新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

7月10日 その2 中国経済論

2015-07-10 16:49:23 | コラム
素人が中国経済を論じれば:

私は中国政府と共産党はおいそれとは破綻させないだろうと思っている。

それは今回の株式相場の低迷を見ても明らかで、直ちに政府が介入して主要銘柄の売買を禁じて相場を維持したではないか。一国二制度等が罷り通る国であればこの程度の一国一制度的な行動を起こすのは当たり前だと思う。中国経済の破綻などという事態が万が一にも起きれば、それは中国共産党の自己否定のようなものだから。

顧みれば、中国は嘗ての世界の下請け工場から世界の工場へと成長・発展し、世界第二の経済大国に成り果てたのである。しかも最近の我が国への物資買い出し団が怒濤のように押し寄せて、金に糸目を付けずにマスコミが言うような爆買いをする段階にまで漸く経済発展を遂げたのである。私はあの現象を彼らがそれほど大きな蓄えを持ち支出するほどの余裕が出来たと見なすよりも、自国には彼らを満足させる製品が出来ていないことの裏返しだと見るべきだと思っている。

即ち、あのような富裕層ではない連中が株式投資等までして挙げた利益を支出し続けられるような生活水準の向上が継続される限り、我が国の小売業界を潤わせて頂けるだろうと考えている。私は中国の文明開化度を見るのに、人口1人当たりの年間の紙消費量を挙げてきた。現在の手持ちの統計では中国は未だ74 kgと我が国の220 kgの3分の1にすぎず、アメリカの240 kgに追いつくのは何時のことやらという状態だ。

これは未だ大きな文明、就中ICTと経済の発展の余地があることを示している。我が国とアメリカではICT化の進捗により、紙の消費量は減少の一途だ。その意味では中国に関しては非希望的観測に言えば、何れは世界第一の経済大国に成長する可能性が大であるということだ。

私はこれまでに中国、それも上海、北京、蘇州という具合に三度訪れている。特に上海で見た中国には高度成長の真っ只中にあった古き良き我が国のあの頃の勢いを感じたものだ。その旅行記には「彼らは美しき虹を追って成長を謳歌しているのだろうが、未だその虹の向こうに如何なる状態が待っているかは知らないだろう。我が国では既に虹は消え暗雲が長い間日の目を遮ってきた。何れ彼らもその暗雲を見るだろう」という意味のことを書いていた。

既に指摘したように、中国は世界の工場に加えて依然として保持している下請け体勢から世界の各国への輸出にその経済が大きく依存していると言えるだろう。しかし、その相手先のアメリカは政治的には中国と余り好関係とは思えない状態だが、非耐久消費財系の中国への依存度は高いし、中国にとっても重要な輸出相手国だろう。故にアメリカの景気回復は大歓迎だろう。

だが、EUはギリシャ問題が端的に示すように経済的財政的に危うい国が多く、余り良い輸出相手ではないと思う。中国は内需に多くを望めない以上、輸出依存の体勢は変えようがないだろう。だからこそAIIBなのだと思う。欧州の諸国が参加したのも何らかの思惑があったのだろう。

翻って我が国とは習近平が漸く態度を変えて安倍総理との首脳会談の如き行事を開催したが、我が国の実務を担う会社の多くは中国からの撤退を考えてはいても容易には行かない法的制限を受けて四苦八苦していると聞く。しかし、我が国の貿易額に占める比率はアメリカをしのぎ最大であるとも聞く。そうである以上、成長が鈍化されたり万一にも破綻されては困るのが我が国抱える悩みか?

私は専門家諸賢やエコノミストの方々がどう言われようとも、紙の年間の消費量が示すように中国には未だ未だ生活水準の向上の余地が秘められており、13億人が1人当たり150 kgでも消費する水準に達した時には、世界中の全ての工業製品の原料を中国が買いまくって大変な不足の事態を来すと予測している。それこそ、我が国に買い出し団が押し寄せて爆買いをするような生やさしい事態ではないと思うのだ。

その中国自らの生殺与奪の権力を握っているのが共産党であり最高権力者で、彼らが裏に表に、陰に陽に支配する政権であるのが、中国の強さであり弱点でもあると思っている。彼らの国際法も何もなく自分たちが法律だと言わんばかりの南沙諸島等でのやりたい放題を見れば、その怖さは解るだろう。彼らの眼中には世界の警察官」を放棄した優柔不断のオバマ大統領など無きが如きではないか。

新国立競技場建設問題の考察

2015-07-10 14:06:25 | コラム
議論のピントが呆けている新国立競技場建設問題:

