ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

Saint-Emillion Grand Cru Classe 2008 & 2009

2012-06-13 17:24:30 | ワイン&酒
5月末、仏ボルドーの Association de Grands Crus Classes de Saint-Emillion (サン・テミリオン・グラン・クリュ・クラッセ) による試飲会が東京で開催されました。



サン・テミリオン はボルドー市の北東、リブルヌから約8kmに位置する地区で、ボルドーエリア赤ワイン生産量の6%を産出しています。
大きな生産地域ではありませんが、重要性と注目度においては非常に高い生産地区で、メルロ種を主体にした赤ワインがつくられています。

原産地呼称としては、大きく、AOC Saint-EmillionAOC Saint-Emillion Grand Cru の2つがあり、後者はさらに Grand Cru Classe Premier Grand Cru Classe で構成されます。

今回、試飲会が行われたのはGrand Cru Classe の方で、加盟49のシャトーのうち22シャトーの2008年と2009年ヴィンテージが紹介されました。
(プルミエの方は、Ch.シュヴァル・ブラン や Ch.オーゾンヌなどがあります)



いくつか紹介してみると…


Chateau DESTIEUX 2008 2009

メルロ66%、カベルネ・フラン17%、カベルネ・ソヴィニヨン17%、所有畑8ha。

2008年は凝縮した果実味と酸のバランスが非常によく、エレガントなスタイル。
2009年は非常に濃厚で、リッチでスムースで、ニューワールド的に感じました。
が、いずれもレベルが高く、ここのシャトーに根強いファンがいるのは納得ですね。

ブースにいた生産者に話を聞くと、
「2008年はフルーツの香りが豊かだが、強さがない。2009年は味が濃く詰まっている。今はまだ新しいので、あと2、3年後によくなってくると思う」との談。



Chateau FONPLEGADE 2008 2009

メルロ93%、カベルネ・フラン7%、所有畑18.5ha。

2008年は、きれいにまとまっているワインです。
2009年はタンニン量がとても多いのですが、収れん味がエレガント。果実味は豊かですが甘さは控えめ。ほのかなミネラリティを感じ、余韻も長く感じました。

フォンプレガードは右岸のオーガニック先駆者のひとつ。2007年に認証取得したと言っていました。



Chateau BELLEFONT-BELCIER 2008 2009

メルロ70%、カベルネ・フラン20%、カベルネ・ソーヴィニヨン10%、所有畑13ha。

2008年はスムースでマルク、まろやかでやわらかいワインです。上品でバランスがよく、早い時期から楽しめるスタイルですね。
2009年は凝縮感があるのにエレガント。こちらもまろやかで、なめらか。とろりと濃厚ですが、甘ったるさは全くありません。

シャトーのスタイルとしては、ふっくらソフト、というのがベースにあるように思います。やり過ぎていない点が好感持てます。



2008年と2009年を比較試飲して感じたのは、

2008年
ほどよいボリューム感があり、酸がしっかりしていてバランスがいいので、食事に合わせやすく、早くから楽しめるスタイルが多い。

2009年
完熟してニューワールド的なニュアンスがあり、樽の使い方も強め。果実味もタンニンもパワフルなフルボディなので、まだまだ時間が必要。



ある生産者の話では

2008年は春と秋は素晴らしかったが、夏が寒かった。よって収穫が遅くなった。ワインはフルーティーなスタイルだが、タンニンがこなれるには少し時間がかかる。

2009年は天候に恵まれ、ブドウがよく熟した。太陽をたっぷり浴び、糖度も高く上がり、果皮も厚くなってタンニン分も多くなったが、バランスがよく、芳醇でコクのあるワインになった。

このように、2008年と2009年のスタイルは違いますが、シャトーによっても個性が違います(樽の風味をより強く出しているシャトー、2008年に少々もの足りなさ感じたシャトーなど)。

サン・テミリオン・グラン・クリュ・クラッセのワインは、ボルドーのメドックの格付けシャトーワインよりも手頃な価格で買えますので、飲んでおいしいと思ったシャトーを覚えておき、それをずっと追いかけていく と面白いのではないでしょうか。


サン・テミリオンは世界遺産に指定されています


コメント
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