新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

日韓外相会談の虚しさ

2019-08-22 08:36:03 | コラム
フェアープレーと正義は勝つと信じていて良いのか:

21日に中国で行われた河野外相と韓国の康外相との会談の報道を見ていて、何ともやりきれない虚しさを感じていた。それは我が国の官庁の組織というか在り方では河野外相は我が国を外務大臣として代表しておられるようだが、輸出管理手続きの変更問題は明らかに経産省と世耕経産の管轄下にあり、戦中の半島からの労務者問題は彼の権限下にはなく、GSOMIAに至っては防衛省の問題だろう。それらに対する何らの決定権もない河野氏は言うなれば各関係省庁の表見代理であり、康外相も半日と抗日に凝り固まった文在寅大統領のご意向のメッセンジャーでしかないからだ。

その二人が40分間話し合っても何らの結論を出せる訳ではないことくらいは、メデイアの連中は解っていたはずだ。だから二人の外務大臣はお国の意向を厳しく伝え合っただけの事しかしないのだと私は見ていた。だが、報道では「平行線」などと皮肉めいたことを伝えるだけで、韓国の姿勢に何らのは批判もしないのは不適切極まる。彼らは一体何処の国の報道機関かと疑う。韓国を真っ向から批判したような記事を載せるのは産経新聞だけで、残るメディアは訪日韓国人が7.6%も減ったと嬉しそうに伝えるだけだ。これを偏向と言わずして何が偏向かな。

私は22年半もの間アメリカ側の一員として対日本の輸出交渉を担当してきた。正直に言えば「外国人、それもアメリカ人の視点で我が国を見てきた」ということだ。これまでに繰り返してこういう経験をして来た者として発言していると強調してきた。正直にそこに何を見て感じてきたかも述べてきた。それが見出しにもある「フェアープレーに徹していて、正義は勝つ(“Justice will prevail.”とまで表現した方もおられた)」という非常に綺麗な姿勢だった。別な見方をすれば「神・仏は我々をご存じである」という信念でもあるかと思っていた。汚い小細工や駆け引きに出遭うことは極めて希だった。

こういう常に公正且つ公平な姿勢で今日まで世界に臨んできた我が国は、今回の韓国が「輸出管理手続きの変更」を問題として反日主義を丸出しにして、国を挙げてと捉えて良いと思わせる姿勢で、我が国に向かって総力で刃向かってきた。しかも彼らは文在寅大統領以下が総力で我が国こそが悪であり、その悪を叩こうと国民に向かって語りかけ扇動しているのだ。その扇動の内容たるや99%は虚偽であり、根拠のない(悲しいかな我が国の一部のメデイア等の)捏造であるし、文在寅大統領の来たるべき選挙に向けた血迷った対策でもある。

私はたった今「韓国は総力で刃向かってきた」と述べたが、最近は文在寅政権に対抗する保守派が勢いを取り戻してきたという希望的に近い報道もあるし、「反日種族主義」という反韓国の本が売れていると言う報道もあって、恰も韓国がその非を反省して反日の姿勢が軟化したかの如き楽観論も出てきた。だが、著者の李栄薫氏は彼らの支持派は10%程度だと認めていたではないか。私は悲観論者だからそれほど時代を楽観視は出来ないと思っている。

私とても少しは楽観視てみたいとは思うが、そうではないと危惧している。専門家の一部では軟化したと見ている韓国の政府が、我が国の食品の放射能汚染を今更採り上げるか、東京オリンピックが放射能汚染で危険だと国会議員が宣伝するか。大韓航空が日本向けを大幅減便するか。

とは言ってきたが、私は矢張り日本国民の一人として「正義は勝つ」を信じたいと思っている。だが、正義には負けそうな相手は総力で牙をむきだしてきている時に、我が国民にはどれほどの危機意識があるのかと疑っている。テレビ局は嬉しそうに韓国からのお客が減って危機を訴えている地方の旅館や飲食店の窮状を採り上げて報じている。韓国の報道機関がこれを見れば「そら見たことか。我が国の正義が悪の日本に勝った」と報じるだろう。私は政府はこういう事態に如何なる対策を講じるかと期待してはいるが。

ここまでの状況にありながら、テレビ局は未だに専門家の方々に「日韓対立問題の落とし所は」などと尋ねてみせる。文在寅大統領が難しい局面に追い込まれているのは確かだろうが、彼はそれでも居丈高に「日本が協調するというなら話し合っても」などと見下したようなことを国民に向かってほざいて見せたではないか。

私は事ここまでに至れば、矢張り政府は韓国とその文在寅大統領に扇動された国民に対して「どれが何処まで虚偽で虚報か」と「国際的な条約を遵守せず国内法を優先するのは誤りである」とハッキリと伝えると同時に,韓国が逆宣伝に努めている諸外国に我が国の正当性を知らしめるべきだ。これこそが外務省の仕事であり、外相が握手をして虚しい会談をしている時ではないと思う。しかも事もあろうに、3ヶ国の外相会談では中国の王毅外相に仲良くせよと諫められたというではないか。

私は国民も総力でとまでは言わないが、少しは現実的にこれまでよりも危機感を持つべきだと思っている。そうでないと「何が2回目」か知らないが、文在寅大統領は我が国に勝とうと言った妄想が現実に少しでも近くなってしまうかと危惧するのだ。それでも、日本製品不買運動をしている国の何とかドッグを食べて、化粧品を買おうとする人たちで新大久保駅前は連日賑わっている。これもフェアープレーの精神の表れか,それとも平和に馴れた危機意識の欠如なのか。