まりはな屋

地方都市で、清貧生活  

ひとこと

2021年07月24日 23時26分44秒 | 日々雑感

「俺の妹がそうなんだよ」

口が悪くて親分肌で、いつもみんなの中心でふざけているような人がぼそっと言った。

その日は職場のみんなで飲みに行ったのだ。

雰囲気の良い職場で、ちょくちょく大勢で飲み会をしていたのだが

そのとき、誰かが障害のあるらしい人のことを話題にした。

ひどいことを言ったわけではない。

ただ少しだけからかいの口調が含まれていて、笑っている人もいたので(嫌だな)と思った。

思ったが、その場の雰囲気を壊したくなかったので黙っていた。

すると「そういうこと言うなよ」と彼が注意した。

一瞬だけ気まずい空気が流れたけれど、何事もなかったように飲み会は楽しく続いた。

二次会の席でその人の隣に座り「さっき、嫌だと思ったけど注意できなかったんですよ」と言ったわたしに

「俺の妹がそうなんだよ」と、ぼそっと。

その後の会話は覚えていないのに、このときの彼の表情と口調は覚えている。

もう20年以上前のことなのに。