新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

8月11日 その2 巡り合わせの妙味

2019-08-11 10:16:58 | コラム
読売巨人軍は一息ついた:

まさか、こういうことになるようにセントラルリーグの日程が組まれていた訳ではあるまいが、読売は巡り合わせで下位の対戦相手に恵まれて、首位転落の危機を免れそうである。と言うのは、DeNAに0.5ゲーム差まで迫られた後は、私は何時までも不調が続くことはあるまいと言っていたが、5位の中日と6位のヤクルトと当たるようになっていたのだった。中日とは1勝1敗1引き分けに終わったが、その間に何とDeNAは上り調子の広島東洋カープと星のつぶし合いをやっていたのだった。

中日は彼らが言う「頭を取ったが、2戦目を捨て試合としたような感があり、3戦目に起用した柳が私の見立てでは誤算で引き分けに終わってしまった」のだった。中日は柳と大野という使える投手がいるが、ヤクルトは厳しく見れば読売の打線を抑えきれる投手が不在で、眠り続けていた岡本を立ち直らせそうな打たれ方をして、読売の3連勝もありそうな気配にしてしまった。私の偽らざる感想は「本当に上手く出来た巡り合わせであり、こういう幸運が起きるのも彼ら読売の腕のうちか?」辺りになる。

その読売にも問題点なきにしも非ずだと思っている。それは、本来は大黒柱であったはずの菅野智之がおかしいのである。もう1ヶ月も勝利投手になっていないのだ。私は彼を「遺憾ながら良い投手だ」と評価してきた。私が見る限り彼は「怒り肩」という珍しい体型の投手なのである。何となく野球の専門家に聞かされていた投手の要件は「なで肩」である事なのだ。大方の好投手はこの体型である。次回菅野が出てきた時に良く注意して観察して頂けば解ると思う。

その体型だから菅野が不調に陥っているというのではなく、私には現在の姿は元々そういう傾向があった「体の開きが早過ぎて手投げ」のように見えていたものが、今や完全な手投げになっていることが増えて、それかあらぬか制球力(=コントロール)が悪化してしまっている。先日の登板では解説者も言っていたように「あれほど投球がバラつく菅野を見たことがない」というようにキャッチャーがミットを構えていない方向に投げていたことが多かったのだ。そこに、私が嫌うFAしたのを高値で買ってきた山口俊が負傷欠場中では辛いだろうと思う。

だが、原監督はドラフト上位で獲得はしたものの、高橋監督時代にはくすんでいた桜井や今村を上手に使って凌いで来たが、あけすけに「仲川やデラロサはいないで欲しい。いるとつい使ってしまうから」などと放言(だろうと思うが)したほど数はいても、安心して仕える投手が少ないのだ。即ち、こういう問題を克服しておかないとDeNAや広島に追い付かれる危険性は残るだろう。そのDeNAも張本勲も指摘したように筒香君に冴えがないのは苦しいところだろう。私は彼は上体が巧く回らず手打ちになっているので、レフト方向にしか良い当たりが出ないのではと見てる。

広島も極言すれば「鈴木誠也しか安定的に打てる者がおらず、結果的には丸佳浩が不在となったアナが埋め切れていないのも痛いし、投手では大瀬良も野村も昔日の安定感が出てこないので、阪神如きにサヨナラホームランを打たれて負けてしまうような不安定なところがあると言いたいのだ。結局は読売の強みは「原監督の手腕もあるだろうが、金に物言わせて他球団からFA選手等を買い集めめたお陰で選手層が厚いことにある」と見ている。でも3球団が僅かのゲーム差の中にひしめいているのは、見ている方には面白くなって大変結構なことだと言って終わる。


「総合的に慎重に検討する」

2019-08-11 07:27:17 | コラム
You are not answering my question.:

先頃信任のエスパー国防長官が来訪され、我が政府に“coalition”か“Marine security initiative”(マスコミの訳語は信用ならないので、英語のままにした)への参加を要請されたと報道された。それに対する返事は「総合的に慎重に検討する」だったようだ。永年対日交渉に携わっていた私には、何が言いたいかが良く解ると思わせる回答だ。

このホルムズ海峡の航行の安全を図ることは、事が石油の輸入となると中近東に80%も依存している我が国にとっては極めて重要な課題だろう。しかし、私にはこのアメリカ対イランの対立に端を発した問題は、トランプ大統領が核合意からの離脱を表明されたことで発生した問題であり、それ故にトランプ氏は我が国に「自国のタンカーは自分で守れ」と言い出されたのであるとしか思えないのだ。正直に言って「アメリカファースト」がここにもこういう形で現れた気がしてならないのだ。

私はアメリカ人の思考体系にあっては一旦「アメリカファースト」と打ち出されて実践されている以上、トランプ大統領の考え方の中では「ジャパンセカンド」なのだろうと密かに考えている。何れにせよ、我が国は可及的速やかに「如何にして航行の安全を確保するか」は焦眉の急であると思っている。だが、そこには憲法やら自衛隊の行動範囲等々の緊急に解決を考慮せねばならない課題が、敢えて障害物と言うが、立ち塞がっているのだ。これはおかしな事で、この際「如何に対応するか」と迷っているような問題かという気がしてならないのだ。

確かに情勢はやや複雑でアメリカ側の提案に乗ったのはUKだけだし、我が国にはアメリカ以外からの勧誘もあるようだ。だが、アメリカ式の二進法的思考体系からすれば「参加するか、しないか」の何れかの回答しかないはずの問題に「総合的に慎重に検討する」では問題の核心を外しているとしか思えないだろう。初めて日本人の思考体系に直面された新任の国防長官にとっては「何という回答か」かと当惑もすれば腹も立ったかも知れない。日本との交渉に馴れていれば、“Hey! You are not answering my question.”と切り込んでいくだろう。

私にはエスパー新長官が何処まで我が国の憲法の問題や自衛隊に課せられた制約を事前にブリーフィングを受けてこられたか知る由もないが、日本的な「白でもなければ黒でもない」という一見時間稼ぎのような回答には戸惑ったことだろうと思わせている。「何故、いいえ、参加しません。トランプ大統領が言われたように“自国の船は自分たちの手で守りますから。”」という解りやすい答えが出てこなかったかの理由がお解りかなと思ってしまう。尤も、私如きには何が正解かなどは解らないが。