『ハウルの動く城』を観てきた。
(以下、ネタバレあります。)
気になったのは、ソフィーにかけられた呪い。
劇中でこの呪いについて語られているのは「他人には話せない」ものということと、
複雑な呪いだ、ということである。
後に、王宮へ向かう際に、呪いをかけた当人の「荒地の魔女」と出会うのだが、
ソフィーは我を失うように怒ったりはしない。逆に、階段を登るのに四苦八苦している魔女を
気遣ってさえいる。自分の人生を著しく変えられた、加害者の魔女なのに。
また、ソフィーはストーリー中に何度か若返ったりもしていて、この呪いの秘密にもっとも迫った
シーンは、「引越し」をした後に、ここに住まないかとハウルに家を紹介された場面だと思う。
ハウルと一緒にいて話をしているうちにソフィーは若返っていて、「私は一度もきれいだったことなんかない」
みたいなことを言う。そして、ハウルは「きみはきれいだ!」と彼女の言葉を振り払うように言うのだが、
too lateで、次の瞬間ソフィーはまたシワシワのおばあちゃんに戻っている。
ソフィーって、慎ましくて、保守的で、地味なタイプなんですよね。
高望みはしないように心がけているようでもあるし、
ある種の諦念かもしかすると社会性にしばられているかのようでもある。
ナチュラルな節制ともいえるのかな。まだ18歳だっていうのにねえ。
「荒地の魔女」の呪いっていうのは、ソフィーの背中をちょっと押す程度のものというか、
相手の力を利用して技をかけるのに似ている、と僕は解釈してます。
ソフィーの持つコンプレックスや消極性などを見抜き、それを負の要素として呪いをかけたのではないでしょうか。
呪いっていうものは、負の要素の背中を押すことだと思うんですよ。
その人とはまるで関係の無い、とんでもない災難・不幸ではない。
たとえば、「あの人に隕石があたってしまえ」とかあるとするでしょう、それだけじゃ呪いじゃないわけで。
「あの人が一日に5食たべつづけるならば、隕石よ、当たれ」ならば呪いですよ。
対象の人物の、性向や精神といった行動原理をつつきますよね。
そういうところでは、呪いのほうが魔法よりも人間的で、現実味がある気がします。
それで、そんな呪いを主人公のソフィーがかけられてしまう。
序盤は、何がカギなのかがわからないし、理不尽な魔法のように思えるのですが、
ストーリーが進むにつれてなんとなく呪いのカギがみえてくる(ような気がする)。
結論からいいますと、と言いながらはっきりとは言えないのですが、たぶんカギは
主体性と愛の欠如(or弱さ)とネガティブな自意識でしょうね。
そこが変化しないと、呪いは解けないんだと思う。
また、エンディングでもソフィーの髪の色だけ老いていたけれど、きっとハウルの子供でも産めば
元に戻るのかもしれないよ。もうね、そこは愛の完成みたいなさ。
あるいは、ソフィーのポジティブな要素に呪いがかかっている可能性もある。
そこはいいとしてだ。ソフィーにかけられた呪いを考えると、すごく象徴的なんですよ。
こんなのでおばあちゃんになっちゃうんだったら、この世の中にどれだけおばあちゃんがいるやらってね。
それで、おばあちゃんになってみて、18歳であるがゆえのしがらみが消えて、
自分を飾る意識や必要がなくなって、思うままに動いて、それが真っ直ぐだったから、
あんなハウルみたいなのに惚れられちゃう。
それに、真っ直ぐが全て正しいことじゃないことも描かれてるでしょ。
で、そういうの見て女性が喜んだり感動したりすると、男も嬉しいんだよな。
ただ、そこで優生学的な方向へは行かないでおくれと言いたい。
呪いについてはこのへんで。
ハウルはアナキン・スカイウォーカー(スター・ウォーズ)やデビルマンみたいなところがあるよなぁ。
手をひらひらさせて超能力(魔法)を使うところなんか、ジェダイじゃん。
また、動く城に入城したソフィーが、「カルシファーにいれてもらったんだよ」と、
悪気なく言うその悪知恵、のけぞりそうになったね。カカシのカブを使うところもそうなんだけどさ。
老犬も愛嬌あるんだよな。テケテケテケテケって小走りでハァハァ言ってさ。
面白かったな。
しかし、しかしだよ。
それにしてもだ。
まったくハウルってやつは幸運な男だぜ!ちきしょー!
