梅さんのかわら版.umelog

笛吹川フルーツ公園の紅葉

字のないはがき

2021-08-04 10:58:54 | 日記・エッセイ・コラム

今月は、戦争にまつわるお話しを

幼児にはちょっと難しいかなと 思ったが
向田邦子の体験を書いた絵本をみつけた
文を 角田光代さんが書きおろし
絵は 西加奈子さんがかいている
これなら 小さなこでも りかいできるだろう

「字のないはがき」
戦争が激しくなり、
一番小さい妹が 疎開することになった
お父さんは 数えきれないほどのはがきをよういした
あて名は全部 自分の住所と名前を書いた

おとうさんは、妹を呼び いった
げんきな日は、はがきにまるをかいて、
いちまいづつポストに入れなさい
(いもうとはまだ字がかけなかった)


最初に届いたハガキは大きな〇
次の日から急に〇が小さくなっていく…


とうとう×になってしまい
やがて、こなくなってしまった
しばらくして、おかあさんが妹を迎えに行った
いもうとは、かぜをひいて、せまいふとんべやにねかされていた


ちいさないもうとがかえってくる日
わたしとおとうとは、にわになっているかぼちゃをぜんぶもぎとった
にじゅうなんこも、へやにづらりとならべた
 ≪ちいさないもうとに、なんとしてわらってほしかった≫


いもうとは よるおそくかえってきた
おとうさんは はだしでそとにかけだし
いもうとをだきしめて
おおん
おおん
とこえをあげて ないた
いつも こわいおこってばかりの おとうさんの
おおきなこえが しずかなよるに ひびいていた