続き
岩松の悪戯か、谷から突き出る岩に写楽の役者絵が・・・
後方には男体山が悠然と屹立している
物好きな私は岩の横までヨイコラショ
鷹取山山頂
いつしか谷から風が吹き上げて周辺の木々を揺らしている。だがお弁当を広げたこの一角だけはどうした訳か風も当たらず存分に日溜りが楽しめた。秋景色を心行くまで楽しみ遠くになった男体山を眺めていると至福の時は足早に過ぎ、とうとう下山の時が来てしまった。
一旦、フゼエ越えに戻り灌木だけが頼りの急坂の滑りやすい道を進む。足を滑らせたら、そのまま谷に落ちてしまうだろう。リラックス・リラックスと我が身に言い聞かせるが何時の間にか及び腰。慎重になり過ぎている。
振り返ると今、休んでいた高取山は高くのしかかる様にいきり立っていた
漆の木
この様に傷をつけ染み出た生漆を採取する。生漆は傷を保護しようとして染み出るリンパ液の様なもの。
フゼエ越えから40分、上手い具合に駐車場の直ぐ上に降り立つと私達の足音に犬が騒ぐが姿は見えない。割烹着姿の老女が野菜を入れた篭を背負い帰って来た。今日行き会った土地の人達は皆、歳を重ねた人達ばかりであるが澄まし顔で通り過ぎる人は誰も居ない。
幾重にも重なる山ひだを背にポツンポツンと佇む古分屋敷の風情。軒下に吊るされた玉葱や柿。ポカポカ陽気の山村には素朴な中に心の豊かさが感じられる。
山頂から湯沢温泉に電話した時「お客様のお掛けになった電話番号は現在使われておりません」だったのでどうしようか戸惑いながら玄関戸を開けると40代後半の男性が現れた。半身付随だった。
「二人、宿泊出来ますか?」 客である私の方が気を遣うほど愛想も素っ気もない。大変な所に来てしまったなと内心、後悔しながら車を停めに行った雄さんに話すと「やめるか」と言った。が、じっとこちらを見ている目が気になって逃げだす度胸は私には無い。
昔は湯治客でかなり賑わいを見せたと言うこの旅館、今はその面影もないほど寂れ床の間には蜘蛛の巣が張り壁には染みがアチコチに浮き出ている。こうなれば楽しみは自慢の岩風呂だ。洒落て作ったであろう太鼓橋を渡るとその先に湯やが在り男湯と女湯に分かれている。しかし、ここではそんな区別は無い様で男湯から年配の女性の声が聞こえていた。仕方なく雄さんは女風呂に入る事に。
渋いガラス戸を開けると脱衣場は今時珍しい裸電球、脱衣を置くのもはばかれる様な棚、素足になりたくないジメっとした床。岩風呂と称する浴室は薄い岩が壁に貼り付けて有るだけのお粗末な物だ。 それでも、さっぱりした私達は夕食までの時間、袋田の滝を見物に行く事にした。
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土産を買えば無料と言う駐車場ばかりの中、広い空き地が有ったので車を停めると、お爺さんが手を上げて駆け寄り「500円頂きます」。雄さんは「500円の土産を買って只の方がマシだ」と吐き捨てる様に行って車に戻った。爺さん、あっけに取られている。そして次の客が入るとまた手を上げて反対方向に走って行った。私達は呼び込み合戦をしている店の駐車場に車を停める事にした。
入場料300円(以前来た時は無料)を払い長いトンネル(これも無かった)を通って奥へ奥へと行くと突然、視界イッパイに滝が現れたのだが滝全体を写すには近すぎるし離れればトンネルの天井が邪魔をしどうも上手く行かない。袋田の滝は自然の産物である。そうした自然をこうした形で利用する事に腹立たしかったが滝は自信を食い物にしている事など全く関係ない様に上部は豪快に、下部は幾筋もの細い流れを引いて実に優美だった。
袋田の滝は幅73m、高さ120m、4段に分かれて落下するため四度の滝とも呼ばれる日本の三大名瀑の一つ。
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湯沢温泉・・・お酒x2で16100円
全ての面で満足いく旅館では無かったが宿を出るとき「こんなお婆ちゃんで何のお持て成しも出来なくてごめんなさい」と申し訳なさそうに頭を下げた。聞けば「嫁は40代でクモ膜下出血で亡くなり息子は半身不随、現在、孫が板前の修業に出ているので帰って来ればまたお客様に満足戴ける旅館として立ち上げる事が出来るのですけどねetc…」