先程もTBSだったかで何処だったかのエコノミストが(聞き間違いでなければ)中国は北京オリンピックの鳥の巣競技場に7,000億円を投じたと言っていた。金額は幾らでも良いが、それは明らかに世界第二の経済大国としての古き悪しき思想の発露で「国威の発揚」のための投資だったと思う。そこに第三位に落ち込んだ我が国が外見だけを誇りにしかねない競技場に2,520億円を投じようというのだろう。私は不適切だと思う。

何故「アンビルド」と揶揄されたデザインに拘泥するのだろう。国家財政がどうのなどと論ずる以前の問題で、屋根がどうの椅子席がどうのと言う辺りを前面に出すのはオリンピック後のことを考えても余りに非現実的だし、一体誰の為の競技場新設かと疑う。誰かの顔を潰せないから推し進めたというのなら余りにも愚かだ。

私は既にこの問題ではJSC(Japan Sport Council=日本スポーツ振興センター)だか文科省だか知らないが、アメリカのNFLやNCAAの大学が持つフットボール場でも見学に行ったかと問い掛けている。州立大学でも7万人以上収容の施設を当たり前のように持っている。しかも、経験上から言うのだが、実に競技を見やすい設計になっていて快適だし、終了後に観客が短時間に一斉に退出しやすい機能を持たせてある。車社会ではない我が国で、8万人が一斉に退出した場合の交通事情に拝領したのか。

彼ら関係者は旧国立競技場が如何に競技を鑑賞しにくく出来ていたか、椅子及び一部のベンチシートか如何に心地良くなかったと承知して、新競技場の設計・デザイン・予算を論じているのかを問い掛けてみたい。あそこでプレーした者たちに聞けば芝生は恐らく全国でも最上位に入り快適さだったという。そういう面にも気を配っていたのか。自家用車で来るなと言う気か。

また、これから論じる諸問題が予算のうちかどうか知らぬが、又もや(アメリカ・スクールの優等生として言わせて貰うが)アメリカの大きなフットボール場では、今回のカナダでのW杯女子の大会で担ぎ出していたような前世紀の遺物の担架如きを負傷者の搬送には使っていない。負傷の部位に応じた体勢で運べるような電動(だろう)カートが普通の手段だ。医務室には外科医の他にあらゆる科目の医師が常駐しスタジアムの内部にはX線撮影の準備も整っていると聞いた。世界第三の経済大国としてこれくらいの形を作り上げる予算を計上したのか。問い掛けてみたい。

勝手に邪推すれば、恐らくそういう面には配慮していないだろうと本気で疑う。大体からして今時「スポーツ振興」を名乗るのは時代遅れだ。我が国ほどおよそありとあらゆる種目が行われ、オリンピックに代表を派遣している国は世界でもそう多くはないだろう。言いたいことは「振興」ではなく救急医療体制までも完全に整え全世界からの代表選手を受け入れる万全の態勢を整えるべきだと考えて貰いたいものだ。

後難を怖れずに言えば、下村文科相はその言われることから判断すれば、こういう面までのことをご存じではないと断定するし、新任の遠藤担当大臣も大学でラグビーをやっておられたのは結構だが、その年齢と伝え聞く経歴から判断すれば、それこそ「古き良き精神主義」がスポーツ界を支配していた頃の選手だろう。アメリカ・スクールの優等生から見れば、お引き取り願いたいジェネレーションに属しておられると極めて遺憾に思う人事だ。

今からでも遅くないから2,520億円で契約したと報じられるゼネコン等と解約し、早急に有識者ではない者どもを集めてより経済的でより観客と選手たちの為を考えた競技場の設計に入って貰いたいもの。因みに、上記の「アメリカ・スクール」とは外務省の「チャイナ・スクール」のもじりで、自分のことを「アメリカかぶれ」と揶揄される前に戯称したものである。

7月9日 その2 中国と共産党の組織

2015-07-09 13:19:35 | コラム
中国と共産党の組織を教える本:

目下、週刊新潮の広告で見た元中国大使・宮本雄二氏の「習近平の中国」(新潮新書)を4分の1ほど読んで大変勉強になっております。私は正直に申し上げて中国共産党についての知識など皆無でしたので、「大使としての経験とその分析からは学ぶところ大だ」等と言えば失礼に当たるかと思うほど興味深く読み進めております。「ナルホド」と「へー」と「知らなかった」の連発です。飽くまでも私個人としての話しですが。

