新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

トランプ大統領と金正恩を取りまく国際情勢

2018-04-08 14:13:27 | コラム
トランプ大統領対金正恩会談の国際情勢:

繰り返しになるが、私には未だに「トランプ大統領は何事につけても深い理解も知識もないままに大統領職を続けてきたのか、あるいは何もかもご承知の上で恰も無知であるかのように装って金正恩に対しても習近平に対しても、強硬としか見えない政策に打って出ているのか」が解らないのである。この点が悲しくもあり辛くもあるのだ。私はトランプ候補の頃からアメリカの元の同僚たちと、このドナルド・トランプ無知説を語り合ってきたのだった。

その疑問が出る一例としては、今回の鉄鋼とアルミの輸入に突如として高率の関税を賦課する決定をするなどは「長年異国に物を売るか、異国から何かを輸入するか」の実務に携わってきた経験があれば、かかる手段に訴えればその先に何事か起きるかを考えた時に、とても今回のトランプ大統領のようにいともアッサリと打って出られるものではないとしか考えられない例として考えられるのである。

また、中国に対して報復関税をかけて自国の膨大な貿易赤字解消の策とするなどは、矢張り「その先に何が起きるかを十二分に考慮した時に、あれほど易々と実施に踏み切ることなどあり得ない」としか思えないのだ。それこそ「知らないから強く出るのか、先をも読み切り、どうなるかを承知した上で強行するのか」が外からではとても読み切れる行動ではないとしか見えないのだ。

しかし、現在の貿易収支の悪さや保護主義への傾きは何もトランプ大統領の発案ではなく、前任者のオバマ大統領乃至はそれ以前から大なり小なりあった傾向なのだ。私がもしもトランプ大統領を擁護する言い方をすれば「彼は就任前のキャンペーンの頃から『アメリカファースト』と『アメリカを再び偉大に』を唱えていたのだから、今ここで貿易戦争をも厭わずと言う挙に出たのは、単に公約に忠実であるだけだ」となってしまう。

これなどは簡単な例だが、トランプ大統領が「会談をしよう」(この会談が果たして実行されるのかという疑問を呈する専門家だっている)と踏み切った金正恩を取りまく国際情勢などは、それほど解りやすいかあるいは簡単な状況にはない。金正恩との会談の最重要な議題として取り沙汰されている「非核化」は、それがDPRKだけの非核化か、それとも韓半島即ち在韓米軍をも含めた非核化なのは、とても見通せるものではないとしか思えない。

しかも、韓国の故盧泰愚元大統領の親北思想の後継者である文在寅大統領と金正恩の会談はトランプ/金会談の前に行われることは決定しおり、親北というか南北統一に血道を上げている文在寅大統領が何を言い出すかなどは予測可能だが、その予測は可能なるが故に決して好ましいものではないとしか考えられないではないか。今日までのところ水面上に浮かんだ報道では、トランプ/金会談が開催される場所の選定も終わっていない状態だ。

ここで私が不安に思うというか疑問視していることは「トランプ大統領が会談を実行した場合にその先に如何なる国際的に貢献できる事態を起こすことに全力を投じるのか、あるいは会談の結果でが起きるか、その何かが起きた場合に世界というか少なくとも中国を含めたアジアが如何なる事態に直面するか」を熟慮されているのだろうかということである。即ち、ここでも「何もかもご承知で事を起こされたのかどうか」という疑問に撞着するのだ。

私のこういうトランプ大統領間に対しては当然のように「そんなことがあるはずはない。彼は世界の秩序を変える気で打って出られた」という説を為す方がおられる。私もそうであれば良いのだがと思っている。だが、これまでの実績と言動を見ていると、昔の上司や同僚と友人たちのように「トランプ大統領は本当に何もかもお解りなのだろうか」という疑問がどうしても湧いてくるのだ。言うなれば「トランプ不信論」かも知れない。

「アメリカファースト」と「アメリカを再び偉大に」の前には何ものも何事も彼の行く手を阻まず、まっしぐらに我が道を突き進んで行かれ「アメリカにとって良いことこそ」だけをお考えではないのかと不安になってくるのだ。その不安を解消するべくと言うか我々に希望をご承知で、間もなく安倍総理がアメリカに赴かれて首脳会談をされることに望みを託したいと、真剣に考えている今日この頃である。