報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「秋葉原へ向かう」

2024-03-26 20:39:39 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月12日09時38分 天候:晴 東京都墨田区菊川3丁目 都営地下鉄菊川駅→都営新宿線971K電車・最後尾車内]

 朝食を食べ終えた後は、早速準備して菊川駅に向かった。
 尚、高橋とパールは別行動で、都営バスで墨田区役所に向かっている。

 リサ「レイチェルも、今は電車の中だって」
 愛原「ちゃんと予定通りに来るんじゃないか。昨夜の作戦内容とか、教えてくれないかな?」
 リサ「『軍機なのでダメです』って言われそう」
 愛原「そうか。それは残念だ」

 トンネルの向こうから、強い風が吹いてくる。
 リサの黒い髪と、黒いスカートがそれに靡いた。
 そういえば、今日は風が少し強い。
 春一番が吹くだろうか。

〔まもなく1番線に、各駅停車、笹塚行きが、10両編成で到着します。ドアから離れて、お待ちください。急行電車の通過待ちは、ありません〕

 ゴォッと轟音を立てて入線してきたのは、京王電鉄の車両だった。
 クリーム色が目立つ旧型の方である。

〔1番線の電車は、各駅停車、笹塚行きです。きくかわ~、菊川~〕

 日曜日ということもあり、電車は空いていた。
 空いているローズピンクの座席に腰かける。
 すぐに短い発車メロディがホームに鳴り響く。

〔1番線、ドアが閉まります〕

 ピンポンピンポンと、ドアチャイムが2回鳴りながらドアが閉まる。
 これはJR東海の在来線車両と同じものだ。
 車掌が発車合図のブザーを鳴らすと、エアーの抜ける音がして電車が動き出した。

〔次は森下、森下。都営大江戸線は、お乗り換えです。お出口は、右側です〕

 リサは私の隣に座ると、スマホを開いた。

 愛原「何が欲しいんだ?」
 リサ「服。藤野の行く時のね」
 愛原「なるほど。まあ、学校の制服で行くのもあれか。アキバに行くんだから、何かのコス衣装とか?」
 リサ「パールさんにはメイド服、わたしには体操服ブルマ以外に今度は何を着せたいの?ラムちゃんの虎柄ビキニとか?FGOの酒呑童子みたいな恰好とか?」
 愛原「普通に街を歩ける恰好でシクヨロ」
 リサ「でしょ。やっぱそれだよね?」
 愛原「そりゃそうだろw」

「同日09時45分 天候:晴 東京都中央区神田岩本町→同区神田花岡町 ヨドバシAkiba」

 菊川駅から秋葉原の最寄り駅である岩本町駅へは8分ほどで行ける。

〔1番線の電車は、各駅停車、笹塚行きです。いわもとちょう、岩本町。秋葉原〕

 ここで電車を降りる。
 急行電車の通過待ちがある場合は中線に停車するが、この電車はしないので、外側の本線に停車していた。
 エスカレーターで改札階に向かう。

 愛原「リサ、スカート気をつけろよ。風が強いから」
 リサ「先生なら覗いてもいいよ?」
 愛原「そういう問題じゃない!」

 改札口を通過して、地上に向かう為に更にエスカレーターに乗る。

 愛原「レイチェルとは、どこで待ち合わせするんだ?」
 リサ「ヨドバシAkibaに1番近い、地下鉄の入口があるでしょ?そこ」
 愛原「なるほど。昭和通りから入った、あそこだな。分かった」

 尚、昭和通りに出る際は、途中から階段となる。

 愛原「おっ、本当に風が強い」
 リサ「ん!」

 しかし、天気は良い。
 花粉症には要注意だ。

 愛原「本当にリサは、太陽の下でも平気なんだな」
 リサ「最初からそうだよ。蓮華とか、『6番』みたいに、夜しかダメってのがおかしいんだよ」
 愛原「なるほど」
 リサ「だから藤野に行って、わたしの体、色々いじくるみたいだけど、それで夜しか動けなくなるのって嫌だなぁ……」
 愛原「より人間に近くなる為の治療だから、そんなことは無いと思うよ。リサの背中にある、触手の出入口を塞ぐのが最大のポイントなんだから」

 本当は人間に戻すのが目的だったのだが、だいぶ後退してしまった感じだ。
 途中の神田川に架かる和泉橋を渡り、書泉の前の横断歩道を渡ったら、ヨドバシAkibaはすぐそこである。
 着いた時、レイチェルはまだ到着していなかったが、少し待っていると……。

