たかたかのトレッキング

駆け足登山は卒業、これからは一日で登れる山を二日かけ自然と語らいながら自由気ままに登りたい。

思い出に残る山(16)平標山(1984m)~仙ノ倉山(2026m)

2017年10月25日 | 心に残る思い出の山
平成5年10月

元橋駐車場(7:30)登山口(8:20)平標小屋(9:25~40)巻道分岐(10:10)平標・仙ノ倉鞍部(10:30~10:40)

仙ノ倉(11:15~12:20)平標山(13:15~14:05)松手山(15:00~1515)元橋駐車場(16:35)


人気の高い平標山が今回の思い出に残る山です

この登山以降、季節を変えて数度 登りましたが

何時、登っても大らかな山体は心まで大きくしてくれます
三国海道沿いの元橋駐車場から松手山を経て直接登れますが

周回コースを選択する為には50分の林道歩きもやむを得ません


(略)

見上げると太陽が燦々と輝き雲一つない快晴、風も殆どない

林道を歩きながら松手山に目を向けるとちいさく登山者の姿が見えた

かなりの急登に喘いでいるのが見て取れる

少々解り辛い登山口から笹の中に切り開かれた道を登ると笹の中でガサガサと・・・

音が動き出した、雄さんが「コラ!」と二度言った

笹の中を透かして見ると若い男性が蹲っていた、何だそうだったのか!

笹道のジグザグは殆ど目隠し状態であり僅かに樹林の間から苗場方面が見えるだけ

右側の展望は大源太山からの支尾根で閉ざされている

雄さんが「紅葉(いろ)めきて 平標に 名残蝉」と即興の句を作った






(これから挑む谷川連峰の最高峰「仙ノ倉山」と「平標山」)

