新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

12月15日 その2 日米間相互の文化と思考体系の違い論

2016-12-15 16:51:11 | コラム
“regret”と言ったじゃないか:

これは沖縄で海岸に不時着したオスプレーの件で記者会見した米軍の第4司令官だったかが「民家を離れた地域落ちたことは日本側に感謝されても良いと思う」ともの凄いことを言った後で、ものを知らない記者が「謝罪がないではないか」と迫った時のことだった。これは「普通の日本人がアメリカには謝罪の文化は存在しないことを知らないのは当たり前である」との文化の違いを如実に示していた、悲しくも笑いたくもなるような無知な質問だった。

司令官は(英語の部分は聞こえなかったが)「“regret”と言ったのが謝罪だ」と憤然として言っていたように見えた。これは傲慢でも何でもないことである。彼らの文化(言語・風俗・習慣を言う)と思考体系の中には謝るということはないのである。こういうことを知らないと、恐らく学校英語で教えられて“I am so sorry for what has happened.”辺りを期待していたのだろうと思う。そう言うことはないのだ。

この言い方は「私が悪う御座いました。如何なる経済的損失でも傷害を治療する費用でも当方が無制限に負担致します」というにも等しい表現であって、彼らが如何なる条件下でも、喩え自分の方に非かあったと認識していても、この言い方はしないものだ。もし“regret”と言ったならば、それは最大限の謝罪なのである。「その程度のことを知らずにアメリカ人との記者会見に臨んだ方が悪い」と言われかねないのだと知るべしだ。

念のため申し上げておくと、私はオスプレーの操縦ミスか給油中の失敗等の良し悪しを論じる考えは毛頭ない。ただ単に「日米間相互の文化と思考体系の違い論」を展開しただけだ。言うなれば、「何処のメデイアか知らないが、もう少し勉強してから質問する方が良くはなかったか」なのだ。謝れば許して貰えるか水に流す文化は我が国独特の美風であると知れ。

FIFAクラブ杯準決勝戦

2016-12-15 08:16:31 | コラム
勝ってしまった鹿島は偉い:

昨夜のナシオナル・メデジン(NM)という南米の強クラブとの対戦は、何分にもコロンビアの強豪だけにどのような展開になるのかに大いに興味も関心もあった。いや、鹿島がどれくらい強いのかに最も興味があったと言うべきだろう。これまでに勝ってきた相手がそれほどのものとは思えなかった為に、言わば真価が問えるというか、発揮されるのかという意味。

毎回言ってきた「閃き」では全く勝敗の見通しが立たず「そういうことがあれば素晴らしいが、もしかして鹿島が勝ってしまうことがあれば良いが」という程度だった。即ち、NMはこの試合から登場するので見る機会がなかった為に、私勘には試合の帰趨を占えるだけの判断材料がなかったのだった。

結果的には今回FIFAが初めて導入したビデオ判定(ラグビー界ではTMO→”TV Match Official”とやら言うようだ)が大きく勝敗を左右したと思っている。私には瞬間、何故主審が試合を止めたのか解らなかった。フットボールでは対戦しているテイームの監督が「チャレンジ」するものだが、サッカーでは主審がビデオ判定を求めるもののようだと知った。しかも、通常はボールに絡んでいる選手に対する判定でPKになるものだが、ボールと離れた位置にあったものが倒されたことに対する判定だったのも意外だった。

私はあのPKによる先取点の後で「ひょっとすると、これが勝敗を左右する大きな得点になってしまうのでは」と思って見ていた。NMは確かに上手かったが、あの予期せざる失点で焦ったのではなかったか。南米人独特の球慣れと言うべきか、軟らかい球扱いでコントロールが良いと言うべきか、足下に確実にストップかトラップするし、パス回しで蹴る球も速くて正確で誰かが必ず寄っていくし、簡単に奪われることはなかった。言うなれば華麗だった。

だが、あれほど見事に繋ぎながら、肝心要のシュートは絶妙にバーやポストを狙ってしまうか、遙か天空に向かってしまい、遂に24本だったかのシュートを蹴りながら、鹿島のデイフェンス陣の相手の出方を良く読んだ堅実且つ捨て身の守備に遭い、ここぞという時に見事なセービングをした曽ヶ端に阻まれて1点も取れずに終わってしまった。負ける時はあんなものだという典型的な例だっただろうが、ここは鹿島の守備を褒めるべきだった。

鹿島のオフェンスも褒めておきたい。言うなれば少ないチャンスを巧みに活かしたと言うべきだろう。この大会での鹿島の優れた点は所謂「セットプレー」からの得点ではなく、見事と言いたいほど「流れの中」で取っていたことだ。昨夜の3点の中でも2点目は綺麗なセンタリングを競り合った遠藤がヒールキックのおまけまで付けて見事に決めたものだし、NMが最早戦意喪失と見えた後の金崎のクロスパスに入ったばかりの鈴木が合わせた今年の国際試合での最高の部類に入れたい3点目だった。

私にしては珍しく褒めてばかりいたが、鹿島を幾ら褒めても褒めたりないと思っている。NMとは違って「勝つ時はこういうものだ」なのだ。鹿島には問題がなくはない。金崎が故障を抱えているので90分間を通して使えないこともその一つだろう。それ以外では、未だ足が長い外国人とのサッカーに馴れていないようで、屡々パスが短くて遅く且つ低すぎる為にアッサリとインターセプションに遭ってしまうことだ。アナウンサー君たちは「カット」と言いたいようだが、あれでは事態を正確に伝えていない。パスの失敗であろう。

NMは以外にも当たられ弱く、何人もが倒れて苦しんで見せた。南米でも矢張り我が国のように体を鍛えておくことを怠っていたのかと思って見ていた。それが我が方にとって幸せだったと思う一方で、決勝戦で当たるだろう「レアル・マドリッド」はそうではないと危惧する。今から体幹を鍛えている暇はないだろうが、その点を覚悟して世界最高水準にあるクラブを相手に良い試合を期待したい。実はと告白するが、私はクリステイアーノ・ロナウドなる名手を未だ一試合通して見たことはないのだ。