 レイチェル「皆さん、こんにちは。今日はよろしくです」

 ジーンズにジャケットを羽織ったレイチェルがやってきた。

 愛原「バレンタインデーのチョコレートありがとう。2日早いが、今日はホワイトデーのお返しをさせてもらうよ」
 レイチェル「ありがとうございます。リサが服を見たいというので、私もそれでお願いします」
 愛原「レイチェルも私服が?」
 レイチェル「それもありますけど、やっぱり養成学校に通う者として、それに見合う物がいいですね」
 リサ「レイチェル、マジメ~」
 愛原「じゃあ、中に入ろうか」
 リサ「うぃっス!」

 3倍返しとはいうが、それ以上の額になりそうだな。
 まあ、仕方が無いか。
 それにしても、高橋達は無事に婚姻届をゲットできただろうか?

[同日10時30分 天候:晴 ヨドバシAkiba7階・ユニクロ]

 人によっては、ユニクロが高級ブランドだという向きあるそうだが、本当だろうか?

 愛原「いいのか、ここで?」
 リサ「藤野に行く用だったら、ここで十分」
 愛原「な、なるほど」
 リサ「最悪、春休み全部潰すことになるんでしょ?」
 愛原「最悪な」
 レイチェル「では、スムーズに行った場合はどれくらいになるのですか?」
 愛原「1週間程度らしい。なもんで、平均して10日くらいをメドにってところだな」
 レイチェル「春休みって、2週間程度ですよね?その半分以上を潰すなんて過酷ですね」
 リサ「そうなんだよ。旅行にも行けやしない」
 愛原「スムーズに行けて、早く帰れるようなら、どこか連れて行ってやるよ」
 リサ「ホント!?」
 愛原「レイチェルも、ここの店でいいのか?」
 レイチェル「はい。ちょうど、ジーンズの新しいのが欲しいと思ってましたし。あと、インナーも、ここのは実用性があるので、訓練用に買うのもいいですね」

 軍服の下にはスポプラなど、スポーツインナーを着用することが多い。
 但し、スポーツインナーは確かに頑丈な反面、ナイキやアディダスなどだとブランド性が高い為か、値段もそれなりに高い。
 その為、訓練生の中には、もう少し安いノーブランドのインナーを着用する者もいるという。

 レイチェル「ここのはいいですね。ちょっと、試着してきます」
 愛原「ああ」

 レイチェルはジーンズを何着か持って、試着コーナーに向かった。
 一応、昼食は一緒に食べようという予定であるが、高橋達は秋葉原に着いたのだろうか。

 リサ「先生、キャリーバッグは大きいのがいいかな?」
 愛原「その方がいいだろう。それについては、ヨドバシカメラの方に売ってるから、見てみるか?」
 リサ「うん、そうする!」
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“愛原リサの日常” 「国連の 活躍により 出番なし 今日は繰り出す 秋葉原へと」

2024-03-26 15:14:58 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月11日23時12分 天候:晴 栃木県某所山中]

 鬼女「はぁ、はぁ、はぁ……」
 鬼男「も、もうダメだ……!」

 栃木県の山中を走り回る1人の鬼の男女。
 それを追い回すは、BSAAのヘリと……。

 上野利恵「往生際が悪いわね。おとなしく観念しなさい」
 鬼の女「うわっ、いつの間に!?」

 着物を着た上野利恵が先回りし、月明りを背に、岩場の上から赤い瞳を光らせて彼らを見下ろす。

 上野凛「うちのお母さんも、なかなか強い鬼だからね!」
 鬼の男「ま、待ってくれ!あんた達も鬼なんだろ!?だったら、仲間じゃないか!アンタ達の所に匿わせてくれよ!?」
 凛「なーにが仲間だよ!ねぇ?お母さん!」
 利恵「あんた達、何人くらいの人を食べたの?」
 鬼の女「ご、5~6人くらいかな……」
 鬼の男「お、俺もだ!」
 上野利恵「私は1人……」
 鬼の女「ちょ、ちょっと待ってよ!」
 鬼の男「1人しか食ってないのに、何でそんなに強いんですか!?」
 利恵「さあねぇ……。地獄で勉強してきたら?」