涸沢を渡って尚もジグザグを繰り返しそれが一直線に変わると急登となって

ヒョッコリ平標小屋が建つ県境稜線に飛び出した

2時間休まずに歩き続けた後のこの清々しさ

これが有るからどんなに苦しくてもまた山が恋しくなってしまうんだよな






登山道は一段低くえぐられた木道でとても歩きづらくきつかったが

両サイドの真っ赤なドウダンツツジや草紅葉、果てしない青空を

眺めながら今日、平標山を選んで良かった!としみじみ思った

振り返ると平標小屋は南下方に小さく赤い屋根を光らせている






平標と仙ノ倉の鞍部は一部 岩稜帯となっており所々ケルンが摘んで有る中

どこから集まって来たのかと思うほど大勢の登山者が休息していた

ニッコウキスゲが咲き乱れる場所はこの辺りかと思いながら仙ノ倉を見やれば

山頂を目指す登山者が一列になって登っている様子がハッキリ見える

15分の休憩を取り先ず最初のピークに向って登り出し次のピークを越せば

いよいよ仙ノ倉だ。 この間、濡れた石が滑りかなり緊張させられた






展望の凄さは谷川岳のど真ん中、言うまでもない


登頂祝いの乾杯で気持ち良くなった私は、ついウツラウツラと





仙ノ倉を後に再び平標に向かうが山の天気は特に谷川岳の天気は変わりやすく

北斜面からはガスが湧き始め今、登って来た仙ノ倉も見え隠れし始めた

私達は比較的、風の少ない場所にシートを敷きしばしの憩いを貪った

そうこうしている内、仙ノ倉はもう殆どガスに消されてしまった

しかし此処まではガスも及ばず緑のカーペットを敷き詰めた様な楽園は

時に陽を受けた銀色の笹が輝きを増し時折り吹く風を受けて波の様にうねる



山頂からはコースが4つに分かれるが私達がとったのは西に延び尾根道だ


景色を眺めながらの稜線漫歩は楽しい

そうした中、滑りやすいガレ場に差し掛かった時の事だ

精神上不自由な女の子が大声で泣きだしたのだ

その子供は怖がって降りようとしない

母親は泣きだした子供に手も貸さず優しく時に厳しく励ましながら誘導する

うっかり私が手を出したら「余計な事はしないで下さい」と言われた事だろう

自分の力で何とか下まで頑張らせたいと言う母親の愛に感動した一場面だった

その背後から女の子のお兄ちゃんで有ろう中学生くらいの男の子が

そっと手を添えて「頑張れ頑張れ」と励ましながらも

私達に向けて挨拶した爽やかな笑顔も忘れられない

きっと心根の優しいシッカリした大人になる事だろうな

私達は何とも清々しい想いでこのガレ場を通過した


幾つかのアップダウンを繰り返し松手山山頂で休憩

平標から大源太山に掛けての稜線の緩やかな起伏に目をやると

真っ赤なドウダンが西日を浴びていっそう赤く燃えその色彩は

笹の緑と相まって錦秋の世界を描き出していた

松手山からは転がる様に下って長い長い急下降に辟易した頃

下山口に着くと山行のフィナーレに相応しく

道の向こうに見事なコスモス畑が広がっていた

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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
清々しさ♪ (越後美人)
2017-10-25 22:24:28
これがあるから、どんなに苦しくても、また山が恋しくなるんだよな・・・
この言葉、なぜかとても羨ましい言葉です。

今日まで私が登った山で、登山と呼べるのは唯一「至仏山」だけですが、
へとへとになって、ようやく山頂にたどり着いた時の清々しさは今でも忘れられません。
達成感が半端でないことも知りました。
そのまま山ガールになっていれば、どれだけ多くの
清々しさと達成感を得られたか知れません。
登りきらないと得られないご褒美。
これは人生の宝物ですもんね

山頂の乾杯はさぞ美味しかったことでしょう。
そして、ごろんとうたた寝は最高でしたね。

写真に添えた記録が素晴らしいですね。
思い出がよみがえってきますね
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思い出に残る山 (イケリン)
2017-10-26 06:50:19
辛くてきついジグザグ歩きや急登を乗り越えて、平標小屋が建つ県境稜線に飛び出した瞬間の
感動が伝わってきます。今までの苦労が吹き飛ぶ瞬間ですね。
山頂へと続く尾根道が、この山の素晴らしさを伝えています。
ドウダンツツジや草紅葉の鮮やかさ、これも好天気だったからこその風景ですね。
ご主人が即興で詠まれた句。「紅葉(いろ)めきて 平標に 名残蝉」も素晴らしいですね。
俳句の心得もおありなんですね・・・。感心しました。
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思い出の山 (たまボブ)
2017-10-26 10:36:20
私の登山歴は長くても、登った山は多くありません。
すの数少ない山も全て鮮明に記憶の片隅に残っています。