と、何故か捨て台詞を吐いて、終わっときます。
(以下、ネタバレあります。)
気になったのは、ソフィーにかけられた呪い。
劇中でこの呪いについて語られているのは「他人には話せない」ものということと、
複雑な呪いだ、ということである。
後に、王宮へ向かう際に、呪いをかけた当人の「荒地の魔女」と出会うのだが、
ソフィーは我を失うように怒ったりはしない。逆に、階段を登るのに四苦八苦している魔女を
気遣ってさえいる。自分の人生を著しく変えられた、加害者の魔女なのに。
また、ソフィーはストーリー中に何度か若返ったりもしていて、この呪いの秘密にもっとも迫った
シーンは、「引越し」をした後に、ここに住まないかとハウルに家を紹介された場面だと思う。
ハウルと一緒にいて話をしているうちにソフィーは若返っていて、「私は一度もきれいだったことなんかない」
みたいなことを言う。そして、ハウルは「きみはきれいだ!」と彼女の言葉を振り払うように言うのだが、
too lateで、次の瞬間ソフィーはまたシワシワのおばあちゃんに戻っている。
ソフィーって、慎ましくて、保守的で、地味なタイプなんですよね。
高望みはしないように心がけているようでもあるし、
ある種の諦念かもしかすると社会性にしばられているかのようでもある。
ナチュラルな節制ともいえるのかな。まだ18歳だっていうのにねえ。
「荒地の魔女」の呪いっていうのは、ソフィーの背中をちょっと押す程度のものというか、
相手の力を利用して技をかけるのに似ている、と僕は解釈してます。
ソフィーの持つコンプレックスや消極性などを見抜き、それを負の要素として呪いをかけたのではないでしょうか。
呪いっていうものは、負の要素の背中を押すことだと思うんですよ。
その人とはまるで関係の無い、とんでもない災難・不幸ではない。
たとえば、「あの人に隕石があたってしまえ」とかあるとするでしょう、それだけじゃ呪いじゃないわけで。
「あの人が一日に5食たべつづけるならば、隕石よ、当たれ」ならば呪いですよ。
対象の人物の、性向や精神といった行動原理をつつきますよね。
そういうところでは、呪いのほうが魔法よりも人間的で、現実味がある気がします。
それで、そんな呪いを主人公のソフィーがかけられてしまう。
序盤は、何がカギなのかがわからないし、理不尽な魔法のように思えるのですが、
ストーリーが進むにつれてなんとなく呪いのカギがみえてくる(ような気がする)。
結論からいいますと、と言いながらはっきりとは言えないのですが、たぶんカギは
主体性と愛の欠如(or弱さ)とネガティブな自意識でしょうね。
そこが変化しないと、呪いは解けないんだと思う。
また、エンディングでもソフィーの髪の色だけ老いていたけれど、きっとハウルの子供でも産めば
元に戻るのかもしれないよ。もうね、そこは愛の完成みたいなさ。
あるいは、ソフィーのポジティブな要素に呪いがかかっている可能性もある。
そこはいいとしてだ。ソフィーにかけられた呪いを考えると、すごく象徴的なんですよ。
こんなのでおばあちゃんになっちゃうんだったら、この世の中にどれだけおばあちゃんがいるやらってね。
それで、おばあちゃんになってみて、18歳であるがゆえのしがらみが消えて、
自分を飾る意識や必要がなくなって、思うままに動いて、それが真っ直ぐだったから、
あんなハウルみたいなのに惚れられちゃう。
それに、真っ直ぐが全て正しいことじゃないことも描かれてるでしょ。
で、そういうの見て女性が喜んだり感動したりすると、男も嬉しいんだよな。
ただ、そこで優生学的な方向へは行かないでおくれと言いたい。
呪いについてはこのへんで。
ハウルはアナキン・スカイウォーカー(スター・ウォーズ)やデビルマンみたいなところがあるよなぁ。
手をひらひらさせて超能力(魔法)を使うところなんか、ジェダイじゃん。
また、動く城に入城したソフィーが、「カルシファーにいれてもらったんだよ」と、
悪気なく言うその悪知恵、のけぞりそうになったね。カカシのカブを使うところもそうなんだけどさ。
老犬も愛嬌あるんだよな。テケテケテケテケって小走りでハァハァ言ってさ。
面白かったな。
しかし、しかしだよ。
それにしてもだ。
まったくハウルってやつは幸運な男だぜ!ちきしょー!
と、何故か捨て台詞を吐いて、終わっときます。