新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

10月3日 その2 トランプ大統領対チャイナ・ヴァイラス(China virus)

2020-10-03 14:44:12 | コラム
トランプ大統領は「禍を転じて福となす」のだろうか:

トランプ大統領という方は関西風に言えば「ややこしい方やな」とでもなるだろうか。当初は軽視したかのような発言をしておられたチャイナ・ヴァイラスに結局感染されてしまった。このことを批判するような声もあるやの如きだが、私は我が国の所謂専門家の医師の方が「ウイルスに感染したことは決して恥ずべき事でも非難されるべき事でもない」と指摘されたのを採りたいと思っている。ただ、感染された時期が極めて微妙だったとは思うし、既に軍の施設に隔離される前夜に高熱が出ていたとも報じられているのは不安材料であるが。

大統領は私よりも13年ほど若くていらっしゃるが、高齢者であるのも確かなことであり、基礎疾患をお持ちがどうかも知らないが、決して無理は禁物だと思って見ている。これまでに見聞した症例から見ていると、無事にウイルスを征服されて帰還するか、ウイルスが消えるまでに2週間程度は要するもののようであるから、予定されていた支持者を集めての集会や、バイデン氏との討論会の開催も微妙ではないかと思っている。この辺りをどう克服されるかが問題だろう。

但し、何方かも言われたが無事帰還されて「どうだ。私はウイルスを征服してこのように何の問題もない」と胸を張って支持者に訴えられるだろうことは、容易に想像できそうだ。即ち、「禍福はあざなえる縄のごとし」というか「禍を転じて福となす」という言い慣わしを応用されて、40%を超えると言われている岩盤の支持者層を安心させるどころか、トランプかバイデンかの選択に迷っている層を自らの陣営に引き込んでみせるのではないかとも考えられるのだ。

私は敢えて「ややこしい」という表現を使ったが、トランプ大統領という方はTwitterを縦横無尽に駆使して言わば言いたい放題を表現され、一部の反トランプのメデイアには「虚言癖がある」とまで言わせてしまわれた。確かに俗な言い方をすれば「ハチャメチャ」的な事を言われているので惑わせられる。これまでに打たれた数多くの政策を落ち着いて見てみれば「雇用の機会を増進させて景気を回復され、以前の政権とは異なって中国に対して一貫して強硬姿勢で臨んでこられた」という一線を貫いておられるのだ。そこを見誤ると、失言ばかりと批判する向きが出てくるのだ。

しかも、非常に計算し尽くされたとしか思えないように「私が見るところの、アメリカ全体の精々5%程度を占める所謂支配階層(アッパーミドル以上乃至は知的階層)の支持を確保するのではなく、プーアホワイト以下の白人の層と労働者階級(例えばラストベルト地帯の)や、少数民族等の従来は民主党支持だった複数の層を、自らの陣営に引き込まれて岩盤の支持層とされた作戦は、非常に巧妙であると思っている。私の元の上司や同僚やYM氏のような友人たちにトランプ支持派がいないことなどは、歯牙にもかけておられないのではとすら思うことがある。

私はトランプ大統領が好きとか嫌いとかいう議論や感覚を離れて言ってきたことは「我が国にとっては民主党政権の再来は“bad news”以外の何物でもなく、トランプ政権の対中国の強硬姿勢を躊躇うことなく支持するものである」なのだ。しかしながら、多くの専門家の先生方が「必ずしも当てにならない」と言われる今日までの世論調査の結果は、トランプ大統領にとっては極めて不利である。そこにこのチャイナ・ヴァイラスの感染が発生したことは、決して好ましい材料ではないと思う。現時点でバイデン氏が攻撃材料に使ったとは聞いていないが、心理的には不利な材料であろう。

話を元に戻せば、トランプ大統領が果たして「禍を転じて福となす」とされるのか、このままバイデン氏が世論調査の結果が示すように逃げ切るのかは、現時点で論じるのは時期尚早かと思う。私が問題点だと思うことは「未だ特効薬もなく、ワクチンが治験の時期を脱していないこの時に、如何なる治療法を取るのかが焦点になると考えている。投与する薬次第では意外な副作用が出てくる危険性もあるし、我が国では2度のPCR検査を経て退院された患者の中には、深刻な後遺症に苦しめられているという報道もあるのだから。要するに未だ「予断を許さない」状況なのだ。


菅内閣に思うこと

2020-10-03 09:52:10 | コラム
意外だった日本学術会議の任命拒否の件:

私は菅新内閣については当分の間は何ら言及しないと、発足当時に述べていた。そしてその通りにしてきたつもりだ。だが、今回の日本学術会議が推薦した105名だったかの新任会員のうち6名の任命を拒否したとの報道に接して「菅首相は意外に思いきったかのような厳しいことをおやりになるものだ」と思わせられた。

実は、発足以前から菅氏は「手堅い」だの「堅実」だのと評され、安倍内閣の方針を継承される地味な内閣の如き印象を与えていた。また、発表された言わば目玉の如き政策が「デイジタル庁の設置」、「携帯電話料金の引き下げ」、「行政の規制や縦割り解消」というように地味であり、私の見方では「菅首相はロールシャッハテストで最も見えやすい図柄を読み取る型」の政治家だろうかと思わせられていた。換言すれば「内政面でも外交面でも何でも、あれもこれもやってみせる」という類いの大見得を切られない総理大臣かと思わせられていた。

そこに、今回の日本学術会議が推薦した学者の任命を拒否するという「アレッ」と思わせられるような、いきなり難しい図形を読み解かれたかのように冷たい手を打たれたのには、思わず「ハッ」とさせられた。即ち、端倪すべからざる手法を敢えて採ってみせるだけの決断をされる宰相だったと、思い知らされたのだった。私は不勉強にして私の日常生活にさして縁がない学術会議とはそも何者であるかを十分に心得てはいない。だが、何時だったか「今後は軍事的研究はしない」との声明を出したくらいは承知していた。即ち、そういう方角に寄っているのかと解釈していた。

TBS等は昨夜「報道1930」で司会の松原が立命館大学の松宮孝明教授を呼び出して延々と「学問の自由を奪うものだ」とか「任命権がある事は任命しない権限がある事ではない」と語らせて、このテレビ局ならではの論調を展開して見せてくれた。聞いていて「さぞかし野党とマスコミ連合軍が喜び勇んで、菅内閣の批判を開始するだろう」と痛感させてくれた。果たせるかな、お馴染みのチビッコギャングこと立憲民主党の安積は強烈に異議を申し立てて「国会で追及する」と意気込んでいた。

私は菅首相が単独で決断されたのか否かなどは知る由もないが、官房長官の説明も言わばブッキラボーのように聞こえた。この決定を批判していなかったのは産経新聞だけのような気がするが、ここでも主張していたように、菅内閣はある程度以上分かりやすい拒否の根拠を説明される必要があると思う。だが、松宮教授の任命拒否が学問の自由を阻害するという主張は良く解らなかった。政府から手当が出ている会議である以上、政府の意に沿うようなことだけを研究し、発言していれば良いのかと言いたいのも多少は分かる気がする。では、学術会議は何の為に存在するのだろうか。