新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

8月9日 その2 「台湾有事は日本の有事」について思う事

2022-08-09 16:28:18 | コラム
2016年6月の河添恵子氏の「中国の国家総動員法について」の講演より:

この河添氏の講演から学んだことは「中国の国家総動員法は危険極まりない法律であり、中国は何も尖閣諸島の奪取どころではなく、我が国の属国化すら企んでいるのだ」という点だった。そこで、この講演から学んだことを採り上げた2016年6月5日の記述に多少加筆して、再度お知らせする次第。

 昨6月4日、六本木の国際文化会館で開催された公益社団法人国民会館主催の第1017回 武藤記念講座で聴いたノンフィクション作家・河添恵子氏が「中国が仕掛ける歴史戦」」と題した講演の要旨は下記の通りだった。

念の為に確認しておくと、この講演会が催された頃には「台湾有事」などが話題に上っていなかったし、故安倍晋三元総理が「台湾有事は日本の有事」と指摘される遙か以前のことだった。中国という存在の危険性はこの講演の6年後には、周知のように何十倍、何百倍と計り知れないほど増大しているのだった。

“中国政府は世界の華人団体、左派、韓国系などと連携し、国連を侵食しながら「南京大虐殺」「従軍慰安婦」他、捏造の歴史の拡散に心血を注いでいる。しかも近年は”双子の政党”と呼ばれる中国国民党とも連動して動いている。戦後70年を過ぎ、更なるステージに上がった中国が仕掛ける「歴史戦」の最終目標は?日本は今、何をなすべきなのか?”

となっていた。この河添氏の講演の内容の全部をここに正確に再現するだけの確かな記憶力はないが、中国が我が国のみならず世界に向かって仕掛けていることの恐ろしさは、大袈裟ではなく”戦慄的”でさえあった。中でも河添氏が「中国は2020年までに国家総動員法を発動する危険性を感じている」と述べられたのは、印象的などという次元を超えて脅威であると感じた。

しかも、質疑応答に入ってから、かなり高齢と思われた紳士が「中国が発動すると言われる根拠は?この法律には前文のようなものがあり、何時如何なる場合に発動するといったような規定はないのか。俄に発動の危険性ありと聞かされても納得しがたい」と執拗に問いかけた。これは、折角90分もかけて河添氏が語られた中国の国際法無視、横暴、手前勝手、国内法を国際的に適用する姿勢、世界各地に張り巡らした華僑網、欧米各国の政財界の上層部への食い込み等のように、およそ掛け得る圧力等を全く理解していなかった為に出た余り賢明ではない質問であり、中国は我が国の常識で測れる国だと思い込んでおられるために出てきた誤認識に他ならないと思って聞いた。
このような質問をする人がいがいることを中国が知れば、それこそ「日本は甘いな」とばかりにほくそ笑んでいるのかもしれないと、不安に感じていた。

この「国家総動員法」とは2010年7月に制定されたもので、Wikipediaには、

「この規定には中国国内で有事が発生した際に、全国人民代表大会常務委員会の決定の下、動員令が発令される。国防義務の対象者は、18歳から60歳の男性と18歳から55歳の女性で、中国国外に住む中国人も対象となる個人や組織が持つ物資や生産設備は必要に応じて徴用される。有事の際は、交通、金融、マスコミ、医療機関は必要に応じて政府や軍が管理する。また、中国国内に進出している外資系企業もその対象となる国防の義務を履行せず、また拒否する者は、罰金または、刑事責任に問われることもある」
とある。

 また、「Hatena Diary」のブログには、

“《在日中国大使館は25日までに、日本に滞在している中国人に対し、緊急事態に備えて連絡先を登録するよう呼び掛ける通知を出した。通知は8日付だが、同大使館のホームページに掲載されたのは24日という。

国防省が23日に防空識別圏設定を発表したことから、中国人からは日本側との摩擦拡大に備えた予防措置と指摘する声も上がっている。

通知は「重大な緊急事態が発生した際に在日中国人に対する協力や救助を速やかに実施するため」と説明。一部中国メディアも報道した。》

これって日本に滞在中の中国人は本国の言う事をきかなければいけないってことです。逆らうと中国に残された家族がどうなるのかわかったものではありません。

【皆に知らせよう「支那国家総動員法」の危険性】http://torakagenotes.blog91.fc2.com/blog-entry-1144.html

在日支那国籍者も「動員」対象であり《多くのみなさまがすでにご存知の通り、一昨年(2010年7月)に中国共産党政府が成立させ、施行した国家総動員法(国防動員法)は、同国の国防に関わる有事にいたった場合に、国内外の支那(China)国籍者の財産の接収(没収)、同国籍者の徴兵(国内・在外を問わない同国籍者の徴兵(兵員化)と、および、同国内での外国資本の没収まで含まれています。

何故、このような法律を性急なまでに施行したのか。その目的は、中国共産党政府がごく近い将来に有事(および戦争)の発生を想定してのことで、たとえば、対日政策の上では、侵攻による沖縄県尖閣諸島、さらには沖縄本島の収奪・領土化とそのための有事を視野に入れてのことであろうことは邪推の余地も有りません。もとより、沖縄の領土化は日本本土を次の視野に入れてのことで、日本の属国化、ひいては「日本自治区化」を置いているであろうことは推察に難くありません。”

