とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

ファントム・ピークス/北林一光著

2012-01-24 21:38:15 | 読書
ファントム・ピークス
クリエーター情報なし
角川書店


名前からして、山が舞台の小説らしく気になっていた。所謂「魔の山」という意味なので、ホラーなのかサスペンスなのかという点でも興味を惹いていた。本屋に行くと、文庫本で山積みとなって帯には「宮部みゆき氏絶賛! 大重版」とあったので、尚更つられて読んでみようという気にもなった。まずは、図書館の検索でチェックしてみると、予約なしですぐに借りることが出来たので早速読んでみた。

小説の舞台は、長野県の穂高町、堀金村にある鳥川林道周辺だ。そこから、山奥に進むと北アルプスの常念岳、蝶ヶ岳の登山口である三股に行ける。この林道は、まさに常念岳の登山で何度か車で走った場所である。巻頭に鳥川林道の地図が載っており、馴染みのある地名に尚更興味が湧いた。

さて、どんなお話かというと(「BOOK」データベースより引用)

おまえはいったいなんなんだ?なぜここにいる?長野県安曇野。半年前に失踪した妻の頭蓋骨が見つかり、三井周平は絶望していた。しかし、なぜ、あれほど用心深かった妻が、山で遭難し、しかも現場と思われていた場所から、遙かに離れた場所で発見されたのか?…数日後、沢で写真を撮っていた女性が、一瞬目を離した隙に行方不明になる事件が発生。妻の事故との類似点に気づいた周平が捜索を手伝うことになる。しかし、それは、恐怖の連鎖のきっかけにすぎなかった!人間をあざ笑うように、次々と起こる惨劇。山に潜む、かつてない凶悪なモンスターとは―。


前半は、山に潜む凶悪なモンスターが何なんだろうと気になって、どんどん読み進んでしまう。その正体が、なかなか判らず、じらす手法に嵌ってしまったともいえる。まるでホラーのように人間の想像を超えたモンスターが出てくるのだろうかと、よくあるハリウッド映画のような展開にワクワクしていた。ただ、後半からは、その正体がほぼ判ってしまい若干拍子抜けしてしまう。それでも、その恐ろしさはリアリティに溢れている。ネタバレになるので正体を明かすことは出来ないが、まさに自然と人間との共生とは何かと考えさせられる内容だった。これを読んだ後は、やたらに山の中を歩き回るのが怖くなってしまう。山や自然を畏怖する気持ちを忘れてはならないと思い知らされたといってもいい。

あとがきにも書いてあったが、作者は映画が大好きだったらしく、この小説もまるで映画を見ているような、スピーディでじわじわと増してくる訳のわからない恐怖を抱きながら読みすすんだ。まさに映画『ジョーズ』を見ているような感じである。特に後半の残虐な内容は、まさに映画のシーンになりそうな描写である。作者の北林一光氏は、この作品を書き上げてからすぐにガンで亡くなったそうだ。所謂遺作になり、作品を見直す余裕がなかったのだろう。ホラーぽぃ内容からパニックバイオレンス的な内容に変わってしまったのが、ちょっと残念な気がした。しかし、最初から最後まで一気に読み終えることが出来、一時を楽しめる小説だった