1010 Radio

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地震は常に突然やってくる

2011-06-20 | ラジオ
1896年6月15日、明治三陸地震が発生した。
漁師たちはこの日、夜が明け染めた頃いつものように漁へ出た。猟師達は海で突然の波に苦しんだが、なんとか切り抜けた。
夕方、猟師達が漁から戻り岸辺に近づくと、そこには瓦礫と遺体の山が広がっていた。日本の三陸沖で発生した地震による津波が岩手県、宮城県、青森県を襲ったのだ。
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津波から逃れるには、高台に上るか海の沖へ出るより他はない。漁師達が被害に遭わなかったのはそのためだ。
1896年6月15日に発生した地震と38メートルの津波は、およそ1万件の家屋を破壊し2万7千人の命を奪った。
それから115年が経過したが人類はその間、このような天災に対抗する方法を身に着けたのだろうか。
今年3月11日に日本で発生した地震と津波を見る限り、人類は未だ被害を最小限に抑えることしかできないようだ。

世界各国の学者たちが地震の予測に関する研究を行い、数日前あるいは数時間前に地震を予測しようと努力しているが、未だに誰も本質的な進歩を実現してはいない。
ロシア科学アカデミー準会員で、ロシア科学アカデミー地球物理学研究所所長は、地震の予測に付いて次のように語っている。
「地震の予測は非常に難しい問題だ。地殻変動状況の観測技術の点から見て先端を行く日本も含め、まだどの国も、この問題の現実的な解決には至っていない。我々は現在、地震が発生する可能性のある地域を知っている。
今後1年から10年までの間に、地震が発生する一定の可能性を持つ地域が分かっている。このような地域は少なくない。
だが残念ながら、地震は常に突然発生するのだ」
所長は、このように発言している。

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地震を一日、二日あるいは1週間前に予測することは、人類にとって現在さらに重要なものとなっている。
ロシア科学アカデミー海洋学研究所副所長は、これに付いて次のように語っている。
「地震発生の一日あるいは二日前に地震を予測するための、明確な兆候は未だに何も見つかっていない。
大地震の様々な前兆は数多く存在しているが、地震では毎回、そのうちのいくつかの兆候しか見られない。地震は毎回違うのだ。
一方で津波はより分かりやすいのだ。センサーが津波によって運ばれた海水の圧力の変化を感知し、そのデータが情報センターへ送られる。
震源地から沿岸まで波が達する前に、津波の警戒情報を伝えることが出来る上、その間に何らかの救助対策を講じることも出来る。地震の予測に関する問題を解決するためには、モニターリングに非常に大きな資金を投じる必要がある。
人類は遅かれ早かれこの問題を解決するだろう。だがこれは非常に高くつくだろう」
副所長は、このように語っている。

人類は何があってもこの問題を解決しなくてはならない。複数の統計によると、20世紀だけでも地震の犠牲者はおよそ100万人。21世紀には2004年のスマトラ島、2010年のハイチ、そして今年2011年の日本での地震と津波の犠牲者を合わせると、すでにその数は50万人に達しようとしている。
世界各国の学者たちによる共同作業のみが、地震の予測を可能とするだろう。

岩手日報社 特別報道写真集 平成の三陸大津波 東日本大震災 岩手の記録
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メディア・パル

6月15日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル