

 私はインターホンを押した。
 すると、家の中から犬の鳴き声がした。

 リサ「おー!ワンちゃん!」

 鳴き声が高いことから、恐らく小型犬だろう。

〔「どちら様ですか?」〕

 女性の声がした。

 愛原「こんにちは。私、愛原と申します。門伝先生の御紹介で、小松先生と面会に伺いました」

 すると少し間があって……。

〔「はい、どうぞ」〕

 と、門扉の鍵が開く音がした。
 どうやら、電子ロックになっているらしい。
 うちの実家は、さすがにそんなことはない。

 愛原「失礼します」

 私とリサが家の敷地内に入った。
 そして、玄関のドアが開いた。

 チワックス「ワン!ワンワン!ワン!」

 出迎えたのはチワワとミニチュアダックスフンドのミックス犬。

 老婆「シェリーちゃん、吠えなくていいのよ」
 シェリー「ワン!」

 チワックスのシェリーは、私達の匂いをクンクン嗅ぎまくる。
 しかし、リサの匂いを嗅いだ時、どうやら何かを感じ取ったようだ。

 シェリー「…………」

 リサの匂いを嗅いだ後、ピタッと吠えるのをやめ、スススと後ずさりする。

 リサ「かわいいワンちゃんですねー!」
 老婆「でしょー?」
 リサ「おいで」

 リサが近づくと、シェリーはバタッと倒れて腹を見せ、動かなくなった。

 老婆「あら、珍しいわね?シェリーちゃんは人見知りなのに……」

 い、いや、これはきっと……。
 野性の勘で、リサには一切逆らってはイカンという判断になったのだろう。
 公一伯父さんが飼っていた柴犬のジョンも、似たような反応だったような気がする。

 小松「おい、何をしている。早くお客さんを案内せんか」
 老婆「あー、ハイハイ。ごめんなさいね。うちの人、短気で……」
 愛原「突然、お邪魔して申し訳ありません」

 私が菓子折りを差し出しながら挨拶すると、小松先生は一転して、ニコッと笑った。

 小松「愛原さん……だね。門伝君から聞いてるよ。取りあえず、向こうで話を聞こうか」

 小松先生は御年80歳ということだが、足腰はしっかりしているようだ。
 長身痩躯の老人で、頭は殆ど禿げ上がっているものの、丸いレンズの眼鏡は老眼鏡ではなく、近眼用に見えた。

 小松「おい、愛原さんがせっかく折り菓子を持ってきてくれたんだ。お茶を出してやってくれ」
 老婆「はいはい」
 愛原「真につまらぬものですが……」
 小松「いやいや、却ってかたじけない」

 私とリサ、シェリーは応接間に……って!

 愛原「いや、リサ。犬は放してやれよ?」

 リサはシェリーを抱っこしたままだった。

 リサ「だってぇ、可愛いんだもん」
 シェリー「…………」
 小松「うーむ……。郵便屋がポストに郵便を入れにくるだけでも吠えるシェリーが、ここまでおとなしくなるとは……。キミ、只者ではないな?」
 リサ「学校では『魔王様』と呼ばれています」
 愛原「おい、リサ!」
 小松「ほお……。魔王とな?……なかなか面白いコだ」
 シェリー「クーン……(ご主人、このコ、鬼ですワン……)」

 結局、リサはシェリーを抱っこしたままだった。

 リサ「人間の赤ちゃんみたいな大きさで、美味しそ……あ、いや、かわいいですね」
 愛原「食うなよ?人んちの犬を……」

 私達は応接間のソファに座り、小松先生と対面した。

 愛原「私は東京で探偵をしております愛原と申します」

 まずは名刺を差し出して、自己紹介をした。
 そして、ここに至るまでの経緯をかいつまんで話したのだった。
 詳しく話すと、機密情報をうっかり漏らしてしまう恐れがあったからだ。

 愛原「……というわけで、先生が50年前、担任教師だった3年7組の斉藤玲子さんについてお聞きしたいのです」
 小松「ふーむ……。50年前か……」

 一応、私は件の卒業アルバムをデジカメで撮影しており、それを印刷した物を持って来ている。
 小松先生はしばらく考え込んでいた。
 何しろ50年も前の話だ。
 記憶の糸を手繰り寄せるのは大変なのだろう。
 果たして、詳しい話は聞けるのだろうか?
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“私立探偵 愛原学” 「仙台の聞き込み調査」 2

2023-04-10 20:24:54 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月6日09時38分 天候:晴 宮城県仙台市若林区保春院前丁 若林区役所バス停→仙台市営バスJ411系統車内]

 愛原「……はい。そういうわけでして、これから当時の担任の先生だった人に聞いて来ようと思います」

 私はバスを待っている間、電話で善場主任に経過を報告していた。
 日曜日にも関わらず、主任はすぐに電話に出て報告を聞いてくれた。

 善場「そうですか。仙台の家は、焼失していたのですね。その件については、こちらで調べておきます。愛原所長は、現地に向かってください」
 愛原「分かりました。もしも、高橋がコロナ陽性だったら、どうしますか?」
 善場「それは関係各機関の指示に従ってください、としか申し上げられません」
 愛原「分かりました」
 リサ「先生、バス来たよ」
 愛原「……あ、それでは、これからバスに乗りますので。……はい、失礼します」

〔J411系統、仙台駅前、定禅寺通・市役所前経由、交通局・大学病院前行きです〕

 大型のノンステップバスが来た。
 私達は中扉からバスに乗り込み、後ろの席に座った。
 休日で1時間に2本しか無いバスは、混んではいなかったが、お年寄りが多かった。

〔発車致します。ご注意ください〕

 バスは私達を乗せると、発車した。

〔ピン♪ポン♪パーン♪ このバスはJ411系統、仙台駅前、定禅寺通・市役所前経由、交通局・大学病院前行きです。次は保春院前丁、保春院前丁でございます。日蓮正宗佛眼寺へおいでの方は、荒町でお降りになると便利です。次は、保春院前丁でございます〕

 愛原「仙台の家は火事で焼け落ちた……。しかも、不審火か……」
 リサ「アンブレラが火を点けた?」
 愛原「いや、それは無い。だってその時、まだ白井は高校生で、まだアンブレラに入ってもいないんだから」
 リサ「あ、そうか」

 原因不明の火事だから不審火だとはいうが、まさか、な……。
 因みに、今頃高橋は病院に着いた頃だろう。
 急患センターの診療開始が9時半だから、それに合わせて行くということだ。
 ただ、ああいう所は混んでいることが多い。
 ましてや今は、コロナ禍だ。
 受付はできても、実際に診察が行われるまで、休日のTDLのアトラクション並みの待ち時間が予想される。
 全て終わるまで、昼くらいまで掛かると見るべきだろう。
 一応、父親には終わったら連絡するように頼んである。
 コロナ陽性だったら、私達も濃厚接触者になるのか……。
 陰性だといいが……。
 因みに、リサだけ除外されるがなw

[同日09時55分 天候:晴 同市青葉区中央 仙台駅前バス停→JR仙台駅]

 バスは県道235号線を西進した。
 路線名は荒井荒町線というのだが、地元民は『荒浜街道』と呼んでいる。
 埼玉県民なら、『あらあら街道』と呼びそうだがな。
 荒町交差点から国道286号線を右折する。
 かつては国道4号線であったが、指定から外され、代わりに重複していた286号線がクローズアップされた。
 それも次の信号では、市道・愛宕上杉通に分かれて行く。
 そして、仙台駅前のバス停は仙台TRビルの前だった。
 主にヤマダ電機LABIなどが入居しているビルである。
 かつては青葉通りに入ってすぐの所がバス停だったが、こちらに変更された。
 もちろん、ここでも特に不便は無い。

〔「ご乗車ありがとうございました。仙台駅前です」〕

 グライドスライド式の二枚扉が左右に開き、降車客はその前扉に向かう。
 私達もここでバスを降りた。

 愛原「地下鉄の中を通って行こう」
 リサ「うん」

 バス停の目の前に、地下鉄の入口がある。
 そこから地下に下りた。
 そして地下道を進み、JR仙台駅を目指す。

 リサ「ここから愛子駅まで、どのくらい掛かるの?」
 愛原「だいたい30分っていったところかな」
 リサ「そっかぁ……」
 愛原「何だぁ?また、お菓子とジュースかぁ?」
 リサ「う、うん。まあね」
 愛原「しょうがないな。今度の電車は、小牛田行きと同じ車両だから、買っていいぞ」
 リサ「! おー!」

[同日10時22分 天候:晴 JR仙台駅→仙山線1843M列車最後尾車内]

 小牛田行きは1番線から出たが、仙山線ホームは基本的に東側の7番線または8番線から出る。

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の8番線の列車は、10時26分発、普通、愛子行きです。この列車は、6両です。……〕

 リサはホームの自販機で、ジュースとお菓子を買っていた。

〔まもなく8番線に、当駅止まりの列車が参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまで、お下がりください。この列車は、6両です。……〕

 そして、下り方向から上り列車がやってくる。
 小牛田行きで乗った列車と同じ両数ではあったが、向こうは701系も混ざった混結編成だったのに対し、こちらはE721系で統一されていた。
 4両編成に2両編成を連結した6両編成である。

〔せんだい~、仙台~。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました。お忘れ物の無いよう、ご注意ください〕

 ここまで乗って来た乗客達がぞろぞろ降りて来る。
 全てのドアが開き、そこから降りて来ていた。
 私とリサは2両編成側の後ろの車両、つまり最後尾に乗り込んだ。
 30分くらいの乗車時間だから、ドア横の2人席でもいいと思ったが、リサが飲食物を購入したので、ボックスシートに座る。
 恐らく仙台~愛子間は本数も多く、それだけ利用客が多いから、ボックスシートの通路側にも他の乗客が座ると思われる。
 私がそれを言うと、リサはあっと気づいたようだ。

 リサ「そっかぁ……」
 愛原「帰りは何も買わないで、そっちの席に座ろう」
 リサ「その方がいいね」

 しかしながら、リサは窓際のテーブルにジュースのペットボトルを置いて、キヨスクで買ったポッキーを齧り始めた。

〔この電車は仙山線、普通、愛子行きです〕

 私はこれから向かう小松先生の家の住所をグーグルマップで調べたが、愛子駅から徒歩10分ほどの場所であり、どうやら一軒家にお住まいのようだった。

 愛原「いいか?門伝先生もそうだが、これから行く小松先生の所も、元は学校の先生で、最後は校長先生まで勤め上げた人だ。絶対に失礼の無いようにな?」
 リサ「分かった」

 ああ、そうか……。
 手土産くらい用意すれば良かったな……。
 まあ、途中で買って行くか。
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“私立探偵 愛原学” 「仙台での聞き込み調査」

2023-04-10 14:56:57 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月6日07時00分 天候:晴 宮城県仙台市若林区某所 愛原家]

 枕元に置いたスマホのアラームが鳴って、私はそれに手を伸ばした。
 そして、アラームを止めて起き上がる。
 カーテン越しに朝日が差し込んで来るので、今日も天気が良いようだ。
 1階に下りて洗面所に向かうと、リサが先に顔を洗っていた。

 リサ「あ、先生、おはよう。1人で寝る夜は寂しくなかった?」

 リサは嫌味を込めて言ってきた。
 昨夜、私と一緒の部屋で寝たがるリサを何とか宥めて諦めさせたのだが、それでまだブー垂れているようだ。

 愛原学「元々俺の1人部屋なんだから、当たり前だよ」
 リサ「子供部屋おじさん」
 学「いや、実家暮らししてるんじゃないんだから、それは当てはまんないだろ。高橋はどうした?」
 リサ「まだ寝てる」
 学「そうなのか。まあ、朝食は母さんが作ってくれるし、今日くらいゆっくり寝させてあげよう」
 リサ「うん、分かった」

 異変は30分後に気づいた。
 私達が顔を洗い、ダイニングに移動しても、高橋は起きてこなかった。

 学「何だ、寝坊か。リサ、起こしてやってくれ」
 リサ「分かった!」

 リサがタタタッと奥の客間に向かう。
 因みに客間は二間続きになっており、間を襖で仕切れるようになっている。
 なので、高橋とリサはそれぞれ別々の和室で寝たわけである。

 母親「もう少し寝させてあげたら?」
 学「いやいや、9時には門伝さんの所に行かないといけないんだから、そろそろ起きないと」

 高橋も私の助手である以上、一緒に動いてもらわないと。
 そう思っていた時だった。

 リサ「先生」

 リサが目を丸くした状態で戻って来た。

 学「何だ?起きないのか?」
 リサ「お兄ちゃんの体温って、普段何度あったっけ?」
 学「はあ?平熱は36度5分ってところだろう?」
 リサ「あれって、36度5分あるのかな?わたしはもっと高いけど」
 学「オマエはBOWだからな。それは往々にして体温が高い。それがどうした?」
 リサ「お兄ちゃんの体、結構熱いんだけど……」
 学「なにぃーっ!?何故それを早く言わんのだ!?」

 私は急いで客間に向かった。

 学「高橋、オマエ、大丈夫なのか!?」
 高橋「せ……先生……。俺……ウィルスに感染したみたいです……。ゾンビ化する前に……どうか、先生の手で……俺に楽に……」
 学「体は痒いか?」
 高橋「いいえ」
 学「食欲は一杯あるか?」
 高橋「全然……ありません」
 学「ただのコロナだ」
 高橋「せ、先生……?!」

 こちとらゾンビウィルスだの遺伝子変形ウィルスだのを相手にしているので、今更コロナなど怖くないわい!

 母親「取りあえず、これで熱測って……」
 高橋「さ、サーセン……」

 母親が体温計を持ってくる。

 母親「まあ!38度3分」
 リサ「わたしの平熱」
 学「オマエじゃない!明らかに発熱しているが、言うてそこまでの高熱というわけでもないな」
 母親「取りあえず、市販の薬を……」
 高橋「さ、サーセン……」
 学「いや、いいんだ。それより、病院どうしよう?今日は日曜日だし……」
 父親「それなら、舟丁に急患センターがある。ワシがそこに連れて行ってあげよう」
 学「父さん、助かる!……コロナじゃなければいいが……」
 高橋「ご迷惑をお掛けします……」
 学「まあ、しょうがない」
 リサ「わたしのウィルス、わけてあげようか?コロナもエボラもイチコロだよ?」
 学「その代わり、人間を辞めることになるので却下します」
 リサ「えーっ!」

 取りあえず高橋のことは父親に任せることにした。

 学「取りあえずこれ、高橋のマイナンバーカード」
 父親「うむ。彼のことは、ワシ達に任せなさい」

[同日09時00分 天候:晴 同区保春院前丁 門伝家]

 借りた卒アルを手に、母親の後輩である門伝女史の家に向かった。
 うちの実家から徒歩圏内にある。

 門伝涼子「あらぁ?先輩の息子さん?……と……」
 リサ「先生のお嫁さ……フガッ!」
 愛原学「姪っ子の者です」

 私はリサの口を塞いで誤魔化した。

 愛原「卒業アルバムを返納しに伺いました」
 門伝「そうなの。わざわざありがとう」
 愛原「それでですね、門伝先生の同級生であったと思われる斉藤玲子さんについてお聞きしたいのですが……」
 門伝「先輩にも話したけど、ロクに口も聞いてないのよ。何か、家庭が複雑なコだって聞いたことはあるんだけどね。あんまり学校にも来てなかったし、あれこれ言えるほどじゃなかったのよ」
 愛原「そうなんですか。どなたか、この人をよく知っている人とかいませんかね?」
 門伝「まあ、当時の先生達なら知ってたかもね」
 愛原「門伝先生の先生ですか」
 門伝「ええ。担任の先生とかね」
 愛原「その先生とお会いすることはできますか?」
 門伝「そうねぇ……。御健在だと、もう御年80歳くらいになるかしら」

 ということは、担任教師だった頃は30歳くらいか。

 門伝「先輩の息子さん、東京で探偵をやってるって聞いたけど、本当だったのね?」
 愛原「えっ、ええ、まあ、あまり売れないんですけど……」
 リサ「超一流の名探偵です!」
 愛原「お、おい!」
 門伝「ちょっと聞いてみますね。ちょっと待っててください」
 愛原「す、すいません!」

 1度中へ通された。
 応接間のような部屋で待つこと10分。

 門伝「お待たせしました。連絡が着きました」
 愛原「おお、ありがとうございます!それで、結果の方は……?」
 門伝「それが……先生の話を聞いて、私も思い出したんですよ」
 愛原「何を思い出されましたか?」
 門伝「斉藤玲子さんの仙台の家は、火事で焼け落ちてるんです」
 愛原「ええっ!?」
 門伝「確か3年生の、夏休みに入る直前ですよ。それで夏休みの間、まずは平泉の親戚の家に滞在することになったそうです。福島の実家には戻れませんし……」
 愛原「そうだったのですか……。火事の原因は何だったのでしょう?」
 門伝「不審火ということでしたね」
 愛原「不審火……」

 原因不明だが、放火の疑いありということか……。

 門伝「もし何でしたら、もっと詳しい話を教えるって、先生が仰ってました」
 愛原「本当ですか!?でしたら、今すぐにでもお伺いしたいです!」
 門伝「分かりました。こちらが、私の当時の担任の先生……。小松先生と仰います。今は愛子に家を買って、悠々自適の生活をされてますよ」
 愛原「それは羨ましいですね」

 私は小松先生の住所と連絡先が書かれたメモを受け取った。

 愛原「色々とありがとうございました」

 私とリサは、門伝先生の家をあとにした。
 愛子は『あいこ』ではなく、『あやし』と読む。
 青葉区にあって、JR仙山線でアクセス可能だ。
 私達は仙台駅に行く為、最寄りのバス停に向かった。
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“私立探偵 愛原学” 「仙台での一夜」

2023-04-10 11:41:46 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月5日18時30分 天候:晴 宮城県仙台市若林区某所 愛原家]

 父親「学も缶ビール飲むだろ?」
 愛原学「うん」
 父親「高橋君も」
 高橋「あざっス!……いえ、ありがとうございます」
 リサ「じゃあ、わたしも」
 一同「あと3年待て!」
 リサ「えー!?」
 高橋「えーじゃねぇ!」
 父親「仲良くやっているようで何よりだ」
 学「いつも賑やかなんだよ」
 高橋「コイツのせいです」
 リサ「コイツのせいです」
 高橋「ンだコラぁっ!」
 リサ「電撃!」
 高橋「マグナム!」
 愛原「やめなさい、こんな所で!」
 母親「うちも2人以上の子供が欲しかったわ」
 愛原「うるさいだけだよ、きっと……」
 高橋「先生のヨメは俺です!」
 リサ「わたしがお嫁さんです!」
 高橋「コラァッ!」
 リサ「お兄ちゃん、男じゃない!」
 父親「た、多様性、多様性……」
 高橋「そうっスよ!」
 リサ「お兄ちゃんじゃ、子供が生めません。わたしは女だから、子供が生めますよ?」
 父親「う、うむ。孫を生んでくれる方が……」
 母親「私は孫に賭けたいわ!」
 学「何でだよ!?」
 リサ「いえい
 高橋「くそっ……!」
 父親「でも、歳の差が気になるねぇ……」
 学「そうなんだよ」
 リサ「問題ありません!こう見えてもわたし、実際は先生より10歳以上年上の……」
 学「わー!わー!わー!」
 父親「ん?」
 学「何でもない!何でもないです!」

 歳の差と言えば、上野医師と斉藤玲子の歳の差なんか、私とリサよりもヤバいぞ。
 上野医師がアラフィフで、斉藤玲子が10代半ばって……。
 私は確かに研究所の自爆装置から、リサを助け出した。
 上野医師は、喘息で死に掛かっている斉藤玲子を助けた。
 ……前者の方がヤバいか。
 私も、よくあんな咄嗟の判断ができたものである。

 父親「俺は『鬼ころし』だ」
 リサ「!」

 リサ、右耳だけ長く尖らせて、ピクッと動かす。

 高橋「おっ、いいっスねぇ!『どんな鬼でも、これを呑めばたちまち酔い潰れてしまう』って酒っスね!」
 父親「おお!よく知ってるじゃないか、高橋君?」
 高橋「俺の実家、新潟なもんで、佐渡の『鬼ころし』は有名っス!」
 父親「そっちか。これは『みちのく鬼ころし』だが、『佐渡の鬼ころし』も飲んでみたいな」
 高橋「今度、送らせて頂きゃす!」
 学「つったってオマエんち、下越の方だろ?佐渡に知り合いでもいるのか?」
 高橋「何も、佐渡でしか売ってないってわけじゃないっスよ?」
 学「そうか。それもそうだな」

 ぶっちゃけ、今なら通販でも簡単に買える時代だな。

 リサ「先生、わたしにも一口……」
 学「だからダメだって!」
 高橋「『お酒は20歳になってから』だぜ?鬼さんよ?」
 リサ「ぶーっ!」

 リサは頬を膨らませた。

 学「だが、試しに本当に鬼に『鬼ころし』を飲ませてみたい気がしないでもない」
 高橋「先生!?」
 リサ「じゃあ……!」

 リサ、父親の『鬼ころし』に手を伸ばす。

 学「だからダメだって」
 リサ「じゃあ、どうするの?」
 学「俺に考えがある」

[同日20時00分 天候:晴 愛原家]

 すき焼きの肉は、リサが半分以上食べていたような気がする。
 まあ、生協辺りで買ったセール品だったようなので、そこまで高い肉ではなかったようだが。
 夕食が終わると、私と高橋、リサは家の奥の客間に移動した。
 高橋とリサが夕食の後片付けを申し出たので、実際に移動したのはその後になったが。

 学「実は前々から思っていたんだが、善場主任」
 リサ「善場さん?」
 高橋「ねーちゃんがどうかしたんスか?」
 学「実は、かなり酒に強い」
 高橋「あー、確かにこの前の飲み会でも全然酔ってませんでしたね!」
 学「いくら表向きは人間に戻れたことになっているとはいえ、元はBOW(人工生物兵器)。リサと同じ方法でそうされた人だ。つまり、元・鬼といってもいい」
 リサ「うん、鬼のように怖い人。あの目で睨まれたら、わたしでも言う事聞いちゃう」

 リサは白目を黒に、黒目を銀色に変えた。
 興奮すると、このようになる。
 善場主任は、このような変化は無いのだが……。

 学「何気に俺や高橋より飲んでいるだろ?」
 高橋「それもそうっスね」
 学「あの人に『鬼ころし』を飲ませたら、どうなるだろうと思って」
 高橋「案外、大丈夫だったりして」
 リサ「是非飲ませてみよう!」
 学「お土産に買って行ってあげるか」

 普段はお土産を固辞する善場主任も、酒なら受け取ってくれるかもと思った。

[同日22時00分 天候:晴 愛原家]

 母親「明日は9時に後輩の家に行くの?」
 学「ああ。そうするよ」
 母親「分かった。日曜日だから、多分家にいると思うわ」

 リサが風呂に入っている間、私はリビングで母親と話していた。
 母親の後輩の門伝女史は、中学校の音楽教師として働いていたという。
 吹奏楽部にいて、高校も吹奏楽部に入り、そして大学で教員免許を取って、音楽教師となったようだ。
 もちろん今は、定年退職している。

 リサ「お風呂出ましたー」

 リサがやってくると、体操服とブルマではなかった。
 さすがに両親の前だからか?
 白いTシャツに黒いショートパンツであった。

 母親「その恰好で寒くない?」
 リサ「全然大丈夫です。わたし、体温高いんで」
 母親「そう……」
 学「夜更かししないで、早く寝ろよ」
 リサ「分かってるよ。それじゃ先生、わたしは先に寝てるねぇ?」
 学「ああ」

 しかしリサは、2階の私の部屋に行こうとした。

 学「ちょっと待てい!」
 リサ「なに?」
 学「リサが寝るのは、奥の客間だろ!あっち!」
 リサ「夫婦が同じ部屋で寝るのは当然でしょ?」
 学「こらぁっ!」
 母親「あらあら」
 学「『あらあら』じゃねーよ!」
 リサ「でも上野医師は、わたしのお母さん……かもしれない人と【バキューン】してたんでしょう?」
 学「ま、まだ分かんないよ?」

 しかし斉藤玲子が本当にリサの母親なのだとしたら、10代半ばで生んでいることになる。
 そして、その父親とは上野医師であるかもしれない。

 母親「一緒に寝てあげたら?」
 学「母さん!」
 リサ「わー!さすがはお義母さん!」

 リサは私に抱き着いた。

 学「自分の息子が鬼に食われてもいいのかよ!?」
 母親「どうせ人間の女性には相手にされないチー牛ですもの。煮るなり焼くなり好きにしてちょうだい」
 リサ「先生!お義母さんのお許しが出たことだし!」

 リサは鼻息を荒くした。
 興奮して角が生え、両耳も尖っている。

 愛原「何がだ!高橋!何とかしろ!高橋!?」

 しかし、私の召集に応じない高橋。

 高橋「 でへへ……ダメっすよぉ、先生ぇ……そこ触っちゃ……

 それもそのはず。
 高橋は既に寝ていたからである。
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物語の途中ですが、本日の慶祝登山参詣について御報告致します。 20230409

2023-04-09 22:52:01 | 日記
 本日は統一地方選挙の投票日である。
 皆さん、選挙に行きましたか?
 え?はい、そこの顕正会員さん。

 顕正会員「バカたれが!今日は選挙なんかより大事な日曜勤行だ!選挙なんか行ってられっかよ、あぁっ!?オメーはよー、無二の師匠、浅井先生の御心が分かんねーのかよっ、ああっ!?」

 ……はい。
 そこの、ガチ勢法華講員さん。

 ガチ勢法華講員「公明党に投票するくらいなら、棄権した方がマシだ!それよりも、今日は御講と慶祝登山の日だ!」

 ……はい。
 私はエンジョイ勢法華講員ですので、期日前投票に行ってきました。
 物の見事に、私が投票した無所属の候補が圧倒的多数で当選しましたよ。
 その次が自民党の候補。
 無所属が圧倒的1位で、2位が『ヒゲの隊長』のプッシュした候補である。
 川口市民は、けして左巻きばかりではないということ。
 早いとこ、ガラの悪い外国人追い出せや!
 まあ、ついでに公明党や共産党まで当選してしまうところが何とも……。
 維新の会は残念でしたねw
 せっかく、蕨駅東口前でも川口市民に呼び掛けてたのにねw
 残念ながら、今の維新の会は頂けない。
 もっとも、日本第一党の候補者がいれば、迷わずそこに投票するのだが。

 ……と、前置きはこの辺りにして……。
 本日は好天に恵まれ、絶好の登山日和となりました。
 私は同じお寺の信徒さんの車に同乗させて頂き、それで大石寺に向かった由。

 

