「コラボとは何の事」と探求してみると:
当方は以前から「コラボレーションかコラボというカタカナ語が気安く使われていることはおかしい」と指摘してきた。そう言う理由の一つに、どうやら「タイアップ」(=tie-up)の意味で使われていると疑わしい例があるからだ。そもそもの私の主張は「コラボレーションかコラボなどという言葉を使わないで、『誰それさんとともに作業をしてか、働いて』と素直且つ具体的に説明した方が良いのだ」だった。
更に「20年以上もの間アメリカ人の中で働いていても、報告書や会議中の説明の中でcollaboration等という言葉が使われていた記憶がない」と強調し、平易にOxfordにあるような“to work together with ~ in order to produce or achieve ~”が示しているように「誰かと共に何かを成し遂げるべき作業した」と日本語で言った方が自然だと思うのだ。
そこで、念の為に「タイアップ」即ち“tie-up”を検索して見た。すると、色々な説が出てきて「それは縛るという意味だ」として、後ろ手に縛られている画が出ている例もあった。また、「それを言うならば、collaborationを使いなさい」という推薦もあった。少なくとも、タイアップがカタカナを使った造語であるとは出てこなかった。
しかも「タイアップとは対等の間柄で提携するのではなく、どちらかが主であり片方が従の立場になるもの」ともあった。そして、「コラボレーションであれば、対等の関係にある二社が協同すること」ともあった。「アレッ」という思いで、何が本当なのか良く解らなくなった。
そこで、お馴染みのOxfordでtie-upはと調べてみると“an agreement between two companies to join together”とあって、例文は“They are negotiating tie-up with Ford.”と出てきた。別に主対従や対等の間柄への言及はなかった。
何となく、ここから先に何と言えば良いのかと混乱させられた気がした。だが、良く考えれば「コラボレーション」とか「コラボ」などと如何にも英語通のように格好を付けるのではなく、「この製品はA社とB社が協同して製造した物です」と詳しく言えば良いのだと思うに至った。また、タイアップは広辞苑にも簡単に「提携すること、協力すること(某社とタイアップする)」とあるのだから、「2社間での提携または協力」と、それぞれの場合を見て使い分ければ良いのではないのか。
カタカナ語を批判する立場から言えば「元の英語の意味と使い方をハッキリと認識することが先決問題であり、無闇にカタカナ語化して使わない方が良いのではないかな」となるのだ。要するに「共同作業」と「提携」を同じように「コラボ」にしない方が良いのだ。但し、タイアップは「コラボ」より先にほぼ完全に日本語化されていたと思うが。