新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

小池都知事は形勢不利か

2016-12-02 08:10:59 | コラム
このままでは小池都知事のゼロ勝三敗か?

といったような新聞記事があった。それは取りも直さず小池都知事のオリンピック予算削減策の柱だろう3種目の会場問題の成否を指して言っていることだ。確かに、横浜アリーナとやらの件でも、横浜市からはいくつかの疑問が呈されていると報道され始めた。私はこの件を小池都知事の勝ったか負けたのかという視点で捉えるのも結構だろうが、目下の成り行きでは当初言われていたような予算額が削減されていく方向に持って行かれただけでも「成功」の部類に入れても良いのかと思って眺めている。

全く詳細を知り得る立場にはいない一都民としてみていた限りでは、東京オリンピックの進め方と予算については訳が解らないうちにここまで来ていてしまったのかと、小池都知事の登場で初めて知り得たし、マスコミも「これまで何にも知らなかった」ような顔をして報道し始めた。関心がなかったことは反省するが、組織委員会などというものが出来ており、そこに元総理大臣や大蔵事務次官などと言う偉い方が拘わっていたとは不勉強で全く知らなかった。しかも、その組織は都庁からの出向者が多いというのも「何となく変だな」とも感じた。

そのオリンピックを引き受けたいと名乗り出たのが東京都である以上、人員を割くのは当たり前だろうが、その上に元総理大臣様や事務次官が君臨する訳は良く解らなかった。しかもその団体が何兆円にも達するような東京都のお金をかけることを企画しているのだったというのも驚きだった。そこに小池さんが切り込んで行かれたのは尤も至極だとも思わずにはいられなかった。しかしながら、奇妙な英語を操るIOCのお偉方まで登場するや、形勢は一気に都知事に不利な方向に傾いてしまったようだ。

私はこのままでは「小池都知事は決まりかけていたような計画案をかき回してしまっただけに終わる」という印象だけを残してしまうような気がしてならない。折角、膨大な金額(何を基準にして、何を対象にして比較して論じられているのかが良く解らないのが残念だが)になりそうな総経費を削減する方向に進められたという功績(なのだろう)は何処かに消し飛んでいまいかねないのではないのだろうか。それでは少しお気の毒ではないのかな。

私はかの飯島勲氏が1ヶ月ほど前だっただろうか「小池さんはソロソロオリンピックと豊洲問題にけりを付けないと」といった忠告をされたことが気になっていた。本来の都政に専念されたらと言っているのかと解釈した。私もその点には同感で、これらの案件は広義では「都民ファースト」の範疇には入るだろうが、それらの為だけで都政に乗り出した訳ではないのではと思っている。

もしも、ここから先もこれらの案件に立ち向かって行かれるのだったならば、私には小池さんのやり方が古い言い方だが「玉砕戦法」に見えて仕方がない。どれを採ってみても代替案というか、私が常日頃唱えている”contingency plan”が入念に準備されていたとは思えないのだ。多くの場合、元総理の言葉遣いは鄭重でも居丈高な反撃に遭って、初めてそれに対応する動きをしているだけではないのかと疑っている。上山慶大教授以下の参謀たちに依存し過ぎではとも見えるのだが。

最後に上記の問題とも関係があるとは思うが、何としても違和感があることを述べておこう。それは、何かと言うと世間知らずではないかと疑いたくなる競技団体の主張というか言い分に重きを置き、援護射撃にそれらの団体の選手上がりの連中に小池知事の方針に反対することを言わせる「アスリート・ファースト」なる言い方は気に入らないのだ。私は観客となるかも知れない者の一員として言えば「何故、観客様ファーストとならないのか。配慮しないのか」なのだ。大金を投じて見にくい施設を作ってどうするのかと、元総理と元JOCとかの春日某にも伺いたい。