それが正しいというか適切な中国と共産党と政治とあの国の実態への理解か否かは別にして、恐るべき組織であり頭脳集団であると知りました。但し、組織の一定以上の上部にいる者だけのことかも知れませんが。であれば、中国及び共産党は簡単なことでは政治でも経済面でも崩壊はしないだろうなどと考えさせられています。

嘗てYM氏から中国からの一流私立大学のビジネススクールに留学しMBAを取得する者たちの英語力と明晰な頭脳による成績の良さを聞きました。その連中の半数はアメリカに止まって職を得る由ですが、帰国して海外事情を心得た者たちが共産党と政府機関に入っているのだったら、遺憾ながら我が外務省は彼らには及ばないかと懸念します。事実、甚だ遺憾ながら外務官僚は中国どころか韓国に手玉にとられていると思いますが。

念のため申し上げておけば、以上は中国礼賛ではなく「何でこの程度の常識とも言えそうな中国に対する認識が我が国には普及していないのか」と申し上げているのです。と同時に、自分の不勉強を恥じております。

英語上達への道

2015-07-09 07:11:36 | コラム
東スポWeb版が8日に報じていた田中将大の英語力向上に思う:

私は寡聞にしてNYヤンキースにどれほどの数のヒスパニックがいるのか存じませんが、基本的には英語が言わば公用語でしょう。あの環境に置かれて2年も経てば聞こえるようになってくるのが普通でしょうか。私は寡聞にして相撲の世界で通訳がいたという話を聞いたことがありません。しかし、あの世界の外国人の日本語という名の外国語の上達の仕方というか身につけた状態を見れば、あのような環境に放り込まれれば、使えるようになってくるのは当然かと思います。

因みに東スポの記事の一部をを引用すれば
「ヤンキースの田中将大投手(26)がクラブハウスで順応力を発揮している。渡米前は英語を苦手にしていたのだが、周囲も驚く速さでヒアリング能力がアップ。チームメートとのコミュニケーション面で「壁」を乗り越えつつある。」

とありました。即ち、聞く力が向上したとあります。その昔に私の古き良き日本の会社時代の同僚が「話すのは相手側が解ろうと何だろうと一方通行だから気楽にまくし立てるが、聞く方はそうは行かないので難しくて困る」と言いましたが、良いところを適確に衝いていると思います。

英語力の向上についてはそれだけではありません。嘗て当時はStanford大学のビジネススクールの教員だったYM氏と「日本人の英語力」について語り合った際に彼が指摘した「ご当人にやる気があるかないかが問題では」が大きな鍵になるかと思います。英語の格言に通常は"There goes an old saying ~”から入るのですが、”Where there is a will, there is a way."(意志あれば道あり)というのがあります。確かに「やる気の有無」は重要でしょう。

私が1998年から個人指導した某商社の若手は当時は確か25歳だったと記憶します。このくらいの年齢の頃に本人に十分な意志と動機付けがあれば、適切な指導があれば上達します。彼にはその昔自分が教えられたように「日本語を使わない会話」を強制し、街中でも何処でも他人の目と耳の有る場所で会話をさせましたし、英語での目に入った風景を描写する独り言を「恥を怖れているべきではない」を実行させました。

2年ほどを経て彼は課内随一の使い手になり、2006年には海外勤務に出ていきました。この経験から考えても田中将大が上達したとしても「当たり前だ」と思いますが、他の通訳に依存している日本人大リーガーを見る時に田中を褒めて上げても良いのかな」と妥協する気にも少しはなってくるのです。

7月8日 その2 宮間あやの名言

2015-07-08 16:22:03 | コラム
決勝戦で負けてしまっては何も得たものはなかった:

これは昨日女子サッカー日本代表がカナダのW杯から帰国して成田空港の近くのホテルでの記者会見で主将の宮間あやが「W杯を決勝戦まで戦って何か得たものがあったか」という、私には愚問としか思えない質問に答えたものである。私は感動した。記憶には「優勝杯を持って帰れなかったのでは」とも言ったかなとあった。

その時には画面では一瞬冷たい空気が流れたと感じた。彼女はそれほど徹底した代表選手の主将としての意識があったと思う。それを読み切れず、その気持ちを察しきれずに、あの質問を発した女性記者を笑いたい。

苟も一国の代表として世界の選手権の場に出ていく者には、宮間のような徹底した代表選手の意識を持って貰うことが理想的だと思う。彼女らは物見遊山にカナダまで出向いていった訳ではないくらいは、質問する側が承知しておきべきだったことを痛烈に示した宮間の答えだった。決勝戦から未だ2日しか経ていなかったあの場では宮間の意識には「責任」が重くのし掛かっていたと思った。