私はその様な事情に返す言葉が無く「頑張って下さい」と言葉を掛け宿を後にしたのだった。
表面と裏面
帰りがけ益子に寄り花瓶を購入、ある日、近くの骨董屋さんに行った時、全く同じこの花瓶が非売品になっていたのには雄さんも私も思わず顔を見合わせてしまった。目の玉が飛び出る程高いものでは無かった気がするが。
後日、益子の神谷氏より届いた葉書 ↑↑
今回も素晴らしい山を堪能できた内容でしたね。
迷わず健脚コースを選ばれたのも、お二人が様々な山を踏破されきた自信の表れなのでしょう。
写真からも荒々しい岩肌と、それを取り巻く紅葉の素晴らしさをうかがい知ることができますが、
そこに立ったものにしか味わえないものも数多くありそうです。
また、帰りに立ち寄られた袋田の滝の美しさも格別なものがあります。
益子焼の花瓶も予想外の大変な掘り出し物のおまけ付きでしたね。
山登り...という旅行記を拝見させて頂いてる、その様な気持ちに成りました。
お二人のお写真でご夫婦仲の良さをも堪能させて頂きました。
私など、行き先と言えば偶のスーパーか病院のみですので、ここで思いっきり深呼吸し清々しい空気を堪能させて頂いてますm(__)m(*^^)v
漆の着は近寄っただけでかぶれる人もいると聞きます。
私は歯だが弱いからだめかな!
袋田の滝はバスツアーで行ったので懐かしいです。
冬にいjきましたが全部凍っていませんでした
湯沢温泉なかなか商魂たくましい温泉街のようですね
あっちで300円こっちで500円と取られるとけっこうな金額になってきますよね
袋田の滝 幅73m、高さ120m、見事です
豪快かつ繊細 ほんとに綺麗な滝
さすが三大名瀑の一つ これは見る価値ありますね
マイナーな山ですが面白い岩が在ると知れば目が輝いてしまいます。
殆どが男体山のピストンですが、その先まで足を伸ばすのは物好き人間くらいなものでしょうか。
思っていた以上に素晴らしかった紅葉、何処か懐かしい山里風景、何もかもが素晴らしいこの日の山歩きでした。
袋田の滝は2度目でしたが、何度みても凄いの一語に尽きます。
観瀑台からは正面だけしか見られませんが川に下りれば表情が変わり新たな興奮を呼んでくれました。
益子焼の花瓶は共販センターを設立した陶芸家、神谷氏の作品ですがお亡くなりになられた事から非売品になったのかもしれません。
一緒に山を楽しんで下さって有難うございます。
山は虫の天国、himesijimiさんが一緒に歩いたら前に進まないでしょうね。
そんなギラギラと輝くhimesijimiさんの目を観てみたいものです。
私も最近は年2回・2週間くらい、楽しみにしていた旅行の計画を立てる事も無くなりましたので
出かけるとしたらhimesijimiさんと同じくスーパーか月一の病院のみです。コロナは人間の行動をも妨げますね。
えっ、テント?の入り口は開けているんですか?
素敵な夜でしたね!
ん?車で寝てました?
>・・・登山道は最奥の民家の脇から始まる
いいですね~。
健脚コースですか?
私は一般コースを登ります(笑)
>ぐるりと立ち上がる岩稜
ひぇ~っ!アタックですね、お若い!
>一般には公表されていないので、・・・登山地図の中からとうとう見つけ出す事が出来た。
いやはや、トレッキングじゃーないでしょう。
どうみても山岳部に感じられます。
うわーっ、素晴らしい紅葉だ!
ご主人が左手で握っているのはロープ、それともチェーン?
>無風快晴とあって額から汗がポタリポタリ
わかるわかる
たかさん道標に掴まっているけど、まだ元気そう!
>健脚者でも下りに使わない方が良いと案内書に有った
うわ~、どういうことだろう?
>どうやら地元ではフゼエ越え
はっはっは、タカタカマップには「フジイ越」だ。
>チョット頭を柔らかくすれば、・・・
発音の問題でしょう~(笑)
>東屋からほんの一登りで到着
あれ~っフゼエ越はずっと先だ~。
>大円地越えに着くと
ん?特製地図には大円地越えの記入はないのですか?