 カッと眩い光が彼ら照らす。
 BSAAのヘリに追いつかれたのだ。
 そして、そこから機銃掃射を浴びせられる。

 鬼の女「ぎゃああああああ!!」
 鬼の男「お、俺だって元は人間だったのに……」

 そして降下してきたBSAAの隊員達に、更に至近距離から集中砲火を浴びせられた。
 被弾の勢いで、女の方の首がもげる。

 鬼の女「恨んでやる!オメーラ、一生恨んでやるからな!!」

 首だけになっても、遺恨を叫んでいた。

 BSAA隊長「回収しろ!首と胴体は、絶対に近づけるな!」
 BSAA隊員「はっ!」

 BSAAに捕まった彼らの運命は決まっていて、射殺できない以上は、血液などの検体サンプルを採取された後、朝まで監禁されるのである。
 そして朝が来ると同時に日光を浴びせられ、処刑される。

 BSAA隊長「御協力ありがとうございました!」

 隊長が上野母娘の所に来て敬礼する。

 利恵「お役に立てて何よりです」
 凛「この辺りで殺された人達は10人くらい。さっきの奴らの言い分通りだと、ちょうど人数が合っています」
 利恵「鬼はすぐに噓を付く。しかし、さっきのは追い詰められた状況での事ですから、恐らく本当でしょう」
 隊長「了解です。それでは、我々はこれで引き上げますので」
 利恵「ご苦労様でした」

 BSAAのヘリが飛び立って行く。
 その中に、凛は見覚えのある人物を見つけた。

 凛「レイチェル?」
 利恵「知ってる人?」
 凛「BSAA北米支部の養成学校から留学してきた人。リサ先輩と同じクラスなの」
 利恵「姉さんに特別監視が付いたのかしら?」
 凛「どうだろうねぇ……。監視って感じはしないけど……」

 と、そこへ……。

 男「姐さん、御嬢!お待たせしました」

 ホテル天長園の紺色の法被を着た30代くらいの男が、茂みをかき分けてやってきた。

 利恵「あら、早いわね」
 男「へへっ!姐さんの為なら、超特急ですぜ。さっ、こっちへ。車を用意してますんで、これで帰りましょう」
 凛「ありがとう、銀次さん」

 迎えに来て先導する法被の男には、牙があった。
 角こそ無いものの、耳も少し尖っている。

[同日23:35.天候:晴 栃木県上空 BSAAヘリコプター機内]

 南に向かって飛行するBSAAのヘリコプター部隊。
 レイチェルが搭乗している機内には、捕えた鬼の男女は乗っていない。

 教官「夜間実習訓練、ご苦労だった!明日は神聖な日曜日だ!これよりキミの宿舎へ直行するので、ゆっくり休むように!分かったか!?」
 レイチェル「Yes,sir!」

 レイチェルは、教官に敬礼した。
 彼女はBSAAの軍服を着用し、安全装置を付けたマシンガンを持っている。

 隊員「隊長!レーダーに複数の鬼型BOWの反応があります!」
 隊長「アラームは鳴っているか?」
 隊員「いえ、それが鳴っておりません。故障でしょうか?」
 隊長「それなら、故障のランプが点いて、それのアラームが鳴るはずだろ?」
 隊員「そ、そうですね」
 隊長「これは味方の鬼の反応なんだ」
 隊員「み、味方ですか!?」
 隊長「捜査協力をしてくれた上野母娘。しかし、彼女らには配下が何人かいるそうだ。但し、制御はできていて、未だ誰一人として人を襲ったことがないということで、今は監視対象のみとなっている」
 隊員「そういうことでしたか」
 隊長「彼らは栃木県が縄張りだ。そこに先ほどの敵BOWが入り込もうものなら、飛んで火にいる夏の虫だ」
 レイチェル「勉強になります」

 レイチェルは隊長の言葉をメモしていた。

 レイチェル「すると、BSAA欧州本部隊が、ルーマニアの作戦でBOW戦士を投入したというのは……」
 教官「それは最重要機密事項だ!いくらキミが猛勉強中の養成員とて、この質問には答えられない!もしどうしてもというのなら、欧州本部への配属を希望して、実際に配属されなさい。話はそれからだ」
 レイチェル「も、申し訳ありません!」
 教官「宜しい!」

[3月12日08時30分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 リサはダイニングで朝食を取っていた。
 トーストにベーコンエッグ、ウィンナーにサラダとスープという洋食であった。

