新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

8月8日のPrime Newsから

2019-08-09 07:51:45 | コラム
海上安全保障イニシャティブ:

私は小野寺五典元防衛相の愁いを含んだ穏やかな語り口が安心感を与えてくれるし、常に適確だと思う情報を提供されるので信頼申し上げている。その小野寺氏が五百籏頭眞元防衛大学校長と共に登場されたので、大いなる興味を以て聞いていた。因みに、小野寺氏はつい先頃アメリカに行かれて要人や国会議員と懇談してこられた由だ。話題は豊富だったが、中でも私が「これは」と思ったことだけ「切り取って」採り上げてみよう。

その中でも最も意義があると思ったことが、見出しの「海上安全保障イニシャティブ」だった。これはマスコミか誰かしらないがアメリカが我が国にも加入を要請してきたホルムズ海峡での航行の安全を確保するの“coalition”を「有志連合」と訳して報じていたもの。現在までの所UK一国しか参加の意思を表明していない状況下で、既にこういう名称に変更していたというもの。かかる変更があったことが広く報じられていないと思うが、アメリカ側は手を打っていたようだ。正確かどうか知らないが英語の表記は“Marine security initiative”のようだ。

一部には「このアメリカと言うべきかトランプ大統領が前任者のオバマ大統領が残したものを順々に壊していく中で、核合意から離脱した為にホルムズ海峡での航行の安全が難しくなってきたので自国のタンカーを安全に航行させる為にはこの連合に参加せよというのは勝手だ」との説があるが、小野寺氏はアメリカは以前にイランに大使館を占拠されたこともあるので、イランに対する敵対感情が強く「イラン許すまじ」とする傾向があるのだと解説していた。

だが広く知られているように、このアメリカが勧誘する“coalition”にはUK以外集まらず、フランスやドイツは別行動を起こしている状態では、我が国は岩屋防衛大臣が表明した「慎重に検討する」との姿勢で良いというのが小野寺氏の見解。但し、coalitionには中国や韓国が参加を検討中と言われているのは、小野寺氏の見解では「中国は参加することによって情報収集が可能になるという計算があるだろう」となっていた。

日韓関係であるが、小野寺氏がアメリカで聞きだした限りでは韓国は矢張りアメリカの政府等のあらゆる分野に猛烈にロビーイングをかけていた。その主張は「アメリカは中国の華為を締め出す方針である以上、5G等を考える時に華為の代替となりアメリカに貢献出来るのが我が国のサムスン電子である。にも拘わらず日本はそのサムスンに対する原材料の供給を断とうとする動きに出てきた。誠に不当であるから、アメリカ側からも日本に態度を改めるよう勧告願いたい」となっているそうだ。

小野寺氏はこのような言い分に対しては、我が国は総力を上げて対応すべきであると述べていた。同氏は更に「韓国はWTOで水産物の件ではまさかと思わせられた逆転の勝利を得たので、今回は事の性質が異なるとは言え、また我が国を貶めようと画策しているので要注意である」とも言及していた。私もWTOへの提訴は筋が違うとは思うが、韓国は付け込む隙を与えないように油断することなく万全の態勢を整えておく必要があると思う。何しろ文在寅大統領は「思い込みと貿易の実務に対する無知と反日の塊」であるから、あらゆる手段を講じてくる危険性があると思う

上述のように話題はこれらの他に数多くあったが、私が取り急ぎ採り上げたいのは以上である。だが、不思議に思ったことは何故「有志連合」が「海洋安全保障イニシャティブ」に変わっていたことがキチンと報道されていないのだろう。五百籏眞氏も小野寺氏に「貴重な情報を」というような感謝される表現をされていたのは、今回が初耳だったということなのだろうかと一瞬疑ってしまった。その責任は外務省か、マスコミ報道か。宮家邦彦氏は「有志連合などと訳すからおかしなことになった」と指摘されたし、私も奇妙な訳語だと思っていた。