スタート地点に大円地180ってありますが・・・
>ここから岩稜を目指す者は誰も居ない
はっはっは、私と一緒で皆トレッカーだ!
仲間が出来て良かった良かった!
>私達だけの貸し切りになりそうだ。
いぇ~い!
ところでタカさんが立っている至大円地古分屋敷って地図上ではどこになるんですか?
>灌木が有るので怖さは無い。・・・覗き込めば深い谷は底を見せず体全体がゾクゾク・・・
なるほどなるほど
>山中はガサゴソと落ち葉を踏む足音だけだ。
最高ですね!
フゼエ越え(笑)って書いてある
ふ~っ、赤い線をぐるっと回り込んだら私はもうグロッキーです。
>鷹取の山頂に立ったのは昼食休憩に丁度よい11時45分
ん?フジイ越の手前の460.4がその鷹取の山頂なんでしょうか?
出掛けますので 帰宅後に 続く(汗)
縦撮りのパノラマ写真が素晴らしいです。
写楽 写楽 写楽?
分かりません(笑)
ヨイコラショ(笑)
たかさんお若い、今でもちっとも変わりませんが・・・!
えっ鷹取岩が山頂ですか?
>この一角だけはどうした訳か風も当たらず存分に日溜りが楽しめた
へーっ、ラッキーでしたね。
>秋景色を心行くまで楽しみ遠くになった男体山を眺めていると至福の時
素晴らしいです。
>振り返ると今、休んでいた高取山は高くのしかかる様にいきり立っていた
絶景かな!これも2枚継ぎですね。
>私達の足音に犬が騒ぐが姿は見えない。
はっはっは、喜んでか、威嚇か?
>澄まし顔で通り過ぎる人は誰も居ない。
声かけがあるわけですね!
>山村には素朴な中に心の豊かさが感じられる。
素晴らしい言い回しです。
>番号は現在使われておりません
>男性が現れた。半身付随だった。
>愛想も素っ気もない。
>目が気になって逃げだす度胸は私には無い。
ドラマチックですね~!!!
>さっぱりした私達は夕食までの時間、袋田の滝を見物に行く事にした
お爺さんが手を上げて駆け寄り「500円頂きます」
わっはっは、面白おかしく書いていません~?
うわっ500万年前の地質学を学んだわけですね。
>上部は豪快に、下部は幾筋もの細い流れを引いて実に優美だった。
疲れが吹っ飛んだでしょう!
>四度の滝とも呼ばれる日本の三大名瀑の一つ。
絵のようですね。
いやいや、極楽ですね!
>「こんなお婆ちゃんで何のお持て成しも出来なくてごめんなさい」と申し訳なさそうに頭を下げた。
小説そのものみたいです。
>全く同じこの花瓶が非売品になっていたのには雄さんも私も思わず顔を見合わせてしまった。
礼状といい、いい旅をされましたね。
ブログ上での登山付き、温泉付き、滝付き旅をさせていただき有難うございました。
山登りなんて所詮、遊びの一つでしかありません。
好きで登っているだけの事ですから「尊敬」などと言う言葉を使われると私どうしましょう。
漆はそばを通っただけで被れてしまいと言う事を良く耳にしますよね。
私は鈍感なのかなぁ、漆の混じる場所を破漕ぎしても被れた事が一度も無いのですよ。
袋田の滝、良い時期に行かれましたね! 冬の袋田の滝は観た事が有りませんが全面結氷していなくても迫力が有った事でしょう。
湯沢温泉はたった一軒しかない山の中の静かすぎる鄙びた温泉でした。商魂たくましいのは袋田の滝の客寄せの方です。
群馬の霧降の滝でも客寄せ合戦が余りにも激しく、それが問題となり注意勧告を受けた程です。あれから袋田の滝も変わったのでは無いでしょうか。
昔を知る者は自然の中に落ちる滝こそ袋田の滝と思っていますので
土産屋がずらりと並びそれが景観を壊してしまった上にトンネルと観瀑台まで作ってしまったのですものね。
今はどうか分かりませんが冬には結氷した滝を登るアイスクライマーの姿が観られるのですよ。そんな時に行ってみたいものです。