取り付きまでの林道歩き、釣りの時も味わいますが、
辛さの中にも期待感がちらほら、一つの楽しみと思うようにしています。

汗をかき、息を弾ませ、苦労して稜線に出た時のあの
爽快感、達成感は何にも代えがたいものがありますよね。
夜叉神峠を登り切り、飛び出した稜線で見たあの南アルプスの絶景、忘れられません。
登頂祝いの一杯、さぞかし美味しく胸にしみたことでしょう、うたた寝最高でした!
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平標山 (takezii)
2017-10-26 17:25:25
ずいぶん前から 計画しては中止、結局 訪れずじまいの山なんです。
たか様は 24年も前に 登っておられたんですね。
未だに 平標山だけだったら なんとか・・、
なんて思っているんですが。
昨年 苗場の帰りに 登山口を確認してきたりして・・・。
紅葉めきて 平標に 名残蝉・・、
夏もいいけど 秋もいいですね。ますます 訪れたくなってしまいます。
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越後美人さん、こんばんわ (たか)
2017-10-26 20:21:44
登山は本当に苦しくなると足元だけを見つめただ黙々と足を前に出すだけですが山頂に到着した途端、今までの苦しみが一気に吹き飛んでしまうものですね。
越後美人さんの山と呼べる対象が至仏山と聞き驚きました。何故かと言いますと
滑りやすい蛇紋岩に神経を使いながら、ようやく頂上かと思ったピークは実は前衛峰で山頂はその先、そんな難関の山を頑張ったのですから。
一生の宝になりましたね。多分、お花の楽園だったのではなかったでしょうか。
いずれ至仏山も思い出に残る山で登場いたしますので、その時はルートをなぞって昔を懐かしんでくださいね。
・あの頃はよく日本酒やワイン、ビールをリュックに偲ばせて山頂で乾杯したものでした。若気の至り?かな。
今?小屋どまりで無い限り持って行きません・・です、ハイ。
・写真に添えた記録、良かったでしょうか?思い出せない事の方が多いのでアルバムに描き記した登山記をそのまま載せました。有難うね。
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イケリンさん、こんばんわ (たか)
2017-10-26 20:34:29
>県境尾根に飛び出した時の感動が伝わって来ます
   本当ですか?そう言って頂けると、とても嬉しいです。
平標山は稜線に出てしまえば背の低い笹が周囲の山々の斜面を覆っているだけですので途端に見晴らしが良くなります。
そんな笹の中に紅葉した低木が象嵌の様に埋まっている様は谷川岳独特の景観で有り一風、変わった素晴らしさが有ります。
紅葉はやはり天候が左右しますよね。特に陽を透かして見る葉は溜息ものです。
ただ写真に写しても残念ながらプラス感動が出てくれません。そうと知りながらも、やはりカメラを向けてしまうのですが。
主人の句、偶に歩きながら浮かぶようです。季語が二つ入ろうと、そこは素人、構いませんよね。
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たまボブさん、こんばんわ (たか)
2017-10-26 21:13:48
登った山は何時もカウントしていたのですが何時の頃からか面倒臭くなり数えるのをやめてしまいました。
今では一番、新しい山が行くつ目なのか全く解りません。同じ山を繰り返し登ってもいますしね。
私はこうしてアルバムに写真と登山記を残していますから、どんな出来事も覚えていますが
主人は山がゴチャゴチャになってしまい聞いている私は???なんて事が良く有ります。
今はブログが記録してくれますから問題ありませんがパソコンもデジカメも無い時代、たとえ手作業でも記録して置いた事は本当に良かったと思っております。
夜叉人峠は入口を車で通りましたが行きも帰りも夜でした。ですので此処からアルプスを目指した事は有りませんでした。
峠へ飛び出した瞬間、目の前に広がる南ア、言葉では言い尽くせない感動だったのですね。
どんなに辛い山行をした後でもまた登りたくなってしまう気持ち、それを分かち合えることが嬉しいです。

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takeziiさん、こんばんわ (たか)
2017-10-26 21:43:49
必ず登ると計画しても突発的な事や天候、体調不良などで先送りになってしまって結局、そのままという山は結構ありますよね。
平標は松手山コースでは無く林道歩きは有りますが、そちらからならば楽に登れます。私が登るときは何時もそちらからの入山でした。
ただ、このブログの時には普通の登山道でしたが今は階段登りになってしまった様です。

私の大好きな山です。来年、登りに来て下さい。
実は今年、孫と登りに行く予定だったのですが19号の直撃に取りやめになってしまいました。
あの山は蛭がいるので残雪の頃か秋がお奨めです。
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Unknown (木もれ日)
2017-10-26 22:18:01
思い出しました。
*24才 6月 谷川岳〜三国峠一泊ビバークしての縦走
*?才 10月平標往復
*43才 夫婦で なんと全く同じ平成5年の6月 しかも全く同じ往復コースで
*64才 三国山往復
同じような所を何回も歩いていました。それだけ魅力のある山ってことですね。最後は例外ですが😋
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木もれ日さん、こんばんわ (たか)
2017-10-27 00:18:10
平標、3回も登られたのですね。
やはり私と同じく平票の魅力に取りつかれた様ですね。
今は道標もきちんと取り付けられ問題も無くなりましたが昭和25年、肩の小屋から平標を目指した東芝と別の登山クラブのパーティー2組が
誤った道標に別ルートを下ってしまい内5名が凍死すると言う痛ましい出来事が有りました。
後に東芝が道標を付け変えたとの事ですが、その話はこの登山の時に知りショックを受けました。
先日、行きました三条の滝でも一ヶ所、雪の重みか道標が落ちていた為に迷っている登山者がおりましたが
雪深い山はこう言う事が有るので怖いですよね。

三国山は私も登りましたよ。
ニッコウキスゲがパラパラと咲き始めた6月でしたが雨期でも有りガスった中の登りでしたが
山頂で運よく晴れたラッキーな三国山でした。



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