 愛原「おはよう」
 リサ「おはよう!」
 愛原「何か昨夜、動きがあったらいしいな?」
 リサ「リンからLINEがあったんだけど、栃木で悪さしていた鬼達、BSAAに捕まったって!」
 愛原「なに?BSAAが活躍したか」
 リサ「リエ達の縄張りに入ったもんだから、追い掛けてBSAAに通報したんだって」
 愛原「そうか。利恵達も頑張ってるな」
 リサ「そこにレイチェルもいたみたいだよ」
 愛原「レイチェルが?今日来れるのか?」
 リサ「一応、LINE送ってるけど、まだ返信来てない」
 愛原「そうか……」
 リサ「まあ、来なかったら、2人でデートしよーね!?
 愛原「そうだな」

 『太陽の下、大手振って外を歩ける。これだけでも、鬼の世界ではエリートです』という言葉をリサは思い出した。
 最初にそれを言ったのは、上野利恵だったか。
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“私立探偵 愛原学” 「増えた鬼」 2

2024-03-24 21:08:51 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月11日14時46分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所]

〔「黙祷!」〕

 愛原「…………」
 高橋「…………」
 リサ「…………」
 パール「…………」

 東日本大震災の黙祷を行う私達。
 それから……。

〔「黙祷、終わります」〕

 事務所のテレビを切る。

 愛原「それで、どうする?やっぱり、お前達の婚姻届、事故で燃えたらしいぞ?」
 高橋「くっそー!どこ見て運転してやがんだ!!」
 パール「いや、ニュースだと、また郵便局のトラックが何かにぶつけられて、それで横転したらしいよ?」
 高橋「鬼か!鬼のしわざか!テメコラ、どういうことだ!?」
 リサ「わたし、知らないから!」

 それまで人間の姿だったリサだが、高橋に対する抗議の為に鬼の姿に戻る。

 リサ「現場は栃木県宇都宮市なんでしょ?栃木は鬼関係の事件が多いよね?」
 愛原「上野家は知らないだろうなぁ……」
 リサ「それで試しに、リンとリコに聞いてみたけど、知らないって」
 愛原「だろうなぁ……」

 私は首を傾げた。
 土曜日ということもあり、デイライトの方は電話を掛けても誰も出ない。
 もしかしたら、今回の事故は鬼型BOWのせいではないのかもしれない。

 愛原「とにかく明日、また新しい婚姻届もらってこい!」
 高橋「あ、明日っスか?明日は日曜日っスよ?」
 愛原「大丈夫だ。墨田区役所は第2日曜日と第4日曜日は、一部の窓口は開いている。婚姻届に関する窓口も、その中に入っている。だから明日、婚姻届の用紙をもらってくることは可能だ!」
 高橋「わ、分かりました!明日、取りに行ってきます」
 リサ「それじゃあ、アキバへは2人だけで行こーね?」

 リサは私に引っ付いた。

 愛原「現地でレイチェルと合流するだろ。2人だけなのは、都営新宿線の中だけだよ」
 リサ「それでもいい」
 愛原「高橋達はどうする?」
 高橋「取りあえず用紙をもらったら、その足でアキバに行こうと思います」
 愛原「浅草駅まで歩いて、そこから銀座線に乗ると末広町駅には行けるぞ」
 高橋「作者曰く、『電気街北口駅』っスね。了解っス」
 パール「ちょうどプレゼントに欲しい物が、電気街の中にあるのでちょうどいいですね」
 愛原「帰ったら、保証人の1人目にはまた俺がサインしてやるよ」
 高橋「あざっス」
 パール「ありがとうございます。それにしても、1度ならず2度までも、鬼に婚姻届を邪魔されるのはムカつきますね」
 愛原「それについては、俺も腹が立ってるんだ」
 リサ「先生の敵は、わたしの敵。『鬼同士の戦いなんて不毛』なんて言うけど、この場合はちゃんと大義名分があるよ」

 リサは右手の爪を長く鋭く伸ばした。
 Tウィルスだけで鬼化したクリムゾンヘッドと違い、こちらの鬼はGウィルスと特異菌で造られた鬼だ。

 高橋「よし!では早速、栃木に行きましょう!」
 愛原「いや、今行ってどうするよ?」
 高橋「ブッ殺しに行くんです!」
 愛原「あのな、ニュースをちゃんと観たか?郵便局のトラックが襲われたのは、夜中だぞ?すると、それを襲ったヤツは栗原蓮華と同様、夜行性の可能性がある。昼間に行ったって、どこかに隠れているだろう」
 高橋「じゃあ、夜に行きましょう!夜に!」
 リサ「わたしは反対」
 高橋「あぁ!?テメ、やっぱり鬼同士、味方する気か、この野郎!?」
 リサ「違うよ。明日は先生と買い物に行くんだから、今夜出発して、また大きな事件になったりしたら、行けなくなるじゃん」
 愛原「あー、そっちか!まあ、確かに思わぬ事件に巻き込まれる恐れはある」
 リサ「でしょ?でしょ?」
 愛原「それに、ややもすると、BSAAが出動している可能性がある。依頼もされてないのに、民間人の俺達がのこのこ行ったって邪魔になるだけだ」
 高橋「しかし……」
 愛原「レイチェルは動いてるんだろうか?」
 リサ「聞いてみるね」

