たかたかのトレッキング

駆け足登山は卒業、これからは一日で登れる山を二日かけ自然と語らいながら自由気ままに登りたい。

(3)野反湖畔 最終章

2015年07月22日 | 登山

さて富士見峠へ戻るのに湖畔を歩きたいと思い食堂の人に尋ねますと

「このまま車道を登って行けば三つ目の駐車場が有りますので其処から湖畔に下る道が有りますよ」

と教えて下さいましたが

三つ目の駐車場と言えば昨年、みっちゃん・きみちゃん姉妹と八間山から下ってきた場所、かなり先です

どこか降りられる場所は無いかと取り敢えず車道を進みますと

立ち入り禁止の札が下がる車道らしき道が下っているのを見つけ

石がゴロゴロする悪路ですが徒歩ならば大丈夫だろうと半ば強引に踏み込みました

ところが20分ほど歩いた所で道は途絶え

その先は湖に落ち込み、とてもでは有りませんが降りられる状況では有りません

まさにレ・ミゼラブル

あの悪路を戻るのかと思いましたら途端に力が抜けてしまいましたがともかくここは落ち着けと自身に言い聞かせ

辺りに目を配りますと藪の中に獣道とも思える一筋の道が湖に向かっているのを発見

行詰まった先に光明を見出したそんな気分です


道は途中から笹に隠れ段差も頻繁に出て来ましたので細心の注意を払いながら笹を掻き分け下りますと

ひょっこり前方が開け湖が目の前に

砂の上には靴跡らしきものが残っていましたので今、降りてきた道は釣り人が利用している道なのでしょう






近くでは近寄っても飛び立とうとしない蝶たちの群れ

美味しそうに蜜を吸う姿に思わず私もゴクリと喉が鳴りました




レベルを目線まで下げても未だ美しい湖水の色

足元に押し寄せるあくまでも透明な水

通り過ぎるには惜しい景色を前に私達は其処にシートを敷き暫くこの天然の美に身を委ねます

言葉も交わさずにただ見つめているだけ

それだけで時間がドンドン過ぎていく至福の時でした


遊歩道ではない畔にはこんな落とし穴も有りました

1m以上有る手掛かりのない赤土の崖を「もう少し足が長かったら」と悔やみながら一旦水際に降り

そこから又、這い上がって落ちたら池ポチャの細いスペースを木の枝にしがみ付きながら進むスリル

まぁ、ここを選んだ私達が悪いのですから文句は言うまいですね




取り敢えず難関をクリアしホッとして気が付けば傍らに私の顔よりも大きなシシウド

そして如何にも優しげなキバナノヤマオダマキが静かに涼風に揺れていました


そろそろ遊歩道に出ないと花たちに会えません

時折り太公望が目印に付けたと思える青い紐が木に縛って有りましたが道らしきは見当たらず

意を決して笹原に飛び込みます

遠目には草原の様に見える笹原も入ってみれば腰まで没する深さです

「道に出たぞ」

その声に纏わりつく笹を払いながら遮二無二藪漕いだ20~25mでした




丁度、設置して有ったベンチにヘナヘナと座り込み何と言う冒険をしているのかと半ば呆れる私

「何時もの事じゃないですか」とアサギマダラの好物ヒヨドリソウコバイケイソウが笑っていた様な・・・








3ッ先のベンチで水補給の為の小休止

陽も大分傾き太陽が雲間から顔を出すと湖面の一部がスポットライトを浴びたかの様に輝き

その光の一つ一つが踊り始めました

波と光が織りなす自然の芸術

何時の間にか大休止になってしまいました

草原ではイブキトラノオハナチダケサシも合わせるかの様に踊っています

ん?私のお腹の虫もここに来て漸く踊り始めました

持参のオニギリを頬張りながら、もう少しこの芸術に浸る事に致しましょう






少しずつキスゲの数が増しました

笹の緑の波の中に逆光に輝くキスゲの黄色が鮮やかに映えます

イブキトラノオも誇らしげですね

花とは対照的に後ろに控える白樺の林は高揚する気持ちを穏やかに沈めてくれる立役者と言ったところでしょうか

ここの景色が素晴らしいのは、お互いが上手く融合しているからなのかな?と納得しながら先を急ぎます






進むに連れキスゲの数も増々多くなってきました

物悲しい夕暮れ時、キスゲの色だけが浮かび上がるウッドチップの小路です


時計を見れば17時

最後の急坂の途中で振り返れば陽は既に傾き湖水のあの碧さも徐々に失われつつ有ります

思えば10時に入山し7時間強、良く遊んだものです




富士見峠に帰り着けばお花畑の中にウスユキソウ

隠れる様に優しく咲いていたのが印象的でした

車に乗り込めば台風11号の接近に西から既に雲が押し寄せて来ています

今回の台風は大型との事、被害が出なければ良いのですが・・・


源泉掛け流しの応徳温泉(400円)で一浴し次に向かうは榛名湖

10年前の道路にまで飛び交うホタルを期待しましたが急激に数が減ったのか

湖面近くの木々の間を時々光を放ちながら飛ぶ一寸ばかり寂しい蛍狩りでした

これでは腕を振るおうと集まったカメラマンもベストな写真が写せたかどうか

仕方がないので数年前にプロフィールに浸かったパソコン画を此処に載せる事に致しました

(3回に渡って書き続けてきた野反湖のウオーク、長々とお付き合い有難うございました)

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