 戦利品その1。
 足柄サービスエリアに休憩した際にゲットしたパンフレット。
 温泉自体は上下共にあるのだが、宿泊施設は上り線にしか無いもよう。
 もちろんここで入浴してしまうと、尼御前の真似事と判断され、「湯治のついでであるのなら来るな」と走行中、他の車にぶつけられて、登山中止を余儀なくされる恐れがあるので、それは自粛した。
 因みに、肉串(1本税込み530円也)は軟らかい牛肉がとても美味いのでオススメ。
 うちの作品の愛原リサなら10本は頼んで、愛原学の財布を圧迫することであろう。

 

 逆光が眩しい報恩坊の三門。
 大石寺の三門同様、そこに門扉は付けないのが習わし。
 これは日蓮正宗だけの習わしではなく、伝統仏教宗派全てがそうである。
 ということは、釈尊の教えに基づいているのだろう。
 『一切衆生がいつでも仏道に入れるようにとのことから、寺の正門である三門に扉は付けない』という教えである。
 だから、大石寺の三門と似たような造りになっている長野の善光寺とかも門扉は無いし、池上本門寺の三門にも扉は無い。
 さすがに、『葷酒、三門に入るを許さず』の石碑は無い。
 いや、それは禅宗の寺のみw

 

 見づらくて申し訳ないが、これが今回の御講の内容。
 顕正会の日曜勤行でも、よく取り上げられる四条金吾殿御返事である。
 というかもしかしたら、これ、日曜勤行でも取り上げられるんじゃないかな?
 『現世安穏・後生善処』って、浅井会長もよく言ってる言葉だしね。
 尚、顕正会では、『御書を正しく拝せるのは浅井先生のみ』ということから、御書の読み上げも浅井会長しか行わず、会員はその後の御題目三唱をするだけである。
 しかしながら、宗門ではそんなことは無く、信徒も一緒に御住職と共に読み上げを行う。
 その後で、御題目三唱をする所くらいが共通点かな。

 

 本日のワッペン。
 私達で26回目ということである。
 ところで、山内で気になるコを見つけた。
 こう言っては何だが、中二病を発症してそうなJKだかJCの見た目をしていた。
 アップできる画像は無いし、文字で説明しても良いのだが、人の特徴を口や文章で説明するのはなかなか難しい。
 それで伝わらなければ意味が無いし、逆に伝わって御本人が特定されたりでもしたら、それはそれで御本人にとっては迷惑千万であろう。
 というか、初代だったか2代目だかのブログでそれをやらかして、炎上したことがあったような気がする。
 その反省を踏まえて、今回は特徴の説明はしない。
 ただそのコ、是非とも、私の作品に今後登場するキャラクターのモデルになってもらいたいと思った。
 プロの作家さんや画家さんなら、迷わず、声を掛けに行ったんじゃないかな。
 『ボクの作品のモデルになってください』って。
 そんな感じのコ。
 もちろん、全くの別の支部のコだ。
 それにしても、ああいう10代の若い女の子が信徒にいるなんて、実に羨ましい限りである。
 いや、同じ寺の信徒だったら、迷わず、『モデルになってくれない?』って頼むんだけどさ。

 帰り際は売店(仲見世)の藤巻商店さんへ立ち寄り、自分用と職場用の土産を購入。
 お茶屋さんでもあるからか、お茶を出して頂けるのは素晴らしい。

 

 というわけで、本日の戦利品。
 静岡抹茶のチョコクッキー以外は、全部自分用だったりする。

 今回の御登山でどれだけの罪障を消滅でき、また、どれだけの功徳を積めたかは分からない。
 相変わらず自己の折伏誓願は立てられない状態ではあるが、少なくとも御登山の誓願は立てられた。
 報恩坊では、慶祝登山はあと2回ある。
 7月と11月。
 その全てに参加するという誓願である。
 御住職は、そこに新願者も連れて来て……とは仰っていたが……。

 最後に、往復乗せて頂いた同信の徒、カイドウさんにはお世話になりました。
 この場で恐縮ですが、厚く御礼申し上げます。
コメント
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