 リサは自分のスマホを取り出した。
 それでレイチェルにLINEを送ってみたが、すぐに返事は返ってこなかった。

 リサ「多分、訓練中か何かだろうね。もしくは、出動しているか」
 愛原「まずは日本地区隊が動くだろうから、すぐにはレイチェルは動かないだろうさ。何せ、養成員なんだし」
 リサ「それもそうか」
 愛原「とにかく、勝手な行動は慎むように。それと高橋、ちょっとファミマに行ってこい」
 高橋「は?何か買い物ですか?」
 愛原「違う。3度目の正直で、今度は宅急便で送る」
 高橋「ええーっ!?」
 パール「郵便料金より高いんじゃ?」
 愛原「高いさ。だけど、郵便局のトラックは襲われても、ヤマト運輸のトラックはまだ襲われていない」
 高橋「た、確かに……」
 愛原「俺も頭には来てるんだ。だったらもう、別の運送会社に頼もうと思っている」
 高橋「先生、俺達の為に……!」
 愛原「泣くな!分かったら、さっさと買ってこい。宅急便コンパクトの資材なら、コンビニでも売ってるはずだ」
 高橋「分かりました!一っ走り行ってきます!」
 愛原「箱型じゃなくて、薄型のを買ってこいよ?」
 高橋「了解です!」
 パール「ついでにパン粉と卵を買ってきてー?」
 高橋「なにいっ!?」
 パール「今日の夕食はトンカツにします」
 愛原「豚肉が続くな」
 パール「今夜で最後です。ただ、トンカツ用の豚肉は買っているのですが、パン粉と卵を切らしてしまっていて……」
 高橋「分かった分かった、買ってくるよ」
 パール「明日の朝はベーコンエッグだから……」

 パールは冷蔵庫を見た。

 パール「あっ、ベーコンが無い」
 高橋「分かった!それも買ってくるよ!」
 愛原「結婚って大変だなぁ……」
 パール「あっ、先生のビールとリサちゃんの“鬼ころし”も無い……」
 愛原「俺も行くよ!」
 リサ「わたしもー」

 結局、3人してコンビニに行くことにしたのだった。

 愛原「お前の“鬼ころし”って、どんなヤツだったっけ?」
 愛原「赤鬼さんのヤツ」
 愛原「なるほど……」

 青鬼のヤツとかもあるのか。
 食品関係はスーパーの方が安いような気もするのだが、乗り掛かった船である。
 せっかくだから、ポイントを貯めさせてもらうとしよう。
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“私立探偵 愛原学” 「増えた鬼」

2024-03-23 20:36:26 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月10日18時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 夕食は予定通り、ポークカレーとハンバーグであった。
 ハンバーグをカレーの上に載せないのは、リサがお代わりしやすいようにする為である。
 あと、ハンバーグ自体が大きい為に、どちらがメインか分からなくなる為。
 うちには辛党が2人いるが、私に合わせて、カレーは中辛である。
 辛味が足りない2人は、タバスコを掛けて辛味を強くして食べている。

 リサ「あ、そういえば先生」
 愛原「何だ?」
 リサ「ホワイトデーのお返し、忘れてないよね?」
 愛原「も、もちろんだとも」
 リサ「スーパーでホワイトデーのフェアやってたからさ」
 愛原「そ、そうなのか」
 リサ「3倍返し、よろしく」
 愛原「はいはい。リサの欲しい物をあげるよ。何がいい?」
 リサ「先生の血、3リッター!」(*´Д`)ハァハァ
 愛原「こらー!殺す気か!」
 リサ「そしたら、先生のお肉、300グラム」(;゚∀゚)=3ハァハァ
 高橋「先生、こいつ鬼化してやがりますぜ?」
 愛原「早くカレー食べな!」
 リサ「はーい」
 愛原「バレンタインのチョコなら、レイチェルからも貰ってるんだ。レイチェルにもお返ししないといけないな」
 リサ「レイチェルからも、もらったもんね」
 愛原「そう。うーん……だったらさ、2日早いけど、今度の日曜日、直接プレゼント買ってあげるというのはどうだ?」
 リサ「今度の日曜日ね」
 愛原「日曜日なら、レイチェルも休みだろう」
 リサ「だろうね」
 愛原「アキバなら、俺達もレイチェルも出やすいだろう」
 リサ「なるほど、分かった」
 高橋「先生、俺達は……?」
 愛原「パールにホワイトデーのお返しでも買ってやれよ」
 パール「3倍返し、よろしく」
 高橋「何でそこでジャックナイフ取り出すんだよ?」
 愛原「きっちり3倍返ししないと刺すという警告だろう」
 パール「さすがは名探偵。素晴らしい洞察力です」
 高橋「あのな!」
 愛原「警告に従わないと、お前が『流血の惨を見る事、必至であります』だぞ?」
 リサ「お兄ちゃんの血は美味しくなさそうだねぇ……」
 高橋「何だよ、それ!こう見えても、献血ルームじゃVIP待遇のB型だぞ!?」
 愛原「いや、血液はその時々に応じて不足したりするから、B型が特にってわけでもないと思うぞ」
 リサ「うーん……。私も血をもらってばっかりだから、たまには献血しないとね」
 愛原「バイオハザードが起きるからやめなさい」
 高橋「オメーの血で作った薬を注射されたから、栗原蓮華が鬼になったんだろうが!」
 リサ「ちっ、そうだった」

 とまあ、こんな感じでいつも夕食は取っている。
 楽しい食卓な方だと思われる。
 この後はまたリサと桃鉄やったり、風呂入って晩酌にビール飲んだりした。
 リサは“鬼ころし”のパック。
 体操服に紺色のブルマを穿いた鬼が、“鬼ころし”を飲む姿はシュールである。
 あくまで暴走を抑える為の予防薬としての服用であり、未成年飲酒には当たらない。
 もちろん、飲み過ぎると悪酔いする。
 逆に変化が起きるので、それにも注意しなければならない。
 深酒した私の血を吸ったリサが、血中アルコールを摂取した形となって悪酔いした時は大変だった。
 今はさほどアルコールが入っているわけではないので、マッサージされても大丈夫だ。
 リビングでリサとゲームをやりながら……。

 愛原「明日は土曜日だけど、学校はあるの?」
 リサ「うん、明日も午前中で終わり」
 愛原「そうか。で、レイチェルは休みって感じかな?」
 リサ「そうだろうね」
 愛原「分かった。明日は真っ直ぐ帰るのか?」
 リサ「そのつもり」
 愛原「分かった。高橋に言って、昼飯の準備しといてもらおう」
 リサ「ありがとう」

 リサはそう言って、周りを見渡した。
 そして、不意に私の唇に自分の唇を重ねて来る。

 リサ「わたし達の婚姻届はいつ出してくれるの?」
 愛原「い、いや、まだ先だろ。お前、今の戸籍じゃ、まだ17歳なんだから」
 リサ「人間のままだったら、先生より年上なのに……」
 愛原「しょうがないだろうが。早いとこ、人間に戻る算段を見つけないとな……」

 リサがやたらベタベタしてくるのは、“鬼ころし”の酔いが回ってきたからだろうか。
 鬼姿のままであることは変わりないのだが、噛み付く力も弱くなるほど鬼(型BOW)の力は封じられるし、何より……。

 リサ「ふわ……」

 リサは牙を剥き出しにするほどの大欠伸をした。

 愛原「眠いのか?」
 リサ「うー……鬼のくせに、お酒弱いのかなぁ……?これ飲むと眠くなる……」
 愛原「いや、弱くはないと思うぞ」

 アルコール度数15%の日本酒、本当に弱かったらそもそも飲めないからな。
 それをリサは1回、悪酔いするほど何パックも飲んだことがあるかのだから、やっぱり酒は強い方なんだと思う。

 愛原「もう風呂に入ったことだし、今日はもう寝ろ。明日も午前中だけとはいえ、学校なんだから」
 リサ「はーい……」

 ゲームはここで終わりにして、私はリサを自室に下がらせた。

 リサ「明日の土曜ホラー劇場は、絶対に観る」
 愛原「明日は飲まずに済むといいな」

 

 リサはソファから立ち上がった際に、ブルマの食い込みを直す仕草をした。
 私の気を引く為とはいえ、鬼の女は一途が多いというのは本当だなぁ……。

[3月11日午前6時30分 天候:晴 同地区 愛原家3階ダイニング]

 愛原「おはよう」
 パール「あっ、先生。おはようございます。今日は事務所休みでしょうから、もう少しゆっくりされていても良かったですのに……」
 愛原「いや、残務処理とかあるから、午前中は事務所にいるよ。リサも学校だしな。……あれ、高橋は?」

 今朝の朝食当番はパールである。
 昼食の当番は高橋だ。
 まあ、高橋のことだから、またホットドッグでも作ってくれるのだろう。
 それはいいとして……。

 パール「何か、部屋にいますよ」
 愛原「部屋に?」

 私が様子を見に行こうとすると、高橋が出てきた。

 愛原「おっ、高橋」
 高橋「あっ、先生。おはざっす!」
 愛原「ああ。どうしたんだ?」
 高橋「いや、ちょっと……」
 愛原「ん?」

 高橋はリビングに行くと、そこでテレビを点けた。
 ニュースをやっているチャンネルを回す。

〔「……はい、こちら事故現場の上空です。私は今、栃木県宇都宮市内の東北自動車道上空に来ています。御覧頂けますでしょうか?事故現場には、何台もの車が横転したり、衝突したりして、事故の壮絶さを物語っています」〕

 どうやら東北自動車道で昨夜遅く、複数台の車が事故に遭ったらしい。
 当事者としてはたまったものではないが、しかしあり触れた事故であることは否めない。

〔「……事故の原因は、まだ分かっていません。目撃者の話によりますと、突然、前を走る郵便局の大型トラックが横転し、そこへ後ろを走る別のトラックが追突。更に別のトラックや乗用車が追突、衝突したりしたもようです。またその際、トラックが燃え上がり、特に郵便局のトラックにおきましては、郵便物にも引火しており……」〕

 愛原「ゆ、郵便物にも引火しており!?」
 高橋「何か、すっげー嫌な予感がするのですが?」
 愛原「あ、後で郵便局に問い合わせてみよう」

 しかし一体、何が起こっているというのだろう?
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“私立探偵 愛原学” 「事務所へ帰所」

2024-03-23 11:36:11 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月10日12時56分 天候:晴 東京都港区新橋 新橋バス停→都営バス業10系統]

 ラーメンを食べた後、私達はレイチェルと別れた。
 新橋駅からは地下鉄日比谷線には乗れないが、銀座駅は近くにある。
 レイチェルは歩いてそこまで行くとのことなので、駅前で別れた次第。
 私達は特に時間の制約は無いので、バスで菊川まで帰ることにした。
 ここから出るバスなら、乗り換え無しで帰ることができる。
 やってきた都営バスは、ノンステップバス。
 都営は既に観光バスを除いて、全てのバスがノンステップである。
 乗り込んでから、後ろの席に座った。

 愛原「これからバスで帰るからと、パールに言った方がいいな」
 高橋「そうします」

 高橋は自分のスマホを取り出した。
 そうしているうちに発車の時間になる。

〔発車致します。お掴まり下さい〕

 バスは満席状態で定刻通りに発車した。
 利用客の多い路線で、出入庫便も入れると5分に1本という高頻度ダイヤである。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。このバスは銀座四丁目、勝どき橋南詰、豊洲駅前経由、とうきょうスカイツリー駅前行きでございます。次は銀座西六丁目、銀座西六丁目でございます。日蓮正宗妙縁寺へおいでの方は、本所吾妻橋で。日蓮正宗常泉寺と本行寺へおいでの方は、とうきょうスカイツリー駅前でお降りになると便利です。次は、銀座西六丁目でございます〕

 高橋「ん?」
 愛原「どうした?」
 高橋「いえ、パールから了解の返信はあったんスけど……」
 愛原「けど?何か、土産でも買ってこいってか?」
 高橋「いえ、そうじゃなくて、婚姻届の件です」
 愛原「婚姻届か。確か、7日に送り返したんだったな?」
 高橋「そうです。言われた通り、もう急ぎで」
 愛原「東京から仙台まで普通郵便だと2~3日掛かるけど、速達とかレターパックなら1日で届くはずだ。まあ、父さんも暇な年金生活者とはいえ、何かしらやることはあるだろう。今日辺り、送るかもしれない。ちょっと確認してみるよ」
 高橋「サーセン」