と述べられている。ここまでで私が恐ろしいと言った根拠をご理解願えるかと思う。

 因みに、我が国に居住する中国人は約65万人であるが、この数には不法滞在者は当然ながら入っていない。また、観光で来訪する者は年間20万人以上と言われている。

ここ新宿区だけを考えても1万人超の中国人が住民登録している。その者たちが事があれば工作員となるというのが国家総動員法の規定である事を良く認識しておく必要があると思う。


始めの勝ちは嘘勝ち

2022-08-09 09:03:30 | コラム
今好調な会社とは何れは失速するもの:

何も企業の例を挙げなくても、多数のCOVID感染者を出して5位に沈んでいたジャイアンツは復帰したかと思えば、首位のスワローズに三連勝して見せた。すると、気の早い報道機関の中には「ジャイアンツの巻き返しが始まった」などと言って、今にも優勝戦線に再登場するかのように囃し立てた。経営だけではなく、勝負の世界でも「勝ち続けるか、負け続けてはいられないものである」ことを実証している感がある。

私はスワローズもジャイアンツも本稿の見出しと件名の「始めの勝ちは嘘勝ち」と同じような状況の下にあるのだと思っている。と言うのは、私が就職活動(と言っても、PCもスマートフォンもなかった時代のことで、現在の就活などとは似ても似つかない動きだった)を始める前までの1950年代では、繊維・紡績産業や製紙産業は未だ花盛りで、学生たちの憧れの就職先だった。誰もがそういう産業界が低迷してしまうことなど考えてもいなかったと思う。

特に製紙産業は「三白」と呼ばれて砂糖とセメント共に我が世を謳歌していた。21世紀の現在これらの三白がどのようになっているかを見て欲しいのだ。即ち、好調や好景気や活況などは永続するものではないという事なのだ。株式だった上がり続けるとか、下がり続けるものではないと思う。

何も三白だけに限られたことではなくて「今は昔」となってしまった産業がどれだけあるかということ。「アメリカの自動車産業は」などという例を挙げれば、トランプ様に叱られるかな。

私がアメリカの会社に転出する1972年以前に、社員教育の講習会に来た講師が「素材産業である製鉄は製紙と同様に先が見えている」と語って我々を驚かせてくれた。現実には紙パルプ産業界の業界再編成の流れは凄まじいものがあり、アメリカではウエアーハウザー等は木材部門だけを残して紙パルプ産業から撤退してしまった。我が国でも同様な流れである。鉄鋼業界を見ても、日本製鉄とJFEだけになってしまって、単独では神戸製鋼所だけが残った感がある。

話を野球に戻してみよう。セントラルリーグでは、つい先頃までスワローズが「何処まで勝ち続ければ気が済むのか」と思わせる勢いで首位を独走していた。私は「勝ち続けていられるものではない」と見ているので、スワローズがどのような障害に出会って失速するのかと考えていた。

矢張り、「COVIDに感染する」という落とし穴が待っていて、苦境に立たされているし、私には投手陣の駒不足が見えるし、山田哲人の不振が気になっている。だが、先週久しぶりに「喝」に登場した張本勲は「2位以下のティームがあのゲーム差を残る試合数の間で取り返せることはない。それに、下位の球団同士で星のつぶし合いをするから」と断言していたが、どのように展開していくのだろうか。

阪神タイガースだって、矢野監督の引退予告宣言の所為か開幕と同時に負け続けたが、現在は負け越しを解消してCS出場範囲内の2位にまで上がってきた。スワローズの勢いが「あの勝ちは嘘勝ちだったかな」と心配させてくれている一方で、タイガースは「始めの負けは嘘負けだったかも知れない」という復調振りだ。

この辺りがリーグ戦の特徴であり、所謂「サドゥンデス」(sudden death)方式のトーナメントとの違いであろう。トーナメントという一発勝負では、真の実力が発揮できない嫌いがあるという意味だ。

そのトーナメント方式の短所が典型的に現れる例が目下「汗と涙」と報道機関(何も主催する朝日新聞だけのことではないが)が褒めそやす澄んだ瞳の高校球児が競い合う甲子園の野球である。あれだけの数の高校を全国の一都二府一道四十三県から参加させれば、不幸にも不運にも持てる力を発揮する前に敗退してしまう学校は出るのは仕方がないだろう。

その勝ち抜き方式の試合を地区予選から一回も負けずに全国優勝する学校は、鍛え上げられているだろうし、本当にというか真の実力者なのだろうが、運も加勢することがあるのではないか。春の選抜の優勝校が夏には地区予選でアッサリと負けることがあるではないか。その辺りが勝つことの難しさであり、厳しさであると思っている。

現に、昨日は力上だろうと見られていた感がある沖縄の興南高校が先に5点も取ったときに勝負あったかと見えた試合を、市立舟橋高校が9回の裏に満塁の好機に代わった投手のデッドボールの一投で、サヨナラ勝ちになってしまった。これぞ「始めの勝ちは嘘勝ち」の気の毒な例だなと思って見ていた。結末は、予想もしなかったときに、予想もできなかったような形で襲ってくるものだ。そう言えば「一寸先は闇」と述懐した政治家がいた。