新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

安田純平が英雄か

2018-10-25 08:08:03 | コラム
安田純平が解放された:

彼安田純平は「自己責任」とやら称してシリアに出ていった本来は「フリー」ではなく「フリーランス」と言うべきジャーナリストだそうだ。だが、行ってはならないと言われていた内戦の国シリアに出掛けて行き、そして反体制派に拘束されてしまった。そして3年4ヶ月もの間抑留されていたのだった。我が国にはこういう勇敢なる手前勝手のジャーナリストが多く、中には危険地帯に入ったは良いが怖い連中に掴まって命を落とす者までていたではないか。マスコミ論調は何となく彼らが「英雄」か「悲劇の英雄」の如くに扱われている。同じマスコミの身内だから厚遇するのか?

今回は安田なるものはカタールの協力があったらしくて解放されたのは結構だった。だが、ここ数日は各テレビ局は大騒ぎで記者を派遣して安田の動静を報じているし、中には「国民が心配していた」などと勝手に話をでっち上げる者まで出てきた始末だ。私には遺憾ながらかかる暴虎馮河の遊を発揮する者たちの心情は全く理解できず、掴まってしまった後は政府に目に見えない工作や苦労をかけて国費を使わせていることを意に介しておらず、救出されるのが当然であるかの如くに思っているように見えるのは、誠に不遜であると断じたい。

「自己責任」などと言って危険な地帯に出て行くのであれば、現地で掴まってしまったような場合には政府に救いの手を国費を使って差し伸べて貰いたいと当然の権利のような態度を見せるのはおかしいと思う。何処かの局では「安田氏が帰国した後ではシリアの具体的な情勢を聞かせて欲しい」などとお為ごかしを言っていたが、私にはシリアの内戦の状態などは既に十分にマスコミ報道で知り得ているし、拘束されていた者が何か目新しいことを言うことなどに全く期待などしない。

第一に、マスコミに登場した中近東問題の専門家の方々が言われるには「反体制派であろうと誰だろうと、拘束したからには身代金の支払いなくして解放されない」のだそうだし、官邸の機密費に詳しいという平野貞夫は「今や60億円は準備されているはずだし、その使い道には領収証も不要」と指摘していた。また専門家たちの観測では、液化天然ガスでは我が国を最大の得意先とするカタールが仲介したことであって、一説には身代金は150万ドルとも言われているし、300万ドル説まであるとのことだ。その金額はカタールが代払いしているので何れは弁済するのだろうが、我が国は身代金は払っていないという理屈は成り立つのだそうだ。

が、直接だろうとカタール経由であろうと、国費から出費されることは変わらないのだ。「自己責任」だと称しているとかの安田純平は、それだけの膨大な金額の支出を国に強いていたのだ。そのような人物が無事に解放されたからと言って、お祭り騒ぎで英雄扱いするマスコミの不見識には呆れる他はない。現地のトルコに飛んだ記者たちは「仮定の話ですが」と断った上でも「政府の出費を強いたことをどう反省するか」くらいはぶつけても良くはなかったか。私は「解放されて良かった」と手放しで喜んでいる場合ではないと思うのだ。私は憤慨している。