 私もスマホを取り出した。
 そして、揺れるバスの中、父親にLINEを送ってみた。
 まあ、すぐには返信は来なかったが。

[同日13時48分 天候:晴 東京都江東区森下4丁目 森下五丁目バス停→墨田区菊川2丁目 菊川駅前バス停]

〔ピンポーン♪ 次は菊川駅前、菊川駅前でございます。都営地下鉄新宿線、都営バス、築地駅前、錦糸町駅前、亀戸駅前方面はお乗り換えです。次は、菊川駅前でございます〕
〔次、止まります。お降りの際は、バスが停車してから席をお立ちください〕

 愛原「おっ、父親から返信があったぞ」
 高橋「何スか何スか?」
 愛原「今日、郵便局に出したそうだ。もちろん、速達&簡易書留。これなら確実に届くだろって」
 高橋「おおーっ!あざーっス!」
 愛原「後で父さんには、郵便料金振り込んでおくよ」
 高橋「俺にやらせてください!」
 愛原「い、いいのか?」
 高橋「はい!」
 リサ「それよりお兄ちゃん。お兄ちゃんのスマホも、何か着信あったよ?」
 高橋「んっ!?」

 高橋が自分のスマホを取り出すと、それはどうやらパールからのLINEらしい。

 高橋「……ついでに、夕食の食材買ってこいですって」
 愛原「よっ、新婚さん!」
 リサ「いらっしゃーい!」
 高橋「まだ結婚してませんって!」

〔「菊川駅前でーす」〕

 そうこうしているうちに、下車バス停に着いた。
 ピンポンピンポンとドアチャイムを鳴らしながら、引き戸式の中扉が開く。
 地下鉄の乗換駅ということもあり、ここで下車する乗客は多い。
 また、観光地の東京スカイツリーの近くまで行くバスということもあり、乗車客も多い。

 愛原「しょうがない。俺は先に事務所に戻るから、買い物よろしく」
 高橋「分かりました」

 バスを降りる。

 愛原「今日は金曜日だから、カレーかな?」
 高橋「そうですね。今日は豚肉が安いそうなので、ポークカレーでしょう」
 愛原「なるほど。……もしかして、ひき肉まで安かったりしない?」
 高橋「多分そうでしょうね。パールの買い物リストの中に、それも入ったりするんで」
 愛原「すると、今日の夕飯はカレーとハンバーグか」
 リサ「私も買い物付き合う!」
 高橋「おやつ買う気か!」
 リサ「それはついで」
 愛原「まあ、とにかく頼むよ。食費は家計からの支出だから、取りあえず立て替えといてくれ」
 高橋「分かりました」

 スーパーの前で高橋やリサと別れ、私は単独で先に事務所に戻った。

[同日14時00分 天候:晴 同地区 愛原学探偵事務所]

 事務所の建物に入り、階段で2階に上がる。

 愛原「ただいまァ」
 パール「お帰りなさい、先生」
 愛原「高橋とリサは、スーパーで食材の買い出しをしているよ」
 パール「了解しました」
 愛原「買い物リスト、俺も見たんだが、今夜はカレーだな?」
 パール「毎週金曜日はカレーです。今日は豚肉の特売日ですので、ポークカレーです」
 愛原「やっぱりな。特売なんだから沢山買って、リサには豚肉たっぷりのカレーにしてやれよ?」
 パール「分かりました」
 愛原「ひき肉が入ってるということは、ハンバーグもだな」
 パール「そうです」
 愛原「少し牛肉も混ぜてくれると、美味いんだがな?」
 パール「大丈夫です。豚肉と牛肉の合い挽き肉ですよ」
 愛原「それは良かった」

 パールは給湯室に行って、コーヒーを入れてくれた。

 パール「まだ外は寒いですか?」
 愛原「そうだなぁ……。たまに暖かくなると思ったら、寒くなる。三寒四温とは、よく言ったものだよ」
 パール「そうですね」
 愛原「それより、うちの父親から連絡があったぞ。さっき郵便局に行って、お前達の婚姻届、保証人の所にサインして、こっちに送り返してくれたそうだ。速達&簡易書留だから、明日には届くだろう」
 パール「でも明日は土曜日……あっ!」
 愛原「だから、速達や書留なら、土日でも配達されるんだってば」
 パール「そうでした」
 愛原「婚姻届を出したら、パーッとやろう、パーッと」

 この2人は、結婚式はやらないつもりらしい。
 ならばせめて、宴会の1つでもやりたいものだ。
コメント
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